今日は火曜日。中華の日である。
昨日アルゴ姐さんが来てから客足は思っていた以上に伸びており赤字という悲劇は当分起こりそうに無い。
また今度姐さんにはお礼をしなくては。
それでも開店2日目であるので50層を中心に活動している人が多かった。他の層の人達が来るまでにはもう少し時間がかかりそうだ。
チリンチリン
「いらっしゃいませー」
「ここだな。近所にできたレストランは。」
入ってきたのは全身が黒の装備で統一された中性的な男だった。近所と言っていたので彼も50層の人だろうか。
「店主のメイです。50層にホームでもあるんですか?」
「俺はキリトだ。よろしくなメイ。確かに俺は50層にホームを持っている。」
完全にご近所さんでしたね。というかキリト!?《黒の剣士》だの《ビーター》だのと色々と名高いソロ(ボッチ)プレイヤーさん!?こんなに近くに住んでいたのか…
「あっ、こちらメニューです。」
「そんなに堅くなくタメ語でいいよ。同じくらいか少し上だと思うし。」
結局確認したところ歳は私が3つ上だった。
そんなことは気にしない様子でキリトは麻婆豆腐を頼んだ。
「ちなみに辛さは10段階ありますけどどないする?」
「もちろん10で頼む。」
キリトは辛さの確認もせずに10を頼んだ。ちなみに10は唐辛子を10使うって意味だ。唐辛子密度がすごいことになってて赤黒い。
そんなことは気にせず作り始めるとしよう。
豆腐を食べやすい大きさに切り沸騰したお湯で湯通しして水気をよく切る。
豆板醤、唐辛子(10個)、ニンニク、生姜を炒め、香りが出たら豚ひき肉をに入れ色がつくまで炒める。
豆腐、水、醤油、酒、砂糖などを加えて煮込む。
とろみをつけて山椒とラー油を入れて完成。
せっかくだ。山椒とラー油の量も増やしといてやろう。辛さ10初挑戦祝だ。悶ろ(直球)
「お待ち遠様。辛さ10(実際それ以上の)麻婆豆腐です。」
「メイ?これ本当に辛さマックスか?見た目が普通じゃないか?」
「見た目の保持に結構頑張ったんですよ。」
当たり前だ。料理スキルにはある程度だが見た目をいじることができる。
料理には見た目も大事ということをシステムを作った茅場も分かっているようだ。
「それじゃ頂きます。」
(逝け!悶ろ!)
パクッ
「辛ッ!ゴフッ…み、水…」
………なんてことを期待したが目の前の男は匂いだけで鼻が痛いこの麻婆豆腐を平然と食べている。
「こんなものだな。美味い。」
どんだけ辛さに強いんだこの男。まぁ美味いと言ってくれるだけ良かったが…
「それはよかったです。最前線のトッププレイヤーに褒められるとは光栄です。」
「いや、お世辞じゃなくて本当に美味しいよ。また今度クラインとかに教えてやりたいくらいだ。」
おっ、やったお客さんが増えそう。
「そういやメイは狩りとかはしているのか?」
「いうほどしてませんよ。最近店の方に集中しててちょっと鈍り気味で。まぁ明日は定休日のつもりなんで行きますけど。」
「こんなに美味い料理が久々に食えたんだ。明日少し手伝うよ。」
「最前線の54層はお断りです。」
結局明日私はキリトと狩りに行くことにした。久しぶりの外なんで少し楽しみでもある。
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ