シノンとキリトは窮地に陥っていた。銃士Xを狙ってキリトがシノンから離れたところをシノンが死銃からスタン弾を撃たれてしまった。
動けなくなったシノンを死銃はハンドガンで撃とうとしたところを、ルーティンの最中に肩を撃たれ、更にスモークグレネードが起動したため辺りは白い煙に包まれる。
最初はスモークグレネードをプラズマグレネードだと思った死銃はその場を離れたため、目標の2人を見失う。その間にキリトは動けないシノンを抱えて逃げ始める。
逃げ始めてすぐにキリトに目に入ったものがある。それはバギーと機械馬だ。これを使えば逃げる速度が上がるので使うことにした。
「馬は無理よ…。扱いが難しすぎる」
馬は踏破力が高いがその分扱いは難しい。リリースして間もないGGOの中でこれを扱う物好きはシノンは見たことがない。
シノンの助言を受けたキリトはバギーを選ぶことにした。だがもしものことを考えてキリトはシノンに頼みをする。
「君のライフルであの馬を破壊してくれ」
シノンはそれを了承し、震える指でヘカートⅡを構える。距離もなく、馬には対応する能力もないので撃てば当たるだろう。
だがしかしトリガーとシノンの指には絶対的な隙間があった。シノンの指はどうあってもトリガーが引けなかった。
「う…そ…」
シノンがトリガーを引けずにいるうちに、死銃は距離を詰めてくる。これ以上詰められるのはまずいのでキリトはすぐに逃げることにした。こちらはバギーに乗ってる上、シノンの言う通りなら普通馬なんて誰も乗らない。逃げれると踏んだのだ。
だが現実は希望通りにはいかない。バギーと馬の選択肢の中、死銃は馬を選んだのだ。そして何の苦もなく乗りこなしている。
「もっと速く!逃げて!」
後ろから迫る恐怖にシノンは叫ぶ。キリトの体にしがみつき、震える体をどうにかしたい。だがそんな体制だからだろう。こんな状況だからこそだろう。周りの音がシノンにはよく聞こえる。
「え……」
シノンの耳に入った音はバギーのモーター音、馬の走る音、そしてもう一つのモーター音。シノンは恐る恐る上げる。そこには歯嚙みをしたキリトがおり、更にその前には二つ目のモーター音の正体がいた。
前から、バギーに乗った他のプレイヤーが迫ってきていた。そのプレイヤーはプロテクターを始め、全身を重装備で防御力を固めていた。そしてバギーにはGAU-22が固定されており、いつでも撃てるのが分かった。
「このままだとまずい。君が奴を狙撃してくれ。」
奴と言うのは後ろの死銃のことだろう。目の前のバギーのプレイヤーは参加者ではあるが、ここで逃げ切れてもその人が死銃に殺される可能性すらある。それを危惧したからこの指示を出すのだろう。
「無理…だってあいつは…。」
シノンは記憶がフラッシュバックしている。幼い頃の銃の記憶。それにより死銃への恐怖が高まり、撃てなかった。
キリトがシノンへの説得を試みるが、シノンは恐怖の感情が全てを上回っている状態なので無理であった。
しかしそんなことをお構いなしに前のプレイヤーがGAU-22を撃ってくる。キリトはハンドルを左右に切り、弾を避ける。後ろの死銃に当たってくれることを願ったが、前からと言うより、左斜めから撃ってきてるので、死銃には当たらず、ただ廃ビルに弾が当たるだけであった。
死銃とバギーのプレイヤーからの距離が更に短くなる。このままでは良くて蜂の巣で敗退、最悪死銃からの銃撃で死んでしまう。
「戦えない人なんていない。戦うか戦わないか選ぶだけだ。」
「なら私は戦わないのを選ぶ。ここでなら強くなれるなんて幻想だった。」
「俺が一緒に戦う。一度だけでいい。この指を動かしてくれ」
キリトは後ろを向き、シノンの狙撃銃のトリガーに手を添える。こんなに揺れていると狙いがつけられないと言われたが、キリトは揺れが止まることを知っている。
後ろを向いたことで、前からの乱射が激しくなる。だがGAU-22の重さも相まってハンドルを中々切れていないので狙いは雑だった。揺れが収まると宣言してから3秒。キリトは脇腹に乱射された弾を受ける。
軽装備であるキリトは体力の4割を削られた。
そしてキリトたちの乗っているバギーは廃車に乗り上げ、空中に放り出された。揺れが収まり狙いやすくなったのでキリトとシノンは引き金を引く。
「外した…」
撃った瞬間にシノンは察知した。飛び出した弾は明らかに死銃の横に逸れている。だが運が良かったのだろうか。それともキリトの狙いなのか、弾はトラックに当たった。燃料に引火を起こし大爆発を起こす。その爆破によりバギーに乗ったプレイヤーは吹き飛ばされ、地面に叩きつけられていた。だがあの重装備なら大したダメージは見込めないだろう。
死銃は爆発の中心にいた。機械馬への引火を起こしたので最低でもまともな移動手段は失ったはずだ。キリトとシノンの乗ってバギーはそのまま砂漠地帯へと走っていった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「あー、こらあかんわ」
折角手に入れたバギーを爆風で吹き飛ばされて壊されたシキは落胆する。元々この重装備の中動くことがままならないので、移動手段は貴重だったのだ。
正面から2人のプレイヤー、予選と第2回大会を見たから姿と名前は知ってる。あれはキリトとシノンだろう。後ろから偶然ではあったがザザと挟み撃ちに成功したので倒したかったが逃げられてしまった。
それに先ほどの爆発に紛れてザザはあの2人を追っていった。これでザザの狙いはほとんど確定したようなものだ。大会前にした約束のこともあるので、ここで2人を追うのは約束を違える。
ゲームが始まって何回目かは忘れたがスキャンが始まる。端末を確認すれば光点は4で街に2、砂漠に2だ。ザザとあの2人を入れて生存者は7である。
同じ街にいる相手の名前を確認するとリッチーという名前が出た。重機関銃で相手を迎撃するスタイル。街の高台で陣取っている。シキは射程外なのでまだ撃ち始めてないが、入れば撃ってくるだろう。
砂漠側は闇風がいるので多分倒してくれると予想し、残りの生存者はみな一撃必殺を持ってる。ヘカートに光剣。重機機関に最速スピード。これならもうGAU-22じゃ勝つことは難しい。
だからこそついにまともに出番を与えてやれることができる。シキはウインドウを開き、最軽量の装備にする。プロテクターを外し、上下はほとんどインナーに近い。
そして腰にガス噴射装置とワイヤー銃を装備する。装置に出たメーターの現在値は960。今の噴射可能距離だ。それを確認するとリッチーのいた位置に向かって飛び始める。
ワイヤーを壁に刺し、巻き戻しの勢いでリッチーに近づく。リッチーはそれに対して迎撃を始めるが弾がまともに当たらない。撃った矢先にシキが空中でガスを噴射し、その勢いで左右に避ける。
残りの高さは24。リッチーが打つ前にシキは不規則に、規則性をつけず左右に飛び回るので、重機関銃の取り回しが追いつかない。弾を撃つが牽制にもならず、どんどん肉薄される。
そしてシキは最後にガスを更に噴射し、リッチーの上を取る。そして鉈包丁を抜き、リッチーの首を斬った。
リッチーを倒し、街の生存者はシキだけになった。前回のスキャンの位置的に闇風もここまではスキャンまでに来れないはずなのでガスの調整をする。先ほどの戦いで大量に消費したため、メーターは642。ガスボンベを一本新品に取り替える。
そして再びスキャンが始まる。光点は3つであり、キリト、闇風、シキだ。ザザも恐らくそこなので、みんな砂漠に固まっておりシキにはやれることがない。
砂漠の方にシキは歩き始めるが、到着するその頃には向こうでの決着はついているはずだ。
ピトフーイとの約束の優勝に確実に近づいているためシキは嬉しくなった。
なんやかんや最終決戦まで生き残ったよこの人。最初のシナリオではペイルライダーが死ぬ前に水中でキリトと戦う予定だったけどね…。序盤すぎたからやめたん僕なんですけどね…
オリ主とより仲良く出来そうな方
-
ロニエ
-
ティーゼ