【完結】死に芸精霊のデート・ア・ライブ   作:ふぁもにか

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 どうも、ふぁもにかです。もはや語る言葉はありません。
 士道さんに救われた志穂さんの後日談、その一部をいざ覗きましょうぞ。



エピローグ 残機1の元精霊

 

 

 志穂を再封印した後、士道と志穂はフラクシナスに回収された。その時、士道が志穂を救うために死にまくるという相当な無茶をしたことに琴里は激怒していたが、そもそも士道が無茶をする原因を作ったのは自分だと、志穂がその場で深々と、頭が床に突き刺さる勢いで琴里に土下座を行ったため、士道は今回、琴里にあまり怒られないこととなった。裸の桃髪美少女の土下座姿をまのあたりにした影響で、琴里の怒りが削がれてしまったのだろう。

 

 その後。士道と志穂は何日もかけて、フラクシナスの医療用顕現装置にて、精神を治療することとなった。いくら医療用顕現装置とはいえ心の傷に効果があるかどうかは未知数だが、医療用顕現装置を使わないよりはマシだろうというのが琴里の判断だった。

 

 なお、志穂の再封印以降。志穂に死の呪いが襲いかかることはなくなった。

 令音の読み通り、志穂が完全な不死者ではなくなったからだろう。

 

 そして、時は流れ。激動だった10月1日から1週間後の10月8日日曜日。士道と志穂は千葉のとある田舎町の片隅にひっそりと存在する墓地へと足を運んでいた。ここに、霜月家の墓石があり、霜月砂名の遺骨が納められていることをラタトスク機関の調査により知ったからだ。霜月家の墓石はこまめに手入れがされているのか、他の墓石よりも清潔さを保っているようだった。

 

 

「「……」」

 

 士道と志穂はまず墓石に向けて合掌礼拝を行った後、それぞれ手分けをして墓石の掃除を始める。墓地に備え付けられていた手桶に水を汲み、ひしゃくを用いて墓石の汚れを洗い流す。花瓶の水を、新しい水に入れ替える。墓石に落ちていた落ち葉や小さなごみを箒で払い、ごみ袋の中に入れる。そうして、墓石の掃除を終えた後。志穂は墓参りのために用意していた花束を花瓶に飾り、士道と志穂は各々、ライターの火で線香に炎を灯し、香炉に線香を立てる。そして、2人は誰からともなく目を瞑り、合掌した。

 

 世界に嫌われ、死の呪いに囚われ、精神がボロボロになっていた当時の志穂を巧みに救い上げてくれた砂名。彼女がいてくれたおかげで、今の志穂がいる。彼女がいなければ、志穂の心はとっくの昔に壊れ、士道が志穂を救おうにもどうしようもない段階にまで陥っていたことであろう。士道は砂名への感謝を込めて、砂名へ祈りを捧げる。しばらくして、士道が両手を放し、目を開くと。既に砂名への冥福を祈り終えていたらしい志穂が士道を見つめていた。

 

 

「志穂?」

「……砂名先輩のために、心から祈ってくれて、ありがとうございます。でも、どうして先輩は砂名先輩のことを知っていたんですか?」

「狂三から教えてもらったんだよ。俺自身は砂名さんのことは知らないけど……志穂が心酔するほどの人だ、できることなら会って話してみたかったな」

「同感ッス。士道先輩と砂名先輩なら、きっとすぐに仲良くなったッスよ。ボケとツッコミで、相性抜群ですし」

 

 士道と志穂は、実際に士道と砂名とが対話を行うシーンを脳裏に思い浮かべ、お互いに笑い合う。その後。志穂は真剣な眼差しに切り替えて士道を見上げる。

 

 

「……砂名先輩を殺し、耐えきれずに記憶を霊装で封印した3年前から、私の中の時は止まったままだったッス。でも、これで。私、ようやく前に進めそうッス。これからは残機1の元精霊として、士道先輩との新たな日常を、明るい未来を生きていけそうッス」

「そっか」

「いやはや、まさか先輩がこうも完璧に私を救ってくれるとは思ってなかったッス。――先輩は私の恩人ッス! よ、救世主! カッコいいぜ、ヒーロー! あ、いや。ちょっと変わった力を持っているだけのただの高校生! ひゅーひゅー!」

 

 志穂が真面目な雰囲気を構築しにかかったと思えば、すぐさま志穂は士道を全力で褒めちぎる態勢に入る。士道の目の前で、からからと志穂が笑っている。志穂を救うことに成功できた。志穂に笑顔をもたらすことができた。改めてそのことを認識した士道は、充足感に満ち満ちた微笑みを志穂に返すのだった。

 

 

 ◇◇◇

 

 

 士道が志穂と砂名の墓参りを行った翌日。10月9日月曜日。

 士道は十香とともに来禅高校に登校していた。

 

 

「おお! それでは、もうシドーがフラクシナスで治療を受けなくても大丈夫なのだな!? うむ、良かった良かった。……それで、その志穂という精霊はいつ、私たちの精霊マンションに住み始めるのだ?」

「琴里曰く、今日の夕方からだそうだ。志穂も十香みたいに、日中は学校に通うみたいだからな」

「そうなのか!? 私たちのクラスに転入してくるのか!? 楽しみだな!」

「あ、いや。学校と言っても、琴里と同じ中学に入るみたいだから、学校じゃ会えないな」

「むぅ。そうなると、志穂と会うのはまだお預けか。それは残念だ」

 

 士道が一番最初に封印した、思い出深い精霊こと十香は、まだ見ぬ志穂に会うことを楽しみにしているようだ。この分なら、志穂とも仲良くなってくれるだろう。志穂の性格から、十香たちに志穂が馴染めないのではといった心配はしていなかったが、士道は改めて安心した。

 

 そんなやり取りを経て。士道と十香が2年4組の教室に入った時。既に教室にいたクラスメイトたちが士道を一斉に見つめてくる。しばし士道を凝視していたクラスメイトたちはやがて士道から視線を外すと、小声でひそひそと何やら話し始める。

 

 

(な、何だ何だ?)

「んん? どうしたのだ、皆?」

「お、おい。殿町。何なんだ、この空気? 何か理由、知らないか?」

「理由、だと?」

 

 十香がコテンと首を傾げる中。士道は近くにいたクラスメイトの男子こと殿町に事情を尋ねる。すると、殿町はゆらりと士道へと顔を向けたかと思うと、ガシッと士道の両肩を強く掴んだ。

 

 

「五河、お前ぇ……! 十香ちゃんに鳶一、耶俱矢ちゃんに夕弦ちゃんがいながら、まだ新しい美少女攻略を続けてるのかよ!? どれだけハーレムを拡大させれば気が済むんだよ! どれだけ転入生の女の子を攻略済みにすれば満足なんだよ、ええ!?」

「待て待て、殿町!? 何をそんなに興奮してんだよ!?」

「ちくしょう! ほんの半年前までは、俺と五河の違いはかわいい妹がいるかいないかってだけだったじゃないか! なぜだ、どうして五河はこんなにもモテるんだ! 一体俺に何が足りないって言うんだ……!」

 

 殿町は士道に感情を爆発させたかと思うと、ふらふらとした足取りで士道から離れていく。士道は殿町の奇行を不思議に思いながらも、自分の席に座ろうと視線を移して、気づいた。士道の席に既に誰かが座っているのだ。桃色の髪にエメラルドの瞳が特徴的な、小柄な少女が士道の席に腰かけ、「えへぇー」と声を漏らしながら、緩みきった顔で机に頬ずりをしているのだ。何だか、非常に既視感のある光景だった。

 

 

「む? シドーの席に誰か座ってるぞ? 席を間違えたのか?」

「……え、志穂!?」

 

 士道の席に座る人物の正体が、来禅高校の制服を着た志穂だと気づいた士道は驚愕の声を上げる。無理もない。琴里の通う中学校にいるはずの志穂が、なぜか来禅高校にいるのだから。

 

 

「あ、先輩。こんちわッス!」

「志穂、お前どうしてここにいるんだ!? 中学校はどうしたんだ!?」

「ああ、あれウソッス。先輩にドッキリを仕掛けるために、琴里先輩に頼んで、先輩にウソの情報を流してもらったッスよ」

 

 士道が教室にいることに気づいた志穂は、士道の席から離れ、パタパタと士道の下に走り寄ってくる。どうして志穂が来禅高校にいるのか。士道が早口に尋ねると、志穂は制服のポケットから、ドッキリ大成功と書かれた小さな旗を取り出して、真上に掲げる。

 

 

「そういうことか。琴里め……!」

「そーゆーわけなんで、改めて。今日から来禅高校1年3組に転入した、霜月志穂ッス。ぜひかわいがってやってください、士道先輩!」

「お、おう」

 

 どうやら士道は偽の情報を掴まされていたらしい。志穂の提案を受けて、ノリノリで士道を騙しにかかろうとする琴里の姿がありありと脳裏に思い浮かぶ。一方の志穂は士道に満面の笑みを浮かべつつ、ペコリと頭を下げた。

 

 

「それと、十香先輩!」

「む、私か?」

「今日から精霊マンションに住むことになった霜月志穂ッス! 今夜からお世話になるんで、マンション住まいの先輩として、ぜひご指導のほど、よろしくお願いするッス!」

「おお、お前がシドーの言っていた志穂か。うむ、こちらこそよろしく頼むぞ」

「あい!」

 

 続けて志穂は十香にあいさつをしたのを最後に、2年4組の教室を後にする。

 

 

「志穂? どうしてここに?」

「あ、折紙先輩。実は私、諸事情ありまして、来禅高校に転入してきたんスよ。クラスは1年3組ッス。これからは同じ学校の後輩として、よろしくお願いするッスよ!」

 

 ほどなくして、廊下の方から折紙と志穂の声が聞こえてくる。どうやら意外にも、志穂は折紙とも面識がある上に、そこそこ良好な関係を構築済みのようだ。

 

 

(あ、そうだ)

「志穂、誕生日おめでとう! 帰ったらケーキ作るから、楽しみにしててくれよな!」

「おお! マジッスか、やったー! じゃあ、今日はお腹ぺこぺこにしないとッスね!」

 

 今日が志穂の初現界の日であり、砂名の決めた、志穂の誕生日だと思い出した士道は廊下に出て、去りゆく志穂の小さな背中に声をかける。すると、志穂はぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜びを全身で表現しながら、1年3組の教室へと向かっていく。

 

 来禅高校に志穂が現れたことで、士道の高校生活はさらに面白く、彩りあるものに変化するのだろう。そんな未来を思い描いた士道は、笑みを零した。

 

 

 かくして。霜月志穂は士道に封印された元精霊の一員として、精霊時代では経験できなかった平和な日常を過ごすこととなった。だが、志穂の物語は一段落ついただけで、ここで終わったわけではない。士道にはこれから激動の展開がこれでもかと待ち受けており、当然ながら志穂も激動の展開に巻き込まれ、あるいは自ら積極的に関わっていくこととなる。そんな志穂の行く末にはたして何が待ち受けているのか。それは神のみぞ知ることなのであった。

 

 

 

 

             死に芸精霊のデート・ア・ライブ   END.

 

 

 




五河士道→好感度の高い精霊とキスをすることで、精霊の霊力を吸収し、封印する不思議な力を持った高校2年生。本人は平気そうにしているが、志穂の垓瞳死神(アズラエル)で軽く1万回はショック死したため、大事を取って医療用顕現装置で治療されていた。
霜月志穂→精霊。識別名はイモータル。士道に封印され、残機が1となった。フラクシナスでの検査や、医療用顕現装置での治療を終えた後、来禅高校の1年生として学校に通うこととなった。なお、10月9日が誕生日ということになっている。
夜刀神十香→精霊。識別名はプリンセス。エピローグでどうにか滑り込み出演に成功した、士道が一番最初に封印した精霊である。志穂への第一印象は割と良さげな模様。
殿町宏人→エピローグでどうにか滑り込み出演に成功した、士道のクラスメイト。個人的に殿町はそこそこモテてもおかしくないと思うのだが、なぜか全然モテていない。
鳶一折紙→両親を殺した精霊に復讐するため、ASTに所属する少女。感情がないわけではないが、表情には出さないのが基本。エピローグでどうにか滑り込み出演に成功した。なお、志穂に誕生日ケーキを作るとの士道の発言を聞いた折紙は、実は今日は自分も誕生日なのだと供述し、士道に迫ったとのこと。

耶俱矢「ええ、ウソ!? エピローグですら、私たちの出番ないの!?」
夕弦「陳情。今からでも夕弦たちの出番を用意してください」

 というわけで、エピローグは終了です。そして、これにてこの作品は完結となります。今まで閲覧していただき、本当にありがとうございました。なお、ふぁもにか印の作品恒例の、作品完結後の長々とした後書きを後で投稿するつもりなので、もしよければそちらも覗いてやってください。


 ~おまけ(長期的視点からすると圧倒的ハッピーエンドっぽいIFルート)~

 士道とのキスを経て、記憶を取り戻した志穂が暴走を演出している時。

志穂「うっし。せっかくだし、エレ何ちゃらとか、ウェストパッドとか、DEM社の中核を担う幹部っぽい奴を一通り、垓瞳死神(アズラエル)で殺しちゃおっと。こいつらは下手に復活させると後が怖いから、殺したらそのままにしないとッスね」
エレン・メイザース「えッ」
ウェストコット「(´・ω・`)そんなー」

 その後、DEM社の実権はマードックが握り、DEM社の狂気っぷりは多少薄れるのだった。

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