デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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前回決めた挑む順番ですが公表はしません。ご了承ください


シリカ&■■■

「誰も…いなくなったな…」

 

リーファ、シノンの活躍によりボス部屋前のエリアにはキリト達6人以外誰もいなくなった。まだここに来れてないクエスト参加者はいるかも知れないが、今がボスに挑める最大のチャンスだ。

 

「それにしても、もう3人も脱落したんだね…」

 

アスナがポツリと呟く。最初は9人いたはずなのにクエスト開始僅か30分少しで3分の1が脱落した。シノンの体力はまだ残っているが、彼女は足止め役に徹しており、ここに戻ってくる気もない。

 

「順番も決めたんだ。ここで勝たなきゃアイツらに悪い」

 

エギルが全員を前に振り向かせる。ここでシノンを待つだけだと時間の無駄だ。彼女たちに体を張らせたのに成果なしでは格好がつかない。

 

「シリカ、いける?」

 

「行けます!」

 

リズベットがシリカに問いかける。シリカは気合を入れるように大声で返事をする。今回のトップバッターはシリカである。シリカは戦闘技術は他のメンバーよりは劣るが、一つだけ他のメンバーにはないアドバンテージがある。

 

「キュイ!」

 

それはピナの存在である。ボス部屋には1人しか入らないが、ユイが可能な限り調べた結果、ピナは、テイムモンスターはその区分ではないようだ。

 

ピナがいることによりシリカは誰よりも動きやすい。焼け石に水程度ではあるが、回復はできるし、何より攻撃の手数が増える。SAO内では中層で活動していたシリカだが、ALOでの新アインクラッドではキリト達と肩を並べて戦うこともできる実力はある。

 

「行ってきます!」

 

「頑張れよ!」

 

シリカが扉を開けて中に進む。彼女が部屋内に足を踏み入れるのと同時に扉は勢いよく閉まる。やはりアスナの予想通りであり、75層の時と同じく一度入ると出られないようだ。

 

シリカの挑戦が始まった

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

部屋の中は暗い。シリカが入ったことに部屋そのものが反応をするように壁に置かれていた松明が灯っていく。最初は真っ暗で何も見えなかったが、徐々に見え始める。

 

部屋の真ん中にいたのは人型のボスだ。ただその全身には黒いノイズが入っており、存在が不安定なように思える。

 

「■、■■は■■■な■■」

 

口があるか分からなかったが、何やら言葉のようなものを話しているようだ。だがその声はノイズが大量に紛れており、意味を理解できない。だがシリカとしては以前挑んだスリュムのような口上のようなものだと思い、特に気には止めない。

 

「■■か。■■■め■せ■■■う■」

 

ノイズが走ったボスはもう一度話す。やはり何を言おうとしてるのか分からない。言語エンジンがあるというのは間違いない。ということはあのセリフは集中を削ぐために意識されたものだろう。気にしてはいけない。

 

相手の体力ゲージが出てくる。本数は3本であり、ボスを名乗る割には非常に少ない。1人で挑まされるのだからこれくらいの調整はやっともらわないと困るのだが、丁度いいだろう。

 

シリカは腰から短剣を抜く。それに合わせるように相手も武器を抜く。だが相手の武器にも黒いノイズがあり、形状、長さが定かではない。ところどころ形が変わってるようにも見えた。

 

ボスは構えたまま動こうとはしない。目がどこを向いているか分からないが、シリカより高い身長の相手は顎を少し引いている。視線があるとすればシリカの顔だ。つまり出方を伺っている。

 

「行くよピナ!」

 

「キュイ!」

 

シリカはボスを右側を回り込むように走り出す。ピナは反対に左側に向かって回り込み、簡易的な挟み撃ちの構図が出来上がる。相手にも翅は無さそうに見えるので、上に回避はできない。跳躍しても翼のあるピナの餌食だ。

 

駆け出すまで見届けたボスは、左方向のピナの方に動き出す。速さはシリカ以上だ。ピナとの距離は詰まっていき、シリカとの距離は開いていく。

 

ピナは相手の間合いに入る前に口から泡を飛ばす。耐久は低いが、ピナは中距離の攻撃が可能であり、それにより相手を牽制ができる。

 

ピナの泡攻撃は半分は避けられた。だが残りの泡は当たり、そこから破裂していく。泡にはデバフ効果も乗っており、対象のAGIを30秒の間15%下げるというものだ。

 

「■っ」

 

ダメージとしては大したことはない。削れた体力は約2%だ。だが足を奪えれば勝機はある。距離を詰められたピナは空中からシリカの肩に戻る。

 

「でやぁぁぁぁぁ!」

 

両手で短剣を握りしめ、シリカは単発短剣スキル『アーマー・ピアス』を放つ。ボスはそれに合わせるように武器で受け流そうとするが、横からピナが体当たりをし、体制を崩す。

 

シリカの攻撃は当たり、後隙もないアーマー・ピアスを連続で放つ。2発は当たったが3発目は上に跳ねあげれる。シリカは後ろに退き、構えようとする。

 

「うそっ!?」

 

だがボスは退いたシリカに構えられる前に走ってくる。下からの斬りあげを避け、そこから繋いで横に振る。対処しきれずダメージを受けてしまう。

 

ピナは上に飛び、シリカの援護を試みるが、ここで誤算が生じる。ボスは武器を噛み、一度飛びシリカの肩を踏む。そしてそこからシリカの肩を踏み台にして片足だけで飛んだ。高さはピナの元まで届き、ピナの体を掴む。そしてそのまま着地した。

 

着地したボスは腰からノイズのかかった細いものを取り出す。そしてそれをピナに刺した。

 

「キューーー!?」

 

「ピナ!」

 

ピナの体から力が抜けるのがみてわかる。あの細いものには何かしらの効力があるのだろう。ピナはその場で倒れ伏し、動かない。

 

「■■い■。■は■■タ■」

 

ピナの体力は削られ切ってはいないが、ピナがやられたことにシリカは怒る。シリカは4連撃『ファッド・エッジ』を放つ。一撃目から命中し、次々と突いていく。3発目までは当たったが、間を縫われて4発目は避けられた。

 

だが飛びのいて避けられたため、硬直時間を突かれることはない。相手が3歩目で硬直が終わり、振り下ろしを探検で受ける。

 

受けた瞬間に腹部に衝撃が走った。体は後ろに追いやられ、蹴られたことが後からわかった。おそらくはナイフで受けた瞬間に出る死角からやられたのだろう。

 

シリカはもう一度ファッド・エッジを放つ。シリカの最大火力はこれなのでまだ2割ほどしか削れてないライフをどうにか削ることを考えていた。

 

「■た■」

 

「でやぁ!」

 

一撃目、スウェーバックで避けられる

二撃目、相手はしゃがんで避ける。体は前に傾いている。

三撃目のモーションの途中で違和感に気づいた。

 

今度は肩を刺されていた。モーションの途中なのにだ。途中で体制が大きく変わったので自動的なキャンセルが入る。硬直時間の間に相手の武器はエフェクトを纏う。

 

相手が行ったのは5連続スキルの攻撃だ。シリカはまだ見たことのない動であり、突き技だ。シリカは全て受けてしまい、体力が残り半分を切る。だがシリカは確信した。相手は一撃技を使ってこなかったのでまだ使われない。火力も低いのでまだ戦える。

 

一度落ち着いたシリカは1〜3連撃の技で攻めていくことを決める。連撃技はまた間を縫われる可能性があるので単発をメインにすることを決めた。再びアーマー・ピアスで攻め込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピナが突然起き上がる。そして目標を決めず、ただ口から泡系の攻撃を撒き散らす。ピナが倒れてから狙われないように立ち回っていまシリカはその攻撃を受ける。そしてシリカは急激な眠気に襲われた。

 

「■っと■■た■」

 

何か言ってるようだがはっきり聞こえない。眠気に抗うが足に力は入らず、目のほうも定かではない。

 

相手が走ってくるが足が動かない。ボスは姿勢を急に低くし、シリカの脚の腱の部分を斬りつける。シリカの眠気状態はそれで解除された。だが腱を切られたのでうまく立てない。片膝を地面についたまま短剣を構える。

 

ボスはシリカの周りを走りながら荒ぶるピナに太めのノイズのかかった武器で動きを止める。ピナは避けることもせず壁に固定された。シリカはその様子を見るだけだ。立てないので庇えない。

 

思えばボスの狙いはピナがメインだった。シリカはピナとの連携によって強者足りうる。ピナを封じればただの中レベルのプレイヤーだ。

 

ボスはシリカの周りを走り続ける。シリカは目で追うが、後ろまでは見えない。そして地面を蹴る音が聞こえた。

 

「■ぁ■」

 

ボスの頭がシリカの目の前にあった。そして腕には武器。その武器を首の形に沿われ、喉をかき切られた。

 

着地の瞬間に腕を踏まれる。シリカは短剣を落とした。顔をもう一度あげればボスが見下ろす形でシリカを見ていた。

 

「お■まい」

 

最後だけはっきりと聞こえた。そう言われた時には自分の視界が回っていることに気づいた。

 

シリカは首を刎ね飛ばされて負けた。

 




最近知り合いにリョナラー認定をされましたが僕は元気です。

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • イスカーン
  • シェータ

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