拝啓ドッペルゲンガー   作:feel0330

1 / 4
僕verです!


第一話 『僕』

第一話 「代行者」

 

 毎日が退屈だった。

こんな風に思ったのはたぶん、休み時間に友達と会話の話題がなくなり、することがなくなったからだと思う。

別に勉強やスポーツができないわけじゃないし、嫌いでもない。

友達は普通にいるし、家族のことも嫌いじゃない。

ただ、退屈だった。

毎日、同じ時間に起きて、同じように制服に着替えて家を出て、学校に行く。

そんな日常が退屈に思えて嫌になった。

でも学校には行かないと怒られるし、家族に顔を見せて会話を交わさないと心配されるか怒られる。

「はぁ、もう一人自分が居たらいいのに…」

不意に口から出てしまった。

「なんか言った?」

目の前にいた友達が僕の方を向いて聞いてきた。

「ううん、ただの独り言。気にしないで」

「そうか?」

友達は再び手元のスマホに視線を落とした。

キーンコーンカーンコーン

チャイムが鳴り、友達が自分の席に戻っていった。

 

            ◇◇◇

 学校が終わって、帰宅していた。

 僕は部活をやってない。

何度か友達に誘われたが、特に入りたいとも思わなかったので断った。

 気が付くと、家の前にいた。

僕は家の扉に手をかけて、扉を開いた。

ガチャ

「ただいまー」

「あ、お帰りー」

お母さんの短い返事がキッチンの方から聞こえてきた。

僕が自分の部屋に行くために階段を登り始めると

「晩ご飯出来たら呼ぶから、降りてきてよ」

また、キッチンの方から声が聞こえてきた。

「うん」

僕は短い返事で返した。

階段を登ると左手にある二つの扉の奥の扉が僕の部屋。

僕が部屋の扉を開けると、強烈な光が目に飛び込んできて、僕の視界を奪った。

次第に視界が晴れていき、部屋の中を見ると、人影があった。

さっきの光と逆光のせいもあって顔はよく見えない。

すると

「どうもこんにちは」

妙に聞き覚えのある声で、人影が声を発した。

「だれ?」

細目になりながら人影の顔を見ると

「君の分身です」

そこには、僕がいた。

理解が追いつかずもう一度、目を擦って見る。

その間に、僕の分身と言ったものはカーテンを閉じた。

何度見ても、そこには僕とよく似ている…いや、それどころか全く同じ姿をした者が立っていた。

僕がいまだ、困惑していると分身は

「もう一人自分が居たらとあなたは言いました」

分身は右手を胸に当て

「そんな真摯な願いが僕を呼んだのさ」

そりゃ、願ったとも。

願ったけど、本当に叶うなんて…。

「じゃぁ、君は僕の言うことを何でも聞いてくれるの?」

分身は微笑を浮かべながら

「はい」

「本当に、本当になんでもやってくれるの?」

「宿題、掃除、なんでもやりますよ?」

そう言うと、分身は机の上から一冊のノートを持ち、あるページを見せてきた。

そこには今日出されたばかりの宿題が終わっている状態になっていた。

分身はまた、にっこりと僕の方を見て笑った。

「ねぇ、こんなことより大事なことがあるんだよ。いいだろ?」

「ええ、やりますやります。何でもやります 。僕は君の分身です」

「今日から僕を演じてくれ!」

「わかりました」

分身はもう一度笑って答えた。

こうして僕は艱難辛苦の代行者(エージェント)を手に入れた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。