この作品ではモンスターをハントすると言う描写は殆どないです(もはやモンハンである必要はあるのかレベルです
俺は熱い闘いが見たいんじゃーー!!!って方はプラウザバック推奨です(`・ω・´)
文字数多めの駄作ですが、よろしくお願いしますm(._.)m
これは、昔々のお話。ある一つの王国が……滅びたお話
それはそれは美しい城だった。白亜が眩しい煉瓦、そして綺麗に磨かれた窓が陽の光を反射して輝く。聳え立つ純白に染められた城壁は見た目だけでは無く、有事の際には外敵を跳ね除ける堅固な守りとなるだろう。見上げるような尖塔がいくつも突き立ち建築物の形を示してる様は、その城の主を讃え誇っている様だった。
絵本や絵画の中から飛び出してきたような、まさに宮殿と呼ぶにふさわしい、そんな城内の一室。豪華なベッドに腰掛けながら銀の髪を流した少女は、傍のメイドに問いかけた。
「お父様はまだ帰ってこないの?」
「先触れの使者が言うには、もうそろそろかと思われます、お嬢様」
「ふふふん、エリーナ!楽しみだねぇ!シルフィの事も紹介しなくちゃね」
弾ける様な笑顔を浮かべる少女に、メイドの頬も自然と吊り上がった。そこには主従の関係よりも強固な絆があった。
「ええ、国王様もきっと彼女の事を気に入ると思われます」
「ピィ!ピィ!」
その話題の中心だった一匹が少女の膝の上で鳴く。少女は顎を下げ、ちょこんとそこへ座り込んでいた小鳥へ言葉をかける。
「私のお父様はね、とってもかっこよくて、とっっっても強いの!!この前もね?凄ーーく大っきくて強そうな赤いドラゴンさんを倒してきちゃったんだよ!!」
「ピィ!」
少女は両手を大きく広げながらその大きさを目の前の存在、小鳥へ話す。その小鳥は、少女の動きに合わせてまだ未熟な羽をバタつかせる。その様子には全く驚きや恐怖がなく、かなり少女に懐いているのが分かった。
「でもね、お父様にすごい!って言うとね?お母さんも昔は強かったんだぞ〜って言うんだよ?」
「ピピィ!」
少女は不思議そうに首を捻る。それを真似して小鳥もその小さな頭を捻る。その鏡合わせの動きは異常な程ぴったりで、彼女達はテレパシーで繋がっているのかと思わせる程だ。
「お母さんあんなに優しくて、色んなことを教えてくれるけど、戦ったり、お庭でくんれんしてるところも見たことないんだよ?」
うーんと、腕を組みながら唸る少女。その耳に少しだけ開けた窓の端から入る、歓迎のラッパの音が飛び込んできた。
「あ!お父様が帰ってきたんだ!!行こう、シルフィ!」
「ああ!お待ち下さいお嬢様!服の乱れが、それに髪も」
「むぅぅ……はぁい」
声を弾ませながら少女が立ち上がった。その勢いで、ベッドのスリングが軋む。しかしエリーナに待ったをかけられた少女は少しだけ不満げながらその場に止まった。
エリーナは丁寧かつ素早く、乱れたドレスのシワを正し、髪を結い直してくれる。
「はい、終わりましたよお嬢様」
「ありがとう!エリーナ!」
エリーナが言い終わるよりも早く、少女は動き出す。シルフを壊れ物を扱う様に両手で包み、彼女は部屋を飛び出した。エリーナは優しげな溜息を吐きながら、今まで開けっ放しだった窓の戸を引く。
煌びやかな大理石の廊下を走る少女。揺れるドレスには飾りはそれほど無いが、それが逆に活発な彼女の魅力を引き出していた。それが疾走によって激しく揺らしながら、長い長い赤絨毯の道を走る。せっかくさっき直した銀髪やドレスが乱れるのも構わず。
「ピィ!ピィ!」
途中から小鳥は少女の手の籠をすり抜け自らの羽で、必死に少女を追っていた。そうやって一人と一匹は
そして最後の扉を少女は開けると、広い広場に出る。そこにいるのは、無数の兵士を引き連れ、真紅の外套に身を包んだ大柄な男性。娘と同じ銀の髪が南中の日差しを返し、キラキラと輝いる。
彼は少女に気付くと笑顔を浮かべながら、しゃがみこみ両手を広げる。そこへ少女は躊躇いなく飛び込んだ。
「お父様〜!お父様!!!お帰りなさい!!!」
しばらく、父の胸元へグリグリと額を押し付ける少女。だが、途中でハッと何かに気付き父の胸から飛び退く。周りの兵士の暖かなものを見る優しい表情に、少女は顔を赤くする。
その姿に苦笑しながら父は己の娘の頭を優しく撫でた。目を閉じながらはにかむ少女に、父と兵士の目尻が下がる。
「ただいま可愛い我が娘よ……少し背が伸びたかい?」
「えへへ、この前エリーナに測ってもらったら三センチも伸びてたよ!!」
父は暫く振りの娘の成長を前に目を細めた。それは成長への喜びと、それを自分の目で追う事の出来なかった落胆とが混ざりこんだ複雑なものだった。もちろん後者を娘に悟らせる事はしない。
「そうかそうか、そんなにか……これは大人になったらお母さんみたいな背の高い美人さんになるな〜」
「お母さんみたいにっ!?本当!!!」
「本当だともルーはお母さんそっくりだからね」
やったー!と両手で抱える様にガッツポーズを取る少女、ルーの肩にようやく追いついたシルフィがちょこんと止まる。それに気付いたルーはシルフィの頭を優しく撫でる。人慣れしれしたシルフィの様子に驚いた父は娘に問い掛ける。
「ルー?
「あ!そうだ!紹介するね!」
肩から優しくシルフィを抱き上げると、父の前にすっと差し出した。不思議そうに小首を傾げるシルフィを父はしげしげと見つめた。
「この子はね、シルフィって言うの!この前中庭で他の鳥さんにいじめられてたのを助けたの!ビシッ!バシッ!って悪い鳥さんをやっつけてね!!」
再びシルフィを肩に乗せたルーが、その時の事を身振り手振りで話し始める。その様子を楽しげに父は見ながら、娘の心の成長まで見せつけられ、心の中は混沌とする。
「それで!私が一番大きい鳥さんを枝で追い払ったの!」
そんな葛藤はおくびにも出さず、興奮しながら話し合えたルーを大袈裟な程大きな声で父は褒めた。
「ほほう、そうだったのか!ルーは勇敢で、優しいなぁ……ところで、ルーがお世話してるのかい?」
「そうだよ!お部屋でずっと一緒なの!!」
「そ、それは本当かい!?」
「そうなのよ貴方、ルーは最近ママにも構ってくれないのよ〜」
父娘(+シルフィ)は揃って声の方へ首を向けた。
「ママ!!」
「アンネリーゼ!今帰ったぞ」
「ええ、お帰りなさいドレイク、今年も楽しかったかしら?」
「ああ、
本当に疲れた様子で肩を回す夫に、微笑むのは、腰ほどまである栗色の髪を持つ美女。翡翠の瞳を細めた笑みはどこまでも柔らかく、見る人を安心させる不思議なものだった。
「ふふ、冗談は良くないわドレイク?私だってまだまだ行けると思ってるのよ」
コロコロと笑いながらアンネリーゼは言う。それにドレイクは苦笑しながら呟いた。
「全くお転婆な奥さんだ、っとこれはアレク達かな?」
そこでドレイクは、沢山の足音が向かってくるのを聞いていた。そして……これを揃えてで帰還を労うのは三つの声
「「「お父様、お帰りなさい!!!」」」
アンネリーゼのきたドアから、彼の息子達が出てくる。長身の青年と呼べる男子が二人。少女と女性の間、というじょしが一人だ。
「すいませんお父様、三人で稽古をしていたらすっかり集中してしまって」
困った様に栗色の髪をかいたのは一番上の兄アレク。父を尊敬する彼は、一番にドレイクを出迎え出来なくて少し悔しがっているのがルーにはわかった。
「おお、アレクにクリフ!!二人ともすっかり男前になって!!ローズも随分と大人びたなぁ!気にするな気にするな!先触れも遅かったしな!!」
「そう言うお父様は少し老け込みましたか?」
アレクと瓜二つの弟クリフが心配する様に眉を八の字にして、ドレイクの顔を除き込み……
「死因が過労死なんてやめて下さいよ?お父様」
続く様に長身の女性ローズは、ドレイク曰く、「昔の尖っていたアンネリーゼを思い出す」という容姿。少々口が悪いが、その中には確かな気遣いがある事をドレイクは知っている。
ドレイクは子供達、取り分けクリフの言葉に少しショックを受けた。
「ははは、そうだろうか?確かに最近上手く身体が動かなくなった気がするよ……」
談笑する兄達と父に除け者にされていると感じたのか、ルーの頬が膨れる。
「むぅぅ……お父様!!!今度のお仕事ではどんなモンスターと戦ったの!?」
集まってきた家族に囲まれた父の気を引こうと、殊更大きな声で父に問い掛けるのは、勿論ルーだった。ごめんごめんと謝りながらドレイクは彼女の頭をまた優しく撫でながら答えた。
「そうだなぁー、後で夕飯の時にでも聞かせてあげよう!今回は山の様な体を持つ竜と、火を吐くドラゴンの番の話だ!!!」
「「「おお!!」」」
アレクとクリフ、更にルーは歓声をあげながら、未だ遠い夕食へ思いを馳せる。ローズもローズで、溜息をつきながらも内心は期待しているのだろう。そわそわしながら毛先を弄っているのが分かったアンネリーゼが、クスリと笑った。
談笑する家族の遥か後ろ。台車に鎖に繋がれ、輸送されてきたのは三匹の竜。深緑の苔に覆われ、槌のような尾を持つ巨竜。緑と紅の鱗をそれぞれ持つ二匹の飛龍。
それらは全てがピクリとも動かず、その命を終えていた。
戦民国家バルバトス。
深い森を切り開き、彼らは武の力をもってして、地を平定。
この国の兵士は世界でも名高い練度を誇り、この国出身のハンターの多くが後世に名を残している。
そして何より、世にも珍しい「戦う王族」が治る国、それが彼女の、「異色眼」の復讐者が生まれ育った国だった。