SAO フェイタルバレット 現実世界編   作:玄神

4 / 5
003 いたずらごころの後

■25.5話 いたずらごころの後

 

ピッ、ガシャンッ

 

オフィスの休憩所にある自販機で買ったブラックコーヒーを片手に、窓から外を眺める、伊月。

「先輩も休憩ですか。」

声をかけられ、振り向くと、『鈴木』と書かれた社員証を首から下げる男性が立っていた。

「今来たところだよ。鈴木君は午後から外かい?」

「ええ。部長と打ち合わせに行くんですよ。」

いつもと変わらない、仕事の話をする。

 

「そういえば、先輩…」

鈴木と呼ばれてる男が小声で、伊月に話し出す。

「この前の休みの日、先輩を見かけましたよー。可愛い彼女さんと一緒でしたよね!」

「気付いたなら、声かけてくれてよかったのに。」

「さすがにデートの邪魔は出来ないっすよ。さすが伊月先輩ですよねー!年下の彼女さんいて羨ましいですよ。」

「ああ、ごめんね。鈴木君の言っている女性は彼女じゃないよ。」

「まじっすか。じゃあ今度、良かったら紹介してくださいよ!」

 

どこまで本気で言っているか分からないが、伊月の目が少し鋭くなった。

「ははっ、機会があれば。それより、君の提出した請求書の額がまた間違っていたよ。」

「うわっ、すみません…。すぐ直して再提出します!」

「部長にどやされる前にお願いね。」

男が去って、伊月はまた外を眺める。

 

ーーー彼女を他の男に紹介なんて、しないよ。

 

伊月は昨日の事を思い出す。

GGO内でイツキがシロにとってしまった行動を。

 

カフスを彼女に付けてあげて、顔を見ると気まずそうにしていた。

何となく、額に触れる位の口づけをした。

 

誰よりもそんな行動をとった自分が驚いたのだ。

「そんな表情をしてると、もっとイタズラしたくなるな…なーんてね。」

気付かれない為に咄嗟に出た、言葉。

 

結果的に、彼女の怒りをくらう形になってしまったが。

それはたいして問題ではない。

何より不味いのはツェリスカ達にこの光景を見られていた、ことだ。

 

人前で自分の感情をさらけ出すなんて、ほとんど無かった。

特にGGO内では、近寄る人間にはうまく嘘の情報を混ぜて、楽しく遊んでいた…つもりだった。

どうも最近の自分は調子が狂うな…と考えている伊月の携帯が震える。

 

『神谷 ましろ』とディスプレイが表示され、メール画面に切り替わる。

 

「昨日のことで、沢山言いたいことがあるので時間をください。」

と書かれていた。

 

伊月は嬉しい気持ちを抑えて、会える日時を添えて

「君にはまだ伝えてなかった事もあるから、ちょうど良かった。」

という内容の返事を送った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。