フレンドシステムについて独自解釈あるかもしれません(無知)
ヒースクリフとのスポンサー契約はメイが有利なものではあるが、やはりkobの援助はしなくてはならない。メイはいつもより早い時間に目覚ましによって起こされ、厨房に立っていた。
kobに注文されたのは、今日フィールドワークに行く4人分のパンだ。訓練から気を抜かないために簡単なものにしてくれと頼まれている。なので丸パンを作ることにした。
ボールに強力粉を入れ、イーストと砂糖、塩をわけて入れ、砂糖とイーストめがけて水を入れる。
これらを混ぜて、まとまったら台に移し、こね続ける。
バターを入れ、馴染んだら一次発酵で一週間ほど置く。これはシステムによる時間短縮ができる。
発酵が終わったらガス抜きをして、好きな大きさに分けていく。今回は出来るだけ均等に分ける。
10分ほど休ませ、成形し直し、40分ほど二次発酵させる。(時間短縮)
オーブンに予熱し、焼いたら完成。
「まぁこんなもんやな。」
丸パンをしまいメイはホームを出る。目指すのは55層の街とフィールドを区切る門だ。
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メイが目的地に辿りつくと、そこには既にゴドフリーがいた。今日の訓練の責任者はゴドフリーと聞いているので、他の団員より早く来ているのは当然のことだった。
「お待たせしました!こちら今日の昼食分です!」
「おぉ!ありがたい!これで今日の訓練も万全ですな。」
ゴドフリーはパンを受け取った。他の団員がくるまで時間はあるが、メイの今日は特になく暇なので、見送りをすることにした。
しばらく待つとプレイヤーが二人やってきた。その内の一人はメイと面識がなかったが一人はよく知っている。
「あ、クラさん!」
「あ、メイさん。おはようございます。」
「そう言えば君たちはよく知った仲だったな。」
ゴドフリーは以前メイの出前のカレーを食べたことがある。その時のメイの護衛にいたのはクラディールだった。
メイは三人で話そうとしたが、クラディールがそれを拒む。クラディールの様子がいつもより暗い雰囲気になっており、心配になったメイはゴドフリーに何があったのかを聞いた。
「クラさんの様子がいつもと違いませんか?」
「あぁ、これから来る団員と先日揉めたらしくてな。少し気まずいのだろう。」
なるほど、それならあんな様子でも仕方ない。訓練が始まる前にゴドフリーが仲を取り持ってくれることを信じ、メイは待った。
噂をすればなんとやら。kobの装備をした人がこちらに向かってくる。
「お、やっときたな。」
やってきたのはいつも黒の装備で固めていたが、この度決闘に敗けてkobに入り、装備が制服になったキリトだ。いつものイメージとかけ離れすぎたため、その服装は全く似合わない。
「なんやねんその格好w。似合わなさすぎやろw。」
「やっぱりお前も笑うのか…。」
キリトのあまりの似合わさなにメイは笑う。だがその内心ゴドフリーの先程の言葉に思うところがあった。
(キリトとクラさんが揉めたんか。ならラフコフネタなんかな?)
だがその考えはあまり有り得ない。ラフコフネタの揉め事ならクラディールの正体が怪しまれる。だが他の団員を見ている限りそんな素振りはない。ゆえにメイには揉め事の原因が分からなかった。
ちなみにメイは74層でのキリトとクラディールの決闘事件を知らない。
「二度と無礼な真似はしませんので……。」
「これで一件落着だな。」
メイがふと我に帰ると既にクラディールが謝罪していた。その顔は前髪に隠れてよく見えなかった。
「では出発する前に結晶類を預かりたい。緊急時の反応が見たいのでな。」
キリトはこの発言に少し不満そうだったが、チームリーダーの方針に部下が逆らえないので従うことにしていた。
結晶を全て預かったゴドフリーとキリトやクラディール達は出発した。
(結晶アイテムなしかぁ…。)
少し不安を覚えながらメイは4人を見送った。
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今日はいつもよりメイの店には客足が伸びなかった。最近は忙しすぎて、休憩もあまりとれなかったので、ガラガラの店内で昼休憩を取ることにした。
先ほどの丸パンとコーヒーを取り出し、昼食を食べ始める。食べている途中でふとキリトとクラディールのことを思い出し、ウインドウを開いて、位置情報で様子を見ることにした。
奇しくもこの時にアスナも別の場所で同じことをしていた。ただ唯一違ったのはメイはゴドフリーとフレンド登録をしていないことだ。なのでアスナはゴドフリーの消滅を確認できたが、メイにはそれを知る由もなかった。
(別に大丈夫そうやな。)
メイがウインドウを開いていた間は全員が麻痺になる直前からゴドフリーが死んだ直後までだ。アスナが向かっていることすらも知らずにウインドウを閉じた。
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「ありがとうございましたー。」
今日の最後の客を返し、閉店準備に取り掛かる。キリトの初任務祝いでも持っていこうかと思い、どこにいるのか確かめるためにウインドウを開く。
開いた瞬間メイは青ざめた。メイのフレンド欄はそのプレイヤーをカタカナ表記にしたときの50音順で並べてある。なので《キリト》の次は《クライン》。その次は《クラディール》なのだ。しかしその《クラディール》の文字は光っておらず、横線が入っていた。
メイは片付けを全て投げ出し、ホームを飛び出て《始まりの街》へ向かった。黒鉄宮にたどり着き、《生命の碑》に入り、クラディールの名前を探す。見慣れた綴りなのですぐに見つかった。
死因 他殺によるHP全損
その文字を見た瞬間メイは膝を折った。ショックだったのだ。いつかエギルと3人で夕食を食べた時に脱出しようと話した仲だ。出前の護衛についてもらい、ダンジョンを進んだ仲だ。ラフコフのメンバーと知られても変わらずに接してくれた人が死んだことがショックだった。
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現在メイは55層フィールドのある岩山に来ている。最後にクラディールの位置を確認したのはここなので、ここに墓を作ることにした。コーバッツの時に既に経験したのでその作業は手慣れているように見える。
「できましたよ。クラさん」
できあがったのはやはりグリセルダやコーバッツと似たような墓だった。墓石に使えそうな石の種類は少ないのでどうしても似たり寄ったりになってしまう。
「すみません…。死んでからじゃ気づいても何もできないのに…。」
返事はない。メイの言葉は夜の暗闇と岩山の間に吸い込まれていく。
「もっと私に力が……。あれ…ば……。」
墓石の前に涙が落ちる。いつの間にかメイは泣いていた。コーバッツの時と同じだ。やはり仮装世界でも人の死には慣れないものだ。
「なんで…!なんでいつも知らないところで人が死んでしまうねん…!」
歯を食いしばりながらメイは言った。それと同時にこの世界でいつの間にか死んでしまった《彼等》を思い出した。
《彼等》は5人組だった。男4人女1人の仲良しパーティだった。最初の出会いは下層だ。まだメイが店を持ってなく、屋台で稼いでいた頃に出会った。この張り詰めていた世界の中であれほど仲良く、賑やかに食べてくれたのは《彼等》が初だった。それからも度々食べてくれたが、ある日、リーダーの男の子がギルドに強い人が入ってくれたので、攻略組でフロアボスを倒すのを楽しみにして下さいと言われた。それまで店には来ることは難しくなりそうだが待ってて下さいと言われた。
だが遂に《彼等》は来なかった。メイが店を持ち、しばらくしてから来ることもなく、連絡をしようと思い探したが見たからなかった。《生命の碑》を確認し、全員の名前に横線が入ってるのを見た時にはショックだった。
メイはクラディールと《彼等》を重ね、涙が止まらなくなった。墓石の前でただひたすらに泣き続けた。
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「すみません。こんな自分勝手に泣いてしまいました。」
メイは泣き止み、墓石に向けて謝った。返事はなかったがそこには困り顔のクラディールがいるように思えた。
「本当にすみませんでした。私にはここにきて墓参りをすることしかできません。」
メイは立ち上がり、踵を返す。
「また、来ますね。」
メイは自分に喝を入れ、いつもの顔でホームに戻った。
クラディール生かすルート考えたけど無理だった。あの2人を別ルートでくっつけるアイデア出なかった。
どうせ伏せても《彼等》の正体はバレバレかと思われ
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ