【完結】死に芸精霊のデート・ア・ライブ   作:ふぁもにか

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8話 世界への反逆

 

「……うん、うん。気が変わった。私の計画に士道くんも加担してくれない?」

「砂名さんの、計画?」

「そう、私の世界征服計画にね。成功した暁には世界の半分をプレゼントしてあげるからさ、どうかな?」

 

 どこぞとも知れぬ、陰気な雰囲気漂うどこかの建物内にて。未知の要素を数多く内包する新種の精霊:扇動者(アジテーター)こと霜月砂名から、世界征服計画へのお誘いを受けた士道は、困惑していた。

 

 しかし士道は、困惑を顔に出すわけにはいかない。砂名を愛しているがゆえに砂名を殺したという士道の主張が受け入れられ、士道の拘束は砂名に解かれたとはいえ、まだまだ油断できる状況ではない。会話の主導権は士道が握ったままでいるべきなのだ。そのためには、砂名がいくら衝撃的なことを口にしたとしても逐次驚くことなく、冷静さを維持することが必須といえた。

 

 

「世界征服って本気なのか? 俺はてっきり、新人類教団の信者を増やすための方便として『世界征服』って言葉を利用しているとばかり思っていたんだが」

「もしも方便を使うのなら、世界征服よりももっとそれっぽい旗印を用意するさ。例えば『この世で徳を積めば、来世の己は救われる。だから今世の己の不甲斐ない人生を諦めてはならない。隣人を助け、悩める者に手を差し伸べて徳を積み、最大多数の最大幸福を希求するとともに己の来世に投資しなさい』とかね。……けど、私が掲げた世界征服は紛れもなく本気だよ。尤も、世界征服という言葉が意味することは、信者のみんなにそれぞれ勝手に解釈してもらっているけどね」

 

 ゆえに士道は極力声色を変えないよう意識して砂名の真意を問うと、砂名はいつになく真剣な眼差しで士道を見つめ返し、世界征服への熱い意気込みを端的な言葉に詰め込み士道へと返してくる。

 

 

「……俺は砂名さんのストーカーだった。いつも砂名さんのことを観察し続けてきた俺は、砂名さんのことは誰よりも知っている自信がある。だからこそ、不可解なんだ。砂名さんは世界征服を企むタイプの人じゃないはずだ。野心を抱いて大スケールなことをしようとは思わず、身近にある幸せを大切にしながら日常を謳歌するタイプの人のはずだ」

「やっぱり不服かな、今の私は?」

「誤解しないでほしい。俺はただ、俺が殺した砂名さんと、今のよみがえった砂名さんとの性格の違いに、凄く興味があるだけなんだ。一度死を経験したことで、砂名さんがどのように心変わりをしたのか、どうして世界征服をしようと決意したのか、その理由が知りたくてたまらないんだ。……砂名さんの動機を、教えてくれないか?」

「ん-と、それはね……」

 

 砂名がどこまでも本気で世界征服を目指している。そのような砂名の気持ちを知った士道は、次に砂名の動機を知るべく砂名に問いかける。一方の砂名は、世界征服への協力を持ちかけた相手への心証が良くなるように一旦は素直に動機を話そうとして、しかしそれではつまらないだろうと考え直し、ニヒルな笑みを携えて士道に問いかけ返した。

 

 

「逆に聞こうか。人は、どんな動機があれば世界征服を企むだろうか?」

「え?」

「世界征服、世界征服と口にするのは簡単だけど、そもそも普通の人は世界を征服しようとの発想に至らない。人生が充実しているなら世界を征服する意味なんてないし、人生に不満があったとしても【じゃあ私が変えてやる、世界征服だ!】と息巻く者はほぼいない。その理由は単純明快――世界征服という行為がハイリスクローリターンだからだ」

「ハイリスク、ローリターン……」

「そう。世界を征服するということはつまり、身内以外の全人類の頭脳と戦って勝利しないといけないということだ。それがまず世界征服の非実現性に一役買っている。それに、世界を征服したからといってそれで終わりじゃない。『世界を征服する=思い通りの世界を作る』ことではない。世界を征服した後は、征服された側の人間の叛逆に怯えながら権力にすがりついて生きることしかできないだろう」

「……」

「人は大概、加害者よりは被害者になりたいし、悪人よりは正義のヒーローになりたい。これが私の持論の1つでね。だって、悪いことをしたせいで一般大衆からヘイトを向けられるのは苦痛だし、悪者を懲らしめるという正義のヒーローの理屈で、言葉の暴力で悪者を叩き潰すのは痛快だし、いかに加害者に痛めつけられたかを巧みにプレゼンできれば同情の眼差しを一手に引き受けることができて、慰みになるだろうしね。……で、だ。世界征服なんて、加害者&悪人の極地に至ってしまう行為、そこにメリットなんてそうそう感じられないだろう。失敗すれば、後の世で散々馬鹿にされて、歴史の教科書に掲載された写真に執拗に落書きされる展開も透けて見えるしね。さて、脱線していた話を元に戻そう。……はてさて、こんなハイリスクばかりでメリット皆無な世界征服を、それでもやろうと、ただのモブ女子小娘の私は思ったわけだ。どうしてだと思う、士道くん?」

 

 砂名は世界征服に対する己の持論をひととおり士道に披露した後、改めて士道に己の世界征服の動機は何かと問いかける。砂名の話を静聴していた士道は、熟考する。ここで砂名の期待に沿えない回答をしてしまえば、せっかく今まで少しは稼げているであろう砂名からの士道への好感度が無に帰す可能性もあり得るからだ。

 

 

「――復讐、とか?」

 

 しばしの沈黙の後、士道は頭を振り絞って、それっぽい理由を1つ砂名に示す。すると、砂名はパァァと晴れやかな笑顔を浮かべて、士道の回答に元気よくうなずいた。

 

 

「お、さすがは私のストーカー。ほぼ正解だよ。そう、メリット皆無な世界征服をやろうと決心するには、強烈な感情に起因した動機が必要ということなのだよ。士道くんが私を殺した時のようにね。んで、肝心の私の動機だけど――世界への反逆。これが理由さ」

「世界への反逆……?」

「うむ。まぁ正直? 自分語りって奴は『私、かまってちゃんです』って宣言しているみたいで本当はやりたくはないのだけど、今は世界征服に加担してもらおうと士道くんをスカウトしている最中だしね。士道くんにその気になってもらえるように、私の事情を話すよ。長話になるかもだから、ほら座って」

「わかった」

 

 砂名は〈夢追咎人(レミエル)〉の【迷晰夢(ミスディレクション)】でダイニングテーブルと椅子を生み出して椅子に腰掛け、士道にも座るよう促す。士道が砂名の求めに応じると、砂名はこれまた【迷晰夢(ミスディレクション)】でテーブル上に緑茶とお茶菓子を召喚しつつ、語り始める。

 

 

「さすがに私に詳しいストーカーの士道くんはもうとっくの昔に察しているんだろうけど、私って奴は記憶喪失なんだよ」

「ッ!」

「私の記憶の始まりは、ほんの3か月前。酷く雨が降りしきる中、私は人気のない路地裏で、傘も差さずに座り込んでいた。この時、ずぶ濡れの私が覚えていたのは、名前が霜月砂名であることと、私が3年前に何者かに殺されたこと、そして殺された直前のおぼろげな記憶だけ。当時、私はどこかの部屋にいて、いきなり私の横腹に穴が開いて、倒れ伏す私の前に誰かがいたような気がするという、ただそれだけの記憶を抱えて、私の意識は始まったんだ」

 

 士道が『記憶喪失』というワードに目を見開く一方。砂名は目の前の湯のみを手に取り、熱々の緑茶を少し口に含んだ後、どこか虚空を見つめて、語り続ける。

 

 

「3か月前の私はそりゃもう焦ったね。なんたって自分は確かに何者かに殺されたはずなのに理由もわからずよみがえっていて。しかも、よみがえった私はなぜか、夢幻を司る天使〈夢追咎人(レミエル)〉を扱える精霊へと変貌していたんだもの。……私は自分が死んだと自覚している。人間社会は、死人が復活したケースを想定していない以上、私から人権は奪われている。死人がよみがえったとバレるのは非常にマズく、それゆえ私は人の目を避けながら行動することを強いられたんだ」

「……」

「ほんのわずかな記憶しかない私がまず最初に行ったのは、己のルーツを探ること。そのために私は生前の住所を探ることにしたんだ。私の生家さえわかれば、私の自室を調査すれば、私のルーツをたくさん調べられると思ったからだね。それに、家族にだけなら私が生き返ったことを伝えても良いんじゃないかとの考えもあった」

「……」

「幸いにも、私の〈夢追咎人(レミエル)〉は色々と融通が利く代物でね。テキトーに標的に選んだ人が眠っている時に夢の中に潜り込んで、その人の記憶を探って、霜月砂名について関係ありそうな情報を収集して。そんな活動をかれこれ2週間ほど行った結果、ついに霜月家の住所を知ることができたんだ。この時の私はかなりルンルン気分だったね。記憶を失ったことは悲しいし不安だけれど、だけど記憶を失う前の私がどんな奴だったかについて、もう興味が尽きなくて、知りたくてたまらなかったんだ」

 

 今、砂名は士道の知りたかったことを詳らかに話してくれている。士道が砂名の言葉を一言一句聞き漏らしてなるものかと真剣に傾聴する一方、砂名はお茶菓子の盛りつけられたお皿からせんべいを手に取ってパクつきながら、実に緩い雰囲気で話を続ける。

 

 

「私は日中、家族が全員出払っているタイミングで、家に侵入した。〈夢追咎人(レミエル)〉なら、己を霧に変化させて瞬間移動できる【胡蝶之夢(バタフライ)】という技も使えるから、鍵がなくても侵入はたやすかった。私は家を隈なく調べて――けれどその家から私の部屋を見つけられなかった」

「え?」

「……いや、正確には1つだけ、何もない部屋があったんだ。本当に、ただの空白の部屋。だけど完全にきれいってわけじゃなくて。よく見れば、一部の床の色が変色していたり、凹んでいたりして。まるでつい最近まで本棚や机、ベッドが置かれていたんだろうなって簡単に想像できるような、そんな空っぽな部屋だった。お父さんとお母さんの部屋はあった。妹の部屋もあった。だけど、私の部屋はなかった。……この時、この瞬間。私は改めて突きつけられたんだ。世界に、私の居場所はもうないんだって。世界は私が消え去ったことを前提に回っていて、なぜかよみがえった私の存在は、世界にとって異物でしかないんだって。……まるで足場がいきなり崩れて、為すすべもなく奈落へを堕ちていくかのような、そんな感覚だった」

 

 砂名はつい先ほどまでの緩い雰囲気から一変して、沈痛な面持ちで当時の状況を語る。士道は砂名の苦しそうな表情を見ていられなくて、何か言葉をかけたくなって、しかし砂名を元気づけられる言葉を何も思いつけず、沈黙を保つことしかできない。

 

 

「私は家から逃げて、逃げて逃げて。どことも知れぬ公園で頭を抱えてうずくまった。家族のみんなは、私の私物を処分することで、私が生きていた事実に区切りをつけて、未来を生きようとしていたわけで。何だかんだ家族なら私を待っていてくれる、受け入れてくれるって期待していた分、ショックが大きかったんだ。で、しばらくして――私は思った。私が一体、何をしたんだって。なんで私がこんな仕打ちを受けなければいけないんだって」

「……」

「何もかもがわからない。どうして私は殺されなければならなかった。どうして私は復活させられなければならなかった。どうして私は世界から居場所を奪われなければならなかった。記憶をなくした私にはわからないことばかりで、だけどこのまま何もしなければ、ただただ私は世界に消されるだけだと思った。なぜかはわからないけど私は今、ここで生きているのに、私の復活を世界になかったことにされてしまうと思った。私という存在をみんなが過去のものにして、私を完全に忘れてしまうと思った。私が世界に消されてしまうと思った」

「それで、世界への反逆か」

「そゆこと。みんなが、世界がその気なら、私は世界中の人間が私を忘れたくても忘れられないように、その脳裏に刻み込んでやる。そう思い至って、私の目標達成に必要な手段を検討して、そうして導き出したのが、ヤバい新興宗教を立ち上げて全人類を信者にして、世界を征服する方法だったということさ。世界中の人々が霜月砂名を信奉する、そんな構図を作って、私が生きているという事実を世界に否定させないために、私は〈夢追咎人(レミエル)〉を使い倒すと決めた」

「……」

「世界征服には別の目的もあった。それは、私を殺した人や私から記憶を奪った人、私を復活させた人に、私に精霊の力を授けた人等、そういった今の奇妙な私を作った連中を炙り出すという目的だよ。例えば、私を殺した人が、カルトな宗教の教祖をやっていたら『お前は俺が殺したはずなのにどうして生きているんだ!?』と混乱するだろう? 私から記憶を奪った人や私を復活させた人、私に精霊の力を授けた人だって、何か目的があって私に干渉したはずだ。けれどその目的は少なくとも、私に世界征服させることではないはずだ。ゆえに私が目的と違う暴走っぷりを披露していれば、いずれ接触してくることが想定できた。例えば、『お前の力を没収する』的なノリで、精霊の力を授けた人が現れたりとかね。私はそれも狙って世界征服を始めたんだ。だって聞きたかったからね。どうして今の私を作ったんだってさ」

「砂名さん……」

「実際、世界征服という手段を選んでよかったと思ってるよ。今日ようやく、私を殺した君を炙り出せて、私が殺された理由を知ることができたんだから。とまぁ、私が世界征服を目指す動機はこれで以上さ。これで今の私への解像度が上がってくれたのなら何よりだよ。……さて、改めて聞かせてもらうよ。私の世界征服計画に士道くんも加担してくれない?」

 

 一通りの自分語りを終えた砂名は先ほどまでの沈んだ顔つきから一転、ニンマリとした笑顔を浮かべて改めて士道を誘いかける。砂名の声色からは、『重度のストーカーの君が、愛する私の誘いを断るわけがないよね?』といった類の圧が感じられた。

 

 士道としても砂名の提案は渡りに船だった。砂名に世界征服をやめてもらおうにも、精霊の砂名とキスをして封印しようにも、砂名としばらく行動を共にして好感度を稼がないことには始まらない。そのきっかけを砂名から提示してくれた以上、士道に断る理由は存在しなかった。

 

 

「あぁもちろん。世界征服が砂名さんのためになるとわかった以上、俺も力になるよ」

「わーい、やった。まさか世界征服の最中に新規パーティメンバーの加入イベントが発生するとは、人生って奴はどこまでもわからないものだね。改めてよろしく、士道くん♩」

「こちらこそよろしく。ところで砂名さん、話は変わるけど、今から俺とデートしないか?」

「いやホントメッチャ話を変えてきたね。その心は?」

「砂名さんは今、記憶を失っている。いくら天使や霊装を使えるとはいえ、自分のことすら知らない人が世界征服なんてまず不可能だ。そうは思わないか? だから、俺とデートしよう。砂名さんについて詳しい俺が、俺に殺される前の砂名さんがどんな性格をしていたかを教えるからさ」

「……なるほど、一理ある。いいよ、デートしよう。世界征服仲間同士、親睦を深める機会としてもちょうどいいしね」

 

 士道が誘いを快諾すると砂名はさらに笑顔を輝かせて、士道が共犯者に加わってくれたことを歓迎する。と、ここで士道は砂名にデートを申し出た。砂名は士道の意図を一旦疑問視したが、士道の回答に満足し、意気揚々と椅子から立ち上がる。そして、砂名は〈夢追咎人(レミエル)〉を行使して士道の目の前に、ちょうどサイズの合いそうな上衣を召喚する。

 

 

「――おっと」

「とりあえず、着替えなよ。士道くんの体はもう完治しているようだけど、服に結構血がついたままだし。私は、血まみれの男とデートする趣味はないからさ」

「……服をくれるのはありがたいんだが、これ砂名さんの〈夢追咎人(レミエル)〉で召喚した服だよな? もしも砂名さんが召喚を解除したら?」

「私が与えた服が丸ごと消えて、裸になるね」

「そ、そっか」

「だいじょぶだいじょぶ。私はデートに誘ってくれた殿方を衆人環境で理不尽に恥をかかせたりしないから。私を信じてほしいな、ふへへ」

「……」

「本当だよ?」

「念を押されると、ますます不安になってくるんだが」

 

 血まみれで着心地の悪い今の服を敢えて着続ける理由はない。士道もまた椅子から立ち上がり、士道の着替えを見ないように砂名がクルリと背を向けた間に、速やかに着替えを開始する。その間、士道は今後の己が取るべき行動を整理することとした。

 

 この度、士道が砂名と今日早速デートを行おうと決めた理由は主に3つある。

 1つ目は、デート中であれば、どこか砂名が油断したタイミングで琴里に己の無事や現在地を連絡できるかもしれないから。

 2つ目は、記憶を失う前の砂名がどんな性格をしていたかを教えることで、砂名の世界征服への意欲を少しでも削げるかもしれないから。

 そして、3つ目は――デート中に偶然を装って砂名を、彼女の妹の霜月夢唯と出会わせることで、砂名が勘違いをしていることに気付かせることができるかもしれないから。

 

 士道は砂名が世界征服を志すきっかけの話を聞いていた時、違和感を覚えていた。砂名は、家に自分の部屋がなかったことから、家族が砂名の私物を処分することで砂名のことに区切りをつけて未来を生きようとしているのだと解釈していた。けれど士道は、昨日偶然出会った、砂名の妹の夢唯が、砂名のことに区切りをつけているようにはとても思えなかった。

 

 

――夢唯は、凄いな。

――別に、凄くなんてないのです。ボクはただ、もう取り戻せない過去にいつまでもすがりついているだけのみじめな奴でしかないのですよ。

 

 

 夢唯は砂名が亡くなってから、毎日欠かさず墓参りをしていた。3年も経っているのに砂名を殺した犯人が一向に見つからないことを悔しく感じて。段々と砂名のことを忘れて生き始める人たちのことを仕方ないと思いつつも薄情に感じて。砂名の墓参りを継続している士道と志穂のことを知って心から嬉しく感じて。そのような夢唯の言動は、砂名の私物を処分して砂名が生きていた過去に区切りをつけようとする家族像と、明らかに乖離していた。砂名の私物を処分したのはあくまで両親の独断だったのではないか。そう思えるほどに夢唯は、砂名の死から3年経過した今も、砂名に依存しているようだった。

 

 砂名が世界征服を目指した根本の原因は、家族すらも砂名を必要としていないと、砂名が思い込んでしまったことに起因する。ならば、砂名を夢唯と会わせることには絶対に意味がある。2人を会わせた結果、どちらに事態が転ぶかは未知数だが、生き返った砂名を夢唯が何の迷いなく受け入れてくれれば、砂名の世界征服の動機は消滅するはずだ。

 

 

「それじゃ早速、砂名さんの記憶復活デートを始めようか」

「お、いいね。それっぽいじゃん。ストーカーのくせにやるねぇ。そんじゃ、エスコートよろしく」

 

 決して砂名に悟られることなく、砂名を夢唯と会わせてみせる。着替えを終えた士道は内心でデートの裏目標を定めつつ、建物の出口らしき方向へと歩を進めて、砂名へと手を差し伸べる。砂名は上機嫌で士道へと手を出し、士道のリードに従って歩んでいく。

 

 

「あ、そっち出口じゃないよ?」

「え?」

「こっちこっち」

 

 なお、建物の構造を全然把握していない士道は道中、あらぬ方向へと砂名を連れて行こうとしたために、砂名から何度も指摘され、結局は建物から出るまでは逆に砂名に先導されることになってしまうのだった。

 

 




五河士道→好感度の高い精霊とキスをすることで、精霊の霊力を吸収し、封印する不思議な力を持った高校2年生。砂名の事情を知ることができた士道は、砂名にさらわれて2人きりとなった今の状況こそがチャンスと判断し、デートまでこぎつけることに成功した。
霜月砂名(さな)→かつて、記憶を失いただの志穂だった少女に『霜月』の苗字を与えた女性。享年18歳。自身を殺したストーカーだと主張する士道に忌避感は抱いていないようで、世界征服仲間に誘ったり、士道からのデートに応じたりと、割と士道に好意的。

Q.志穂ちゃんに続いて砂名さんにも記憶喪失要素を与えるとか、二番煎じでは? 恥ずかしくないんですか?
A.仕方ないでしょう!? 記憶喪失って奴は、物語を盛り上げるためにめっちゃ使いやすいファクターなんだからさぁ!


次回「記憶復活デート」


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