勝利者インタビュー 久遠帝選手(総合27位 他、フリー、KC、I2)
― グッドゲームでした
「ありがとうございます。」
― 今日の相手はいかがでしたか
「マティマティカ選手は非常に硬い相手でした。かとおもいきや《測量戦士トランシッター》で直接攻撃を狙ってくるので油断なりませんでしたね」
― 3年目に入っていろんな記録が見えてくると思いますが、いかがですか
「あまり自分の記録は気にしていません。振り返ったら何か記録が残ってるくらいがいいですね」
― そういえば、デュエルアカデミアに進学されたそうですね
「えーっと……。僕その話しましたっけ?」
― アカデミアから発表されておりましたが
「ああ、そっちでしたか。すみません、失念していました。ええ、今年からアカデミアに通わせていただいています」
― 学生生活はいかがですか
「始まったばかりですよ(笑いながら)。でも、歓迎会で一部の先輩達や同級生たちのデュエルを見させてもらってワクワクしました」
― 敵なしでしょう
「いえいえ、プロの試合と同じ緊張感をもって挑まないとすぐやられてしまいますよ」
― またまた(笑いながら)
「本当ですよ。アカデミアの代表戦は試合によってはプロと遜色ないです。その辺はいずれお見せできたらいいですね。まずは代表にならないとですが。」
― 頑張ってください。
「ありがとうございます。それでは」
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試合を終え、アカデミアに戻る道中、久遠は海馬社長に電話で話しかけていた。
「お疲れ様です。ええ、今日も勝ちました」
『ふぅん、勝って当然だ。』
当たり障りのない報告を終え、本題の久遠帝のアカデミア入学へと移る。
「ところで、俺のアカデミア入学の話、公開したんですか?聞いていないんですが」
『公開するかどうかは元々考えていたがな。結果的にアカデミアの益になると思い承認した』
「承認したって…アカデミア側からの打診なんですか?」
『そうだ』
「それは……誰から?」
久遠として、予想はついている。
故に、これはただの確認。
『校長の
「やっぱりですか……」
『何か思うところでもあるのか?』
「確証はまだないですが……ちょっときな臭いところがあります」
『素性は確かだぞ。比較的若いし、任期も浅いが、アメリカ・アカデミアの校長からの推薦だ』
「そうですか……。今のところ実害はないのでいいですが、気になることができたらまた報告します」
『そうしろ。他に報告は?』
「特にはないです」
『そうか、ではな』
「ええ」
通信が切れる。
何かが起ころうとしている。
今はまだ、かすかに感じる程度。
それでも、何かが……。
そんなことを考えていると、アカデミアについたようだ。
いつも送迎をしてくれるKC社の運転手に礼をいい、自分の寮に戻る。
中等部は高等部と同じく階級別の寮制度がある。
アカデミアの規模が高等部と比較して小さいため、建屋こそ男子寮と女子寮にのみ分かれているが、その中で、階層ごとに設備のランクが異なる。
全9階の建物の1Fを共用スペースに、2F~4FをZ組、5F~8FをY組、9FをX組という割り当てとなっている。
Y組、Z組の生徒比率はほぼ同じため、待遇としては1階層分多く割り当てられているY組の方が待遇が良い。
そして、3学年合わせて10人しかいないX組は1階層とはいえ、Y組と比較しても十分に豪華なものとなっている。
久遠が割り当てられた部屋は、その最上階の一角。
入学時に最低限の荷物をもちこんだだけの部屋の入口に、段ボールが置かれていた。
差出人は、アカデミア厚生課。
校長が言っていた制服が届いたらしい。
部屋に持ち込み、段ボールを開く。
X組の青とも、Y組の赤とも、Z組の黄色とも異なる、黒の制服。
全身の所々に銀色のラインが入った制服は
「(まるで拘束具だな……これは……)」
久遠にそう思わせるだけの意匠をしていた。
『番外』という名の檻、それを久遠に実感させるだけの意匠を。
今更ながらに、自分が何をしたのかを改めて思い知る。
結局、久遠はあの時から何も変わっていなかった。
あの時、自分の居場所を無くした時から。
それが良いことか、悪いことかはわからないままに。
久遠は静かに、眠りに付いた。
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楓は、久遠を探していた。
新入生歓迎会から2日、休みを挟んでいたとはいえ、あれから一度も話をすることができていない。
久遠にははプロの試合があったことは知っていたので、下手に会いに行くこともできず、結果として、授業は始まる今日に至ってしまっていた。
非常に早く目が覚めた。
ゆっくりと朝食をとり、しっかりと準備を済ませ、のんびりと登校しても十分に間に合うほどに。
しかし、楓は遅刻寸前の生徒のごとく、手早く準備を済ませて女子寮を飛び出た。
向かう先は男子寮。
しかし、男子寮の前で待つことも考えたが、人目が気になるので3分も待っていることができなかった。
はやる気持ちはあるものの、教室で待っていれば会えるかと思い移動してみれば、かなり早く教室に着いてしまった。
こういう風に時間を持て余してしまった時は、雑誌の詰めデュエルを解くことが多い。今日もそれにならって雑誌を開いてみたはいいものの、全く内容が頭に入ってこない。焦る気持ちと、不安な気持ちがそうさせるのだとわかっていても、それをどうにもすることができなかった。
何故、久遠は久遠帝になってあの場に立ったのだろうか。
楓の疑問はその一点に尽きていた。
1年生が3年生に勝てないことなんて別に不思議なことではない。
歓迎会とはいえ、先輩たちは真剣にデュエルを行い、結果として楓たちは負けた。
それだけのことで、別に不思議なことはない。
あの場で、久遠が、ましてや久遠帝が3年生に突っかかっていく道理はない。
しかも結果的に、それによって久遠は正体を明かすことになってしまう。
入学試験の時、海馬社長に正体をばらされた時の反応からして、久遠は久遠帝であることを公言することに軽い拒否反応を示している。
それはあの時の、4年前の傷跡なのだろうと楓は思う。
考えがぐるぐると回っていくうちに、授業の時間が近づいてきたらしい。
徐々にではあるが、生徒が教室に入ってきた。
もう頭に入ってこない雑誌を開いても意味はないだろうと、カバンの中にしまう。
しかしながら、そのタイミングで、周囲の喧騒が音色を変える。
ただ、煩雑でしかなかったざわめきが、波紋の広がりのように整然と広がっていく。
――久遠が来た
ある種の確信。そしてそれを疑う理由はない。
そうして、楓が入口へと目を向けると。
そこには黒衣を纏った幼馴染。
アカデミアの制服である赤でもなく、黄色でもなく、先日まで着ていた青の制服ですらなく。
この学園内で唯一、黒の制服を纏うことを義務付けられた少年が、静かに教室に入ってくる。
その姿は、まるで銀の鎖で縛られた怪物のようにも見えてしまう。
他の学生たちは近づくこともしない。
ただ、どのように接すればよいのかもわからないままに、鷹城久遠が道を歩くのをそのままにしている。
当の久遠は、しかしそれを気にするそぶりも見せず、だたただマイペースに通路を歩いて行く。
そうして、楓の前に立った久遠は、当たり前のように。
「や、おはよ。楓」
これまでと同じように挨拶をしてきた。
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一晩眠ってみれば、久遠としては諦めがついた。
元々、特待生としての入学である程度注目されることは解りきっていた。
それがちょっとだけ変化してしまっただけのことである。
実際には変化は「ちょっとしただけ」で済まないことは頭では解りきっているのだが、それでもそう思うことにした。
そもそも、先日の歓迎会で偉そうにも亮や吹雪、優介に駄目出ししたのは何だったのか。
―『誰にでも公平に、特別視しない、壁を作らない。』
そんなことを言っていたではないか。
ならばこそ、自分で勝手に壁を作ってどうするというのだ。
―『心がけですよ。少しずつ、少しずつでいいんです』
そう、心がけなのだ。今は目に見えて解りやすい壁があるから多少は仕方ない。
少しずつ、少しずつ壁を削っていこう。全ては、そこからだ。
― さて、楽しい学園生活のスタートだ
そう、思ってさえいれば、きっと学園生活は楽しくなる。
そう、信じよう。
だから朝起きて、食堂で普通どおりに食事をした。
隣の席の奴に、話しかけてみた。
普通どおりに学園に行く準備をし、普通どおりに登校した。
楓に会ったので普通に挨拶し、自分の席に着いた
そうして、鷹城久遠の学生生活は始まる。
デュエルモンスターズの専門学校ということもあり、アカデミアでは中等部とはいえ1日に1度はデュエルに関する授業がある。
上期は座学が中心となるという話であったが、入学生の実技のレベルを見るために、初日の今日は実技が組まれることになった。
教師に指名された生徒が2人ずつ出て、デュエルを行う。
空き時間となった生徒たちはそれぞれデッキを組んだり戦術相談を行うことが許されている。
一番最初に呼ばれた楓は、赤の男子を後攻1ターンで仕留めていた。
相手の顔が軽く引きつっていたのは見間違いだと信じたい。
明日香や万丈目も、同学年の中では敵なしといった様子で危なげなく勝利していた、
その他のデュエルはというと。
「《フレイム・ヴァイパー》召喚、さらに装備魔法《サラマンドラ》で攻撃力700アップ…あれ?」
「攻撃力上がらないな…ラッキー。」
というプレイングや、
「《メタモルポッド》を攻撃表示で召喚!」
という目的がわからないプレイングをしている連中がいた。この辺のプレイングを見ていた際にはさすがに教員も苦笑いしていた。色々採点表にメモを取っていたので、彼らには何らかの補習が言い渡されるのだろう。
ちなみに、炎属性の攻撃力を700ポイントあげる《サラマンドラ》が《フレイム・ヴァイパー》に効かなかったのは、《フレイム・ヴァイパー》が炎族・地属性であるためである。
テキストをもっと読むべきである。
というか、何故その組み合わせでデッキに入れた。
戦術家の学年主席が教師だったらこの生徒たちは正座の上3時間は説教されていたかもしれない。
そんな感じの授業生活も一日の半分を回り、昼休み。
既に歓迎会であらかたのグループ分けができていたようで、それぞれのグループごとに分かれて食堂へ移動していく。
万丈目も取り巻きを引き連れて出て行ったし、楓や明日香も歓迎会の時に談笑していた茶色の短髪の女子や黒い長髪の女子らと集まっていた。
「(完全に乗り遅れたなぁ)」
そう思わずにはいられない。
ただ、これは久遠が久遠帝であることを明かしたこととは何一つ関係がない。
単純に先の歓迎会で友達を作らなかった久遠自身が悪いのである。
元々あまり積極的ではないほうだというのもあるし、仕事柄同年代があまりおらず、一人でいることに苦を感じていなかったというのも理由である。
歓迎会以降に人が近づいてこないのは、今の黒い制服によるところがあるのだが。
それ故、歓迎会で絡んできたY組生徒もあれ以降話しかけてくることはなかった。
「(ま、仕方ない。その内どうにかなるだろう)」
実際は問題の先送りに過ぎないが、それも考えないようにする。
何か食べ物を手に入れてどこかで食べるか……と思い、移動しようとすると
「失礼いたします。鷹城様はいらっしゃいますでしょうか……あら?」
教室の前で見知った顔に偶然出くわす。
2年生の特待生にして、歓迎会で出会った先輩の一人である。
先の歓迎会では明日香を一蹴するほどの実力を持っていた。
ちょうど、久遠に用事があったらしい。
しかし、上級生の中でこの先輩とだけは久遠は戦っていないのだが、何用だろうか。
「えーと、紬先輩でしたっけ」
「はい、紬紫と申します。紫とお呼び下さい。それで、鷹城様」
「はい?」
「突然にて申し訳ありませんが、私とお付き合いいただけますか?」
教室中が一気にざわめく。
入学2日目も終わらないうちから、とてつもない爆弾を落とされた。
フリーズした頭が再起動し、そのことに気付いたときには既に教室は大騒ぎになっていた。
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「あっはっはっはっはっは、そりゃあ勘違いもされるよ、私『と』なんて言われたら」
「お、お姉ちゃん、笑ったら悪いってば……」
「も、申し訳ありません……。私としたことが、思った以上に舞い上がってしまったみたいで」
「しかし鷹城君も災難だね。午後の授業大丈夫?」
「そう思ったんなら、呼び出す場所とかあったでしょう」
「やー、歓迎会では完膚なきまでにやられたからね、これで1勝1敗だ。」
場所を移して中庭、紫を連れて逃げるように教室を飛び出して行ったあと、行き先として彼女が示したのがここだった。
到着してみると、そこにいたのは石原姉妹。
話を聞いてみると石原姉妹の姉の方が久遠を呼んでくるように紫に頼んだらしい。
この人の面白いことが大好きそうな性格から考えて、さっきの告白まがいのセリフもこの人が言うように仕向けたのかと一瞬疑ったが、どうもこちらに関しては彼女は関与していないらしい。
天然さんの厄介さを改めて思い知る久遠であった。
「で、告白を受けた鷹城君としてはどう回答するんだい?」
「間違いだったんでしょ?石原先輩……。どーもこーもないです」
「ああ、法子でいいよ。妹も同学年だから紛らわしいっしょ、妹の方もも周子でいいし」
「あ、わかりました。それじゃあ俺の方も好きに呼んでください」
「あいよ、で、久遠くん。どうするの?」
「2週目!?結構粘りますね」
「そりゃねぇ……後ろでワクワクしたりイライラしてる人がいるのを見たら言いたくなるよ」
そう言われて、後ろを振り返ってみると、楓、明日香と先ほどそこにいた友人2名
どうもついてきたらしい。
というか、今に至るまで気づかないとか、自分もちょっと混乱していたらしい。
「楓、明日香……と……ごめん、初対面だよね?」
「はじめまして、久遠……じゃなくて鷹城さん。枕田ジュンコです」
「浜口ももえといいますわ」
「始めまして。鷹城久遠です。あ、別に敬語じゃなくていいよ。同級生なんだし。」
「でも……プロの方なのでは?」
「それに3年生に勝つくらい強いし」
「別にもう働いてるってだけだよ。楓たちだって普通に話しかけてくれてる。ま、強制はしないけど」
「解ったわ。……でも、なんか特待生っぽくないわねえ」
「もう一人の殿方は『さん』づけで呼ぶように回りの方に命じてましたわ」
久遠帝であることを公開するとこれを毎回しなくてはならないのか?と若干うんざりし。
「話が脱線した。で、楓。どうしたの?」
「えっと……いきなり告白されて、出て行ったから……」
「気になって追ってきたと」
コクリとうなずく。
「ほら見てください。こういうことになってしまうじゃないですか」
「あはははは。相当なインパクトだったんだね」
「ま、それはさておき、本題に移ってもいいかな?」
「ええ、構いませんよ。悪いな楓、明日香、枕田に浜口。こういうことだから関係なかったみたい」
「あ、そこの4人は残っててよ。実は天上院さんと神倉さんは誘おうと思ってたから」
「誘う……ですか?」
首をかしげる明日香。
完全に巻き込まれただけでついてきたと思いきや、自分も話題の中に入っていたことに驚いていたようだ。
「話っていうのはね、久遠くん。勉強会を開かない?ってことなんだ。」
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石原姉……法子の話はこうだった。
アカデミア中等部において、学年の壁は非常に大きい。
それは久遠が感じた学年の階級制度もなくはないが、単純な実力としての面でもである。
あの三王ですら、2年時点では上級生のX組にはなかなか歯が立たなかったと聞く。
ちなみに、三王とは、『皇帝』『吹雪王子』『教皇』の3名のことを指すらしい。
そこに現れたのが、プロデュエリスト久遠帝こと、鷹城久遠である。
3年生戦の1対3バトルロイヤルにばかり目が行きがちだが、2年生戦のタッグで、神倉楓と組んだ彼は久遠帝のカードプールなしに、2年生のX組の石原姉妹を撃破している。
つまりは単純なデュエルの技量でも鷹城久遠は既に上級生を凌駕している可能性が高いということ。
それ故に、石原法子は一つの要望を久遠に伝える。
「アタシ達は、もっと強くなりたいんだ。でも今のアカデミアの授業を漫然と受けるだけでは多分限界があると思う。でも、これまではどうすればいいかわからなかったけど、実践的な技能を得られるチャンスだと思うんだ」
「……はい」
「だから、勉強会を開かせてほしい、そして、私たちに色々教えてほしい。もちろん、私たちも君に教えられることがあったら色々教える。平等かはわからないけど、そこはギブアンドテイクだと思うから。」
「うーん……」
「その顔は、何か引っかかる部分がある顔だね」
「今のアカデミアの体質から言って、そういう活動を開くのはちょっと気がひけます。」
「ああ、階級制度の確保ってやつだね」
「ん?その話はどこで?」
3年生以外にその話はしていないはずだ。
「心配しなくても、この話は三王に相談したうえで持ちかけてるよ」
「は?」
「だから、この話は既に丸藤先輩、天上院先輩、藤原先輩には相談済み。ついでに言えば、鷹城君が加わることに同意してくれた時点で、彼らも加わってくれると約束してくれている」
「え…なんでですか?」
「先輩たちも君に負けて思うところがあったんだろうね。久遠帝からデュエルで盗めることがあるのなら、これとないチャンスだってさ」
「うーん……」
考える。
どうすればいいのかを。
何をするのが全体としてプラスになるのかを。
3年生の特待生が参加し、2年生の特待生も参加し、1年生の2人も声をかけられようとしている。
つまり、学年の枠を超えた活動であることは問題なし。
目的もデュエルの実力向上を目指すもので、その意思を突き詰めれば今の階級第一の理念を壊して行く一因にはなりえる。
これも問題なし。
後の懸念はといえば、今この話に乗っているのが、今の時点で特待生のみであうこと
そして、組織が今のアカデミアと同じように歪んでいかないかということ。
それを回避するための方策を今考えられる範囲で示す必要がある。
「条件付きですが、それでも良ければ」
「条件次第ですが、言ってもらえる?」
「条件は3つです。まず1つは、勉強会の開示範囲を特待生のみに絞らないこと。今の時点で賛同してるのが2年と3年の特待生のみになっていますので、それに限定する活動だと不公平だと思います。」
「そこは大丈夫、正式に動くことになったらきちんと公開して参加者を募る予定よ。」
「もうひとつは、勉強会の組織決定権を公平にすることです。」
「公平っていうと難しいね。案はあるの?」
「各学年、各組から代表者を1名選出して定期的に運営方針を決めればいいんじゃないでしょうか。」
「なるほど、まずはそういう形からでもいいね。」
「最後は、3年の誰かに組織代表をやってもらいたいです。俺が先頭に立つと色々まずいこともあるので。」
「うん、それはいいだろうね」
「ただし、この代表に関しては運営方針の会議に出席する権利はありますが、決定権はなくします。パワーバランスが崩れるので。俺に関しては……参加権も決定権も別に要りません」
「何か話聞くと条件というより組織方針を決めるだけってきがするけど。」
「まあ個人的な要望は別にないです。みんな公平に強くなるチャンスと思えば協力したいと思いますし」
「よーし、話は決まりだ。じゃあ話を進めるよ。」
そんなこんなで勉強会がスタートすることになった。
「で、君達は参加してくれる?」
と、石原姉が聞いたのは、後ろの1年女子4人
「やります」
即答するのは楓。
「よろしくお願いします。」
これは明日香。こちらもほぼ即答
「えーっと……ちょっと考えさせてください」
「わたくしも…考えさせてくださいますか?」
枕田、浜口の2名はちょっと考えているようだ。
まあ、いきなり特待生ばかりの勉強会に参加するかと聞かれてもしり込みするのもわかる。
「そっか、じゃあ入りたくなったら天上院さんや神倉さんに言ってね。いつでも歓迎だから」
「はい、わかりました」
「その時は、よろしくお願いいたしますわ」
「参加してくれるメンバーもその内詳細は連絡するね」
「わかりました」
さて、ここで話すことはこれくらいだろうか。
そろそろ何か調達しに行かないと昼食抜きになってしまう。
「では、また追って」
「はいはい、よろしくねー。あ、鷹城君」
「ん?まだ何か」
「久遠帝のサインちょーだい」
「あ、私も欲しいです」
「僭越ながら……私にも1枚、頂戴したく存じます」
「……………今色紙持ってないんで、次までに用意しときます」
そうして先輩たちと別れる。
楓たちはこれから食堂で食べるらしい。
女子の話に加わるのも何なので、何か買って教室に戻ることにする。
そして、教室に入ると。
「たーーーーかーーーーしーーーーろーーーー!!!!」
告白問題の解決を忘れていたことに気づく。
しばらくこの嫌な視線にさらされることを考えると、3倍気が重くなった。
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この日の放課後、勉強会開催の申請が職員室に出されることになる。
『実践デュエル勉強会』申請書
代表:
天上院吹雪(3-X、学年3位、総合3位)
参加者:
丸藤亮(3-X、学年1位、総合1位)
藤原優介(3-X、学年2位、総合2位)
石原法子(2-X、学年2位、総合6位)
石原周子(2-X、学年3位、総合9位)
紬紫(2-X、学年1位、総合4位)
天上院明日香(1-X、学年3位、総合17位)
神倉楓(1-X、学年1位、総合7位)
万丈目準(1-X、学年2位、総合12位)
鷹城久遠(1-X、番外)
ちなみに、万丈目の名前が入っているが、参加経緯はこんな感じであった。
「おーい、万丈目ー。」
「鷹城か、何だ」
「今度2年と3年の先輩たちが勉強会開くって話でさ、お前も誘ってくれって言われたんだけど、参加しない?」
「そんな雑魚共の馴れ合いに興味はない」
「そっか。じゃあ仕方ない。」
「お前も参加するのか?」
「おお、参加するぞ。明日香と楓も」
「よし、なら俺も参加するぞ」
「どうした急に」
「お前が参加するならお前を倒すチャンスが増えるというもの。」
「あー……なるほどね。」
「わかったか」
「明日香が参加するからk「解ってないだろ!!!」」
「ま、いいや。そんならよろしく」
「ちょっとまていっ!!」
そんなこんなで、勉強会組織が発足した。
始まる日常
ただただデュエルにだけ向かっていればいいのは、楽しかった。
しばらく続くと思われた日常が変わるのはイベントからだった。
きっかけは、一つの転機
次回「交流戦開催へ」