俺の同期からもボチボチ、B級に昇格した隊員が出てきた。C級の中でも強い奴というのは話題になるので、互いに会話していなくても情報は多少入ってくる。
現在の俺のポイントは3600ほど。実は、一か月前からポイントは大きく変動していない。
一か月前、3500ポイントまで汗水流して上がった俺はポイントのレートに絶望していた。3000ポイント台の奴に4回勝っても、2000ポイント台の奴に1回負ければ収支は0となるような鬼畜レートに。
そこで覚悟を決めた。せめて2000ポイント台のアタッカーには勝てるようになろうと。
ランク戦ロビーのソファに座り、戦闘が映されているモニターを眺める。その中から俺は正隊員が戦っている映像を食い入るように見つめる。かれこれ数時間は色んな正隊員の戦闘を見てきたが、この戦いはレベルが違った。
片方はモジャモジャした頭の弧月使い。もう一方はスコーピオンを使っているチビ。二人の戦いはとにかく速い。今は映像で見ているから動きをなんとか追えているが、実際にあの場に立っていたら一太刀も反応できず切り捨てられるだろう。
チビが透明になるトリガーを使って背後から迫っても、持ち前の技量で致命傷を避けながら一太刀返すモジャモジャ。どうやら、今ので勝負はついたようだ。
決めた。あの人達に頼んでみよう。
「いやぁ、やっぱ風間さんと戦うのは楽しいな」
「俺はちっとも楽しくない」
二階の隣り合ったランク戦ブースからモジャモジャ男とチビが姿を見せた。彼らはそのまま雑談をしながらロビーから出て行ってしまった。
俺は目立たないように、そっと立ち上がり二人を追いかけて廊下に出た。彼らはちょうど十字路のところを右に曲がっていったので走って追いつく。
「すいません。今、御時間良いですか」
声をかけられた二人は振り返って俺を視界に入れる。
あんまり年上の人に話しかける経験が無いので少し緊張するな。
「風間さんの知り合いか?」
「いや、見覚えが無い」
「はい、初対面です。そして初対面で、こんなことを頼むのは失礼だと承知していますが、俺の師匠になってくれませんか?」
二人の反応は微妙だった。チビはこちらを見て首を傾げて何かを考えているようだ。モジャモジャ男は口を開く。
「ふ~む。なんで俺たちなんだ?」
「それは今日見てきたランク戦の中で1番強いと思ったアタッカーが貴方達だったので」
俺の言葉にモジャモジャ男はニヤリ、と笑う。
「ほう、そうかそうか。そいつは見る目があるな。お前名前は?」
「寺島照です」
「俺は太刀川慶だ」
「風間蒼也だ。君は雷蔵の弟か?」
薄々二人の様子からも感じていたが、兄貴を呼び捨てにしてるし俺より年上なのか。とりあえず敬語で接しとこう。
「はい、そうです。あの、師匠の件を引き受けていただけないでしょうか」
頭を下げて、二人にお願いする。
「あぁー、悪いが俺はパス。人に教えるのは苦手でな。風間さんは?」
「そうだな受けても良いが……。まずは寺島の実力を見せてもらいたい。今から時間は大丈夫か?」
「大丈夫ですけど……」
もしかして、これは戦う流れ?
「では、行くぞ」
そうして、俺達はランク戦ロビーに引き返した。
ルールは10本勝負。風間さんもこちらに合わせて使用トリガーはスコーピオン1本。勝敗は引き受けるかどうかに関係無いから実力を見せろ、と言われた。
『対戦ステージ市街地A、模擬戦開始』
転送が終わり、目線の先にはスコーピオンを短刀にして構えている風間さんが立っている。どうやら、先手は譲ってくれるらしい。
実力差は歴然。この状況で俺のアドバンテージは先手が与えられていること。そして10本勝負ということだ。とりあえず今自分に出来ることを全部ぶつけてみるか。
1週間で3話ぐらいをポチポチ書いていきたい(願望
風間さんってなんやかんやで面倒見良い感じある