目の前に広がる筈の景色が、いつの間にか自分や他の会社が作ったRPGに出てくる様なフィールドになっている事に、驚きを隠せずそのまま固まってしまったのは、悪くないと思う。まず始めに言わないといけないだろう・・・
「どうしてこうなった・・・」
無情にも彼の発言に返す者はいなかった。
俺は轟創(とどろきはじめ)、27歳。日本で屈指の最難関の大学を卒業し、夢であった大手ゲームメーカーへと就職する。その後、スマートフォンや家庭用ゲーム機のRPG製作や、その他ジャンルのゲーム制作の補助として、ゲーム制作業界の中ではかなり有名人だったりする。
最初は世界を恐怖へと陥れようとする魔王を倒すRPGを行い、ハマってしまった。その後のRPGと呼ばれるゲームを全て行った。もちろん、男性が一度は夢に見るハーレムがメインのRPGも行った。・・・ちなみに、俺もその1人である事は否定しない。
私生活では、『夫にしたい社員ランキング』で堂々の1位になるらしい。容姿や性格がとてもいいとの事で、ランクインしていた。自分ではそんな事は無くて、ゲームへの情熱しかない廃人の部類に入ると自負するぐらいだ。
そんなこんなで、俺は今手掛けているRPGゲームのベータテストで出たバグの削除を行って、デモテスターへプレイして貰い、問題無いという言葉を貰った。このRPGに関わった部署のメンバーがその言葉に、歓喜の声を上げていた。すると・・・
「ゲームが完成した、みんなご苦労様。ところでこの部署だけで旅行へ行かないか?もちろん宿泊費等は各個人支払いとなってしまうが・・・」
俺が所属している部署長が突然と社員旅行へのお誘いがあり、俺を含めた部署全員が旅行へ参加すると告げ、旅館等の内容を決め、会社へ申請等の事前の段取りを行い、旅行当日となった。
旅行代理店や雑誌等で有名な旅館へ到着した。社会人となって職場の仲間達との旅行に気分がとても良かった。そのせいか、仲間や部長に弄られる事になるとは思わなかった。旅館内へチェックインし、男性部屋と女性部屋へ別れて宴会時間まで、体を休めていた。俺は部屋から見える景色に心を癒されながらお茶を飲んでいた。その時も同僚たちにじじいくさい弄られる事になるとは思わなかった。その後の宴会では、部長や仲間から酒を勧められ記憶が無くなるまで飲んだ。
宴会を行った翌日は、とてもいい景色が見られるハイキングコースがある事を知り、俺は女将さんへ昼食を作って頂き、そのハイキングコースへ向かった。ちなみにその日は各人が自由に過ごしていいと、部長から宴会前に伝えられており、寝ているメンツや温泉や温泉街を楽しむメンツで別れており、温泉等を楽しむメンツに一緒に行こうと誘われたが、ハイキングコースへ行くと伝え断ったのだ。
このハイキングコースは往復4時間掛かる所で、往復時間のせいか中々ここに来る人は少ないと聞いていた、しかし途中で地元の人と出会い、いろんな話を聞いていた。登っていくと季節が秋という事もあり、綺麗な紅葉のトンネルを進んでいる感じがした。川や滝が流れているのを見ている内にハイキングコースの頂上に到着した。頂上には小屋がありその脇には、ベンチと手動の汲み上げポンプがあった。何故こんな物が?という疑問が出てきたが、気にせずにベンチに座り、昼食を取りながら景色を楽しんでいたのだが、急に雲行きが怪しくなった為、片付けを進めていたが終える頃には、かなり強い雨が降ってきたのである。俺は足元に注意しながら急いでハイキングコースを降りた。
「・・・やばいな、かなり降ってるぞ。」
1分毎に天候が段々と悪化しているんじゃないかと思いながら、足を進めていた。雨量が多いせいで道は小川の様になっており、道が滑りやすくなっていた。勿論こんな足元の為、歩くスピードも遅くなる。また、久しぶりに山道を歩いたせいか疲れが出始めてきた。
断続的にメキメキというような音が聞こえてきたので足を止めた。周りを確認してのち足を進めようとしたその時・・・突然、目の前の道は土砂により塞がれてしまったのである。戻れなくなったと少し途方に暮れていたが、ここにいても土砂崩れに巻き込まれると判断し、先ほどの小屋があった場所へ急いで戻り、旅館と部長や仲間へ連絡をし、助けに来てもらう様に伝えた。その後、雨に当たっていたせいで寒くなったので、小屋の中へ入った。
中に入るとそこには、囲炉裏とその脇に炭とマッチが置かれていたので、炭に火をつけて暖まった。電気が無く薄暗くなっていた小屋は、囲炉裏に火をつける事によって明るくなり、何だかさっきまで切羽詰まって行動していたのが嘘の様に思えてきた。囲炉裏で燃える炭を見ていたが何気なく部屋の中を見渡すと、小屋奥の壁に日本刀の様な物と籠手が置かれていた。日本刀と思われる物を持つと重く、鞘から刀を抜くときれいな波紋があった為、試しに刃へ指先を当てると薄っすらと血が出てきた。本物の日本刀だと判断し、直ぐに鞘へ納めた。
「何故こんな所に、本物の日本刀が置いてあるんだよ・・・」
創の独り言を囲炉裏の炭が弾ける音と重なった。指先の絆創膏で処置した後は、冷えた身体が段々と暖めていた。ふと訪れた眠気に襲われて、眠気に身を任せながらに眠ったのである。
創が眠った直後に、豪雨だった筈の外から音が消えたのだった。その事を教える者は誰もいなかったのだ。
創は目を覚ました。すると、窓から日が差し込み快晴である事を教えてくれたのである。
「やばい、寝落ちしちゃったよ。携帯の連絡にも気づかないくらい疲労が溜まっていたんだな。」
創は起き上がり背伸びし携帯を確認した。旅館や会社の上司や同僚からの連絡は来ていなかった。それどころか電波は圏外の表示をしていた。
「もしかして、昨日の雨のせいか?だけど、今の世の中そんな簡単になるとは、考えられないよな・・・」
もしかして、俺が寝ていた時に数年前に発生し被害を出した地震が発生したのかもしれない・・・等の憶測をしたが圏外であるが故、ニュースすらも見れないので、とりあえず外に出てみようと思い、小屋の扉を開けたのである・・・しかし、目の前に広がる景色によって俺は呆気に取られながらも、ゲームやアニメで出てくるとあるテンプレの言葉が自然と出てきたのである。
「どうしてこうなった・・・」
ただ呆然としていても何ら解決する訳ではない為、俺は目の前に広がる草原へと足を進めた。もしこのまま歩いていけば何らかの情報が手に入るかもしれないと思いながらも、直ぐに小屋へ戻れる様、ただ真っ直ぐに進んでいた。
天気が良い為、都心では滅多に見れない様な、きれいな蝶々があちらこちらで飛んでいた。その綺麗さに目を奪われていたが、ドサッという音が聞こえた為、音の鳴った方へ目を向けるとそこには奇妙な生物がいた。
体は緑色で、人間の口の様な物がついているだけの生物がいた。
「RPGで例えると、定番のスライムといった感じの生物なのだろうか?」
目の前にいる生物を、グリーンスライムと仮称した。すると、グリーンスライムの口が人が微笑んだ時の様な口の形をしたと思った矢先、口を大きく開けながらこちらへ向かって跳んできたのであった。咄嗟に身を横へ動かして回避する事が出来た。避けたと思っても、直ぐに俺の方へ跳んで来たのであった。
「・・・人喰いスライムかよ、嫌だ。何も分からないまま、こんな奴に喰われて死にたくない!」
俺はスライムが追って来る事なんて考えもせず、ただひたすら先程の小屋へ向かって走り出した。小屋の扉を開けて強引に閉めた。施錠出来ない扉の為、外から押すタイプの扉だったので開けられない様にドアへ寄り掛かり、必死に開けられない様に抑えていた。
何分、何十分?経ったかは分からないが、ようやく扉から寄り掛るのを止められた。全身からは冷や汗が湧き出て、手足は震えた状態で正直泣きたくなった。だけど、ここには俺しかいないし、泣いた所で誰かが助けに来てくれる訳じゃない。震える足で先程のスライムがこの小屋の前にいるか小窓を見て確認し、その後扉を開けて確認した。すると、スライムは視野の中には確認されず、勇気を振り絞って小屋から出て、周りを確認した結果スライムはいなかった。
「よ、良かった・・・」と安堵し、その場で腰が抜けてしまった。
何とか身体に力を入れ囲炉裏の前に座り、こういう状況になってしまったのでこれからどう行動すべきか考えていた。考えた結果として3パターン浮かんだ。
1つは旅に出る事。旅に出て人間と出会いそこで保護してもらう案。
2つ目はこの小屋を拠点とし、生活する案。
3つ目は俺次第だが、息絶えるまでこの小屋に籠る案。
正直、3つ目は考えたくない。どうにかして、今までの日常へと帰りたいからだ。だとすると、2つのパターンが考えられるが、スライムの様に襲われて何とか逃げる事が出来たが、逃げられなかった時の事を考えると、今のままでは死に行く感じになってしまうの為、2つ目のここを拠点とし活動した方がいいと考えた。
「だとすると、衣食住の確保と自分の命を守る術を見出さなくてはいけない。」
自分の手は震えが止まらず、深呼吸しても止まる事は無かったが、しかしとある場所を見て時には震えが止まっていたのである。・・・それは小屋の奥にある日本刀と籠手だ。
「・・・昨日まではこの小屋の中に日本刀がある事がおかしいと思っていたけど、この現状を考えると頼もしい道具だな。」
俺は日本刀が置かれている場所へ移動し、手に持ち刀を抜いた。昨日までは綺麗な波紋の日本刀という道具が、これから自分の身を守る為に使用する武器へ変わった瞬間だった。日本刀に穴が開くくらい見ていた。俺は即座に籠手を取付け、日本刀を持ち外へ出た。小屋の前で刀を振っていた。仕事上でサムライというジョブキャラを作る際、刀の鍛冶師や現代の侍と呼ばれた方の稽古の見学と体験で得た知識とちょっとした技術があり、その時の事を思い出しながら、素振りをしていた。
「やられれば死んでしまうが、元の世界へ戻る為に戦わないと!」
俺は先程襲われたスライムの元へ歩き始めた。その時から俺は、RPG製作者ではなこの世界の冒険者としての第一歩を踏み込んだのであった。
オリジナル小説なので、他の原作アニメや他作者のSSと同じ様な展開となるかもしれませんので、もし同じ様な分がありましたらご連絡頂きたいと思います。
その際、作者名とSSのタイトル(ハーメルン内で)も合わせて教えて頂きたいと思います。
誤字等もありましたら、ご報告ください。