「当たらないな」
目の前にあるのは人の形をした的。ところどころ損傷しているが、頭部や胸部への被弾は少ない。
兄貴から受け取ったトリガーを使ってハンドガンの練習をしていたが、これが俺の想像より難しい。ハンドガンは悪くないのだ。きちんと静止して狙えば、狙った場所に当たる。しかし、そこから実戦を意識して走ったりジャンプしたりして撃つと途端に当たらない。
これはハウンド使う人間の気持ちも分かるな……。
『どうだー。ハンドガンに何か気になるところとかある?』
「いや、大丈夫。トリガーに問題は無いと思う」
訓練室の様子をモニターしている兄貴が何も言ってこないところからすると、最初はこんなものなのか。シールド、バッグワームのテストは既に終えているので、このままハンドガンの練習したいな……。
『そうか。じゃあ最後に一つ、試してほしいトリガーがある。レイガストを構えて、スラスターオンと言ってみて』
「試してほしいって……。また勝手にトリガーの内容変えたのか」
『今回のはオプショントリガーだから大丈夫大丈夫』
溜息を一つ吐く。仕方が無い、使ってみるか。腰のホルダーからレイガストを抜き、左手に構える。
「スラスターオン」
兄貴が言った文言をそのまま口にした時には、俺の体は勢いよく前のめりに倒れて床を数メートル引きずられた。
『あぁ、まあそうなっちゃうか……。一応説明すると、そのスラスターはレイガストから推進力を発生させるトリガーなんだ』
「おい」
『ん?』
「今から殴りに行くから、そこで待ってろ」
兄貴となんやかんや揉めたが、一応スラスターは入れたままにしておいた。スラスターに罪は無いのだ。ただ、まだ試作段階で出力や噴出時間を調整したりとかは出来ないらしい。用途としては主に間合いを詰めることに使う感じだな。
訓練室から出てきたし、とりあえずハンドガンとスラスターの慣らしでランク戦やってみるか。
C級ランク戦のロビーに正隊員の練習相手を探しに来ると、ちょうどよくモニターで映されている一組の十本勝負が終わるところだった。
モニターに表示されている名前は米屋と三輪だ。米屋は俺と同時期に入隊して一週間ぐらいで昇格していた奴。一か月ぐらい前から槍型の弧月を使用しているのをよく見る。それと、こんな情報が自然と手に入るぐらい米谷はランク戦をやっている。ランク戦中毒者だ。
三輪のほうは、あまり知らない。目つきが怖い人だな。
「いやー、やっぱレッドバレットって厄介だな。近距離で銃向けられたら咄嗟にシールド貼っちまう」
「陽介は反応が良いだけに、何となくで戦い過ぎだ。もっと頭を使え」
二人はブースから出てきて、俺の隣のソファーに座って感想を言い合い始めた。
「って言ってもな。俺に出来ることは近づいて首切るだけだぜ。オレが考えるべきことはこれだけだろ」
「だとしてもだ。お前の攻撃は鋭いが、いささか単調に過ぎる」
「秀次だって―――」
二人の話に耳を傾けながら、チラチラと二人の様子を伺っていると米屋と目が合った。
「ん、なんか用?」
米屋がこちらに話しかけてくると三輪も会話を打ち切りこちらに目を向けてきた。
「見ない顔だな。正隊員のようだが、どうかしたか」
「その、ランク戦の相手を探していて……。二人に頼めないかなぁっと思ってたんですけど」
「いいぜ!まだやり足りないと思ってたところだったし。えぇーっとオマエ、名前は?」
今、十本勝負やってたのにまだ足りないのか……。
「寺島照です」
「オレは米屋陽介」
「三輪修二だ」
三人の自己紹介が終わったところで、さっと米屋は立ち上がった。
「じゃ、さっそくやるか。オレはそこの112に入るから」
後ろを振り返ると、ちょうど真後ろのところが112号室だった。
「分かりました。俺は隣の113に入ります」
しかし話が早い。どんだけ戦いたいんだコイツ。
戦闘も入れようか悩んだけど、次話にします。
スラスターはまだ試作段階ですね。村上がよくやるシールドバッシュみたいなことは出来ないです。修が風間にやってたシールドチャージとか移動にしか使えない感じ。
弧月(改):槍はたぶんこれぐらいの段階でチーフエンジニアと作ってたでしょ(憶測
幻踊はおそらくA級入ってからなので、この段階ではまだ持ってないです。
BBFとかいう優秀過ぎる設定集