コーバッツが死んだ。メイと軍の関わりはコーバッツがあってこそだった。お好み焼きのピザ切りにブチ切れキバオウと一緒に締めたのはいい思い出だ。
コーバッツはよくキバオウに連れられレストランに来ていた。タコ焼きを少し冷まそうとしてから食べようとしていたところをキバオウとメイに見つかった。アツアツじゃないと意味無いだろと言われ、アツアツのタコ焼きを口に押し込まれていた。
メイは軍の本拠地に行くほど交流があった。キバオウの企画で《お好み焼き食べ方抜き打ちテスト》が行われ、コーバッツは見事に引っかかり締められた。ついでにシンカーとユリエールも締められた。
軍の中でメイとの架け橋のコーバッツが死んだ。
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目の前で人がポリゴン片になり、その上《グリーム・アイズ》は次の獲物を仕留めるために軍のメンバーに攻撃を仕掛けようとする。それを見兼ねたアスナとメイは武器を抜き、叫びながら突撃していった。
「待て!二人とも!」
キリトが呼びかけるも止まらない。二人はソードスキルをボスに繰り出す。攻撃は全て当たり、ボスのタゲは軍から二人に移り、ボスが反撃をしかける。アスナとメイはキレていても冷静な動きで避けていったが、全てを回避しきることはできなかった。
ボスは体制の崩れたアスナを狙ったが、キリトが間に割り込み大剣を片手剣で受け流す。
「二人とも下がれ!」
タゲはキリトに移り、ボスが攻撃をしていくが、キリトはそれを防いでいくだけで、反撃はしない。キリトが攻撃をしないのは、奥で風林火山のメンバー達が軍の人たちを外に連れ出している途中のため、ボスを大きく移動させないためだ。だが真ん中で攻防をしているので軍の避難は中々進まない。
ボスの攻撃がついにキリトに届く。弾き飛ばされたが受け身を取り、無事に着地する。このままでは更に死者が増えてしまう可能性があるため、キリトは使いたくはなかったが奥の手を使うことにした。
「アスナ!クライン!メイ!10秒だけ持ちこたえてくれ!」
「わかったわ!」
「おう!」
「了解や!」
キリトは後方に下がり、ウインドウを操作し始める。その間に3人は前に出てボスとの戦闘を始める。
タゲはメイに移りボスが大剣を振り回す。それを避け、短剣スキル《サイドバイト》を繰り出す。攻撃は全て当たり、AGI補正でボスとの距離を取ったが、大剣のリーチが想像以上に長かったため攻撃が当たり、吹き飛ばされる。メイは体力の4割を削られた。
(フロアボスってこんなにきついんか…)
メイはフロアボス戦は初めてだ。まともな攻撃を初めてくらい、認識を改める。
「全員下がれ!スイッチ!」
キリトが飛び出し二本の剣で大剣を受け止める。大剣を切り返しガラ空きになったボスにスキルを叩き込む。
「スターバースト・ストリーム!」
二本の剣がキリトのスピードに乗り、ボスに襲いかかる。ボスは攻撃をくらいながらもキリトに攻撃を続ける。キリトも攻撃をくらいながらも続ける。
ライトエフィクトを纏った剣は夥しい数の攻撃を繰り出し続ける。いつ止まるのか見当もつかないほどだ。
時間にすれば僅かなものだが、ここにいる全員はとても長く感じた。
遂にボスに体力が削りきられ、ボスとキリトのタイマン勝負はキリトの勝ちで決着がついた。
「終わった…のか…?」
そう言うとキリトは倒れた。
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ボスを倒し、75層への門を有効化する場所までキリトは運ばれてからアスナの呼びかけにより目を覚ました。
「俺はどのくらい気絶していたんだ…?」
「数十秒ぐらいやな。たいしたことはあらへんやろ。」
「そうか…。」
キリトは起き上がったが、軍の方に目を配ってからしばらく沈黙が続いた。
「クライン…」
「軍の連中は回復を済ませたが……コーバッツと二人が死んだ。コーバッツの野郎が死んじまったら元も子もないだろうが!」
クラインは顔をしかめた。人が死んだことによる悔しさがあるのだろう。それはさておきと切り替える。
「ところで、お前が使ったあのスキルは何なんだよ?」
「あんなの一回も見たことないで。」
質問をされたキリトは気まずそうだ。説明したくないような感じが見て取れる。
「ええと…言わなきゃ駄目か?」
「ったりめぇだ!」
できれば人前で公開したくはなかったが、このままでは納得しないと思い、キリトは言うことにした。
「…エクストラスキルだよ。《二刀流》」
聞いたことのない新しいスキルの存在にどよめきが上がる。
「しゅ…出現条件は!?」
あれだけふざけた攻撃力を大量のプレイヤーが持てばこれからの攻略はゴリ押しで安全にできるだろう。欲しがるのは当然のことだ。
だがキリトの性格を考えれば予測できた答えが帰ってくる
「解ってたらもう公開してる。」
「「だ(や)ろうな〜」」
キリトは以前ビーターの汚名を被り、更に《月夜の黒猫団》のこともあるので隠していた。
「まぁこんなん1人だけ持ってたらやばいしな。ヒースクリフ同様のユニークスキルやろ?」
「そうだな。ネットゲーマーは嫉妬深いからな。」
しかしメイやクラインは空気を読んでも、軍の前でこんなおおっぴらにユニークスキルを使ってしまえば隠すことはできない。
75層への通路は風林火山がアクティベートすることになり、キリト達はホームへ直行。メイは軍の見送りをすることになった。
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メイは軍を1層の本部まで送り届けた後、応接間にいた。その場にはメイの他には座ってるキバオウがいる。
「…あれはキバオウさんの指示ですか?」
「あれとはなんや。はっきり言わんと分からんな」
シラを切るキバオウ。メイの店の常連ではあるが痛い所は突かれたくないのだろう。
「少数での74層に送り込んだことですよ。コーバッツさんを含め3人死んでます。」
「3人死んだのは知ってる。コーバッツ達のことは残念や。でもワイは見てこいって言っただけで倒せなんて言ってないで。」
キバオウはコーバッツ達には「倒してこい」と言った。このことがメイにばれてしまえば、軍全体と仲の良い彼女はトップのシンカーやユリエールにも伝えてしまう。キバオウはそれを危惧している。
「まぁいいですよ。次からはやらない方がいいですよ。やれば多分キバオウさんの方が危なくなりますよ。では失礼します。」
バタンとドアを閉めメイは軍の本部を出た。
「お前には分からんのや…。ワイの立場が…。」
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軍の本部の裏には墓地がある。軍の戦死者達の墓だ。グリセルダ同様の墓であり、メイはその一つの前に座っている。
コーバッツ准将 74層ボス戦にて戦死。
以前まで中佐だったコーバッツが准将になってるのは、戦死による2階級昇進だ。こんなゲームにも現実の軍のような規律があることにメイは悲しくなる。
「コーバッツさん、ごめんなさい。あの時私がもうちょっと早ければもしかしたら助けれていたと思うのですが…」
メイが動いたのはコーバッツが死んでからだ。部屋をのぞいた時に2人いなかったのだからその時点で入るべきだったと後悔する。
「本当にごめんなさい。ごめんなさい…。」
ポタッと涙が落ちる。ラフコフと関わってきた以上、この世界での人の死は見てきたがやはり慣れない。特に知り合いなら尚更だ。
「じゃあ…私はこれで帰ります。これ、向こうで食べてください。」
コーバッツの墓の前にお好み焼きが乗った皿を供える。メイはコーバッツに別れを告げその場を去った。
「死んでもまだお好み焼きですか!?」
コーバッツはあの世で泣いた。
次の話は料理作れそう
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ