「あはははっ!」
「あ? どうした耀、病気か? いや、病気は元から――ぐはっ!?」
「ぶっ飛ばすわよ、享」
「ぶっ飛ばしてんじゃねぇか! ったく……、で、何だ?」
「いんや、ちょっとね。雅が私達に変な期待をしてくれてね」
言って耀は自分の頭をトントンと指差す。意図を理解し、そして同じように享も笑いだした。
「……。くはっ! なるほどな、そりゃ、笑わずにはいられねぇな。悪かったよ、耀」
「でしょ、最高だよね」
くくっ、はははっ、と享も耀も笑う。笑いながら――敵を屠っていた。
「ッ!! 貴様ら、何者だ!」
「何者だぁ? お前らが殺そうとした雅のお友達だよ。まぁ、アイツはどう思ってるのか知らねぇけどな」
言いながら享は、刀をぶんっ、と振る。同時に周囲一体に強烈な風が巻き起こり、そしてその風が目の前の人間を切り裂いた。
「そーそ。私達は、ただ、お友達の意趣返しに来ただけ。まぁ、別に被害を被った訳じゃないんだけどね、私達も、雅もね。むしろ、被害を受けたのはそちら――
あははは! と笑みを見せながら耀は、襲って来る低級の怪異の存在を、無かったことにする。
「「まぁ、つまりはタダの暇潰しさ。黙ってやられてろ」」
そう、暇潰しだ。いや、暇潰しの為の余興に過ぎない。
享と耀の暇というのは、享と耀の行動によって潰れることはない。彼らにとっての暇潰しとは、他人の行動を知ることだ。この先に起こるであろう、予め決まっている未来を覆すという、人間誰しもが持つ
そして、それ故に二人は追い込む。片方、それも不利であると判断した側の陣営を。徹底的に。
享と耀は、
但し、たった一つ、土御門家側ですら禁忌とされている一つの方法だけを残して。
つまり、
「さぁ、お前達には、
「あれを使わなければ、お前達の栄光は、ここで途絶えることになる。お前達がただの捨て駒にしか思っていなかった少女、土御門晴香の逆襲によって、今度はお前達が生贄に成り下がる。お前達には、もう手はない。選べ。九尾の狐を――玉藻前の解放を。お前達はそれを選ばなければならない。それが、西洋魔術師最強の人間、西条雅を敵に回すという選択の対価だ」