【完結】死に芸精霊のデート・ア・ライブ   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。今回はちょっと残酷な描写があるので閲覧注意です。あと、私としてはデート・ア・ライブへのアンチ・ヘイトの意図はないんですが、見方によってはとんでもなく原作を蹂躙しているように見えるかもしれませんので、その意味でも閲覧注意です。



18話 下剋上の垓瞳死神

 

 

 士道がフラクシナスに回収され、琴里と令音と接触していた頃。黒を基調とした袴のような霊装の上に、無限の人間の目のついた漆黒のマント型の天使を纏った志穂は夜の天宮市を飛び回っていた。ビルの屋上を、家の屋根を足場にして、志穂は夜の天宮市を駆けていく。

 

 

「おっしゃ、見つけたッス」

 

 と、ここで。目的の人物を発見した志穂は、付近の電灯の上に着地する。志穂のエメラルドの瞳が見下ろす先には帰宅途中らしい1人の中年男性が歩いていた。見るからに覇気がなく、くたびれたスーツを着用しており、冴えないおじさんの権化のような男性だ。

 

 

「そうそう、このおじさんッスよ。いかにもおやじ狩りのターゲットにされそうな情けない面をぶら下げておきながら、367人目と562人目と1321人目と2678人目の私を強姦殺人しやがった性犯罪者ぁ。私の死体が消えることに味を占めて何度も何度も私をメチャクチャにしやがったクズの分際で、今もこうしてのうのうと生きてるとか。はぁぁ、もう。許せないッスねぇ? ではでは、<垓瞳死神(アズラエル)>――【入力(インプット)】」

 

 志穂は殺意にぎらついた眼差しで中年男性を見下ろしながら、天使の名を口にする。直後、垓瞳死神(アズラエル)の無数の目の内の1つが中年男性を凝視する。そして、中年男性を見つめる目の中央に、中年男性の名前が血のように禍々しい赤色で刻まれる。

 

 

「【閉眼(クローズ)】」

 

 志穂の指示とともに、中年男性の名前を眼に刻んだ垓瞳死神(アズラエル)の目が閉じる。目が、まぶたを閉ざすことを通して、中年男性の名前を覆い隠す。瞬間、志穂の眼下の中年男性はグワッと目を見開き、苦しそうに胸を抑えながら倒れ込んだ。

 

 志穂の垓瞳死神(アズラエル)は人間の精神に直接死を叩きつけることで、ショック死させることのできる天使である。死を精神に直接ぶつけたい対象者の名前を垓瞳死神(アズラエル)の目に入力し、閉眼を通して入力した名前を消すという流れを経ることで、確実に対象者を殺すことができるのだ。なお、対象者に叩きつけられる死の内容は、志穂が今までに経験した死からランダムで選出されることとなっており、中年男性は今、心臓麻痺の死を叩きつけられていたようだ。

 

 

「アーンド、【開目(オープン)】!」

 

 にこやかな笑みを貼りつけて、中年男性の苦しむ様を見下ろしていた志穂は垓瞳死神(アズラエル)に新たな指示を出す。すると、中年男性の名前を眼に刻んでいた目が開き、中年男性の名前が再び表に出てきた瞬間。中年男性は自身を襲っていた痛み苦しみがいきなり消滅したことに、ただひたすら疑問符を浮かべて、その場に座り込んでいた。

 

 そう、志穂の垓瞳死神(アズラエル)は、人の生死を自由自在に操れる天使である。よって、一定時間内であれば、閉眼でショック死させた対象者を、よみがえらせることができるのだ。開目を通して、一度閉眼で覆い隠した対象者の名前を再び表に表示させることで、本来死ぬはずだった人を復活させることができるのだ。

 

 

「もっちろん、おじさんをたった1回の死で殺すわけがないッスよ。R-18な知識を一切持っていなかったあの時の純粋な私が受けた心の傷は、この程度じゃ癒せにゃーい! さーてさて、次はどんな死がプレゼントされちゃうのかなぁ?」

 

 ゆえに。たった一度殺すだけで中年男性を解放するつもりのない志穂は、敢えて中年男性を復活させた後、ルンルン気分で中年男性に次なる死を体験させようとする。と、ここで。

 

 ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ――

 

 天宮市の全域に空間震警報が響いた。市内のあらゆる所に設置されたスピーカーから重低音を轟かす空間震警報を受けて、市民は速やかに地下シェルターへの避難を始めていく。先ほど、志穂が一度死を与えた中年男性も同様に、地下シェルターへと駆けていく。

 

 

「……」

 

 志穂は敢えて中年男性を見逃した。志穂は中年男性がもがき苦しむ様が見たいからわざわざ中年男性を見つけ出してから垓瞳死神(アズラエル)を行使しただけであるため、彼がどこへ逃げようと、どうせいつでも、何度でも殺せるからだ。それに、空間震警報が鳴ったということは、天宮市に別の精霊が顕現したのでなければ、志穂の元に来客が来るはずだからだ。志穂の心境的には、中年男性よりも来客の相手を優先したかったのだ。

 

 

「――っと、危ない危ないッス」

 

 そして、ほどなくして。空中に漂う志穂目がけて、四方八方から一斉に弾幕が襲いかかってきた。奇襲をあらかじめ予測していた志穂は最小限の回避で弾幕を難なくやり過ごす。

 

 

「隊長! やはり間違いありません! 練習台、じゃなくて――精霊イモータルです!」

「そのようね。でも、一体どういうことよ? イモータルなら今の奇襲で確実に殺せたはずだし、今までのイモータルとは明らかに雰囲気が違っているけれど……まさかイモータルとよく似た新種の精霊かしら? そもそもイモータルは空を飛べないはずだしね」

 

 直後。志穂を囲うように、戦闘顕現装置搭載ユニットことCR-ユニットを纏った陸上自衛隊の対精霊部隊:ASTの面々が出現する。彼女たちは精霊を武力で殲滅する方針の下、CR-ユニットを活用することで、平然と空を飛び、既存兵器の通じない精霊を相手に戦闘を行っているのだ。なお、志穂は紙装甲ゆえに既存兵器でも余裕で死んでしまう例外である。

 

 

「ふふふ、来たッスね! 日本の対精霊部隊、ASTの諸君! 今まで散々私のことを練習台扱いしやがって……! 私はASTに入隊したばかりの新人が、人間型の精霊を躊躇なく殺せるように訓練するためのチュートリアルボスじゃないッスよ! 他の精霊を全然殺せないからってストレス発散で私を殺して、『CR-ユニットなら精霊を殺せるはずなんだ。私たちのやり方は間違っていないはずなんだ』って自信をつけるためだけの道具じゃないッスよ!」

「……雰囲気が変わっていてもあのテンションは変わらないようね。総員、一斉攻撃! いつものように、さっさと終わらせるわよ!」

 

 志穂はASTの面々を一瞥すると、口角を歪ませ、ASTに対して志穂が抱えていた気持ちを盛大にぶちまける。結果、一時はいつもと違う志穂の様相に様子見をしていたASTの隊長は、志穂を警戒する必要はないと判断し、部下たちに攻撃命令を発した。

 

 

「ッ!?」

 

 が、隊長の命を受けて志穂を攻撃する者は誰もいなかった。隊長もまた、志穂に攻撃を行わなかった。なぜなら、志穂の元に現れたAST全員が、志穂の垓瞳死神(アズラエル)から、死を直接精神に叩き込まれたショックにより、飛行状態を維持できずに地上へと落下し始めたからだ。

 

 

「ぐわっはっは、面白いようによく落ちる。まるでトンボとりでもしているようッスね!」

 

 垓瞳死神(アズラエル)の目に名前を刻まれ、目を閉ざされたことで、ASTの面々は総じて命を失い、地上へと落下していく。志穂は輝かしい笑顔でASTの面々の落下する様子をしばし見つめた後、ASTの面々が地上に接触する直前に、垓瞳死神(アズラエル)を開目させ、ASTの面々に再び命を吹き込んだ。

 

 

「あぐッ!?」

「ぐぎゃッ!?」

 

 復活した直後に地面に衝突した衝撃を味わったASTの面々は体全体を突き抜ける激痛に悲鳴を上げ、その場でのたうち回る。高所からの落下で即死した方がいっそ幸せだっただろう。だが、そんな幸運な死は許されない。なぜなら、垓瞳死神(アズラエル)の目に刻まれた名前が閉眼により覆い隠されない限り、どんなに酷い怪我を負っても絶対に死なないことが確定しているのだから。

 

 

「まぁ当然、あなたたちもただの1回だけで死なせるわけがないッスよ。私は1万五千、いや失っていた記憶を足せば2万回死んだ女ッス! なわけだから、皆さんもちょっと2万回死んでみるッスよ! ハイ、まずは臨死体験100回コースから! え、体験拒否? そんなつれないこと言わないでッ! 皆さんも死に芸属性を極めようぜ! えいえいおー!」

「や、やめ、て……」

「今まであなたたちはそうやって命乞いをする私を一度でも見逃したことがあったッスか? 一度でも苦しくない殺し方を私に施してくれたことがあったッスか? そんな慈悲をくれたの折紙先輩ぐらいッスよ。でも、今は何か折紙先輩がいないようなので、容赦しなくてもオールオッケーッスね。そんじゃ、<垓瞳死神(アズラエル)>――【転瞬(ブリンク)】」

 

 死屍累々、阿鼻叫喚。そのような言葉が似合うような状況へと突き落とされたASTの面々に向けて、志穂は空中でクルクルと回転しながら愉快そうに言葉を紡ぐ。そのあまりに絶望的な言葉に、悲鳴以外の言葉を話す余裕のあったASTの1人が志穂に懇願するも、志穂は晴れやかな笑顔とともに懇願を切り捨て、死刑宣告をするかのように垓瞳死神(アズラエル)に指示を放つ。

 

 刹那。垓瞳死神(アズラエル)の無数の目が一斉に瞬きを始める。何度も何度も目を閉じて、開けてを繰り返す。結果、垓瞳死神(アズラエル)の目に名前を入力されているASTの面々は垓瞳死神(アズラエル)の瞬きの度に、死を経験させられてショック死し、そして復活を強要させられる。まさに絶望。狂う以外に逃げ道のない圧倒的な絶望がASTを襲い続ける。

 

 

「きっひひ! 死ね、死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねぷくくくくくひゃははははっははははははははは!」

 

 志穂は歌うように、リズムに合わせて殺意の叫びを吐き出しながら。今まではただやられるだけの立場だった弱者が、強者へとクラスチェンジを果たし、かつて志穂を痛めつけた強者(笑)を好き放題に蹂躙できている、という構図を満喫するのだった。

 

 




霜月志穂→精霊。識別名はイモータル。士道とのキスを契機に、失っていた記憶を取り戻した模様。ただいま絶賛、暴走中である。志穂さんが楽しそうでなによりです。

 というわけで、18話は終了です。実は志穂さんは折紙さんとも交流があったという裏設定。折紙さんは両親が精霊に殺されたことにより、精霊に対する並々ならぬ復讐心を持っていますが、志穂さんが天使や霊装が使えない様子な上に、何度もASTに殺され、あるいは不慮の事故で死んでいく姿から、志穂さんを人類の脅威かつ滅ぼすべき精霊というよりは、なぜか霊力を持っていて不死身なだけのかわいそうな人間の女の子として捉えています。ゆえに、ASTの一員として志穂さんを相手にするときはなるべく志穂さんが即死するように殺し、日常で志穂さんに出会った時は命を狙わずご飯を奢ったりしていました。ちなみに、折紙さんが今回、ASTの一員として登場していないのは、原作7巻を終えた時点で、折紙さんは色々やらかした結果、軽い謹慎状態に陥っているからです。折紙さんはある意味で運が良かった模様。

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