デスゲームのお食事事情   作:lonrium

44 / 76
まだ本編にすら差し掛からない事実





ビール&環境操作者

最近GGOのプレイヤー達の動きは活発になっている。何故なら翌日には第2回BoBの本線があるからだ。シキがGGOにログインし、グロッケン内を歩いているといつもより総督府にプレイヤーの出入りが多く、またフィールドに出て明日への最終調整をこれからするであろうプレイヤーがちらほら見れる。酒場も満席の店が多かった。

 

他店がここまで満席なら場所を求めて、もしかしたら自分の店にも多くのプレイヤーが来るかも知れない。そういった期待を込めて自分の店に向かい、急いで開店させる。

 

だがやはり立地の悪さは覆ることはなく、そもそも店が発見されないためいつものように暇になる。やはり闇風やピトフーイのような放浪癖がないとここに立ち寄る人が少ないのだと思い知らされる。

 

 「今から広告でも作ったほうがええんかな…」

 

ここまで暇だと虚しくなる。実際店を開けた日にピトフーイを除き1人も来なかった日だってある。そんな日は後々フィールドに出てモンスター相手に暴れてはいるが、シキがGGOを始めた目的の商売ができてないので不満も残る。

 

SAOの時はアルゴが新聞に載せてくれたお陰で大丈夫だったが、今は自分から動くしかない。善は急げと言うのでシキはこれから総督府等にどう広告を設置して貰えるか考え始める。

 

ギィ…バタン

 

 「おや、人が少ない所を探していたらついにいい所を見つけたよ。これなら人の目を気にする必要もない。」

 

中に入って来たのは濃いめの青色の髪であり、サングラスをかけたプレイヤーだ。装備は白をメインにし、青緑色のラインが入ってある。

 

このプレイヤーもまた先日の闇風と同様の有名プレイヤーだ。還元率トップ、大会でも闇風といつも上位を争っている。その名はゼクシード。闇風が倒すと言っていたプレイヤーだ。今GGO内での環境であるAGI型万能説を推したのも彼である。

 

「いらっしゃいませー。」

 

「しかもプレイヤーが運営しているとはますます面白い。」

 

やはりGGOで飲食店を営むのは珍しいのだろう。反応が今までの客と同じだ。

 

「お席にどうぞ。何になされますか?」

 

ゼクシードは席に着いた途端に注文をする。どうやら何を飲むかは初めから決まっていたようだ。

 

「ビールと枝豆を頼むよ。追加もジャンジャン頼むつもりだからよろしく」

 

「少々お待ちをー。」

 

シキは瓶ビールを開け、冷えたグラスを出す。枝豆はお湯でさっと湯がいて出来上がりだ。

 

「お待たせしました。」

 

「やっぱりこれだよ!」

 

そう言ってゼクシードは目の前にあるビールを飲み始め、枝豆をつまみにして食べる。彼はどうやらつまみを食べるペースが飲むペースより遥かに上らしく、枝豆はすぐに無くなった。

 

「鳥皮を頼むよ。」

 

「随分と景気が良いんですね。」

 

「そりゃそうさ。明日のBoBで僕の勝ちはもう決まっているようなものだからね。前祝いってところさ」

 

以前も説明した通り、今のGGOの環境を作ったのはゼクシードだ。ならばゼクシード自身もそのステータス振りであり、闇風よりも熟練されているという自信が彼にはあるのだろう。

 

「やっぱりAGI型の対処方も知ってるんですね。定石を読んでその隙を突く感じですか?」

 

シキは自分の予想が合っているかをゼクシードに問う。シキが今までに見た他プレイヤーの戦い方はピトフーイのものしか知らず、ピトフーイもシキと同様にSTRメインだ。GGOでのAGI型の戦い方は知らないので気になるところもある。

 

「何、AGI型万能なんてのは只のまやかしさ。明日の大会では多くのAGI型が来るだろうから、そこを圧倒的な火力と耐久力で削るだけのことさ。」

 

ゼクシードの口から出たのは自分で作った環境を壊すものだった。確かにAGI型は強いと、AGI型のメイを使っていたシキも思う。だがシキは自分より性能の高い相手の攻撃を回避しきるのは難しいと判断し、ゴリ押し型のシキに変えた。現在はAGIは無いが、その分はガス噴射とワイヤーでカバーはしている。

 

どうやらそのこともゼクシードも思ってはいたようだ。だからこそ慣れで使いこなせる性能より、ゴリ押しを選んだのだろう。シキにはそう思えた。

 

「こんなことを漏らしてしまえば睨まれてしまうからね。何ヶ月もかけてAGI型にした人にはご愁傷様と言いたいぐらいだよ」

 

ゼクシードは自分の作戦に繋がる糸口さえ与えずに明日の大会に臨むつもりだ。そして今の発言からシキはゼクシードの人柄を予測できた。大方目立ちたがりで煽り体質なのだろう。まぁ自分の策が綺麗にハマればテンションも上がる。そういった人なのだろう。

 

「さて、僕は明日に向けてそろそろ帰るとするよ。店主さんは明日の大会には参加するのかい?」

 

「いや、私はこういった商売目的で遊ぶのがメインなので明日は参加しません。」

 

「そうか。なら明日は応援よろしく。」

 

そう言ってゼクシードは店を出た。

 

 

 

そして翌日、第2回BoBが開催された。シキは参加せずに自分の店に取り付けたモニターで観戦することにした。

 

大会の進み方は順調だった。ゼクシードの予想通り、大半のプレイヤーがAGI型らしく、目まぐるしく撃ち合いを始める。だが何人かは自分の型を貫き通したのか、AGI型でもない者もいた。

 

今現在生き残っているプレイヤーで尚且つ目立つのはAGI型でない《薄塩たらこ》《XeXeeD》《Sinon》の3名だ。そしてSinonというプレイヤーだけは珍しく狙撃銃を持っていた。

 

もうしばらく見ていると状況が動き、Sinonが脱落した。順位は17位だ。シキがSinonと戦うとなれば、有利なのは恐らくガス噴射装置で肉薄するしかないだろう。

 

そう言ったことを思いつつ、大会を見ていると残りは2人まで減っていた。残ったのはゼクシードと闇風。闇風が攻撃を続け、ゼクシードは耐久をする。そして闇風はゼクシードの攻撃を避けようとするが、たった1発攻撃が闇風に入っただけでそこからはゼクシードのペースになり、第2回BoBはゼクシードの優勝で終わった。

 

 

 




ゼクシードさんアニメで即死したし口調などのイメージ湧かないから声繋がりでfateの慎二をイメージしました。

…本当に口調大丈夫?

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • ロニエ
  • ティーゼ

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。