デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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食事と言ったな、あれは嘘だ。酒しか出ないぞGGO編






テキーラ&《ランガン》

あの日以来シキはピトフーイと時々パーティを組むようになり、廃街へ出かけることが多くなった。そのおかげで最低限の射撃精度は身に付けることができ、GAU-22でしっかりと戦えるようにはなった。

 

だがピトフーイもリアルの事情がないわけでもないようだ。今日はどうやら忙しいようであり、シキの店にはいない。シキは1人でフィールドに出る気も特になく、今日は店で働くことにした。

 

しかしやはり立地は悪く、特に人が来る気配もない。暇を持て余したシキは自分の店の台で1人ビリヤードをしていた。だがそれもすぐに飽き、再びカウンターに戻り調理本などを読む。

 

ギィ…バタン。

 

「なんだ。誰もいないじゃねぇか。」

 

「いらっしゃいませー。」

 

軽口を叩きながら入ってきたのはキャリコM900Aを持った男性プレイヤーだ。頭には赤いタテガミのようなものがあり、サングラスをしてあり顔には傷が入っている。上半身はマントで装備はよく見えないが、下は黒と赤を主軸にした装備だった。

 

このプレイヤーはGGOでは有名プレイヤーである。何かしらのランキングにおいてはほぼ上位にその名前を残し、GGOでの還元システムでの金稼ぎ率もトップレベルだ。その名は《闇風》。シキのような底辺新人プレイヤーでも知ってるほどだ。

 

「有名プレイヤーさんに来て頂けるとは光栄です。」

 

「何、街を散策していたら見つけてな。今までに見たことがなかったから興味本位で入ったってだけだ。そう謙虚にならなくていい。」

 

そう言って闇風は店内を見て回る。最初にカウンターを眺め、次にビリヤード台を、最後にはシキの立っているカウンターの内側を見た。

 

「設備は良いのにな…。なんでこんな立地にしたんだ」

 

闇風の言葉がシキの胸に刺さる。確かに真面目にやるつもりも無かったがここまではっきり言われると来るものもある。だがそれより流石はトッププレイヤー。観察眼もすごい。

 

「まぁ別にいいじゃないですか。それより何か飲みます?おつまみもありますよ」

 

シキは闇風に席に座るように促す。闇風もそれに応えて席に座り、シキの後ろにある酒類を置いてある棚を見る。

 

「テキーラをストレートで頼む。つまみはチーズとジャーキーで。」

 

「度数大丈夫ですか?」

 

「味と気分だけのものだし現実に影響はしないから大丈夫だろ。味覚エンジンが作動するだけだしな」

 

「それもそうですね。少々お待ちをー。」

 

廃街から調達したテキーラを開ける。ストレートなので特に何をするというわけでもないのでそのまま出す。チーズとジャーキーも缶詰なので開けるだけである。

やはりSAOと違い、GGOは料理スキルを使うための設備がなく、また食べ物もすぐに食べれる簡単なものになっているので料理できないのは物足りないという気持ちもある。それでもある程度は食事も楽しめるので問題はないだろう。

 

「お待たせしましたー。こちらお酒とおつまみです。」

 

 「来た来た。美味そうだなぁ」

 

そう言って闇風はテキーラを一口飲む。テキーラはアルコール濃度40%を越え、飲み方を間違えれば危険であるがここは仮想世界。多少キツイところはあるがアルコールが体に染み渡るような感覚が確かに闇風に走る。そしてストレート特有の仄かな甘味を楽しむ。

 

「っー美味い!」

 

テキーラを飲んだ闇風は思わず叫ぶ。そしていつのまにか横に置かれていたチーズとジャーキーが目に入り、それを食べる。

 

「この組み合わせがいいんだよ!」

 

「すごく美味しそうに食べますね。見ててこっちまで楽しくなりそうですよ。」

 

実際ここまで自分が作ったものを美味しそうに食べてもらえると料理人冥利に尽きるというものだ。その上VR世界特有のオーバーな表現も相まって、シキにも食欲が湧いてくる。だが営業中なのでそういうわけにもいかない。

 

「そんなにテキーラ好きなんですか?」

 

ふと目の前で美味しそうに飲む闇風に聞く。

 

「俺はキツイものが好きでな。でも酒はそこそこしか飲めないから現実に影響の少ないここなら幾らでも楽しめる。」

 

ゲーム世界と現実世界では確かに違うところがある。それはできないことができることだ。レースゲームなら道路で出せないスピード感が楽しめる。ALOなら空が飛べて剣を持てる。GGOなら銃が撃てる。このように現実でできないことを楽しめることだ。飲食もその区分内にあり、現実だと好きだけど食べられないものを食べたり飲んだりすることができる。

 

「店主さんも《できないこと》を楽しみにここに来たんだろ?」

 

「ほとんど商売目的でやってますけどね。でもフィールドに出て戦うのも私はそこそこ好きですよ。」

 

「だな。俺も好きに走って好きに銃を放つためにこの世界にいるからな。こういった飲食だって今見つけた楽しみ方の一つだ。一部の層はハマりそうだな」

 

2人はそれからVRゲームの魅力について語り合う。あれはどうだ。これはどうだと話し合い、やはりGGOにいるからには話はいつしか銃の話になる。それから闇風は初心者のシキにAGI型の魅力を語ったが、コンバートのシキはもうステータスをイジりにくいので肩を落とした。

 

「そういやAGI型万能説が今話題ですけど闇風さんもその話題が出てからステータス調整したんですか?」

 

ふと思ったことを口に出す。ゼクシードというプレイヤーがAGI型万能説を推し、今では多くのプレイヤーがそのステータスでGGOをしている。相手の攻撃を避け自分の攻撃を素早く多く叩き込む型は確かに強い。

 

「いや、俺は初めからこのやり方だ。これが俺にはドンピシャだったんだよ。それにあの野郎の流行りに乗ったと思われるのも何か嫌だな。」

 

「あの人もランキングトップですもんね。やっぱゼクシードさんには負けたくないんですか?」

 

「あぁ。次の第2回BoBで俺が勝つ。」

 

BoBとは簡単に言うとGGOでの大会の一つであり、予選で勝ち残った30人のプレイヤーがバトルロイヤルするものだ。シキがログインする前に第1回大会は終了しており、近々第2回大会が開催される。

 

闇風の声は本気であり、ゼクシードというプレイヤーに勝つつもりだ。シキはゼクシードを名前しか知らず、闇風とは今こうして話したので、思いとしては闇風に勝ってほしい気持ちは少しある。それにそういうわけでもないが下克上というものに少し憧れるものがある。

 

テキーラとおつまみがいつのまにか空になっており、闇風は席を立つ。そして店を出てフィールドのほうに向かう。

 

その日闇風が森フィールドで一人で3スコードロンに勝ったという噂が立った

 

 

 

 

 

 




闇風の口調がわかんねぇ…

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • ロニエ
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