デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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まるで進まねぇ


新人訓練&首都

メイとカゲムネは火妖精首都《ガタン》に向けて飛行を続ける。途中でメイはコントローラーでの降り方の方法も頭には入れたので問題はない。

 

二人はやっとガタンに到着し、街の中に降りる。メイにとってはバグにより、ALOを始めた直後に着く場所だったが、始めて首都に入った。

 

降りた先には先程森で見た顔がいた。影妖精に倒された二人だ。

 

「カゲムネさん。無事だったんですね。あの風妖精と影妖精は倒したのか?」

 

「案外話が通じてね。この新人さんと逃げてきてきたんだ。」

 

「新人もよく逃げ切れたな。あの感じだとデスポーンするかと思っていたがな。」

 

メイとカゲムネは二人に囲まれながら森の中でのことを話した。風妖精と影妖精への敵討ちがなかったことに対して少し不満がある様子ではあったが、流石に2対1だとどうしようもないことを理解してくれたので、すぐに解放された。

 

「じゃあメイさん。俺は今から領主に報告するけど、君も挨拶していくかい?」

 

「領主なんてあるんですね。一応そうさせてもらいます。」

 

メイとカゲムネは領主のいる、首都の中で最も目立つ建物に向かった。

 

カゲムネの案内により、メイは火妖精の領主の前にいる。その領主の名前はモーティマー。ALOで最強と呼ばれるユージーンというプレイヤーの兄であり、とても頭が回るようだ。なので多くのプレイヤーは『武』のユージーン。『智』のモーティマーと呼ぶ。だが今この場にはそのユージーンはいなかった。

 

「以上が報告であります」

 

その報告内容としては『風妖精二人を倒しきれず、アイテムを奪えなかった』と簡潔にまとめたものであった。

 

「あぁ、ご苦労。そしてそのプレイヤーは?」

 

カゲムネの報告を聞き終えたモーティマーはメイに視線を向ける。見慣れないプレイヤーなので当然だろう。

 

「この度ALOを始めた新人の火妖精です。メイといいます。」

 

「今時領主に挨拶にくる新人は珍しいのだがな。だがその姿勢は好きだ」

 

メイはモーティマーに挨拶をし、モーティマーはそれに応える。流石にモーティマーも全ての火妖精プレイヤーを把握はしきれない。覚えているのは目立つ功績を挙げた者と、作戦に数多く参加したプレイヤーぐらいだ。その上ゲームを始めた新人はすぐに知り合いと行くか、単独行動が多いので挨拶に来る者も少ない。

 

「さて、メイ。つかぬことを聞くがお前は何故この世界に来た?」

 

ALOの世界にくるプレイヤーの目的は様々だ。ただ仲間内で話したり、空を飛ぶだけで楽しむ人。PKだけを目的にした人。世界樹攻略を目指す人。モーティマーとしては常に戦力は欲しいところではあるので、女性プレイヤーならエンジョイ勢だと思っている。

 

「私の目的は世界樹の攻略です。なので来たる日には是非パーティーに入れてほしいです。」

 

モーティマーはこれほどやる気のあるプレイヤーの参加に素直に喜んだ。今は期待はしていないが、戦力の増加は喜ばしいことである。

 

「ではカゲムネ。そのプレイヤーを新人訓練場まで案内してやれ。」

 

「わかりました。」

 

「失礼しました。」

 

メイとカゲムネは部屋から出て、訓練場まで行くことにした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

カゲムネの案内により、メイは訓練場に到着した。道中に短剣を買ったり、どういった内容の訓練をするのか確かめたところ、随意飛行と近接戦闘の訓練のようだ。魔法の使い方は詠唱だけで、その上指向性のようなのでスペルを覚えるだけなので必要ないらしい。

 

 「じゃあ後は頑張れよ。」

 

カゲムネは案内が終わるとその場を後にした。訓練場の大きさは体育館を2つ並べたようなものだった。一つ分は飛行訓練場、もう一つが近接戦闘用なのだろう。

 

メイは飛行訓練場の中に入る。その中では何人かのプレイヤーがぎこちなく飛んでいた。一部制御ができてないものもいたが、それはメイも同じだ。

 

「君も訓練希望者か。カゲムネから既に話は聞いてる。」

 

「こちらこそよろしくお願いします。」

 

訓練場の教官のようなプレイヤーとメイは挨拶を交わす。それが終わると訓練の説明に移った。

 

「ここでは随意飛行。つまりコントローラーを使わない飛行を訓練してもらう。これを習得するこで空中でも両手を使って戦うことができる。」

 

随意飛行の簡単な講座を受け、すぐに訓練に入る。翅を出す前にメイは質問をした。

 

「なんかコツなどはありますか?」

 

「コツは肩甲骨から仮想の筋肉が伸びていることを意識してやることだな。とりあえずやってみよう。」

 

メイは肩甲骨に意識を持っていき、翅を出す。蝉のように翅を動かし、飛ぶための準備を整える。斜め方向に勢いよく飛ぶと、他の訓練プレイヤーとぶつかった。

 

「前よりよくなったけどこれは難しいなぁ。」

 

「この飛行には慣れるまで時間がかかる。頑張ってくれ。」

 

だがものの数分もすればメイはスイスイと随意飛行をしていた。SAOの中で2年もずっと過ごしていたので、VRには完全に慣れている。

 

「筋が良いなんてものじゃないな。」

 

メイは周りからはVR適性が高いか、センスがいい、またはその両方だと思われるだけで済んだ。

こうしてメイは誰よりも早く飛行訓練は終了した。

 

メイはすぐに次の近接戦闘訓練を受けることにし、隣の建物に入る。中には様々な武器を持ったプレイヤー達が実践稽古のようなものをしていた。メイもその場に加わり訓練を始める。

 

だがメイは初心者とは違い、SAOから引き継がれたスキルと、数ヶ月のブランクはあるものの2年で培った戦闘技術があるので、すぐに合格ラインにたった。

その場にいた教官とも勝負をしたが、大したこともなく、楽々と突破した。

 

たった数十分で全ての過程を終えたメイはその場を後にした。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「とりあえずこんなもんでええかな。」

 

メイは体力回復アイテムと魔力回復アイテムを買い貯め、更に魔法について書かれた本からスペルをメモした紙を数枚用意した。それぞれメモした魔法の種類はそれぞれの属性の初期魔法から中級魔法だ。

 

まだ落ちるまでの時間には余裕があるが、地図を見ながらログアウトするための宿を探す。宿に到着するとちゃんと確認してなかったステータスを確認する。

 

「料理スキルって動くんかな」

 

気になったメイはすぐに実験することにした。ジャガイモと人参を用意し、短剣を当ててみる。するとSAOの時のように一瞬で切り分けられた。

 

「動くんやな。やっぱりエンジョイ組用なんかな?」

 

他のスキルも見れば、きちんと動くようなので、特段問題はなかった。ソードスキルが無いのが些かきついところではあるが、そこは仕方ない。他のプレイヤーも同じなので気にしないことにした。

 

メイはベッドに横になり、寝落ちによる自動ログアウトをした。

 

 

 

 

 




Q モーティマーって誰?

A 本文にも出た通り火妖精領主。アニメだとシグルドと交渉してた火妖精のどれか。

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • ロニエ
  • ティーゼ

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