デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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令和初投稿。今回は4000字とかいうこの作品にしては長めです。
GW期間は風邪だのリアルの方だのであまり書けませんでした。

今回は半分観客、半分は現場でのお話です。






観戦者&最終決戦

時間は少し遡る。BoB中継はGGOの中で見上げればどこでだって観戦ができる。元から人気な大会であり、賭けを行なっているプレイヤーにとっては更に気分が高揚する。

 

「あっ!負けた!」

 

「流石闇風!ドンドン狩っていく!」

 

「芋ってんじゃねぇぞリッチー!」

 

「シキも芋ってんじゃねぇぞ!」

 

それぞれ賭けた者が勝って欲しいため思い思いな応援、罵倒が飛び交う。残りの生存者が10人を切ったため、普通は動きが活発になるからだ。なので今まで上を取って迎撃をメインにしていたリッチーと、毒ガスを使っての待ち伏せをしていたシキは観客からヘイトを集めていた。

 

「それにしてもシノっちとキリトちゃんが手を組むのは意外だったな。予選決勝じゃシノっちは大分怒ってたのに」

 

「スコードロン戦みたいで面白いから俺は好きだぜ」

 

キリトとシノンが手を組んだことに観客は面白がっていた。遭遇戦でバトルロイヤル式のこの大会で手を組むことは本来ないことだ。だが2人の型は接近戦特化と遠距離特化なので理詰めで考えれば納得はいく。

 

スキャンが始まり、参加者はそれぞれ端末を見る。最初に確認を終えたキリトとシノンは銃士Xの方へ向かっていった。

 

「それにしてもあいつは有利だな。スキャンに映らないのは中々羨ましいぜ」

 

sterbenは光学迷彩マントを装備しているので、常にスキャンからは逃れられる。なので他プレイヤーは街の真ん中に彼がいるのに気づいていない。

 

「シキも移動を始めたぞ。芋りはおしまいか」

 

「リッチーまだ芋ってやがる」

 

シキはスタジアムの方へ移動を始める。その移動の途中でバギーを確保し、GAU-22を固定し、街の中を走り始める。

 

「お、足を確保したからシキは積極的になったな」

 

「リッチーは見習え」

 

「おい!シノっちがやべぇぞ!」

 

1人の男が急に叫ぶ。その言葉に反応した者たちは急いでシノンを映しているカメラを見る。そこにはスタン弾を食らったシノンが映っており、sterbenがハンドガンを撃つ素振りを見せる。

 

観客はsterbenが死銃を名乗り、ペイルライダーの回線切断は偶然だと思っているが、麻痺したシノンが装備的にハンドガンの弾を全弾浴びて耐えれるとは思えない。

 

だがそのカメラは急に白煙に包まれた。何が起こったかははっきりと分からなかったが次に映ったのはバギーに乗った2人と馬を乗りこなすsterbenだ。

 

「すげぇ!追撃戦なんて初めて見るぜ!」

 

馬とバギーのチェィスに観客は盛り上がる。この時はカメラは遠くから全体像が見えるように写していたので、観客達はシノンの気持ちを知る由もない。だが目に映る光景は確かに盛り上がるものであり、見世物としては良かったかもしれない。

 

「逃げ切れシノっち!」

 

「キリトちゃんも頑張れ!」

 

男人気の高い2人が応援される。周りから見ればsterbenが悪役になってしまうのは仕方ない。

 

「あっ、これあの2人ヤバイぞ」

 

観客の1人がつぶやく。それと同時にカメラは更に高く上がり、キリト達の正面も映るようにした。そこには正面からバギーで突っ切るプレイヤーがいた。

 

「挟み撃ちだ!これはマズイな」

 

前から来たプレイヤーがシノンとキリトを撃ち始める。キリトの運転で避け、車上戦になり更に盛り上がる。

 

「うおっ!すげぇ!」

 

次に観客達が見たのはキリトのバギーが空を飛んだことだ。そしてシノンの狙撃でトラックが炎上し、2人を巻き込む。2人ともさしたるダメージは無かったが、移動手段を失った。

 

すぐさまsterbenとシキの戦闘が始まると思われたが、sterbenがキリト達を追う。シキも街から離れることはなかった。

 

しばらくの間カメラは戦闘をしているプレイヤーを探しに出る。キリトとシノンを見つけることはカメラでも容易ではなく、しばらくの時間をかけた。そしてようやくカメラが2人をとらえた。

 

カメラに映ったのはキリトの膝の上に頭を置くシノンだった。これを見た観客のテンションは更に上がる。

 

「ウォォォォォォー!」

「キマシタワー」

「いい…いい…」

 

…まぁ変態ばかりだった。だがそれとは別のことに気をとられる者もいないわけではない。

 

「おい!こっちもすげぇぞ!」

 

カメラに映っているのはプロテクターを外し、装備もほぼインナーの女性プレイヤーがいた。名前の表示はシキ。今この場で装備を変えたのだ。

 

「うおっ!かわいいぞ!」

「今まで悪かった!お前のやり方は正しい!」

 

性別が割れた瞬間に熱い手のひら返しである。その近くにはリッチーが今居り、シキは腰につけた機械で肉薄する。ガスとワイヤーで飛び回るシキにリッチーも対応しきれないようだ。

 

「すげぇ!リッチーが翻弄されてる!」

「なんだあの変態機動!面白ぇ!」

 

シキは一気に距離を詰め、リッチーの首を斬る。会場は大盛り上がりだ。

 

「ざまぁみろリッチー!」

 

そしてスキャンが始まり、他は全員砂漠に集まっているのでシキも歩いてそこを目指す。

 

シキが街から砂漠を目指している間、注目度が高い砂漠にカメラは集中する。

 

まず映ったのはライフルの弾を光剣で弾き飛ばすキリト。その技術はいつ見ても素晴らしいものだ。

 

「相変わらずやり方がバーサーカーじみてる」

「ま、そんなとこがいいんだけどな」

 

2台目のカメラが映したのは闇風。物陰に隠れて隙を伺う。が、そんなことはさせないとばかりにシノンの狙撃が闇風の体を貫いた。

 

「すげぇ!闇風が負けたぞ!」

「シノっちすげぇ!」

 

闇風が負け、カメラはキリトに集中する。sterbenは腰から鉄の剣を抜き、突き技を連続で浴びせる。キリトはそれを全て防ぐことはできないが、なんとか対応していく。同様にキリトも剣で斬りにいくが、sterbenが致命傷を避けるような対応をする。2人の剣技に観客は目を離せない。

 

「なぁ…これなんのゲームだっけ?」

「GGO…だよな」

 

銃の世界で剣で戦う2人を見て言葉を失う。次第に苛烈さを増していく。近距離戦特有の臨場感に観客は当てられ、固唾をのむ音ですら雑音に聞こえる。

 

両者引かない勝負になったところで状況は変わった。sterbenの体に予測線が出てきたのだ。線が延びる先にはシノン。つまり狙撃だ。

 

sterbenは優先して狙撃を避けることを選んだ。だがそれがいけなかった。その時にできた大きな隙をキリトに見せ、体を光剣で綺麗に二つに斬られてしまった。

 

「ウォォォォォォー!キリトちゃんが勝ったぞ!」

 

「残り生存者は3人!全員女プレイヤーだ!」

 

そう。GGOの小さな大会を含めても女性プレイヤーから優勝は出たことない。観戦者達はキリトを女だと思っているので女性プレイヤーから確定で優勝が出ることに盛り上がる。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

キリトはsterbenを、ザザを倒した。死銃のトリックも見抜き、シノンからの手助けのお陰で勝てたのだ。シノンはsterbenの脱落を確認するとキリトの元に寄り、2人で拳を合わせる。

 

「そろそろ大会も終わらせないとな」

 

「えぇ。一応スキャンがすぐなんだから確認しておきましょ」

 

キリトとシノンが端末を開く。そして時間になるまで待ち、光点を確認しようとした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確認できなかった。いや、させてもらえなかったと言うべきだろうか。バギーや機械馬なんて目じゃないくらいの速度でガスの音が近づき、それはすれ違いざまにシノンの右腕とヘカートを斬ったのだ。ヘカートは傷がつき、シノンはまともな行動がとれなくなった。この大会では2分で欠損部位が戻ることはないので事実上リタイアである。

 

それでもキリトは端末を確認でき、相手の名前を把握した。最後に残ったのはシキだ。

 

着地したシキはすぐに身を翻してキリトに斬りかかる。キリトは光剣でなんとか受けきり、相手を弾き飛ばそうとする。だがSTRに差が無かったのか、相手を弾き飛ばせない。むしろ押されている。

 

キリトはすり足で横に自分から躱し、もう一度シキと向かい合う。剣を合わせてわかったことは相手には速度がないはずだ。音からして速度の元はガスということも理解した。

 

キリトは模倣バーチカル・スクエアを放つ。初撃は防がれたが、相手の鉈包丁の防御を崩し、2撃目以降は入る確信を持った。

だが相手の動きが急に変わった。シキは弧を描くように飛び、キリトの後ろを取る。模倣の動きなのでキリトはすぐに攻撃を止め、振り向きざまに横に剣を薙ぎ払う。

 

それがいけなかった。シキは右手に握った鉈包丁だけで剣を受け、そのまま前に詰め寄る。残った左手でキリトの顔面を殴りつけ、そのまま地面に叩きつける。シキもキリトの上からではあるが、その衝撃を受けきることができず、鉈包丁は落としたが、キリトの上をとるこができた。無論、衝撃を直に喰らったキリトも手から光剣を落としている。

 

武器を失った2人に攻撃手段はなく、上を取ったシキがキリトを殴りつけはじめる。このまま削りきるつもりだ。

 

シノンは取れる行動がなく、ただキリトが殴られる様を見るしか無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目の前に、落とされたはずのキリトの剣が転がってきた。シノンは残った左手でそれを拾い上げ、2人に近寄る。シキはそれに気づかなかった。

 

「やぁぁぁぁぁ!」

 

シノンは声を上げ、左腕だけで剣を振る。この大会で何度も見てきたキリトの剣の振り方を真似し、やっとこちらに気づいたシキの首を斬り飛ばす。

 

「あっ…かっ…」

 

シキは声にならない声を出し、そのまま頭上にDEADの文字が出た。

 

「ありがとうシノ…ン…?」

 

キリトがシノンにお礼を言おうとしたらシノンに抱きつかれた。キリトはシノンと離れようとしたが、その間にグレネードがあるのが見えた。

 

「こういう幕引きも悪くないでしょ?」

 

「ハハッ…」

 

グレネードは2人の間で爆発し、全ての参加者が脱落した。

第3回BoBは2人の同時優勝で幕を引いた

 




なんかシノンが剣を振ったらエモいだろうなーって思って衝動を抑えられなかった。

ちなみに今回までのオリ主の戦績
ジョニー戦 負け
アスナ戦 勝ち。但し不意打ち
ALOキリト 負け
GGOキリト 勝ち?でも元から満身創痍
GGOシノン 負け

勝ってる現場がロクでもない

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • ロニエ
  • ティーゼ

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