昼休み開始から十秒で、少年と少女の声が廊下に響き渡る。
「んのクソボケがぁぁぁっ!!」
「だっはっはっはっ。寝てる方が悪ぃのよ!」
全力疾走する少女と、それを追う少年。過ぎ去った後にはほんの少しの風が舞っていた。
「寝てる間に弁当を全部食う奴がパーヒャクで悪いに決まってんだろ!?」
「だってそこに弁当があったから」
「鞄の一番下に入れてたわ! ってか、弁当が目の前にあったとしても食うなよ!? 登山家か!?」
以上が、東校舎二階、二年一組の教室から中校舎を挟んで西校舎一階の食堂に辿り着くまでのやりとり。階段含め、距離にして約百メートル。会話も疾走も超速である。
そんな超速の一幕の間に通った教室や職員室、はたまたすれ違った人々に呆れはあれども驚きの表情が少なかったのは、これが日常だからだ。
教師も生徒も、はたまた学校周辺にいる人々も、小さく溜息を漏らしてこう言うのだ。
「また
今日も今日とて、彼らは騒がしい。
「亨と耀について教えて欲しい? くくっ、まぁ、そりゃ気になるわな、転校生。それもあいつらについて何の前情報もないとなると尚更か?」
「まぁ、そんなところです。お二人の名前とお姿はよく見ますが、結局彼らが一体何者なのかはあんまり分かりません。話しかけようにも休み時間は何かしらしてますし」
放課後、二年一組の教室。染めた金髪と地毛の金髪の二人が誰もいなくなった教室で話をしていた。着慣れた制服と着られている感ありありの制服。地毛金髪、幼顔の問いに染めた金髪の少年が答える。
窓から入る陽の光は透明で夕暮れには程遠く、運動部のまだまだ体力の有り余った掛け声がグラウンドから聞こえてくる。
「んー、アイツら、なぁ……。まぁ、いい奴だぜ。頭も運動神経もいい。けど、一緒にいると心臓に悪い」
「まぁ、確かに賑やかな方だなぁとはボクも思います」
爆発音がしたと思えば耀が教室の扉を勢い良く開けた音だったり、銃声が聞こえたと思えば彼ら二人がハイタッチをした音だったり。毎日、誰かの心拍数を上げていることは確かだ。転校してきたばかりの彼もまた、驚くことは多い。
日々彼らが強く開けるせいか、扉の両縁はかなりすり減ってしまっている。
「……そう言えば、放課後はいつも静かですよね。彼らなら、放課後も学校を賑やかにしてくれそうなものですが」
「騒がしい、でいいんだよ。ああいうのは。まぁ、そりゃ、放課後は静かだろうぜ、何せアイツら、――――だからな」
「なるほど、そういうことでしたか」
得心の言った様子で頷いて、それで副題は終わりだ。
「……さて、それでは『本題』の方を始めましょうか、
「そうだな、ローズ。例の依頼だが」
今日も今日とて、金髪達は静かに事を運んでいく。
とりあえず、月一で書くつもりで頑張ろう。
染めた金髪くんの名前間違えてた(笑