それでも平均と比べて短いのは明らかですけどね。
メイはウキウキしていた。
ほとんど事務的な用事にしろ、フィールドや迷宮区ではなく、久しぶりに他層の居住区に出かけるからだ。それにとても気の合う商売人仲間と久々に会うからだ。
今日の目的地は48層《リンダース》のリズベット武具店だ。メイは自分なりに武具店のルールを調べ、とりあえず色々な鉱石を持って行くことにした。まぁその鉱石の殆どは耐久値ーパワー型の鉱石だった。料理包丁が欲しいため、スピードは必要なく、これらの鉱石になった。
現在は昼過ぎ。水曜日のため今日の店は閉め、午前中はいつもの試作&休憩を繰り返してから外出した。
アスナに教えてもらったかぎり、リズベット武具店は今日は通常営業のようだ。地図を頼りにメイは動いている。
「水車のある店…。……ここか。」
メイの目の前にあるのは水車のあるとてもオシャレな雰囲気のある家だ。パッと見ただけでは武具店とは分かりにくい。リズらしいかわいい雰囲気の店だなと思いつつメイは家を見ていた。
ドアノブに手を掛け、メイは止まった。普段店主として過ごしているため、お客として店に入るのは久しぶりだからだ。しかしそれすらも楽しかった。
あれを話そう。これを話そう。最近新作のスイーツもできた。あれこれ話そうと考えながらメイはドアノブを捻った。
ガチャ、ガチャガチャ
「はぁ?」
鍵が掛かっていた。どうやら留守のようだ。どういうことか全然わからなくなったので、とりあえずアスナに連絡を入れた。
『リズが店にいないんだけど?』
『リズはたまに鉱石を採りに行くことがあります。それではないですか?』
メイは困惑しながらもリズがいないとどうしようもないと思い、夕方と夜に出直すことにした。
夕方になっても夜になってもリズは帰ってこなかった。フレンド登録をしているとどこにいるのかは分かるが、場所が場所のようなので表示されない。名前に横線が入っていないため、生きてることは分かった。
明日になれば帰ってくるだろうと思い、メイは出直すことにした。
翌朝になってもリズと連絡はとれなかったが、生きていることは確認できたので、メイはリズが夜行性のモンスターの巣にいると予想した。過去にメイも食材取りに巣に潜った挙句、丸一日帰れないという体験をしたので同じ状況だと思っていた。
店を経営しつつ、リズの場所を探っていると、昼にはいつの間にか帰っていた。これを確認したメイはこの昼食ラッシュが終わってから早閉まいし、リズの店の行くことにした。
そして昼食ラッシュも終わり、片付けもすませてからメイはリズベット武具店に向かった。時間としては夕方と夜の間の微妙な時間になってしまったが、リズベット武具店は比較的遅くまで営業してるので問題はない。
とりあえず着いたら昨日のことでも聞こうと思いつつ、メイはドアを開けた。
「いらっしゃいませー。リズベット武具店にようこそ!」
ドアを開けると中からはとても明るい声が響いた。いい笑顔で客を出迎えるリズベット。しかしメイはその笑顔の中にある違和感を見抜いた。
「……なぁリズ。今日はこの店に入ったのは私だけか?」
「えっ?今日来たのはアンタ以外ならキリトとアスナだけだけど…」
それを聞いたメイはため息を吐いた。
「来たのがまだあの鈍い二人だけで良かったな、リズ。アンタ今なんちゅう顔しとんねん。」
リズにはこの言葉の意味がわからなかった。整理しようにも思考がうまくまとまらない。そんなリズを待つことなくメイは続ける。
「泣き腫らした後やろ?顔を洗ったにしろ直後ならなんとなく分かるもんやで。昨日か今日に何かあったやろ?」
「そ、そんなこと」
リズは先程のことを思い出してしまった。キリトのこと、アスナのことを。しかし迷惑をかけないように否定した。
だが辛いことを思い出してしまったためか涙が出てしまった。感情表現がオーバーなため小さいことでも大きく出てしまう。そして隠すことなどできるはずもない。
「ほらな?絶対なんかあったやろ?」
「だから…!そんなことは無いって言って…」
言葉を遮るようにフワッと何かがリズベットを包み込んだ。
「……ほらまだ泣いてる。辛いことがあったら誰かに聞いてもらう。自分の気持ちに素直に行動する。それが一番や。まぁ相談するしないは人によるけどな。」
リズを包み込んだのはメイだった。メイがリズを抱きしめている状態であった。リズはその状態のまま確認するように質問をする。
「……本当に話を聞いてくれるの?」
「うん。」
「……一方的な愚痴になるかも知れないのに?」
「わかってる。」
「自分の気持ちに素直になってもいいの?」
「うん。」
「……じゃあ胸貸して…。」
トサッ
リズの頭がメイの胸に当たる。そしてそのままリズは自分の気持ちに素直に行動した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
リズは大声でただひたすらに泣いた。
どれほど時間が経っただろうか。やっと落ち着いたリズはメイの胸から離れた。
「……ありがと。落ち着いた。」
「よかったな。」
そこからメイは話を聞いた。
「何か食べるか?」
「できればいっぱい食べたい。」
「OK。厨房借りるで。」
メイは厨房に向かい、料理を始めた。
薄力粉、砂糖、ベーキングパウダー、卵、水、牛乳を混ぜる。
フライパンに薄く広げて焼く。
これでパンケーキの完成だ。これを大量に作っていき、数個はあんこを挟んでどら焼きにした。
あとはハンバーグなどを作り、軽くパーティーができる程他にも作った。
「はい、とりあえず作れるもん作ったから食べて元気出し。」
「ありがとう。」
そこからメイは『ノンアルコール』と丁寧に書かれた飲み物も出した。それを開け二人で飲んでいく。
一時間後、リズは酔っていた。ノンアルコールは基本的にアルコールは0ではない。アルコール濃度1%未満のものを指す。この飲み物の濃度は0.98%とギリギリだったので酔う人は酔う。
「メイは良いよね〜。落ち着いてて、大人っぽくて…。私なんか〜。」
ここからは一方的な愚痴が始まり、最後にリズは寝入った。
時間も時間だったので、メイはリズを部屋に運び、一階にある応接間かなんなのか分からないがソファがあったので、そこで寝ることにした。
翌朝、リズは昨日の夜のことを思い出し、顔を真っ赤にしながら起床した。更にそこで寝ているメイを見つけたものだから更に赤くした。
「おはようメイ。昨日はごめん…。私になにかできることないかな?」
「ん…。おはようリズ。」
メイは目が覚め、リズの話を聞き直してから答えた。
「包丁を作って。リズのできる最高のものを。」
それからリズは昨日の余りの鉱石を使い、スキルを可能な限り使い、マスタースミスに恥じない最高級の包丁を作り上げた。
「できたわよ。メイ。」
「お!できたか!」
水色に輝く新しいナイフをメイは受け取る。
「これタダでいいの?」
「いいわよ。昨日のお礼も兼ねてる訳だし。」
「ん、ありがとう。じゃあな〜。」
そう言い残しメイは店を出た。メイの背中が見えなくなるまでリズベットは見送った。
武器の名前が全く思いつかないので募集したいと思います。活動報告にてアンケートを行いたいと思うので、ご協力お願いします。
・素材は例のドラゴンから作られた鉱石
・武器は短剣
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ