第一問 入学式
元の『時代に』に戻ってはや5日、ようやく俺は文月学園の入学式を迎えることができた。しかし帰ってきて焦ったのは4月5日ちょうどになって帰ってきたことだった。知り合いに見つからないように『俺』が飛ばされるのを監視するのがめんどかった。そのあと寮の住人に『なんか…変わった?』って言われたのはショックだったぜ。
この5日間のことを思い出しながらランニングから帰ってきた俺はまず部屋に戻り着替える。その前に相部屋のヤツも起こしておくか。
「『エンポリオ』起きろ。今週の朝食作んのはお前だろーよ」
「10分後でも問題ないでしょ?」
「そんなこと言ってないでさっさと起きろよこのパッキン野郎」
「{バサッ}そういう光輝も金髪だよね!?」
あえてツッコミをさせて起こす作戦は成功したようだな。さて起こしたし着替えますか。
「あ~もう目が覚めたから作ってくるよ。早く着替えね」
「わかってるよ。ついでに先生と先輩起こしてきて」
「朝食作るのに忙しくて無理。それに『ローウェル』先輩は2階だからやだよ。あと隣の
そう急ぎ早に言って台所に向かってった。先輩と先生か…まずは先輩を起こすか。
朝食を食べ、人込みを避けるために早めに来たというのにかなりの人たちが来ている。遅くいったほうがよかったのかもしれない。
「新入生とその父兄は慌てないで落ち着いて体育館に向かってくれ!」
野太い声が聞こえてくる。声をしたほうを見ると筋肉がめちゃくちゃスゴイ体育教師(?)いた。なにをしたらあそこまでムキムキになれるんだ?
「じゃあ自分らは体育館に向かうんで帰りに会いましょう先輩」
「ええ。待っているからね?」
「……ハイ」
おかしいな。今の言い方は『来なかったらどうかわかっているわよね?』というのを言外に含んでいた気がする。
そんなことを考えながら体育館に向かう。エンポリオと俺はクラスが違うため、立つべき場所も違う。ということは俺は一人なのか!?寂しいというわけじゃあないが暇だ。……寝てればいっか。
寝てからどのくらい経っただろうか。耳を澄ますし、周りが少しづつ静かになっていくのを見ると、寝てからあまり時間は経っていないようで、これから入学式が始まるのだろう。
《それでは、最初に学園長による新入生の皆さんへの祝辞です。学園長先生、よろしくお願いします》
《あいよ。コホン。えー、新入生のみなさん。入学おめでとう。アタシはこの学園の学園長を務める―――――》
「変態だーーーッ!!」
「僕の話を聞けェエエーッ!」
なぜだろう。
「へ、変態だと!?」
「ここの学園長は変態なのか!?」
「道理で学費が安いと………」
《ちょ……ッ!?どうしてアタシが変態扱いされるんだい!?》
学園長が驚くのもわかる。それに声が全く違うのに気が付かないのか?声をしたほうを見ると、そこには俺の知り合いによく似ている奴がいた。認めたくない!認めたくない!認めたくない!
「聞けお前ら!とにかく腕に自信あるやつは出てこい!そうでないやつは邪魔だから下がってろ!」
「え!?なに!?今度は喧嘩!?坂本君落ち着こうよ!」
奥にも俺の知り合いによく似ているヤツが見える。わかっていたさ……アイツらだってことは。でもなぜ喧嘩をするやつを募集してるんだあれは?あっ、コッチに近づいてくる。見つからないように隠れなくては。
「誰も腕に自信あるやつはいないのか!」
雄二が移動するとそこには1人だけ動かない生徒がいた。あの生徒ははやる気なのか!?注意深く観察をしていると、その生徒はすらりと長い手足をしていて、大きなポニーテールが特徴的である。さらには、頭がかくんかくんと船をこいでいる。……つまりは寝ているのか!?
「「この状況で寝てんじゃあねーーーーッ!!」」
思わずつっこんでしまった。俺の声が聞こえてしまったのか、雄二がコッチに来る。俺の周りにいたやつらが離れていき、『コッチに来るんじゃあねえ!』と視線を送ってきて動けない。そうこうしている内に雄二が俺にたどり着いてしまった。
「よう光輝!一緒に変態を倒すのに協力してくんねえか!」
「(俺を巻き込むじゃあねえぞ雄二!)……人違いじゃあないですかね。それに変態はあなた1人で十分ですから」
ちらりと明久のほうを見る。………なぜか明久の格好はセーラー服だった。
「(おい雄二!警察を呼べ!変態がここにいるぞ!そもそもなんで〝スタンド〟を使わないんだ!?)」
「(だからさっきからそう言ってんじゃあねえか!だからアイツを亡き者にするために協力者を募ってんだろうが!それに俺には俺の事情があんだよ!)」
なぜ雄二が人を集めようとしていたか納得した。
するとそこに、1人の男性教師がやってきた。その教師は、先ほど新入生の誘導をしていたガチムチ教師だった。なるほど、この教師が援護してくれるなら心強いことこの上ない。
「貴様ら、新入生か?入学早々いい度胸だな」
「よしてくれ。そんな大層なもんじゃあない」
雄二が否定するがなんか嫌な予感がするのは気のせいだろうか。なぜか、このガチムチ教師は同じ言葉を繰り返した。
「いやいや、本当に大した度胸だ」
いいながら構えをとる。……ああ、なんでイヤな予感が当たるんだ……。
「―――――貴様ら、
「「………へ?」」
なぜ俺も頭数に入るんだ!?俺はたまたまここにいただけでしょ!?裁きを受けるのはあの2人だけで十分だろ!
「お、おいッ!ちょっと待て!アンタがやるのはあっちの変態のほうで」
「あ、あのッ!僕は別に坂本君と違って喧嘩相手を探しているわけじゃあなくて」
「ちょ、ちょい待ち!俺はたまたまここにいただけでこの2人と関係なくて」
「この―――――馬鹿者どもがァァッ!」
「「「ぎゃぁああああああッ」」」
雄二と明久は拳を叩きつけられる。俺は腕で防御したものの、腕からイヤな音がした気がする。ホントに人間なのか!?
「貴様はこれくらいでいいとして……罰としてこの2人を保健室に連れて行くのを手伝うんだ」
「あの…自分は問題を起こしていないんですけど」
「文句があるのか?」
「……ございません」
俺を殴る必要性はあったの?腕の痛みをこらえながら保健室に向かうのだった。
明久たちが目覚めて、振り分けられたクラスで自己紹介の時間になった。アイツらのせいで俺の第一印象が悪くなってしまったじゃあねえか。この時間である程度印象を良くすることができるといいのだが……。
「―――――これからお願いします」
印象に残るようなやつもいなく進んでいく。
「シマダ ミナミ でス。よろシくお願いしマす」
発音が違う、ということは留学生か?そう思うが見た目は日本人に見える。
「島田さんはドイツからの帰国子女だそうです。日本にはつい最近越してきたばかりなので、皆さんいろいろと助けてあげてください」
なるほど、日本語の勉強も最近始めたということか。1か月ぐらいすれば日本語を習得するでしょ。………俺はそれ以上の時間をかけたけど。
「よろシくお願いしマす!」
そんなことを考えていたら島田の自己紹介が終わった。次のヤツを見るとそれは雄二だった。
「神無月中学出身、坂本雄二だ」
短くない?もっとフレンドリーにいこうぜ?そういうやつではないこと知っているけどさ。俺がなんていこうか考えているんだからもうちょいなんかやってよ。
「アイツ、例の神無月中の……」
「悪鬼羅刹って噂の……」
「かなりヤルヤツらしいぞ……」
明久の情報は合っていたのか……。そんなことを思っていても順番が来てしまったので、しょうがなく教壇に向かい自己紹介をする。
「えーと…光輝・ツェペリです。趣味はプラモデル作り、特技は…お菓子作りですかね?まあよろしくお願いします」
よし!これで印象は先ほどとガラリと変わったはずだ。俺と入れ替わるように教壇に立った女の子はなぜか男子用の制服を着ていた。この学校はどこかおかしいのではないかと疑う俺がいる。
「木下秀吉じゃ。よろしく頼む」
〝秀吉〟?これは男性につける名前だったはず。ということは男なのか?でもあの顔で男って言われても説得力ないぞ……。でもあの口調は懐かしいものを感じるな。若い子が使うのには違和感しかないけど。
「…………土屋康太。趣味は、盗さ―――――何もない」
なんだあれは!?もし故郷にいたら職質されるぞ!?
「…………特技は、盗ちょ―――――特にない」
そう供述する土屋のポケットにはレコーダーやカメラが見え隠れしている。…誰かつっこんでくれ!この凍った空気の中でツッコミができるほど俺には勇気はないんだ!
土屋が自分の席に戻り、次に教壇に立ったのは明久だった。今だにセーラー服を着ているけど恥ずかしくないのか?
「長月中学出身の吉井明久です。よろしくお願いします」
あのセーラー服を着たバカとはしばらく距離を置いたほうがいいのかもしれない。同じ変態扱いされたらたまらないしな。でも雄二とは後で話をしたいな。……なんで再開は残念だったんだ。
TO BE CONTINUED...
光輝&明久&雄二―各々と再開をする。