デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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月一投稿じゃけぇ…。チマチマ書いてますけど最近は面白い小説が増えて割と読む時間が増えてます。書け(戒め)

今回は独自解釈、一瞬だけ百合になります。ご了承ください。


マザーズ・ロザリオ
絶剣&料理人


 「ねぇメイ、クラインさん、〈絶剣〉って知ってる?」

 

ALO内にあるとあるホームの中、フカ次郎はメイ達に問う。

 

 「いや、そんなん知らんな。最近はちょっとそれどころじゃなかったから」

 

 「俺も知りませんね」

 

最近クラインとフカ次郎はメイを通してALO内でよく行動を共にすることも増えた。なのでお互いに緊張するようなこともない。

 

 「まぁ年末年始から出てきたプレイヤーだしね、あとメイは年始はやたらと気が張り詰めていたし、あんまりダイブもしてなかったし知らないか」

 

ちなみにフカ次郎はメイのクエストの詳細は知らない。言ってしまえば知りたがりのフカから厄介な問い詰めになることをわかっているからだ。

 

 「〈絶対無敵の剣士〉、だから絶剣。」

 

 「そう呼び名があるってことは強いんですね?」

 

フカ次郎もALOでは強い部類だ。風妖精でも上であり、リーファといい勝負をしたりしなかったりと聞く。そんな彼女から他のプレイヤーのことが口に出るということはつまり…

 

 「闘ったん?」

 

メイはフカに問う。実際ALOでの交流の始まりは戦闘が主であるため、そうじゃないと人の紹介しかない。フカは風妖精以外の繋がりは多い訳ではないので前者と予想した。

 

 「そうだよ!どんだけ速いんだよ!何千時間プレイしてんだよ!時間詰め込みすぎだろ!ってくらい鬼強でさ〜」

 

 「「ほう?」」

 

メイとクラインは互いに同じ反応をする。フカ次郎にここまで言わせるほどのプレイヤーだ。興味も湧く。

 

 「そういうことで、対人戦が十八番のメイに敵討ちをお願いしたいわけで。この後まだ時間あったよね?」

 

メイはチラリと時計を見る。時間は午後2時過ぎであった。そしてクラインと顔を合わせて笑みを浮かべる。

 

 「行きましょう」

 

 「やな。面白そうやから行ってみよか」

 

 「決まり!じゃあ行こう!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

フカの話では絶剣は午後3時に24層の大きな木が生えている広場に現れるらしい。それまでに装備を整え、時間になるとその場所に向かった。

とは言っても飛行速度や元々のキャラのスピードは3人とも同じでは無い。そのため到着したのは3時5分だった。

 

キィンキィィン

 

遠くから剣の打ち合う音が響く。目の前の島からでありもう始まってるようだ。

 

 「やってるみたいやな」

 

 「ですねぇ」

 

 「ホントに強いよ〜」

 

とは言えまだ時間はあるので呑気に向かう。島の真上に到着すると3人は急降下して降り立った。

 

 「わぁぁぁああああ!」

 

木の上から人が落ちてくる。ドスンと大きな音を立て背中から着陸し、大量の土煙を上げる。その煙が晴れる頃には既に立ち上がっており、大きな声で叫んだ

 

 「参った!リザイン!」

 

リザインの文字が大きく浮かび、木の上からはwinnerの文字が大きく浮かんだ。そして木の葉を揺らしながらプレイヤーが降りてきた。

 

 「イェイ!」

 

手でVサインを出し、笑顔のプレイヤーだ。闇妖精であり紫色の髪に巻かれた赤い鉢巻がよく似合う。そして初見なら強い、というより可愛らしいという印象を受ける。ーー女の子であった。メイは先入観により絶剣は男という印象を抱いていたので衝撃を受けていた。

 

 「フカ次郎さん。あの子が絶剣ですか?」

 

先に我にかえったクラインが聞く。絶剣の情報を持っているのはフカだけである。

 

 「そう。言ってなかったっけ?」

 

 「…可愛い子だなぁ」

 

メイは少し遠い目をしていた。何故なら先日のクエストが終わってから聞いたシノンが引きつけたプレイヤーと寸分狂わず特徴が一致する。利き手じゃない左手と片目を失った状態でシノンに勝つということは中々の化け物である。

 

 「次の挑戦者はいますか?」

 

絶剣が大きな声で次の対戦相手を求める。だがメイは声を上げなかった

 

 「あれ?メイ行かないの?」

 

 「一回だけ見たい」

 

まずは情報収集からだ。シノンからの話だけではイメージはしにくいので一度見てみたいのだ。

 

すると一人のプレイヤーが声を上げ、絶剣と闘った。結果としてそのプレイヤーは絶剣のライフを2割も削れずに負けた。

 

 「…速すぎるやろ、あれ」

 

とにかく絶剣は速かった。その速度はキリトより速いアスナといい勝負をできるようなレベルである。フカ次郎が鬼速いと言っていたことがよくわかった。

 

だがメイも速いプレイヤーを多く見てきた。ここで下がれば元saoプレイヤーの名が廃りそうな気がした。

 

 「次の人ー!」

 

テンションが上がっている声で絶剣は呼びかける。一戦見てからと言ったからにはやらねばならないし、何より左右でフカ次郎とクラインが肘で突いてくる。

 

 「お願いしまーす!」

 

メイは大きな声を上げる。絶剣はそれに反応し振り返る。

 

 「オネーサンだね。オッケー」

 

絶剣は手を招く。メイは深く息を吸い込みながら前に出た。

 

 「ルールはアリアリ?」

 

 「もちろん。魔法もアイテムもバンバン使っていいよ。」

 

アリアリとは魔法、アイテムありのデュエルルールだ。基本はこれに統率されており、これ以外で行う方が珍しい。

 

 「ボクはこれだけ」

 

絶剣は腰の片手剣に触れた。つまり剣だけで戦うということだ。舐められてるのか自信があるのかは分からないが、メイにとっては非常に都合が良かった。

 

 「あぁ、オネーサンは地上戦と空中戦のどっちが好き?」

 

 「選ばせてくれんの?」

 

絶剣は笑顔で頷く。

 

 「じゃぁ地上戦で」

 

 「オッケー。翅はなし、でもジャンプはありね」

 

そう言って絶剣はウインドウを弄る。その操作を終えるとメイの目の前に決闘申請のメニューが浮かんだ。

 

 ユウキからデュエルを申し込まれました

 

相手の名前を確認し、ルールは〈完全決着モード〉を選ぶ。これはどちらかの体力が無くなるか、降参するまで続くルールだ。

 

カウントダウンが始まり二人は武器を抜く。そしてメイは胸に手を当て深く深呼吸をする。そしてカウントダウンは着々と数を減らす。

 

カウントがゼロになった瞬間メイは走る。鉈包丁での突きを3発放つが、1発目は避けられ、2発目は剣で合わせられた。だがメイは自分の戦闘能力が低いのは理解してる。3発目を避けられた瞬間に手首を翻して相手の首を狙う。超近距離からの攻撃なら合わせにくい。

 

だがユウキはそれすらも弾く。そこからもメイは手を止めることなく攻めたが、片手だけでいなされた。

 

 (ならっ!)

 

思い切って深く潜り込んだ攻撃を出す。だがその読み合いに負け、ユウキにさらに詰められた。振り下ろしをよけきれずに受けてしまい、後ろに飛ばされる。

 

二人の距離が空き、再び構え直す。その時にユウキはニッと笑ったのでこちらも応える。

 

たった一度打ち合っただけでそこには絶対的な差があるのを理解してしまった。その上まだユウキには余力がある。キリトやアスナでも勝てないかと思うほどに速い。

 

鎧の中に手を入れ走る。コンマの時間でユウキも走り、メイはその瞬間に針を飛ばす。ユウキはそれらを弾き飛ばし、二人の距離は再び0になる。

 

ユウキが剣を振り上げた瞬間をメイは見逃さず、口の針を飛ばす。ユウキは一瞬驚いたが、その針を叩き落とした。

 

 (嘘やろ!初見やろ!?)

 

基本的に仕込み針を避けられたことはない。あれだけ話していて仕込んでいる様子を見せず、奇襲で仕掛けるからだ。

 

だが体制的にメイはしゃがみ、ユウキが上段からの形だ。その形でユウキは片手剣単発〈バーチカル〉を放つ。

 

 「らぁ!」

 

メイは低い姿勢から横に飛び避ける。そのまま地面を掴み、振り向きざまに土を投げる。目をやられたユウキは顔を払い、すぐに視界を取り戻す。

 

 キュポン

 

ユウキが視界を取り戻すとメイが瓶の中身を一息で飲み干し終わった後だった。あの一瞬で恐らくバフ系のアイテムを使ったのだろう。

 

二人は同時に走り出す。武器を交え、金属のぶつかる音が高く響く。メイは武器の軽さでユウキに押しやられる。突きがかすめ、体力を削られる。メイは短剣単発〈アーマー・ピアス〉を放つ。ユウキはそれを受け止め、片手剣単発〈ホリゾンタル)を放つ。土煙が大きく上がり、メイが押し負けた。

 

だが足は止めない。止めていられない。ユウキから見ればものすごい勢いで迫ってくる。ソードスキルを発動させる動きを確認し、ユウキはそれに対応できるように構える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メイの手からスルリと鉈包丁が抜け落ちる。

 

 「へっ?」

 

相手がいきなり素手になったことにユウキは驚き、それにより対応ができなかった。メイはユウキの左手首を右手で掴み、ユウキの腰とメイの左腕により、武器を握った腕を封じられた。

 

ユウキは抜け出そうとするが、メイのそこそこある筋力値により抜け出せない。そしてメイの頭が動いた。

 

 「えっ!?」

 

 「はぁ!?」

 

 「なっ!?」

 

その行動にその場にいた全てのプレイヤーが驚いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何せ、メイがユウキとキスをしているのだから。

 

 「えっ!?えっ!?」

 

 「メイ…やりすぎだよ」

 

 「やりすぎだろ…メイさん」

 

ユウキは理解できず、フカ次郎とクラインは呆れる。そしてその一瞬後、ユウキは理解した。

 

何か流されてる

 

ユウキは飛び上がり、メイの腹に飛び蹴りを入れる。近距離には変わらないが、剥がすことはできた。

だがユウキはその場で崩れ落ちた。先程口移しで流し込まれたのは麻痺毒だったからだ。

 

 「ごめんな、何としてでも勝ちたいもんやから」

 

メイは鉈包丁を拾い上げ、刃を倒れているユウキに向ける。そして、その体制でソードスキルが発動した。それは先日実装されたオリジナルソードスキル。一定条件を満たせば自分でスキルを作れるものだ。(以降OSS)

 

メイのOSSは短剣専用単発、モーションは刃の突き立てだ。スキル名は〈スパイダー・サイス〉。対象が状態異常の時に110%の特攻を持つ。

 

狙いは脊髄。メイはユウキに刃を突き立てた。

 

だがユウキは麻痺状態にも関わらず、僅かに体を揺らし脊髄からそらした。だがそれでも特攻ダメージは痛く、残り3割まで削られた。そしてメイのOSSは成功後に対象の状態異常を取り除く。その瞬間を逃さずユウキは飛び退き、スキルを発動させる。

 

ユウキが発動させたのはOSSだ。片手剣汎用技11連撃の〈マザーズ・ロザリオ〉だ。メイの胸にX字を描き、最後の突きまで全てを当てた。

 

メイの体力は全て失われ、デュエルはユウキの勝ちで終わった。

 

 「はい!今日はおしまい!」

 

デュエルの結果画面を見ずにユウキは叫ぶ。そして翅を広げてメイの方に向き直る。

 

 「バーーカ!」

 

それだけを言い残し、ユウキは飛び立った。

 

誰にも見つからなかったが、その顔は憤怒の色で真っ赤だった。

 

 

 

 

 




多分同性だとハラスメントコード出ないっていう、希望観測前回の独自解釈です。

オリ主戦績
SAO ジョニー●
   アスナ○
ALO キリト●(幻惑魔法)
GGO キリトシノン●
オリジナル シリカ○
      リズ○
      エギル○
      キリト○
      アスナ○
      クライン●(心意)
マザロザ  ユウキ●

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • イスカーン
  • シェータ

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