デスゲームのお食事事情   作:lonrium

52 / 76
1年以上書いてきてようやく慣れたんだろうね。4000字超えてもまだギリギリ持つようにはなりました。

あとピトフーイが崩壊している可能性があります。ごめんね。




確認&確信

BoBが終わり、GGOではまだ熱気は収まらない。過去どの大会でもなかった女性プレイヤーの優勝。銃の世界で剣での斬り合い。斬新なことが多すぎたのだ。それを真似をするプレイヤーもちらほら現れ、諦める姿を見ることも今や珍しくもない。

 

またこの熱気に当てられるのは当事者も例外ではない。街はずれの小さなBARの中では、祝杯が行われていた。

 

「シキちゃん3位おめでとう!」

 

「ありがとう!」

 

その場に集まるのは2人のプレイヤー、1人目はシキ。最後の奇襲時の速度に自分も振り回され、シノンの片腕と銃しか持っていくことしかできなかったが、街中での戦いは祝うものに褒められた。

 

もう片方はいつもここに入り浸るピトフーイだ。今回の祝勝会はピトフーイの提案で行われている。

 

「優勝しろとは言ったけどシキちゃんまだ荒削りなところがあるから3位いくとは思ってなかったわよ。」

 

「ガスの力は偉大やねん。移動手段に毒ガス。爆破もできて便利やで。」

 

「GAU-22よりガスが主力になってたのは面白かったわ。何よりリッチーを倒せたのは大きいじゃない」

 

2人はサワーを片手に話す。大会のハイライトを見ながらここはどうだった。あそこはこうするべきだったと感想を述べあう。

 

「主観が入ってるんだけど、シキちゃんが勝てなかった理由はなんとなく見つけたわよ」

 

「私もあれは後悔してんねん。多分街を捨てたことやな」

 

「街を捨てたって言うか砂漠と草原がダメなのよ。森や岩山ならまだ勝機はあったと思うけどね」

 

シキは遮蔽物を使ってのガス噴射装置での移動、そして室内か洞窟での毒ガス戦がメインである。それを放棄し、何より初撃以外で相手の舞台に飛び込んだのはミスだろう。

 

「何より1番驚いたのはあの鉈包丁。あんな技術持ってたんだねー。アタシですらあの戦闘は見たことないもん」

 

「まぁピトと一緒の時は全部銃で間に合うしな。毒ガスもちらほら使うけど」

 

「どこかで違うゲームでもしてたの?」

 

「ALOっていうゲームをやっててん。そこでは鉈包丁メインで使ってんねん。」

 

「なるほどねぇ…。ふーん…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シキちゃんはSAOって知ってる?」

 

この発言とともにシキはジョッキを落とす。ガラス片が床に散らばり、ポリゴンとなって消える。

 

「やっぱり、おかしいとは思ってた。いくらなんでも変だもんね。銃より扱いが難しい刃物を、いや剣の類いをALO配信スタートから考えてもあの練度まではいかないはず」

 

ピトフーイは自分の考えを述べる。シキはそれを聞きながらピトフーイに目を合わせる。

 

「…あの事件は誰でも知ってるやろ。今のは友達がそれに巻き込まれて驚いただけや。」

 

友達というのは巻き込まれてからできた人のことを指すが、それはあえて言わない。屁理屈である。何よりあまり人には知られたくないので切り抜けるしかない。

 

「それに別に大した技術じゃあらへんやろ。キリトってプレイヤーとやりあった時は受けるのが限界でまともに斬れてへんし。」

 

そう。シキの鉈包丁での戦闘スキルは思ってるより大したものではない。少し体術も合わせて並ぐらいである。事実キリトとの戦いでは一度も刃を当てていない。

 

「いーや、シキちゃんの技術はどう考えもおかしいのよ。例えどんな業物でも、それが刀でも動く相手にあそこまで綺麗にいかない。リッチーの首とスナイパーちゃんの腕を1回で綺麗に斬れるのは」

 

何かを綺麗に斬るのは思ったより難しい。刃物の向きと振る方向は回数を重ねるほど上達する。だが斬る対象にも合わせなければいけないのだ。

これは野菜などを包丁で切るのとは訳が違う。対象は動かないのでこちらから合わせればスパッといくが、相手が人間なら根本から変わる。常に何かしらの力が入っており、戦いの中なら反射的に避けようともするのでどんなに上手くいっても刃が食い込むだけで止まる。

 

シキがこの技術を持ってるのはメイの時からだ。とあるレッドギルドのリーダーから教えてもらった技術が型にハマり、染み付いたのだ。何年もSAOで使い続けたその剣はメイの体から離れることはなく、ピトフーイに見抜かれた。

 

「シキちゃん…。SAO生還者でしょ?」

 

ピトフーイの推理は確信をついた。たったあれだけの情報からここまで結びつけた。シキはピトフーイに負けたのだ。

 

「…せやで。私は生還者や。」

 

一瞬の沈黙。だがそれをすぐに打ち破る声が店に轟く。

 

「アハッ…。アッハハハハハァァァァ!いいねいいね!羨ましいよ!あの世界にいたって羨ましいよ!私が行きたかった、でも行けなかった!でもここに!あそこで過ごした人が!いる!」

 

「ピ…ピト…?」

 

ピトフーイのテンションにシキは戸惑う。普段から戦闘の度にイカれていると実感するが、今のはそんなのは可愛く思えるほどだ。

 

「色々と聞かせてもらうわよ」

 

こうしてシキはSAOでのメイの話をピトフーイにすることにした。朝からログインしているので、用事のある時間までと釘を刺したが、だいぶ不満そうにする。

 

まず最初に話したのは茅場のデスゲーム宣言。メイは最初は街に残ったが、1層突破の情報で街を出た。そこからメイがしてきた戦いや生活の話をした。所持金はチマチマと稼ぎ、その合間にスキルも育てていき店も買った。そこで食事処を営んだこともだ。

 

「良いわね良いわね。いいなぁー、戦うだけじゃなくてそんなゆるりともできて。それで、あの鉈包丁技術はどこで手に入れたの?まさか我流?」

 

「あれは当時のとあるギルドのリーダーから教えてもらってん。私も街の外にも出るし、身につけておいて損は無いって」

 

「かーっ、痺れるねぇ。その人は噂にある人殺し集団のためにシキちゃんに教えてくれたのよきっと。それにその殺人ギルドの討伐戦とかやりたかったなー。命を賭けた戦い!絶対楽しい!行きたかったなー、悔しいなー。」

 

このようにピトフーイは今日はいつもより喋る。そして時計を見ればシキのリアルでの用事が近づいてきたのでログアウトすることにした。ピトフーイは止めようとしたが、流石にリアルのことを邪魔できないので話はまた今度することにした。

 

1人取り残されたピトフーイは口角を上げる

 

「決めた。次の大会はーーー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

時刻は夕方近く。皐月はとある喫茶店に入った。そこはダイシー・カフェのように落ち着いた雰囲気であり、時間も時間なので客は1人だけだった。

 

その1人は皐月を呼び出した張本人、結城明日奈である。

 

「そっちの用事は終わったんか?」

 

皐月は明日奈の前に座る。明日奈は今日、昼頃は和人からの呼び出しや、それに関係することをしていたのだ。やっと終わった今になって皐月を呼び出したのは何か理由があるはずだ。

 

「えぇ、おかげさまで。友達が1人増えてこれからも楽しくなりそうです。」

 

明日奈は自然に受け答えする。皐月が注文をしてから、それが届くまでの間は先ほどのダイシー・カフェでの話をした。

 

皐月の元にコーヒーが届き、店員が離れると皐月は明日奈に向き直る。

 

「んで?さっきまで居ったリズもキリトも呼ばず、一対一で話すってことはそれなりの用やんな?」

 

誰も連れずに明日奈が呼び出すのは珍しい。いつもはキリトにベッタリではあるが、その人もいないのだ。

 

「えぇ。あなたに確かめたいことがあるんです。」

 

明日奈は息を大きく吸い、一度吐く。そして皐月に向き直る。

 

「あなたはGGOプレイヤーですか?それも別アカウントで」

 

「やってるやってる。別に不思議でもあらへんやろ。明日奈もALOで風妖精もあるやろ?それと一緒や」

 

やはりと、明日奈は思考を巡らせる。だったらあれは間違いないはずだ。

 

「あなたは『シキ』ですか?先日の大会で3位だった…」

 

「お、やるやん。当たりやで。ちなみに何の根拠でそう思ったん?」

 

皐月はそれほど重要な用だと分かってるはずだ。なのにこんなに軽い調子で答えてくれるのは少し怖い。裏があるのではと思う。だが主導権を握っているのは明日奈のはずだ。

 

「いえ、あの日私たちも配信を見ていたんです。ですが最後のキリト君とあなたの戦いで私だけ気づいたんです。あれはあなたの剣の振り方です」

 

このことに気づいたのは明日奈だけだ。普段ALOでメイとよく組むクラインは気付かず、明日奈だけが気づいた。

 

そこには大きな違いがある。クラインはメイの剣を1番知ってる。だがそれは共闘する分であり、横から見たものだけだ。しかしアスナだけは違う。GGOでのキリトを除き、メイと唯一剣を斬り結んだのはアスナだけだ。

 

正面から斬り合うのと一緒に戦うのでは天と地ほどの差だ。だからこそアスナだけが気づいたのだ。

 

「んで?何が言いたいん?」

 

少しずつ話そうとしていた明日奈の企みはこの一言で崩れる。一気に詰められると誤魔化しは効きづらくなり、素直に聞くしかない。

 

「…はっきり言うとあなたの剣はラフコフに似てるんです。特定の誰とも言えないんですけれど、剣のイメージがそうなんです。」

 

こう言われて気分のいいSAOプレイヤーはいない。あの殺人ギルドと同じ扱いは侮辱に等しい。

 

「まぁ私は途中から対人戦ばっか練習したからな。SAO内の決闘でもアンティルールあったし、中層のころはそれでよう稼いでたからな。やから対人戦極めたあの連中に似るのもしゃーないやろ。」

 

明日奈は言い伏せられ、納得するしかなかった。それでも心のどこかではまだ不信感が渦巻いている。そもそもメイはSAOの間、常に誰かと一緒にいた。アスナの知ってる範囲でもクラディールとも2人でいたことはほぼないし、人脈もあるメイだ。ラフコフからは普通狙われる。

 

明日奈は自分の中で皐月は白だと思う。そして話すことも終わり、2人は解散する。

 

だがこの時アスナは忘れていた。ラフコフの戦闘スタイルに似ていたメイに気をとられ、1番警戒すべきものを忘れていた。その上元からアスナはメイを信用している。そこまで考えは行き着かないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイは、Pohの対話術を盗んでいることを。




オリ主が対アスナ兵器みたいになってる

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • ロニエ
  • ティーゼ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。