今回急に消化試合が出てくるのでご了承ください
最近GGO内である噂が出ている。ゲームの中から現実の人を殺すプレイヤーがいるとのことだ。そのプレイヤーの通り名は《死銃》。嘘か本当か分からないが、多くのプレイヤーはこの話は信じてないようだ。
だがそんなことは他所GGOは全体的に盛り上がってる。それは多くのプレイヤーが待ちに待った第3回BoBの予選が今日だからだ。それはシキも例外ではなく、その上参加するのでテンションは上がっている。今シキは総督府にいる。
「おーいシキちゃん。エントリーした?」
「ちょっと前に済ましたとこや。ギリギリで逃げようかどうか結構迷ったけどな」
「勿体ない!楽しまなきゃ損じゃないの」
シキとしては少し冗談のつもりだったがピトフーイはそれを本気で受け取ったかのような反応をする。これは本番前のリラックスのようなものだ。
予選に向けて今日は2人の装備も違う。ピトフーイは一緒にフィールドに出るたびに武器が変わるため、今日も何を使うかは分からない。それに比べシキはメインはピトフーイにバレてはいるが、他には誰一人としてバレていない。今まで店で篭るぐらいとモンスター狩りしかしなかったのでこの分のアドバンテージは活かしたい。
なのでシキは現在ブカブカのローブを着込んでいる。ローブの下には近接戦闘用の鉈包丁が一つ、グレネード類6、ガス噴射装置が装備されてある。GAU-22は戦闘前ギリギリになってからの準備期間で出すつもりだ。
ガス噴射装置の角度調整などをしていると時間が迫ってくる。受付終了時間直前ぐらいに外からバギーの音が聞こえた。恐らく飛び入り参加の類いだろう。そしてすぐに受付は終了し、予選ブロックを確認しにいくことにした。
「シキちゃんどこのブロック?私はFの9」
「Cの49やわ。こりゃ本戦じゃないと闘われへんな。」
シキとピトフーイは互いのブロックを確認する。予選ではお互いに当たらないのでお互いが本戦に出場するしかない。ちなみにCブロックもFブロックも64人いるので5回勝てば決勝に進出できる。
「それじゃお互い頑張りましょ。シキちゃんもね。」
「まぁ装備見せてた連中と当たること祈っとくわ。」
予選ブロックが発表される前にすでに完全装備をしている人がいたため、その人たちと当たればある程度は対策が取れる。何人かの装備は憶えたので頭にマニュアルを作り、当たることをシキは祈る。シキも頭以外はフル装備であるが、上から隠しているので動き方次第でロビーではバレないはずだ。
初戦開始まで残り僅かとなり、シキは頭の装備をつけるために一応更衣室に入る。更衣室に入ってからプロテクターを取り出して装着するだけだ。その作業はすぐに終わり、更衣室を出ようとしたところで二人の女性プレイヤーとすれ違う。片方は水色の短めの髪で、もう片方は黒髪の長い髪だった。シキは数少ないGGO女性プレイヤーがピトフーイ以外にもいることを再認識し、嬉しくなった。
『それでは予選トーナメントを開催いたします』
「よっしゃぁぁぁぁ!」
「うらぁぁぁ!」
放送と共にロビーの熱気が上がる。シキも興奮し、ローブを握る。そして転送が始まり予選が開催された。
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飛ばされたフィールドは少し荒れた平原だった。小さな岩などもチラホラあるが、身を隠すには足りないだろう。実質真っ向からの撃ち合いになると予想する。
遮蔽物がないので600m離れていても相手の姿はよく見える。武器も恐らくアサルトライフルの類いだろう。だとすれば時代に乗ったAGI型と予想する。確認した途端にシキはGAU-22を撃つ。射程の長いこちらが有利なのだから当然だ。
相手は右脇腹に少し攻撃を受けたものの走ることを止めない。まだ生きてるので望みは捨てないのだろう。シキも相手に照準を合わせようとするが、銃が重いので取り回しも辛い。攻撃が当たらず相手に距離を詰められ続けた。
そしてついに二人のプレイヤーの距離はゼロになり、シキが一方的に攻撃をくらい続ける。その時に相手の武器を《ヘーネルStG44》だと確認できた。だがシキはガッチガチに固めているのでそこまで大ダメージは入らない。
だが攻撃が当たらないと勝てないのも事実。そこでシキは撃つのをやめ、両手でGAU-22を握りしめて腰を捻る。武器を持ち上げ、相手の頭めがけて下に振り落とた。元からSTRが高いため、振り上げるのは苦労せず、重いので落とすスピードも速い。銃は見事相手の頭にあたり、倒れたところを蜂の巣にした。
1回戦はシキが勝ち、待機エリアに転送された。
2回戦はフィールド全体が3回建の一つの建物であり、2階すべてに毒ガスをばら撒き動けなくなったところを蜂の巣にした。
3回戦は初戦同様、相手がAGI型だったので近づかれた。初戦を見られていたのだろう。シキの銃そのものを警戒していたが、シキはそれが分かったので武器を投げ捨て、ゼロ距離のところを鉈包丁で力任せに首を斬り落とした。
4回戦は密林だったのでブービートラップを仕掛けたところ、相手が見事に引っかかり足を失ったところをGAU-22で撃った。
5回戦は住宅街であり、相手がコースの端の建物で待ち伏せを行った。だがシキはガス噴射装置で、建物を上から回り込み、待ち伏せを後ろから鉈包丁で斬った。
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決勝まで勝ち進んだシキは、次の相手が長引いているのかロビーで待機している。ここは勝ち進んだ者しか入れないので、周りを見れば人数はそこそこ減っている。もうすぐ予選も終わるのだろう。ほかのブロックもモニター中継されているので、次の転送が始まるまで観ることにした。Fブロックを見てみたが既にピトフーイの名前は無く、2回戦でSinonというプレイヤーに負けていることに驚いた。
だからこそ後ろからの足音が聞こえなかった。
「お前、に、聞きたい、ことが、ある。」
シキはいきなり話しかけられたので後ろを振り返る。そこには先日店に来たボロマントのプレイヤーがいた。ここにいるということは大会で勝っているということだ。それと同時に例の噂を思い出す。《死銃》というプレイヤーの姿はこのボロマントと特徴が全て一致する。シキの店に来た時、犯行時、そして今。姿を真似た人の可能性もあるが下手には聞けない。
「この前は店に来てくださってありがとうございます。それでなんでしょう?」
以前来てくれたことを感謝し、本題に入るように促す。
「お前が、本物なら、分かるはず、だ。」
そう言ってボロマントはシキの横に立つ。そして周りが聞けば分からない質問をした。
「おでん、なら?」
「「餅巾」」
二人の答えが一致する。そして二人は互いの正体を見抜いた。
「やはり、メイ、か。」
「久しぶりやんザザ」
ザザ、それはSAOに存在した最悪のギルド《ラフィン・コフィン》の幹部メンバーである。SAOでPKするという殺人集団だが、メイはそれでも彼等との利害が一致したため、情報を漏らさない流さないの条件で彼等に料理を振る舞い、命を狙われることもなかった。
「てか、よう私がメイって分かったな。アバターも違うし名前も変えてるのに」
なぜこんなすぐに検討を付けられたのかがシキは分からなかった。客観的に見て何か特徴があるのだろうと思う。
「リーダー、譲りの、鉈包丁スキル。ジョニーから、盗んだ、毒スキル。あれほど、陰湿に、使えるのは、お前だけだ。」
「そりゃどうも」
幾らかボロボロに言われたので少し皮肉をこめる。だが決勝がいつ始まるのかも分からないので聞きたいことは聞いておきたい。
「今噂の事件ってアンタなん?」
今GGOでの噂は死銃だけだ。つまりこれはザザに直接真相を確かめてる。
「お前なら、言わなくても、分かるはずだ」
この答えなら少し遠回りの言い方ではあるが、ザザがこの事件に関わっているのは間違いないだろう。シキはこの答えを聞いて5秒ほど唸り、考える。そしてすぐに思いついた。
「なぁザザ。本戦になったらお互いに関わるのはノータッチにせぇへんか?それやとアンタはやりたいことやれるし、私も私なりに楽しみたいし。」
これはつまりSAOの約束ごとを継続しようということである。だがザザにはこれを受けるメリットとしてはシキから情報が漏れないというだけであり、料理提供はない。SAOの時より利益が低い。そもそも殺して奪う彼等のスタンスには合わない。
「いいだろう。お前は、信用、できる。幹部と、お前しか、知らない、諜報員が、捕まって、ないしな。」
だがザザはこの交渉をアッサリと飲んだ。どうやらSAOの後でも約束を守り続けたメイへの信頼が彼にはあるようだ。
「じゃあ決まりやな」
シキは立ち上がり歩き出す。すれ違う直前に二人は手を叩きあい、明日の本戦を楽しみにする。
この後シキは決勝でペイルライダーというプレイヤーに大きな橋の上で戦った。お互い接戦ではあったが、ペイルライダーが縦への移動を繰り返し、射角の上がらないGAU-22では太刀打ちできなかった。8割以上の体力は削ったが、シキはクリティカルヒットを受け、予選Cブロック準優勝で本戦へ出ることになった。
オリ主はまだ菊岡との関わりがないので銀座シーンはカット。別にこの主人公SAOじゃ飯作ってた方が多くて活躍少なかったからね。
ピトはBoB2回戦に狙撃で負けたって言ってたからこうなりました。あとオリ主にも本戦出てもらわないと話が進まないので消化試合に…。ラフコフからスキル学んでるから対人戦強いけども…。
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ