ここからはタイトル詐欺になることがメインです。そして今回は4500文字でいつもより長いです。
未帰還者&ALO
2年間動かしていなかった体を元に戻すために、皐月はリハビリに励む。解放直後にナースコールをできたのは殆ど執念だけのものであり、その後からめっきり動かなくなった。
リハビリに専念したおかげで、皐月はある程度まで回復はした。だが2年という時間はあまりにも長すぎたため、軽度だが後遺症が残ってしまった。
皐月の足は完全には治らなかった。だが日常生活をする程度には問題は無いが、走れなくなった。
約一ヶ月半リハビリに励んだがダメだった。どれだけ頑張っても走ることだけはできなかった。しかし足以外は特に問題もなく、元に戻ることがてきた。なので退院の予定はできていた。
退院日を迎え、2年ぶりに親戚の家とはいえ家の安心感に包まれる。皐月はSAOの発売日は先着順ではなく、抽選制の店を見つけ、東京の叔父の家にいた。なのでSAOログイン中も東京の病院にいた。
「本当によかったな皐月。足は治りきらなかったがこうして無事に戻ってこられて。」
皐月の叔父は涙を流しながら言う。姪がデスゲームに囚われ、弟になんと言えば良いのかわからなかった。自分の娘じゃないにしろ、心配なものは心配だった。
「最初は俺も心配したんだよ。多くの人が目覚めていく中、お前も一部の人と同じように目を覚まさなかった。だが遅れたとは言えお前は目覚めた。本当によかった。」
そう。SAO事件はまだ終わってはいない。皐月のいた病院では全てのSAO患者は目を覚ましたが、未だ300人ほどのプレイヤーは目を覚ましていなかった。その者たちは今は未帰還者と呼ばれている。
皐月も最初は未帰還者だと思われた。院内のSAO患者が目覚めていく中、皐月は目を覚まさなかった。病院関係者達は大いに慌てた。生命反応はあるのに目覚めない、だが他の人は目覚めた。ならナーヴギアに触ってよいのか?となったが迂闊に触れない。
だが他の病院でも目覚めない人がいるので皐月もその一人だと結論付けることになった。
だが皐月は目覚めた。他の人が目覚めて約3時間後に目を覚ました。これなら他の人も目覚めるのでは?っと思われたがそんなことはなかった。
(ログアウト直前に茅場昌彦とラーメン食べながら話してたなんて言えへん…)
遅れた理由はこれである。だがはぐらかせばそこそこなんとかなった。
退院してから数日、家で過ごしていると携帯電話がなる。その液晶には《篠原美優》と表示される。
その名前を確認すると皐月はすぐに電話に出た。
『やっと繋がったー!元気してた!?皐月!』
「相変わらず元気やな美優は。」
受話器の向こうから明るい声か聞こえる。皐月と通話してるのは篠原美優。皐月の親戚であり、はとこである。
『本当に2年間ずっと心配したんだよ。体はもう大丈夫なの?』
「もう大丈夫やから問題ないで。それより美優は今年受験やろ?それこそ大丈夫なん?」
『うっ…。それを聞かないで欲しかったなー。てか皐月も高2でログインしたからそっちのことも気になるんだけど。』
「SAOにログインしてた人を対象に学校を作るって聞かされたよ。そこで高校卒業認定書はもらえるらしいから大丈夫やろ。」
SAO生還者の学生には社会復帰のために専用の学校がつくられることになっている。皐月もそこに通うことになっており、今は勉強もしている。
それから皐月は美優から親戚の話を色々と聞き、時間を過ごしていく。そしてもう一度勉強の話になると美優のテンションが上がった。
『そういや皐月はALOって知ってる?』
「知ってるで。ナーヴギアのダウングレードのアミュスフィアのVRMMOやろ?」
『よく調べてるねー。やっぱりゲーム好きだね。』
SAO事件により世間からVRMMOは消えたと思われたがそうではなかった。安全性が高い新しいハードをつくり、今も生き残っている。
その中で今話題なのはALO。『アルヴヘイムオンライン』だ。その中ではプレイヤーは種族ごとの妖精となり、楽しむゲームである。妖精というだけあって翅がついており、人間には不可能の飛行ができるようであり、多くの人に人気だ。
『そこでならお互い会って勉強できるんじゃない?受験生が教えるよ〜?』
「いや、正直VR怖いから断らせてもらうわ。それに勉強ならギリ間に合ってるから。」
『皐月そこそこ成績よかったもんね。偏差値いくつぐらいだっけ?』
「……全国模試で偏差値55前後をウロウロしてただけやけど。」
長らく勉強しているが、さすがに習っていなかったところはキツい。実際皐月は数学の一部と理科で詰まっている。
『んじゃ、そろそろ切るねー。』
「またいつか北海道いくから待っててな。」
電話を切り、皐月はもう一度机に向かった。
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いつもの様に勉強、料理をしながら過ごしていく。SAOの様にシステムによる時短はなくなったが、やはり本物の料理は楽しいものだった。
「ただいまー。」
皐月は買い物を終え、荷物を片付けると部屋に入る。勉強を始める前にパソコンを開けば、メールが入っていた。そのメールを開くと、SAOでの恩人からだった。
fromアンドリューさん 『これを見てほしい。』
アンドリューと言うのはエギルのことだ。本名はアンドリュー・ギルバーズ・ミルズ。そのメールには短い文と一枚の写真があった。その写真を開くと鳥籠に女の子が囚われているようだった。
ただの女の子ならまだよかったが、皐月には見過ごせなった。どうみてもそれはアスナにしか見えなかった。
アスナはまだ目覚めていない。300人の目覚めていないプレイヤーの一人だ。
皐月はアンドリュー(以降エギル)の店に行き、事細かく事情を聞くことを決め、台東区のカフェに向かう。
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皐月は目的地に到着し、店の扉を開く。長いこと自分の店を構えていたので、他の店に入ることに懐かしみを感じた。
「よう、メイ。意外と早かったな。」
「割と近いですからねここは。」
皐月はカウンター席に座り、さてっと呟く。
「さっきの画像の話を聞かせてもらってもよろしいですか?」
「もちろん、そのつもりだ。」
皐月はエギルから話を詳しく聞いた。その内容としては先程の写真は、ALOの最終目標の世界樹という場所に、何があるのか気になったプレイヤーが、正規の中からの攻略ではなく、飛行を駆使して外壁から撮影したものだという。
やはり何度見てもそれはアスナにしか見えない。ALOプレイヤーからは重要なNPCと思われているようだが、SAO生還者にとってはそうは思えない。
「エギルさん。私は行きます。あの世界での仲間かと思われる人を見捨てるなんてできません。」
「お前ならそう言うと思っていたよ。ほらこれ」
エギルはALOのソフトを取り出し、皐月に渡す。皐月はそれを受け取り、礼をした。
「ちなみにそのソフトはナーヴギアでもできる。更にさらにその中で死んでも実際に死ぬようなことはなかったらしい。」
それを聞いた皐月は帰りに電気屋に寄ることをやめにした。
「そういやキリトにはこのことを言ったんですか?」
「いや、まだだ。お前ら二人には連絡がつくから同時に送ったがまだあいつは30分ぐらいここには来れないらしい。とりあえず先にお前だけには話したんだ。」
「なるほど。それでは。」
「絶対に助け出せよ。それまで俺たちの戦いは終わってないからな。」
皐月は店を後にした。
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帰り道、皐月は悩んだ。それは叔父の説得と美優のことについてだ。美優にはログインしないと言ってしまったが、結果ログインすることになった。まぁ彼女も受験生なので、ログインすることもないだろう。これは秘密にすることにした。
問題は叔父の説得だ。あれほど心配してくれた叔父にまたVRに行くとなったら無理にでも止められる。だが隠れてしようにしても据え置きのゲームなのでそれもできない。皐月は溜息を吐き、相談することにした。
家に帰り、皐月は叔父に事情を話した。そうすれば意外にもすぐ頷いてくれた。なんでもSAO生還祝いとして、やりたいことはやらせるつもりだったらしい。実家の両親にも内緒にしてくれるようなのですぐに片付いた。
こうして全ての問題が片付き、皐月はナーヴギアを被り、ログインすることになった。
「リンクスタート」
全てのセッティングを終え、ログインする。2年ぶりのログイン時の感覚と、新しいゲームを始めるワクワク感はある。
プレイヤーIDとログインパスワードは特に思いつかなかったので、SAOの時と同じものにした。そして最初についたのは暗い空間だった。
『《May》様。種族はどうなせれますか?』
メイの目の前に9種類の妖精の選択肢と説明がでてきた。
火属性の魔法が得意で戦闘向きの火妖精
水属性の魔法と回復魔法が得意の水妖精
風属性の魔法が得意で素早い風妖精
土属性の魔法が得意で防御の高い土妖精
モンスターを仲間にできる猫妖精
武器をつくることが得意な工匠妖精
洞窟の中でも飛行可能な闇妖精
魔法で音楽を奏でる音楽妖精
幻惑魔法が得意な影妖精
これらの説明を見て少し悩んだ。メイの目標は世界樹の攻略になる。その中で選択肢は少し狭められたが、決め手が薄い。
少し悩んだがやっと決まり、選択肢を押す。
『ようこそ、ALOへ。』
視界がひらけ、空中に放り出される。スタート時に少しでも飛行の感覚に慣れさせるものらしい。きれいな景色を楽しみながらメイはゆっくりと降りて行く。
だがそうにもいかなかった。
降りている途中で突如視界が暗転し、元に戻ったかと思えば森の上だった。この世界にも飛行にも慣れていないメイは頭から森に落ちた。
「つっー。どうなっとんねんこれは。」
とりあえずゲームが始まったことには変わりないので、現状を確かめるためにメニューを開く。
「……はぁ?」
開いたメニューには異常しか見つからなかった。一番分かりやすかったのは所持金だ。どう見ても数値がおかしい。初心者が持ってる額ではない。スキルメニューも確認してみればあまりにも高い数値だ。だがメイには見覚えのある数値だった。
「SAOのときのステータスかこれ…?」
さらに確認してみればそれを決定づける証拠があった。メニューの中に説明書にはなかったコマンドがある。
「SAO世界のコピーなんか?これは?」
アイテム欄を開けば????????の文字が大量にあったので、怖くて消した。
とりあえずどうすればいいのかわからなくなったのでメイは飛行練習をすることにした。これがあれば移動には困らないので習得する必要がある。
「おぉー浮いた浮いた。」
翅を出し、少しだけ浮くことができた。そこから前に進むことを意識してみる。
「おぉー。進んだ進んだ。って速いなぁ…。ちょいちょいちょいちょいちょいちょい!」
加速が更に更についていき止まらなくなった。
「うわーーーーー!!」
そのままメイは森の更に奥へと入っていった。
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木をなんとか避け続け、止まらないまま飛行を続ける。どれだけ進んだかわからなかったが、遂に希望を見つけた。
遠くにだが4人のプレイヤーを確認できた。なりふり構ってはいられないのでメイはその4人の近くにある茂みに向かって頭から突っ込んだ。
「助けてくださーい。」
情けない助け声が響いた。
テスト期間なので多分来週は無理かもです。
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ