デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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最近感想を見るのが楽しみであります





作戦続行者&傍観者

場面は変わってここはボス部屋の外。一面に広がる草原の中で二人のプレイヤーが未だに闘いを繰り広げていた。

 

片方は水色の毛並みの猫妖精であり、名前はシノン。弓を持ってはいるが矢筒の中には残り2本しかなく心許ない。GGOからの自分の狙撃手のイメージをある程度払拭はでき、今や仲間の火妖精からの勧めで短剣を握っている。

 

「オネーサン強いね。こんなに苦戦するのはこのゲームでは初めてだよ」

 

もう片方は闇妖精の少女。だがリーファの魔法の影響により彼女のパーティは壊滅し、残りは左目と右腕を失った彼女のみ。爆煙が充満してる中シノンに連れられた。

 

少女にとっては最悪のコンディションでの戦いになる。片目が潰されたことにより距離感はなく、また利き腕ではない手で剣を握っているのだ。そんな中戦えるので実力はとてつもなく高い。

 

シノンもそれは分かっている。今までの撃ち合いから剣の振り方もおかしいし、視界も悪いのに少し押されている。相手が万全ならすぐに負けてここから逃げられただろう。

 

「そういやこんだけ打ち合ったのにまだ名前を聞いてなかったね」

 

闇妖精の少女がつぶやく。やはり剣士の矜持がある者は作法に拘るところがある。シノンが知ってる中ではクラインやアスナやキリトが特にそういった傾向があると思う。

 

「…私はシノン。ただの殿よ」

 

「ボクはユウキ。よろしく」

 

ユウキと名乗った少女は慣れない左腕で剣を構える。シノンも短剣をしまいメイン武器の弓を引く。

 

距離感の測りにくいユウキは弓で射られる訳にはいかないので相手を自分の間合いに引き込むしか無い。翅を広げて弓の焦点が定めさせずに突撃していく。シノンは対応しきれず弓を構えたまま右往左往させられる。

 

ユウキの袈裟斬りをシノンは避ける。だが剣の先に防具をかすめてしまいダメージは防ぎきれなかった。そこからユウキは一歩前に詰め片手剣4連撃バーチカル・スクエアを放つ。シノンは一撃目は避けれたが体制を崩してしまい、残り3発は受けた。

 

だが相手にスキルを使わせ、それも受けるのもシノンは想定していた。シノンの勝利条件はユウキの足止め。ユウキの勝利条件はシノンを倒しボス部屋に向かう。目的が違うのだ。

 

(だったら!)

 

4連撃目を受けながら足に力を入れる。体力は既に3割を切った。先ほどまで弓の弦に当てていた程度の弓をユウキが硬直している間に一本しかない切り札を一気に引き絞る。

 

引き絞られた矢にスペルが浮かび上がる。既に魔法が編み込まれておりすぐに発動する仕掛けだ。シノンはゼロ距離で弓を放つ。

 

当たったそばから黒い大爆発が起こる。設定されていた魔法は闇魔法の爆発系の類いだ。その威力は絶大であり半径5メートルの爆発だ。その中心にいる二人は体力もろとも消し飛んだ。

 

先ほども述べたがシノンの勝利条件は足止めだ。自分の体力を残す必要もないと判断し自爆での道連れを選んだ。リーファに当てられたのは確かだが判断は間違っていない。

 

二人の勝負は相打ちではあるが、目的を果たしたのはシノンだ。なのでシノンの勝ちと言ってもいいだろう。

 

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ALO内とある場所。白い部屋のような場所で一人の男が座っている。ここは普通プレイヤーが立ち入りができないどころか存在すら知らないような場所であり邪魔されることはない。

 

「あー、またそんなもの食べてる。いくら栄養面に影響ないからってどうかと思うよ」

 

いや、どこからかどうか分からないが少女の声の邪魔が入った。男は手に持っていたラーメンを置き、声の主に話す。

 

「これでも週に一度しか食べてないよ。彼女の料理から再現したデータなだけあってその辺は合わせている」

 

「そんなに美味しいの?」

 

男は後ろから冷蔵庫のような箱を7つ出して指を指す。それぞれの箱には各曜日が書かれていた。

 

「君も食べるといい。そうすればわかる」

 

少女は言葉を飲み込みながらその箱に向かう。目視できる距離になれば服にはMHCP6というクソダサいTシャツを着ていた。ただ全身にはノイズが走っているが、声は聞こえる

 

「ラーメン狂いの茅場晶彦が他の料理を分かるとも思えないけどね」

 

暗闇の中座っていたのは茅場晶彦だ。ラーメンを食べながら目の前のモニターを見る。映っているのはボス部屋前であり、3人のプレイヤーが話しているだけだ。

 

「これ今どこまで進んだの?…うまい…。」

 

少女は杏仁豆腐を食べ始める。その甘さは初めての体験であり、とても美味しい。それと同時に質問もしていた。

 

「全員が挑んで負けているよ。その中の一人は攻略組だ。」

 

「あの子ついに勝てたのか。どこまで行けるかわかったもんじゃないね。…まぁ相性も良さそうだし?」

 

茅場が状況を説明する中少女はまた冷蔵庫を漁る。次に取り出したのはプリンだった。

 

「そもそもなんで君は止めなかったんだ?一番最初に目をつけたのは君のはずだ。」

 

茅場が少女に問う。彼女はユイの姉妹のようなものであり役目は同じだ。またユイのような記憶消失もないので仕事はふつうにこなす。

 

「精神状態の検査した結果としてはガッタガタだったよ。でも私が行こうとした途端にしばらく安定するんだから行けないし、最後の方は維持を続けてるしね。ユイみたいな末路をたどるのはいやだね。」

 

勝気な言葉で返す。MHCP6は現実主義でありまた合理主義だ。自分の仕事を優先しているので姉と同じことはしたくなかった。

 

「君は姉に容赦がないな。それで、今現れたってことは私に報告があるのではないか?」

 

はぁ、っと溜息をつく。やはり生みの親には全てが見透かされており少女としては私が必要あるのかと感じる。そこまで把握してるなら自分でやればいいじゃないかとも。

 

「今の精神面はガッタガタだね。私としてはストレアとかに行かれる前に行きたいんだけど行ったら申し訳ないでしょ。それで気分でも損ねたら何されるか分かったもんじゃないよ。」

 

その答えに茅場のスープを飲む手が止まる。予想していた答えと違っており、また彼女の報告には嘘や隠し事など今までなかったので信用している。だからこそ予想と反したことに驚いた。

 

「……やっぱり分からないな。何もかもを捨ててその道に進んだのに満足してないとは…。」

 

「目的が変わったからでしょ。あの状態で平気を保てるのが一番おかしいよ」

 

茅場の答えに食い気味で返す。少女も茅場の横に座り木曜日と書かれた箱の中からマルガリータを取り出す。そして二人でモニターを眺めながら無言で食べ勧めた。気まずくなり口を開いたのは少女だ。

 

「あの3人の中で誰が勝てそう?私は2人は可能性あると思っているけど」

 

「奇遇だな、私も2人だ。恐らく君と予想は同じだろう。」

 

「私としてはあの子の精神面が崩壊しない限りなんだっていいんだけどね」

 

「今、何を思ってあそこに立っているんだろうね?」

 

部屋の中央に立つ者の末路は二人にも分からない

 

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楽しい

 

面白い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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虚しい

 

 




ラーメン狂いの茅場晶彦とかいうパワーワード。そしてMHCP6はオリキャラのつもりで書いてます。ごめんなさいね

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • イスカーン
  • シェータ

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