トリガーの使い方   作:日々平穏

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対『風間』

一本目は瞬殺だった。気を抜いていたつもりは無いが、あまりにも風間さんの動きは速かった。C級ランク戦とはスピード感が違う。二本目、三本目はどうにか目で追えてはいるが反応できずに瞬殺された。四本目で初めてレイガストとスコーピオンが衝突した。とはいえ、二撃目であっさり落とされたが。

 

五、六、七、八、九とサクサク戦いは進んでいった。九本目でようやく20秒ほど堪えれたのが最高記録である。

 

しかし、ここまで来て俺は幾つかの事実に気づいた。風間さんは自らにハンデを課している、おそらく。一つはスコーピオンの変形の禁止。もう一つはトドメは必ず首を刎ねるということだ。これは六本目の段階で気づいたが、そこまで気づいても如何ともし難い力量差があることも同時に分っていた。

 

そして、今から十本目。俺の目標は30秒堪えることだ。出来れば一太刀ぐらいは入れてみたいが。

 

 

 

 

『対戦ステージ市街地A、模擬戦開始』

 

特別、おかしなことは無い住宅地に転送された。目の前にはスコーピオンを構える風間さん。

 

ブレードを普段の半分以下の短い長さで展開する。そして、幅の狭いシールドモードにする。形状は野球のバットが近い、長さはかなり短いが。

 

俺は正面から疾走する。向こうの攻撃はモーションが小さい。予備動作を一つも見逃すな、体全体を見ろ。あと一歩で互いの武器が届く距離。先手は俺に譲られているが、風間さんは常にカウンターを狙っている。

 

まずは、振り下ろし。避けられる。スコーピオンは既に首元に迫ってくる。間にレイガストを挟む、スコーピオンの斬撃は軽い。ブレードが通る位置にレイガストを置く意識で十分に防げる。

 

風間さんは斬撃を繰り出しながら、既に俺の後ろに回っている。次の刺突は首元へ。ギリギリのところで振り返りながら左腕を差し出し防ぐ。トリオンが漏れ出すが、この程度は必要経費だ。

 

三つ、四つと繰り出される斬撃を必死で防ぐ、極力、レイガストをスコーピオンに合わせることは忘れない。首以外の部分からトリオンがどんどん流れだしていく。斬撃を八つ防いだところで、ようやく勝機が見えてきた。

 

もう風間さんが手に持っているスコーピオンはボロボロだ。このまま防ぎ続ければ折れる、そして再生成する一瞬の隙をつく。そこが唯一の勝機。

 

だから、ここで風間さんは必ず離れるはずだ。無理に俺に付き合う必要はなく、距離を離してスコーピオンの再生成を図ろうとする。

 

すれ違いざまに振るわれるスコーピオン。ここだ、ここで風間さんは一旦距離を取る。この短いレイガストが届かない距離へ。

 

「ふっ!!」

 

振り向きざまに全力で踏み込んで、レイガストを長剣へ変形させ薙ぎ払った。

 

しかし、そこに風間さんの姿は無い。

 

「惜しかったが、最後の最後に大振りをせざるを得なかったのがお前の敗因だ」

 

斬撃が振るわれた場所。そこに這うように伏せていた影が跳ね上がり俺の首を刺し貫いた。

 

 

 

 

 

「いやー、惜しかったな寺島。最後は俺も見てて面白かったぞ」

 

ブースから出てくると、ロビーのソファの一角に太刀川さんが座っていた。

 

「そうですか?結局一回も風間さんに攻撃当てられなかったんですけど……」

 

「それは当たり前だな。逆に風間さんに攻撃を当てられるC級のアタッカーは今すぐB級に上がるべきってくらいだ」

 

そういうものか、と頷きながらソファに座ったところで俺の師匠候補がこちらに向かってくる。

 

「寺島、お前の師匠の件は受けられない。というかなることが出来ない」

 

「えっと。何でですか?」

 

対面のソファに腰かけて、風間さんは腕を組んだ。

 

「レイガストの使い方を教えることが出来ないからだ。ソレを使用している人間は単純に少ない、よって参考に出来るデータも限られる。人に教えるレベルのことは出来そうにない」

 

ここでもレイガストというトリガーが俺の道を阻む。

 

「では、トリオン体の動かし方とか。スコーピオンの対策とか。レイガストの関係し無いところだけでも教えてもらえないでしょうか。もちろん、風間さんの体が空いている時だけで良いのですが」

 

「そういうことなら、俺も模擬戦で良ければ相手してやるぞ。それなら弧月の対策になるだろ」

 

ありがたい、ありがたいが。今戦った風間さんより強い、太刀川さんと闘ってまともな模擬戦になるのだろうか。

 

俺が微妙な表情をしていたところで風間さんはこちらをじっと見てくる。

 

「そもそもお前は何故、自分の兄を頼らない。一番先に頼るべき相手だろう」

 

レイガストを作り、それ以前はアタッカーをしていた兄貴。たしかに俺が師事するには最適な相手だと思うが。

 

「兄貴は今、開発部で仕事をしていますし。そこで俺に何か教えるとなると、ちょっと大変だと思うんです。あまり迷惑をかけたくないというか……」

 

さすがに毎日のように残業もしているのを見ると、これ以上仕事を増やすのは気が引ける。まあ、レイガストを押し付けたのは兄貴だから教導する責任ぐらいは有るような気もするけど。

 

風間さんは、俺の返答に納得したのか小さく頷いた。

 

「そうか、分かった。防衛任務が無い時は俺が教えてやる」

 

こうして、俺に戦い方を教えてくれる人が出来た。

 

 

 

 

 




風間さんも弟なのでね、その辺は分るんじゃないですかね(適当

寺島照、まったく風間さんに歯が立たないの巻。先手を譲られ、スコーピオン変形禁止、首狙いのみという超絶ナメプでも一撃も入れられない。

アタッカー同士がブレードだけで戦えば、実力差が一番出ると思います。葦原先生の言葉を借りれば勝敗を左右する要因が少ないですからね。

感想待ってます。なんか間違ってたりしてるところ指摘するとかでも構わないですー
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