BoB本戦出場を決めたシキは、時間より3時間ほど余裕を持ってログインをする。総督府に向かう前にまず自分の店へ行き、1人で大会に向けて集中力を上げるつもりだ。
街の中で裏路地にドンドン入っていく。やはり立地が悪いとは思いながらも今となっては数少ない奇妙な縁を結んだこの場所は嫌いにはなれない。
店へ続く最後の曲がり角を曲がる。そこにはシキがよく見知った顔がいた。
「やっと来た。それじゃ始めるわよ」
そこにいたのはピトフーイだ。片手には瓶などを何本か持っており、明らかにこれから呑むという雰囲気しかない。だがピトフーイから事前にこのような話を聞いてはいない。
「ヤケ酒でもするんか?」
「そりゃそうでしょ。シキちゃんだけ本戦出て私出れなかったんだから付き合ってもらうわよ。でも1時間半で切り上げるから安心してね」
シキは店を開けさせられピトと中に入る。そしてピトフーイは持ち込んだ飲み物を開けていき、これからのBoBのことをつまみにして話す。
「そういやシキちゃんはちゃんと下調べしたの?エントリー者の名前は全員出てるけど」
「見たで。何人か知ってる名前もチラホラ見るし、この店に来た人すらいるからな。」
BoBはVRゲームの中で1、2を争う有名所であり、新聞にすら載るほどだ。それを見たシキとしては気になることもある。
(『Kirito』かぁ…。多分あいつで間違い無いとは思うけど…)
Fブロックの名前にKiritoという名前があった。シキは予選の間でFブロックの試合を何試合か見ており、その中に光剣を使う人がいたのを見た。最初は剣で戦うのを見てネタ枠と思ったが、剣の振り方に見覚えがあり、名前を確認してみればよく知る名前であった。シキも一度相手の首を鉈包丁で斬り落としているが、扱い的には誰でも装備しているナイフ装備のようなものだ。特段注目されることもない。
「まぁ商売人であるシキちゃんはルール確認ちゃんとしてるだろうし、下調べもそこそこしてるときた。こりゃ優勝してよね。」
「祝杯かヤケ酒になるけど終わったら呑みに付き合えや」
「1日に2杯のヤケ酒とか肝臓が潰れそうだね」
こうしてシキとピトフーイは大会開始1時間前まで話し続けた。
「そういや知ってる?この大会で誰が勝つかの賭けがあるんだって」
「そんなん知らんかったわ。私の倍率なんぼなん?」
「17.2倍」
「大穴やん」
時間がきてシキが総督府に移動する時にピトフーイを酒場まで来るのか確認したが、どうやらシキの店で中継を見るらしい。それをシキは許可し、飲み物をある程度ピトフーイの前に置いて、大半の物にロックをかけて総督府に向かう。
ーーーーーーーーーーーーーーー
総督府の地下酒場にて二人のプレイヤーがいる。片方は空色の髪をしており緑を主軸にし、白いマフラーのようなものを装備をした女性プレイヤーだ。彼女の名前はシノン。BoBのFブロック代表の一人である。
その隣にいるのは全体的に黒い装備をし、上から胸当てを装着した黒髪のプレイヤー。その顔を見ればとても可愛らしく、初対面であれば目で追ってしまうだろう。
だが男である。
そのプレイヤーの名前はキリト。現在彼はGGOにいる。なぜいるのかと言えば、最近噂の《死銃》事件の調査だ。ゲームの中で人を殺す事件は見過ごすことができず、仮想空間管理課の菊岡誠二郎による依頼でここに来ている。そして彼もFまたブロック2人目の代表である。
いざGGOにログインしたキリトは下調べをしなかったため、行き詰まったが、そんな彼を助けたのがシノンである。だが昨日自らの性別をバラしたタイミングが悪かったため、現在シノンはあまり機嫌が良くはない。
だが狙いをつけた相手がルールを知らずに脱落でもしないように、自分の手で倒せるように最低限のルールをシノンはキリトに教えることにした。
「本戦はマップに30人がランダム配置されて最後まで残った奴が優勝なんだよな?」
「そんなの運営からのメールをみれば全部書いてるわよ」
もはや前提条件の確認をされるとも思わなかったのでシノンは彼の無計画性に先が思いやられる。もしやとは思うがメールを最後まで読んでない可能性すら見えてきた
「転送位置はランダムだけど最低でも千メートルはどのプレイヤーは離れるわ」
「てことはマップは相当広いのか」
「あんた本当にメール読んだ?」
早速メールを全部読んでいないと予想が当たってシノンはため息を吐く。もうこれだったら全部説明した方がいいのかも知れない。
シノンは簡単にルールをキリトに説明した。マップは直径10kmの複合ステージ。参加者にはサテライトスキャン端末が配られ15分に1回端末にプレイヤーの位置情報が送られる。遭遇戦でいつまでも会わないと長引いてしまうのでそれを防ぐためだ。
「そんなルールがあるならスナイパーは不利じゃないのか?」
「1人殺して1km動くには15分もあれば十分すぎるわ」
そんな心配をするならば先ずは自分の心配をしろと言いたくなったがあえて言わない。
「これで用は済んだわね」
「ここからが本番なんだよ」
キリトはシノンを引き止め、本来の死銃探しへの繋がる質問をする。彼にはGGOで聞くことが出来る人はシノンしかいないためここで聞き逃せない。
「この中に初参加で知らない名前はあるか?」
なぜこの質問をするかには彼女には分からなかったが答えることにした。意識を分散されて集中してないキリトを倒してもスッキリしないと考えたからだ。
「あんたを除いて4人だけ」
シノンは参加者の名前一覧を出してその名前に指を指す。
「《銃士X》に《Pale Rider》に《シキ》、これは《Sterben》?」
(この中に死銃が?)
この時キリトは気づかなかった。最近色々なゲームを放浪としている知り合いがまさかこの中にいるとだなんて
ーーーーーーーーーーーーーーー
シキは地下酒場で待機している。酒場に入った直後に賭けの会場を見てみれば本当に自分の倍率は高く、期待されてないことがわかった。そもそも闇風がいる中で自信もないが手を抜くことはしない。それがバレたらピトフーイに何されるか分かったものじゃない。
地下酒場を抜け、待機ドームに向かう。装備を確かめGAU-22を握りしめる。開始までの時間があと30秒であり、外の熱気が上がっているか、自分のテンションも上がる。
『さぁカウントダウンいくよー!』
10カウントを数える声が聞こえる。それとともにシキの心臓が高鳴る。
3
いつ以来だろうか。こうして1人でゲームを楽しむのは。
2
もしかしたらSAO中期以来かも知れない。最近は生還者組やフカ次郎と一緒だった。
1
転送準備が終わり、蒼い光が見える
『バレット・オブ・バレッツ、スタート!』
30人のプレイヤーが1つのマップに転送され大会が始まった。
この時シキは考えもしなかった。自分がGGO内で噂されてる殺人事件の重要容疑者に入ってることを
正体を知らなければいつも戦うことになってるよこの2人
オリ主とより仲良く出来そうな方
-
ロニエ
-
ティーゼ