アタッカーへの対策が必要だ。現在の俺のポイントは2500ほど。ガンナーに対して勝率は8割。アタッカーに対しては3割を切るぐらいだ。
贔屓目無しに見ると、自分は近接戦のセンスが乏しい。全く向いていないわけではないが才能有る奴に勝ち切れるほどではない。あくまでも防ぐことに集中して数分持たせられれば良いところだろう。
このあたりの上達はいきなりするものでも無いので、何か工夫するしかない。
まずは他のトリガーには無い、レイガストだけの特徴を活かしてみよう。
『対戦ステージ市街地A、C級ランク戦開始』
C級ランク戦はどうやら市街地Aのマップでしか対戦できないらしい。とはいえ、開始位置はいつも違うのでマンネリ化することも無い。
今回は歩道橋の上、相手と自分は互いに端がスタート地点だ。向こうは無手なのでトリガーはスコーピオンだと推測できる。
一応、シューターの可能性もあるがアレを使うぐらいなら多くの人間は普通にガンナーになるはずだ。これはレイガストにも当てはまるが、単品の性能で上位互換が存在するトリガーは人気が無い。
この歩道橋という横幅の狭い一本道の状況は俺に有利だ。スコーピオンを持つ奴は機動力を重視した考え方をしていることが多い。しかし、ここではその機動力も生かしきれないはずだ。
ブレードモードでレイガストを展開し、相手への距離をジリジリと詰めていく。タックル戦術は今回は封印だ。
相手はこちらの様子を観察しているのか、少し重心を落として半身になっている。階段のほうに逃げる選択肢を残しつつ本筋はここで戦うつもりか。
そして互いの距離がおよそ15mになった。この距離はトリオン体では一息で詰まる。俺はレイガストを頭上に掲げるように構える。
スコーピオン相手にまともに切り結ぶなど不可能。ならば一手で決めるしかない。
「はッ」
ここで相手は勢いよく前傾姿勢で接近してきた。
上段からの振り下ろしなど横に避けてから確実に仕留めてやればいい。いくら歩道橋が狭いからといって、そんなものが当たるものか。
と、対戦相手の女は考えているのだろう。
レイガストの最大の武器は重量だ。重いがゆえに振り下ろしの勢いだけは弧月にも負けない。
こちらの間合い一歩手前、ここで女は横へ重心を傾け回避運動の予兆を見せる。これがフェイントだろうが何だろうが関係ない。
俺の策は既に成っている。紙一重で避けることが出来る、そのセンスこそが仇となる
振り下ろすと同時、その剣は刀身を横に拡張した。
ギョッと女は目を見開くが遅い。シールドモードに変形したレイガストによって相手は地に叩きつけられる。
レイガストは打撃武器として見れば、重量があるので一番強い。間違いない。
衝撃で数瞬固まった相手にブレードを振り下ろした。
今回は幸運だった。まず、歩道橋という横幅が限られている環境。そして、相手が正面から飛び込んできてくれたこと。
この二つが無いとシールドという鈍器を使った戦法は取れなかった。おそらく相手は相当な自信家だったのだろう。
レイガストの短所は重量であるが、同時に重さは衝撃を与える鈍器として使うならば長所となる。
物理的な衝撃ではトリオン体にダメージは入らない。だが、それはあくまで痛みやトリオンの流出が無いというだけだ。強い衝撃を与えてやれば、硬直したり平衡感覚が一時的に狂ったりする。これは今までのタックル戦術で確認済みだ。
「なるほど。トリオンによる衝撃……」
今日も今日とて兄貴と映画を見ながら、テキトーに話す。
「正直、レイガスト単品で勝つなら相手にあの重量を叩きつけてやるのが一番楽だな」
コーラを飲みながら、画面の中の俳優を眺める。今日はアクション映画らしい。テレビでは激しい銃撃が交わされている。
俺も使ってみたかったなぁ、銃。
「その方向性を伸ばすオプショントリガー案、鬼怒田さんに出してみるかな」
映画のガンアクションに集中してた俺は、兄貴の言葉を特に気にしなかった。
今回の相手はトリオン体のときのみバストサイズがアップするサイドエフェクトの持ち主でした。
対戦中には喋らないからね、誰だか全くわかんないね。
感想待ってる待ちまくってるよ。
そして感想書いてくれた人、ありがとう!!