菊岡&皐月
GGOで起きた【死銃事件】も無事に解決し、それぞれのプレイヤーは思い思いにゲームを楽しむ。
ある者は自分の技量を上げるため
ある者は趣味としての経営を
ある者は情報集めをしていた
「ALOで聖剣エクスキャリバー発見!?」
桐ヶ谷家のダイニングで和人が叫ぶ。片手剣に分類されるその武器は、彼が探していた伝説級武器だ。
「とうとう誰かに取られたか…」
「まだ見つかっただけだよ」
和人の言葉を直葉は否定する。その記事にはとあるクエストの報酬でエクスキャリバーが手に入ることを示しているだけだ。
「まだ取られてないなら行きたいな」
和人がそう呟いくと直葉はニコニコ顔で頷いた。
「それじゃあ、メンバーを集めるか」
そう言って和人は携帯を開く。移動手段であるトンキーという邪神に乗れるのは7人までであり、しっかりとしたメンバーを集めなければならない。
「アスナ、リズ、シリカは誘うとして成人組がどうかだな…」
和人は呟きながらメンバーを想定する。エギルが入れば守りは堅くなるし、クラインがいれば火力は上がる。メイが入ればある程度敵の動きは止められるだろう。クリスハイトは頼りないが頭数にはなる
「4人に連絡入れるか…。最低でも2人は漏れるけど…。」
和人は4人に連絡を入れる。全員から返信が来るのを待ち、メンバーを決めていく。
返ってきた返信の内容は、クラインはOK、エギルは店があるからNGであり、クリスハイトとメイは口を揃えて用事があると返ってきた。
「あと1人かー。シノンさんは?」
「それだ」
こうしてキャリバー獲得チームが出来上がり、7人でクエストに挑むことになった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
皐月は現在都内を歩いている。その途中で和人からキャリバー獲得のクエストに誘われたが、これから大事な用件があるので行きたかったが、仕方なく断った。
身体の都合上、移動は電車がメインになるが駅からは歩かなければならない。呼び出した相手は皐月の体を気遣ってくれたのか、駅から徒歩2分の店で待ち合わせを決めてくれた。
目的地は銀座のとあるスイーツ店。相手の奢りのようなので楽しめる限りは楽しむことにする。
「メイ君!こっちこっち!」
奥からハンドルネームで自分を呼ぶ声が聞こえる。その非常識な行動に周りからの目が辛いものになる。しかも皐月に対して行われた行動なのでそこそこ恥ずかしい。
「ご足労願って悪かったね。メイ君」
「そう思うなら大声で呼ばないで下さいよ菊岡さん」
皐月の目の前にいるのは菊岡誠二郎という男だ。総務省の仮想課に所属している人物であり、GGOの死銃事件の調査をキリトに依頼した張本人である。
「それで、またSAOの時の話ですか?」
皐月は菊岡と顔を合わせるのはこれが初めてではない。SAOがクリアされて半年ぐらい過ぎてから皐月はよく菊岡から話を聞かれていた。
その理由はもちろんある。菊岡が何人かのSAO生還者から感謝している人物は誰かという問いかけにメイの名前もしばしば上がったからだ。キリトはゲームをクリアし、全プレイヤーを解放した英雄である。だが、直接的な恩を受けた者は少ない。
その分メイはゲーム内での貢献は大したことはないが、《食事処メイ》の存在によって、荒んでいたプレイヤーを擬似的ではあるが日常に戻した。それによって心を救われたというプレイヤーもいたのだ。
「あぁそうだ。君にしか話せないことだからね」
互いにティーカップを手から離し、向き直る。普段は胡散臭さがある菊岡だが、仕事のこととなると真面目になるのためこの時は信用できる。それに今回はメイにとって深く関わりがあるようだ。皐月は手のひらを菊岡に向けて出し、話を促す。
「仮想課にとってSAOはまだ解明されていないことが多いんだ。特に分かってないのは76層以降のこと。意図的にロックされてあるデータが大量に見つかった」
話の内容はキリトが終わらせたところより上がまだ解明されていないこと。だが1年も時間があってそれが進まないのはロックがされていたからのようだ。だがこれを皐月だけに話す理由がわからない。
「見つかったデータの大半は2重や3重に鍵がかけられており、botなどで解除を試みたが、開けてみれば大したことはなかったんだ。mobモンスターの情報、街のマップなどが大半だった。今の新生アインクラッドの非公開データと一致する」
この解析は消されたSAOデータを無理矢理にバックアップし、破損箇所を修繕しながら新生アインクラッドと照合しながら行われている。利益がないという報告だけを、それもただの一般人に話すのはやはりおかしい。
(まさか、あれを開けられたんか…?)
皐月は、いやメイは一つの可能性に考えついた。今回の菊岡の話は自分にしか当てられていない。今聞いた情報からこれから推測するにメイに一番関係ある情報が出てきたということだ。
「ロックされたデータの中から明らかにおかしいものが出てきてね。そのデータは他と違って512のロックがかけられてたんだ」
512。その数字だけで皐月は察した。ヒースクリフとの交渉の際、外からの解析を警戒して最大限に機密保護をしてくれると約束はしてくれた。それを時間をかけて破られたということを暗喩している。
「昨日、ついに512個目のロックが解除された。一つミスする度に1時間のインターバルを強要されたが、後半は茅場先生特有のパターン化が多かったから比較的楽だった」
皐月は歯嚙みをする。予想するにSAOでとった行動でバレたくないことが多分バレた。候補は3つ。
ラフコフと店関係であれ会っていたこと
ヒースクリフとの会話
GM権限の使用の瞬間
ラフコフとの会話ならまだ言い訳はつく。脅された、自分の身を守るためだ。約束を破れば殺されるなど、嘘はない。
だが後者二つは絶対にダメだ。その間にも菊岡は大きめの鞄の中からパソコンを取り出し、ある音声データを流す準備をする。
準備が終わり、パソコンに繋がれたイヤホンを渡される。目の前の画面には再生マークがあり、クリックすればすぐに流れるだろう。
「これを聞いてほしいんだ」
覚悟を決めて皐月は音声データを聞くことにした。
『これは推測です、ヒースクリフさん。あなたの正体は『茅場晶彦』ではありませんか?』
やはり、バレたくないことがバレた。先ほど菊岡は大半が76層以降といったが、全てとは言ってない。やはり過去のデータにも目はつけるのだろう。
『いかにも、私が茅場晶彦だ』
ここまで来て皐月は心の中で舌打ちをする。これから先最悪皐月は事情聴取だろうか。この後もあの時の会話をほとんど聞き進められた
「これを聞いたのはまだ僕だけだ。君は茅場晶彦の正体を見抜いた。だが君はそれを周りに言うことなく、自分の中に押しとどめたようだね。その判断を責めるつもりは無いさ」
『君に何かする気は無い。今まで通りこのゲームを楽しんでくれたまえ。他のプレイヤーにバラされると困るがね』
多分この時のヒースクリフの台詞だろう。回りくどい言い回しであるが、これはバラせば命の保証はないという意味にも聞こえる。だがメイにとって問題なのはこれからだ
『私の正体を見抜いた褒美だ。何か希望はあるかね?』
この音声が聞こえた。多分この先の褒美のこともバレているだろう。ユイが目の前にいるレベルで冷や汗をかく。
『ザッ…ザザッ……■■■■■■■■』
だが予想を反し、次に聞こえたのはノイズの嵐だ。ヒースクリフとの話の部分だけしっかりと聞こえない。
「解析できたのはここまでだ。この先の会話にもまたロックがあってね。さて、ここからが本題だ」
菊岡はパソコンを片付け、皐月を見る。
「君もまたキリト君同様に茅場先生に認められたようだ。そこで我々の計画に協力する気はないかな?」
菊岡はヒースクリフとメイの約束のことは特に気にしてないようだ。それより彼が重要視してるのはメイが茅場の正体を見抜き、彼に認められたこと。他は些細なことらしい
「……どういった内容ですか…?」
皐月は警戒度を上げる。メイが持ってる秘密をギリギリのところまで暴かれたので仕方ない。
「そうだね。まずはその説明からしよう」
「というわけなんだ」
「これ今すぐ決めなきゃダメですか?」
聞いた内容は想像を絶するものだった。いくらなんでも機密性、重要性が高すぎる。一般人に話す内容ではない。
「今すぐとは言わないよ。3月末までには決めて欲しいかな」
今は年末であり、約3カ月の猶予はある。これは重要なので軽くは決められない。
「今日はありがとう。いい返事を待ってるよ」
2人は解散し、皐月は家に帰った。その道中皐月は生きた心地がしなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰った皐月は気分転換にALOをしようとする。だがその前に部屋にあるパソコンにメールの通知が1件来ていた。差出人はALOからの自動メールだ。
『かねてより予定していたクエストが決まりました。1月5日限定の特殊クエストです。』
内容としては約一週間後に来る、限定クエストの内容だった。
「やっとですか……」
パソコンの前で皐月は呟く。その顔は笑っていた。
菊岡との初絡みでした。SAO男キャラはそれぞれ特有の魅力があって好きです。
オリ主とより仲良く出来そうな方
-
イスカーン
-
シェータ