結構マジでやばイッセー 作:も ず く
夕暮れの街中、人気のない道に2人の男女がいた。
1人は金髪をツインテールにした背の低い少女、もう1人は背の高い茶髪の男である。
向かい合う2人、不意に少女が口を開く。
「ねえ、イッセーさん」
イッセー、と呼ばれた茶髪の男は特に返事も返さずに少女を注視している。
「死んでくださいっス」
事も無げに言い放った金髪の少女が、突如として紫に輝く光の槍を作り出し男へ投擲する。
男はというと大して驚く様子も無く、むしろその顔に笑みを浮かべていた。
ギャリィン!!
男と少女の間に現れた赤い魔法陣が光の槍を防ぎ、槍は霧散する。
「なっ!? 結界!?」
驚きつつも男を仕留めんと2本目の槍を作り出す少女だが、ピタリとその動きが止まり未熟な光の槍は消滅した。
見れば、彼女の体を貫くように先程と同じ赤の魔法陣が出現している。
必死に身動きを取ろうとする少女だが、頭頂部から爪先まで余すところなくピクリとも動かない。
声も発せず、内臓の機能まで停止しているのか胸が痛み息が苦しい。
「おっと、やっぱり加減が難しい」
男は絶望の中にある少女へ向け、微笑みながらフィンガースナップをする。
「ッ!? ハッ、ハァ……! ハァ……!」
パチンという音と共に少女の頭と内臓だけが動き始め、一先ず生命の危機からは脱した少女が乱れた呼吸で深く息を吸い、吐く。
男はその様子を満足気に眺め、槍を作るために持ち上げられていた彼女の右手の指を掴む。
彼はその手に掴んだ小さな指を見つめ、さらに笑みを深める。
「うん、綺麗な指だ…… まるで南国の砂浜や陶磁器のように美しい……」
「なっ、何をする気で……」
パキ、軽い音が鳴る。
それに少し遅れ、少女の絶叫が響く。
「さて、質問の時間だ。 君の名前と種族は?」
「あ、あんたっ! 何をしてるっスか!? 私が誰だと思って……!」
「ごめん、そういうちっぽけなプライドは嫌いじゃないけど…… 今はいらないかな?」
パキ、今度は小指に続き薬指である。
本来曲がる方向とは真逆に強引に曲げられた少女の指からは、その肌と同じように白い骨と綺麗な赤の血液が流れていた。
「アガァァァァッ!? わ、わかりましたっス! 話します、話しますから折らないでくださいっス! 私は堕天使のミッテルトっス!」
「OK、ミッテルトちゃんね? あ、一応言っておくと君の使ってる
人払いの術、俺が乗っ取って強化もしてるからどれだけ騒いでも人は来ないからね。 じゃ、次。 何で俺を狙ったの?」
「あ、あなたが持ってる
へぇ、と呟いた男は数秒後に表情を変えてミッテルトに問い掛ける。
「あれ、てことは俺の兄貴も襲われてる?」
「は、はいっス。 私達のリーダーのレイナーレ様が……」
「お、マジ!? やるじゃん! あいつ死ぬかなぁ? やあ、ほんとありがとうね!」
自分の兄が命を狙われ、そして今まさに死んでいるかも知れないというのに男は爽快な笑顔を見せてミッテルトの肩を叩く。
「はい、じゃあ終わり!」
男が再びフィンガースナップをすると、ミッテルトの動きを止めていた魔法陣が消えた。
その場に倒れ込んだミッテルトに対し、男は地面に膝をつき再び右手をとる。
「ひっ……」
「
男が唱えるとミッテルトの指のすぐ上に緑色の魔法陣が出現し、同色の光を漏らす。 その光に当てられたミッテルトの小指と薬指は何も無かったかのように再生していた。
「ち、治癒魔法!? 上級の魔法使いしか使えないのに!? あ、あなた本当に何者っスか!?」
「ただの高2男子だよ…… うん、気分が良いからご飯食べに行こうか! 奢ったげる!」
満面の笑み浮かべた男は携帯を取り出し、母親へ電話をかける。 程なくして通話が始まった。
「あ、お母さん? イッセーだけど、今日彼女と一緒に夕飯食べるから俺の分無しで! ごめんね、ありがとうね! うん、12時までには帰るから! じゃあね!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいっス!? いきなりご飯なんていわれても…… そもそも、私はあなたを殺すために……」
「えー? 昼は一緒に食べたじゃん。 それに俺は今死んでないし」
「そ、それは……」
「じゃ、行こうか! イタリアンで良い?」
男は半ば強制的にミッテルトを引きずっていった。