今日は金曜日。看板には《洋食屋》の文字がある。
「はいは〜い少々お待ちを〜。」
今日も今日とて店主のメイは店の中を走り回っていた。
チリンチリン
「いらっしゃいませー。」
「ここですね。《食事処メイ》は。」
入ってきたのは栗色の長い髪をした女性だ。その装備は白と赤であるギルドの制服みたいなものだ。
「そうですよ。私は店主のメイです。血盟騎士団(以降kob)の方ですね?」
「そうです。私は副団長のアスナといいます。今日はあなたにお話があってきました。」
そういうとアスナは一つ深く息を吸い…
「あ「個人的なお話のようですね。閉店後にお聞きしますので」……いやちょっと、」
チリンチリン
「いらっしゃいませー。」
アスナの話は遮られた。
アスナは攻略に関わる話を持ちかけようとしたが忙しそうに走り回る彼女を見て閉店まで待つのを決めた。
夜8時30分
営業時間が過ぎ、話し合いをするためにアスナとメイは店の中にいた。
「で、kobの副団長さんが何のこんな私に何の用ですか?」
「それはですね…」
グゥ
グゥ
2つの腹の音が鳴る。
「お互い夕食はまだみたいですね。何か食べますか?」
そう言ってメイはアスナにメニュー表を渡す。
「すいません。…じゃあハンバーグセットで。」
「少々お待ちを〜。」
玉ねぎをみじん切りにして、強火で炒める。
ひき肉、玉ねぎ、パン粉、卵黄をボールに入れその上から塩こしょう等を加え手で練っていく。
手の間で投げつけて空気を抜いていき、形を整え、真ん中を軽くへこませる。
中火でフライパンを慣らし、慣れてきたら強火にして焼き目がつくまで焼いていき、弱火で5分程焼く。(なおシステムによる時間短縮はしている。)
フライパンに残った汁をケチャップやソースで好みの物にしてハンバーグにかける。
ハンバーグ以外のものは適当にサラダや白米で飾る。
「はい、お待たせ。ハンバーグセットです。」
「い、いただきます。」
二人は目の前の食事に手をつけ始めた。メイは普段自炊をしているため食べ慣れているがアスナは久しぶりのまともな食事に舌鼓を打っていた。
しかしその割に二人は無言で食べていた。食べるペースは異常だが。
「それで、お話はなんですか?」
そう言われてアスナは思い出す。
「あなた、ギルドに入るつもりはありませんか?」
「お断りさせていただきます。」
「メイさん。レベルはおいくつですか?」
「68や。」
この時の空気は一触即発ものだった。
「あなた、一昨日に最前線でレベリングをしていたと団員から目撃情報があります。」
「してましたね。黒の剣士さんと。」
二人の、主にアスナのピリピリ感は止まらない。
「そんなレベルとセンスを持っていながらどうして攻略に参加しないんですか?」
………………メイが口を開く。
「死にたくないからや。のびのびとしたいからや。」
この答えにアスナは困惑した。彼女がやっていることは真逆だからだ。死にたくないなら始まりの街に留まっているはずだし、モンスターハウスなんて馬鹿みたいなことはやらない。
「死にたくはないけど、黙って指加えて待つだけっていうのも嫌や。やからなにかを手伝うことに決めた。」
「じゃあなんで鍛冶職や道具売りじゃなくこんな仕事をしてるんですか?」
アスナの質問は最もだった。攻略を手伝いたいのならその辺りぐらいしかないからだ。
「前線も中層も攻略攻略ばっかで常に気が張ってる。そんなんじゃいつか碌でもないことになるし、元の日常忘れてるやろ。始まりの街で留まっている人の方が日常感あるで。もともと私はゲームするために来たんや。楽しまな損やで。色々珍味も試せるしなぁ。」
アスナは溜息を一つ吐いた。
「分かりました。命あってのことですし、無理には誘いません。」
「ありがと。その気になったら行くから。」
「それでは失礼します。ご馳走さまでした。」
こうしてアスナは店を出た。
「ははっ、流石鬼さん。怖いもんやわぁ。それでも食べてる時は可愛らしかったんやけどなぁ…。」
その頃アスナ
「この世界の食べ物は贋物のはず。でも美味しかった……。私もそのうち料理スキルとろうかな……」
なんてことを呟いていた
レシピ以下の何かって友達に言われた
オリ主とより仲良く出来そうな方
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ロニエ
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ティーゼ