デスゲームのお食事事情   作:lonrium

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2ヶ月ぶりにこっそり更新してもバレないやろ……

バレた…


報酬確認&屋台引き

アスナがユウキに連れ去られてからは、アスナからの連絡待ちとなりそれまで思い思いに過ごすこととなった。アスナの一番の相棒のキリトが大丈夫と言うのでそれを信じる方針となったのだ。

 

メイはみんなで共有している拠点に戻る。そこで先程アスナに取り付けたコウモリの位置を確認する。そこは以前に屋台で回ったことのある新アインクラッドであり、そのある一室であった。おそらくユウキのホームか、ユウキのギルド拠点かだ。

 

位置だけを確認してすぐにコウモリとのリンクを切る。リンクしている間はコウモリが相手にも見えるため、見つかるリスクもあるため、常には確認できないのだ。

 

 「メイさーん。いますかー」

 

 「いますよー」

 

ホームのドアが開きクラインが顔を出す。扉を閉めてどっかりと座る。

 

 「それじゃ、確認するので詳細について教えてください」

 

クラインはウインドウを操作し、先日のクエストの報酬を確認しようとする。あれからまだ一度も確認していないため中身が何かを知らず、今日確認することにしていたのだ。

 

クラインの操作が終わると、目の前に巻物状のものがオブジェクト化される。それを手に取り紐を解いていくと文字列が大量に並んでいた。

 

 「うへぇ…」

 

隙間なくびっしり書かれている量に頭を抱える。小説や論文のような詰め込み方に読む気をなくしてしまいそうになる。

 

 「これ要約してもらえませんか?」

 

クラインが巻物をメイに向けるが、このアイテムには所有者以外には視覚フィルターがかかるため今のメイが読むことはできない。ただ当事者であるメイは何が書いてあるかは知っているため説明だけならできる。

 

 「えっとですね…」

 

メイがクラインに内容の解説をする。その中身としては16詠唱の限定的な魔法である。共有は一人まで可能であるためALO内では二人しか習得できないようになっている。

デメリットとしては16詠唱という重さ。あとはPKされてしまうと最優先でドロップしてしまい、所有権を失うため発動ができなくなるということだ。

 

 「まぁ…俺は魔法を使いたくないんですよね…」

 

クラインはSAO出身として剣一本での戦いがプライドになっている。剣を使わない魔法はあまり使用したがらないのだ。だがメイ本人としては折角獲得した限定物だから是非とも使用してもらいたいのだ。

 

 「別にいいじゃないですか〜。これ視点を変えれば強化魔法みたいなもんですし。それにこれ自体に攻撃能力はありませんし」

 

とは言え一度みんなの前で宣言したことに背いてしまうことになってしまう。しかしせっかく自分で設計した魔法がお蔵入りしてしまうのは可哀想だとも思ってしまう。

 

「…そこまで言うならちょっとだけ…」

 

そう言ってクラインは巻物をオブジェクト化して詠唱を始める。今回のこれは実戦ではなくお試し感覚で使用しているためクラインとしても気は楽だ。

 

とは言え普段ソードスキル以外での、詠唱のいる魔法を使わないクラインが詠唱をしている姿は新鮮だ。不慣れなことを行なっているため少し微笑ましく思ってしまう。

 

詠唱が終わるとクラインの目の前にウインドウが表示される。そこには魔法についての説明が示されていたが、メイの解説と同じことが書かれていた。

しかしメイの説明していた部分は途中までのものであり、さらに詳しい説明が表示された。

 

「…うそ…だろ…」

 

クラインがメイの方に視線をやると、いい笑顔をしている彼女がそこにはいた。子供さながらイタズラに成功をしたような顔をしていた。

 

「んで?それ対象者どうします?」

 

メイの質問にクラインは再びウインドウに目を落とす。共有できる相手は一人だけだ。普通なら慎重になるがクラインは漢らしく決めた。

 

「もちろんアナタですよ」

 

「ありがとうございます〜」

 

クラインがウインドウに触れるとメイの目の前にウインドウが現れる。クラインによって僅かに変更された魔法の内容を確認し終わると他のプレイヤー対策としてさっさと視覚フィルターを掛けてからウインドウを閉じた。

 

「さて!今日は屋台引きをやりますよ!」

 

「お、いいですね。俺も手伝いますよ」

 

「いいんですか!?」

 

唐突とは言えメイは偶に屋台引きをすることがある。SAO時代に染み付いた感覚が抜けきらず、またそれを行うことにより昔の思い出と対面することができる。しかしそれはいい思い出もある反面辛いものもある。

 

それでもメイは屋台引きをやめることはできなかった。あの思い出を忘れないために、天国にいるであろう彼等にもメイのことを思い出して欲しいように彼女は屋台を引き続けるのだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「紹介するね!僕のギルドの仲間達!」

 

ユウキに連れ去られたアスナは新アインクラッドの最前線でギルド『スリーピング・ナイツ』と出会う。

 

「あのね…お願いがあるんだ」

 

その内容とはスリーピング・ナイツとアスナだけの7人でこの層のボスを突破したいということだ。その理由としてはこの春にはギルドは解散状態となってしまい、全員で思い出を作りたいというものだ。

 

その方法としてボス攻略だ。先日と同様にボス討伐は基本的には黒鉄宮に名前が残る。だがそこには7パーティーのリーダーまでしか名前が残らないため、スリーピング・ナイツ全員の名前が載るようにするにはこの方法しかない。

 

アスナはこの依頼を引き受けた。SAOの頃は安全第一であったが、今ではあのような危険なことは一切ないため、また彼女達の想いに応えたかったのだ。

 

「ユウキは強い人を探してたんだよね?それなら私以外にも他にいたと思うんだけどなー。

特に片手剣使いの黒ずくめの影妖精のこととか覚えてない?」

 

「あー確かにあの人も強かった」

 

だが選ばれたのはアスナである。その理由がよくわからないため今一度ユウキに聞いた。

 

「僕の秘密に気づいちゃったから」

 

それでもまだもう一人自分より強いと思う人物がいる。その人についても聞くことにした。

 

「それじゃ短剣使いの女性火妖精とかいなかった?」

 

「ゲフッ!」

 

その言葉にユウキは吹き出した。アスナには訳がわからず、ただギルドメンバーのシウネーに背中を撫でられているユウキを見ることしかできなかった。

 

 「えっ…どうしたのユウキ…」

 

ゲホゲホと咳をしてユウキは顔を起こす。そうして脳裏に映し出されたあの時の記憶が蘇る。

 

 「あんな人はこっちからゴメンだよっ!」

 

ユウキはアスナに詳しいことは教えては貰えなかった。シウネーから聞こうとしてみたが、引きつった彼女の顔を見て何かとんでもないことがあったことだけは確信をした。

 

 「それじゃ…また明日。」

 

次第に時間が来てアスナはスリーピング・ナイツと解散する。アスナを見送ったメンバー達は顔を見合わせてこれからについて話す。

 

 「ちょっと口直しがしたいかな」

 

言い出したのはユウキだ。唐突に思い出した嫌な記憶を忘れたいのだろう。そうしてメンバーで手頃に食事をできる場所を探す。

 

 『グラタンだよー。グラタンですよー』

 

ガラガラゴロゴロと木製のタイヤの音が聞こえ、それと同じ場所からスピーカーの音がする。彼らは興味を持ちそこに行くことに決めた。

 

到着するとそこにあるのは屋台だった。簡素な作りになっていて無駄がないように思えた。

 

 「いらっしゃーい。」

 

中にいたのは熊の面を付けた女性の声のプレイヤーだ。もう一人は野武士面の男であり、二人が店主だと伺える。

 

 「オネーサン。グラタンくださーい。」

 

 「はーい」

 

店主はそう言ってメンバーの前で調理を始める。

 

玉ねぎと鳥もも肉を切り、マカロニとブロッコリーを茹でる。

フライパンに塩を含んだバターを入れ材料を入れて薄力粉を振る。

その後牛乳とコンソメを入れ、塩胡椒で味をつける。

その後にチーズを入れ、オーブンで焼く。

 

そしてその調理中にシウネーは店主に声をかける。

 

 「お面、邪魔じゃないんですか?」

 

 「いや、いいんです。別に邪魔じゃないです」

 

籠もった声で返される。声も少々聞き取り辛くお面に異常な執着があるのだろうか。本人も気にしてはいないようだった。

 

 「いやー、悪いなお客さん。この人どうしても面を取りたがらないもんで」

 

野武士面の男がお面のプレイヤーの肩を叩く。そのことに対して彼女はお面越しでもわかるほど照れながら男を引き剥がした。とても仲が良いようで見てて微笑ましくなる。

 

 「はい、できあがりですよ」

 

メンバーの前にグラタンが置かれる。全員が手を合わせて食べ始めた。

 

 「美味しいね!」

 

 「そうですね」

 

 「何これ食べたことないくらい美味しい!向こうでもこんなのなかったよ!」

 

その様子に店主の顔の見える方の男は笑っていた。お面の方はやはり顔が見えないためその表情は窺えないが、二人とも楽しそうにしてるのを見てシウネーはうれしくなった。

 

私たちも、『スリーピング・ナイツ』もこの二人のようにいつまでも幸せに過ごしていたかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 「お疲れ様でした」

 

店を片付け、それと一緒に熊のお面をメイは片付ける。まさかやってきた客が先ほどまで盗聴していた相手とは思っていなかったのだ。

 

 「まぁそりゃ確かにそんなこともしたくなりますけど…」

 

 「まぁこれで色々と分かりました。後はキリトに任せるとしましょうか」

 

彼等と接触し、大体の目的もわかった。恐らくキリトが『気付いてしまった』ことに予測はついた。

 

 「「それとして、早く試したいなぁ」」

 

クラインとメイの声が被る。




メイを絡ませる機会が極端に少ない…!

オリ主とより仲良く出来そうな方

  • イスカーン
  • シェータ

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