バカと魔法と奇妙な冒険   作:壊れゆく鉄球

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光輝「じゃあ犯罪に巻き込まれた時のために〝警察を呼んでください〟をイタリア語でお願いします」

アリシアの回答
「Polizia!」

光輝のコメント
「伝わるけど文章で答えて……」

アリサの回答
「Prendi questi uomini!」

光輝のコメント
「お願いします忘れてください」


第十話 復讐者 その①

数日前

 

「わざわざイタリアまで呼び出してどうしたのかな?月村忍ちゃん」

 

「その呼び方はやめてください、氷村さん。聞きたいのはあなたの最近の行動です」

 

夜、3人の男女が1人の男を詰問している。月村忍と呼ばれた女性は、警戒しながらも氷村と呼ばれた男に問いかけた。

 

「そんなことかい?ただの遺跡発掘さ。それに、僕が何をやろーと君たちには関係ないんじゃあないかな?」

 

「……それがテロリストとつながっていなかったら何も言うことはなかったんですけどね」

 

「テロリストだって?僕がなんで下等な人間…さらには犯罪者を雇わなくっちゃあいけないんだ?」

 

「それはあなたの言った『遺跡発掘』にも関係するんじゃあないですか?」

 

「おいおい。質問文を質問文で返すんじゃあない。君は大学まで進んだのに、そこにいた教授もそういう風に教えたのか?」

 

氷村はひょうひょうとした態度を崩さず答える。

 

「……俺が聞いたあなたの話だと、あなたは人間を憎んでいて、昔のことに興味はなさそうなんだが、()()人間の遺跡を調査したんだ?」

 

「ノエルやイレインといった『自動人形』の研究に使えるかもなって思っただけさ。それ以上の意味はないよ、高町恭也君。いや、今は月村恭也君かな?」

 

「……今はそんなことは関係ないでしょう」

 

「そうだったかな。済まないね」

 

氷村は挑発するように質問に答えていく。人間嫌いであるはずの氷村が人間である恭也の質問に不機嫌さを出さずに答えることに恭也たちは不気味さを感じていた。

 

「じゃあほかの質問に答えてもらいますよ。なんでこの会合を見ている人がいるんだ?」

 

「ほう?」

 

恭也が指さした方向には、奇妙な格好をした人影が見えた。才能のない恭也たちには〝認識〟できないが、傍らにスタンドが立っている。

 

「誰かまではわからないがアレで俺たちを始末しようとしたんじゃあないか?氷村遊。スナイパーであろうと場所がわかっているなら避けることもたやすいぞ」

 

「うん……そうだよ、月村恭也君。だがアレにはまだ待ってもらわないとな。始末するのはこれが終わってからだ!」

 

そういいつつ氷村は胸元のポケットから奇妙な仮面を取り出した。そしてその仮面を被る。

 

「僕は自分が吸血鬼であると信じて疑わなかった。だが、最近の研究では僕たちのことを『吸血種』と呼ぶそうだね。ただの遺伝子障害の人間であることには驚かされたよ。だけどそのことによってさらに怒りが増幅したよ。なんせ人間がちょっと違うだけの人間を迫害していたんだからね。だから僕は復讐するのさ。本物の吸血鬼になってね!()()()()()()()()()ッ!!僕は人間を超越するッ!貴様らの血でだッ!!」

 

ドスッ

 

氷村が取り出したナイフは恭也のカウンターによって氷村自身に刺さり血が飛び出る。その飛びかえった血が『石仮面』を起動させた!

 

ドサッ ドスッドスドスドスドス

 

普通だったらこれをやられたら死ぬだろう。だが、『石仮面』の場合は数本の骨針を同時に『押して覚醒』させるのだ!

 

「な…何が起きたんだ……?」

 

「仮面から出てきた骨針が氷村さん自身を刺さって殺したように見えたけど……」

 

「普通だったらこれはただの拷問殺人道具だ。しかし、こんな状況で氷村が自殺するとは思えない。これには絶対に何かがある」

 

「『人間をやめる』ってどういうこと……?」

 

「こういうことさ。URYYYYYY」

 

氷村が自分に刺さったナイフを抜き取る。そしてそのままナイフを握りつぶした。当然、血が出てくるが、もともとあった自然治癒能力が吸血鬼になったことでさらに強化されすぐに傷が治った。

 

「う~ん、さっきよりかなりのパワーを感じる。今なら君たちの言う『神速』ってやつもできるんじゃあないかな」

 

「……なら試してみるか?俺とお前、どっちの神速が速いか」

 

「こ~い!この体の限界というやつをまだ知らないんでね。それも試してやる」

 

「(神速!)」

 

恭也は氷村がしゃべっている間に神速を使い一気に距離を縮め『御神流 徹』を放つ。しかし、必殺の拳はいとも簡単に氷村に防がれた。

 

「ほほう。武術を極めればここまで強くなれるのか。だが、貧弱貧弱ゥ!僕は一夜にしてすべての超人を超越したのだ!!」

 

「ウがッ」

 

氷村はいつも道理に殴っただけだった。それなのに恭也は吹っ飛び背後の壁が破壊された。

 

「普通に殴っただけでここまでの破壊力があるのか。だが肉体は普通の人間よりちょびっとだけ強化された程度なのか……。基本的なことはわかった。お遊びはここまでにしてこう。後は任せた{パチン}」

 

氷村は指を鳴らして屋根の人物に合図を送る。屋根の人物はその音を聴き、レンガのようなものを恭也たちに投げてきた。そして、レンガが地面にあたると同時に爆発した。

 

「ごほっごほっ……加減はできないと聞いたがここまでの威力を調節できないとは…使いどころが難しいが、貴様らを始末するには充分だな。後は貴様たちの大切なモノを奪うだけだ」

 

爆発の衝撃でちぎれズタボロになった左腕を見て氷村はつぶやいた。そして、左腕を回収して闇の中に消えたのだった。

 

「忍!綺堂さん!大丈夫か?!」

 

「私は大丈夫だけど私をかばって……さくらさんの足が………」

 

「大丈夫…この程度ならすぐに治せるから」

 

先ほどの爆発で右足が吹っ飛んださくらは、忍に頼んで足を持ってきてもらい切断面を合わせる。すると、氷村ほどではないが足がくっついていく。

 

「走らなければ大丈夫だけど……さっきの投げてきた人は?」

 

「もうどこかに行きましたよ。すでに俺たちを始末したと思っているのでしょう。それか、氷村が遊び半分で誘っているかです」

 

「早く氷村を追いかけなくちゃ」

 

「……今追うのは危険です。また追いかけている間に爆弾を仕掛けられたらドカン、って感じになりますよ」

 

「まずは情報収集ね……」

 

 

 

光輝side

 

夜、なぜか俺は目がパッチリと覚めてしまった。時差ボケの影響なのかもしれない。ふと、ベットの意識を向けると、何か違和感があった。

 

「スー……スー……スー……」

 

「(違和感の正体はお前か!道理で動きにくいと思ったわ!)」

 

俺に抱き着いているアリシアを慎重にほどき抱っこする。部屋は2つ隣だ。音をたてないように慎重にドアを開けて廊下に出る。

 

「(アリシアがベットの中にいるって前にもあったよな…思い出したくもないが。でもアリシアはそのあとおとなしくなったよな、いろいろと。……それでも積極的だけどな)」

 

部屋の前に立ちゆっくりとドアを開ける。明かりはついていないらしく、このままゆっくり行けば起こさないかもしれない。

 

「し…失礼します」

 

アリシアは奥のベットを使っているらしく、手前のほうのベットにはローウェル先輩が寝ている。

 

「(ゆっくり…ゆっくりにだ……よし、あとは部屋に戻るだけだ……ってうわ!?)」

 

ドサッ

 

アリシアをベットに寝かせ、部屋に戻ろうとした俺の腕をアリシアがつかむ。寝ているとは思えないほどの力でベットに引き込まれる。

 

「うにゃ……ん……?」

 

「(アリシアさっさと離せ!)」

 

やばい…アリシアは完全に寝ていやがる。それにローウェル先輩が起きそうというより起きてるかも!とっさに毛布を被ったけど…これでは下手には動けない……どうする?!

 

「あら……アリシアは戻ってきたのね…。ドアを開けっぱなしにして…追い出されてきたのかしら。……ん?」

 

パタン

 

アリシアが俺の部屋に行くことを知っていたなら止めてくださいよセンパイ……。見えないからわからんが……()()()()()()()()()

 

それはヤバい!もしここにいることがばれたら絶対に誤解される!このままやり過ごすしかないのか!?

 

「アリシアのベット…妙に膨らんでいる……?」

 

「(コッチに来ないで~~)」

 

ペラ

 

「え?光輝君…だよね……?」

 

「(終わった…いろんな意味で終わった……)」

 

「なんでこの部屋にいるの?2つ先の部屋じゃなかったかしら」

 

やばい…ローウェル先輩から何かを感じる。怒りか?いや、それだけじゃねえ……俺には表現できない何かだ。

 

「……アリシアが俺のベットにいたので…コッチの部屋に移したら腕をつかまれて…このベットに引き込まれて……」

 

「あら?おかしいわね、アリシアちゃんの手は()()()()()()()()()

 

「なん…だと……!?」

 

アリシアはホントはすでに起きているんじゃあないのか!?タイミングが悪すぎだろ!?

 

「~~~~!!さっさと出て行きなさいッ!!{バチン}」

 

「へブッ」

 

スタンドを纏ったローウェル先輩にビンタをされてかなり回転して部屋から追い出される。頭を正確に叩かれたからか、意識が混濁しながら〝そういえばローウェル先輩が怒鳴るのを初めて聞いたな〟と考えていた。

 

 

 

 

 

「――――――輝!大丈夫か光輝!」

 

「…………ハッ!」

 

うう……頭が痛い。昨日何が…あ、目の前の部屋にアリシアを寝かしたらローウェル先輩にばれてビンタされたんだった。

 

「光輝、なんで廊下で寝ていたんだ?」

 

「あ…兄貴……ちょっと日本からイタリアまでの長旅で疲れてたんだ。部屋に戻るわ、じゃあ」

 

窓を見ると太陽が昇っているが、10分ぐらい横になれば治ると思う。

 

ああ、今の人は俺の兄貴で祈療(キリョウ)・ツェペリ。俺の鉄球の師匠だな。今は医療学校で勉強して、卒業したらここを継ぐらしい。久々の休日なのかな?

 

「ああ。しっかり疲れをとってくれよ」

 

「兄貴もね」

 

寝た後朝食を作ったら、兄貴たちが食べるのを躊躇った。解せぬ。俺だって日本で頑張っていたんだから、躊躇うのはやめてほしい。アリシアやローウェル先輩が普通に食べているのを見てようやく食べるのを決心したってヒドイとは思わないか?

 

そして今はアリシアたちを学校に送っていた。俺はそのまま警察署のほうにいってウェカピポさんと合流する。

 

「光輝君…ローウェルさんの様子がおかしいけど心当たりある?」

 

「知らんな。(メッチャ心当たりある)」

 

朝は記憶を消去したかのように振る舞っていたけど今のローウェル先輩は顔が若干赤い。あのことを思い出してきているのか?

 

「大丈夫ですか?」

 

「…私は大丈夫よ。もうそろそろかしら」

 

「そうですね」

 

そう言って5分くらいで校舎に着く。初めて来たが俺の存在が場違いな気がする。

 

「小奇麗ね。光輝君がいることに違和感を感じるくらいに」

 

「ローウェル先輩、あのことをまだ根に持っているんですか。俺が言えることじゃあないですが忘れてください」

 

「……なかなか忘れられるものじゃあないわ」

 

「?何の話?」

 

「「元はといえばお前が(あなた)が原因なんだよ(なんだから)!」」

 

「???」

 

「ハァ……。じゃあ俺は用事があるんでここら辺で」

 

ここで分かれて警察署のに向かう。それなりの大きさのバックを持っているからか歩きにくかったが、15分ぐらいして警察署に着いた。

 

「案外早かったな。時差ボケとかで遅れると思っていたぞ」

 

「ウェカピポさん…いろいろあって早めに家を出たんですよ」

 

「そうか…。荷物を机に置いて任務を受領するぞ」

 

「了解ッス」

 

荷物を俺の机に置く。4カ月くらいこの机を使っていないけど……ここにいる間にほかの仕事をすることになるのか?それだったら土日は休めるように頑張んなくっちゃあいけないぞ。

 

基本的に俺やウェカピポさんのような護衛官は警察の仕事をするが、一般的な警察じゃあ対応できないと判断された仕事は護衛官が担当することになっている。例えば議員の護衛、猟奇的殺人の捜査などが当てはまる。そしてその仕事は署長から直々に任命されるのが習わしになっている。

 

「{コンコン}ウェカピポとツェペリです」

 

「……入り給え」

 

ガチャ

 

「「失礼します」」

 

いきなり空気が重い!この空気にいつまでも耐えられるほど忍耐力ないよ俺ェ!

 

「さて今回君たちを呼び出したのはある任務を任せるためなんだ。ウェカピポ君にはすでに話しているのだが光輝君は知っているかな?」

 

「ええ、昨日ウェカピポさんに電話で伝えられました」

 

「そうか、じゃあ内容はわかっているね。今回の任務は女性の失踪事件の捜査だ。吸血鬼が関わっている可能性があるから君たちに任せた。もし人間だったら逮捕してもらい、吸血鬼などの怪物だったら処理(始末)してもらう。資料はこの紙袋にまとめてある。行きたまえ」

 

「「了解しました」」

 

紙袋を受け取って署長室から出る。

 

紙袋から資料を取り出すと、事件の発生した場所や失踪した女性が着ていたらしい服と灰が写っている写真があった。

 

「……これほぼ確定じゃないですか」

 

「とりあえず失踪した女性が住んでいた場所の近くで聞き込みをするぞ」

 

「俺が聞き込みしても誰も反応してくれないのでウェカピポさんがお願いします。俺は怪しい人間がいないか周りを見ているんで」

 

「…………」

 

俺の机からレッキングボールが入っているベルトを取り出して着ける。鉄球のほうは上着のほうに隠しているが比較的取りやすい場所に移動させ、ベレッタ92FS(プラモ)をベルトの後ろのガンベルトに入れる。〝ベースジャバー〟が上着にあることも確認した。よし、準備完了!

 

「準備はいいか?」

 

「今できました、行きましょう」

 

 

 

 

ローマからウェカピポさんの車に乗りネアポリスに来た。ローマ市でも聞き込みはやったが、目撃者が少なくて有力な証言と思えるものが集まらなかった。

 

「『男と一緒にいるとこを見た』って…その男に誘拐でもされたんですかね」

 

「その女性は元々遊び歩いてて家に帰るのも少ないらしいからな、それだけじゃあ何とも言えないな」

 

カーナビと印を書き込んだ地図を見比べてもうそろそろ現場に到着することを確認する。

 

「もうそろそろ降りて聞き込みでもしましょう」

 

「そうだな」

 

車を適当なところに止めて聞き込みを始める。幸いにも今度の女性は社交的で隣近所の人と仲が良いようだ。近隣の人はその女性のことを心配していし、今度も同じ証言を聞いた。………ありゃ?特徴も大体同じだし早くも当たり?

 

「見事に同じ証言でしたね」

 

「アジア系の顔立ち…いくつか回って同じ証言が集まったら入国管理局に問い合わせるぞ」

 

「了解です。あ…そういえばこの写真のところ行きますか?」

 

「この近くに爆発したように煤けている場所があったな」

 

「関連しているようにいわないで下さいよ」

 

「しているかもな」

 

つまりウェカピポさんはこう言いたいわけか、〝爆弾にやられてケガをしたから血を吸って回復を図っている〟と。そう言われればそんな感じもあるけど。

 

「もうそろそろ昼食か…。時間がないからファーストフードを買ってくる。何がいい」

 

「テリヤキでお願いします。妙にやさしいですね、いつも俺に買いに行かせるのに」

 

「昨日帰ってきたからな、俺なりのやさしさだ」

 

言い方に優しさを感じないですウェカピポさん。

 

いうが早いが近くのファーストフード店に行ってしまう。でも昼ってことは休憩かな!

 

「スミません。ちょっといいスかァ?これ持ってもらっていいスか?」

 

「いいスけど……」

 

俺が昼食に浮かれていたら誰かに話しかけられた。黒いシルクハットを被っていて左目のほうにはなんか抉れた傷がある。

 

「最近の医療ってスゲーよなァァ~~。偏頭痛も治せるしよォ。あっ、スンません…。定規は横向きで頼ンます…。そう…遠近感がいまいちつかめなくてね」

 

片目が使えないならそうだろうな。でもこの男なんかで見たことあるような……。そうした警戒があったからか、俺は無意識にレッキングボールへ手を伸ばしていた。

 

「……なんか用ですか?コッチはセンパイを待ってるんで用はさっさと終わらせてほしいですが」

 

「用?別に用なんかないよォ…。あんたはもう〝用済み〟だからなァ」

 

ダン

 

乾いた音が響いた。

 

 

 

TO BE CONTINUED...




アリサが答えた文章は「この男を捕まえて!」と訳します。
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