インフィニット・ストラトス〜Hell Brothers〜 ver Re:   作:アスティオン

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第10.5話 幕間 矢車翔の真実

 

 

5月中旬。

 

矢車翔だ。

今年のゴールデンウィークも終わり、授業も4月より少し難易度が上がっている。

 

IS学園での生活に慣れてきた俺は、毎日授業が終わると簪と相棒、鈴の4人でアリーナでISの練習をしている。

 

毎日練習って訳ではない。2日に1回は機体のメンテナンスも行っている。

 

そして今日はメンテナンスをする日だ。

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

千冬「よし、今日の授業はこれまでにする。解散!」

 

今日の最後の授業は織斑先生によるISの動作についての授業だった。

 

簪「お疲れ様、翔」

 

翔「簪、早かったんだな」

 

簪「うん、今日は終わるのが早かったんだ」

 

翔「そうか、悪いな。いつも迎えに来てもらって」

 

一夏「じゃあ兄貴、鈴もそろそろ来るだろうし行こうぜ」

 

翔「ああ、そうだな」

 

教科書をバッグに仕舞って教室を出ようとした。

 

が…

 

千冬「矢車!ちょっといいか?」

 

織斑先生に呼び止められた。

 

翔「なんすか?」

 

千冬「さっき山田先生から連絡があってな。お前に会いたいという人がいるようだ」

 

翔「俺に客?」

 

千冬「ああ、いまその人は応接室で待たせている。だからいまから行くぞ」

 

翔「って、先生も来るのか?」

 

千冬「私はお前の担任だ。これくらいはしなければならないんだ」

 

マジかよ。メンテしたいのによ…

 

翔「つう訳だわ、2人ともすまん。終わったらすぐ行くから先行っててくれ」

 

簪「うん、わかった」

 

一夏「じゃ先行ってるな」

 

翔「おう」

 

相棒は簪と教室を出て行った。

 

ったく、なんだよ客って。なんかの勧誘か?それならお断りだからな。

 

千冬「矢車、行くぞ」

 

翔「ああ。でも先生、なんかの勧誘とかだったらすぐに帰るからな?ZECTのことを知られたりでもしたら…」

 

千冬「それはわかっている。ただ…」

 

翔「ただ…?」

 

千冬「山田先生の話だと、何処かの企業とかそういう感じは無いようだ。ただお前に会いたいとの一点張りで…」

 

翔「なんだそりゃ…」

 

千冬「まあいい、とりあえず会うだけ会っとけ。ほら着いたぞ」

 

織斑先生と話しているうちに応接室についた。

 

つーか、なんでわざわざこんなとこに来るかね。てか俺に会いたい奴なんかいるのかよ。企業の人間だったらまだしも、そういう感じじゃ無いんだろ?俺にはそんな知り合いも誰もいねえんだからよ。知り合いだったら天道さんやZECTのみんな、それに昔お世話になった更識家の人たちしか浮かばない。

 

てかなんで無関係の人が学園に入れたんだよ…

 

はぁ…。なんかめんどくせえ…

 

翔「失礼しま…、っ!!」

 

俺は最後まで言葉を言えなかった。なぜなら…

 

翔(なんで…、なんでこいつが…!)

 

俺の目の前には…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようやく見つけたわよ、ーーーーーー亮也」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの日俺を捨てた女、母親だった…

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで…、なんでこいつがここに居るんだよ…

 

どうして俺がここに居ることを知っている…

 

千冬「あの…、なにを仰っているんですか?この学園には亮也という生徒は居ませんが…」

 

女「なにを言うんです?この子こそが亮也。ーーー『瀬川亮也』なんですよ」

 

千冬「ちょ、ちょっと待ってください!?彼は『矢車翔』ですよ?瀬川亮也なんて名前ではありません!」

 

俺の目の前では織斑先生と元母親が口論をしている。

 

俺はずっと俯いたまま。こいつと顔を合わせたくないからだ。

 

翔「ーーーー織斑先生」

 

千冬「なんだ?」

 

翔「俺、この人知らないんで。帰っていいだろ?」

 

千冬「矢車…」

 

女「なに言ってんのよ!!アンタは私の息子でしょう!!」

 

親?なにそれ?あんなことして今更親気取りかよ。

 

翔「ははっ、誰と間違えてるんですか?俺には親なんか居ないんですけど。俺にいるのは兄貴と相棒だけだ」

 

女「ふざけるんじゃないわよ!!産んだ親に向かってなによその口は!!」

 

翔「だから言ってんじゃねえか。俺に親なんかいねえって」

 

気づけば俺は口調が変わっていた。こんな奴に敬語なんて使う必要はない。

 

女「いい加減にしなさい!!どうして帰ってこないのよ!?帰ってくるのが当たり前でしょ!?」

 

はぁ?帰ってこい?俺を捨てた奴がなに言い出すんだよ。

 

あーあ、もうめんどくせーや。

 

翔「ふっはは、あっははははは」

 

もう笑うしかなかった。今更家族ヅラして家に帰って来いとかとんだ馬鹿だよ。天才(笑)並みの頭じゃねえのか。

 

女「なに笑ってんのよ!」

 

翔「今更なんなんだよ、家族ヅラして俺に帰ってこいだ?どういう風の吹き回しだよ。笑えてくるっつうの」

 

千冬「矢車、お前…」

 

翔「ああそうだよ。俺の本当の名前は、ーーーーー『瀬川亮也』だ」

 

俺はついに自分が矢車翔という名前ではなく、本当の名前は瀬川亮也だということを織斑先生に明かした。もう出すことないと思ってたのに…

 

千冬「じゃあ矢車翔というのは…」

 

翔「あれは俺が兄貴に拾ってもらった時につけた名前だ」

 

千冬「そうだったのか…」

 

女「ふざけないで!アンタは私の子の亮也でしょ!!なにそんなふざけた名前を名乗ってるのよ!!」

 

あー、本当にムカつくなこいつはよぉ。黙っててくんねえかな。

 

翔「あの日お前と親父が俺を捨てたんだろうが。その時にもうこんなクソみたいな名前は捨てたんだよ。もう『瀬川亮也は死んだ』んだよ。今ここに居るのは矢車翔だ」

 

女「なに…」

 

翔「つうか、親父はどうしたんだよ?」

 

この場には俺と織斑先生と元母親しかいない。コイツが来てるということは親父も来てると思ったがここにはいない。

 

女「ああアイツね。アイツならもう必要ないから捨ててやったわ。ホントに男は使い物にならないわ。でもアナタは迎えにきてあげたのよ。感謝しなさい」

 

はっ?使い物にならないから捨てた?こいつ俺が最も嫌いにしてる女尊男卑主義者になったか。

 

それにしても、…迎え、ねぇ…

 

翔「迎え、ねぇ…。違うだろ?迎えに来たとか言ってよ、ーーーーホントは違う目的なんだろ?」

 

女「な、なにを言ってるのよ。息子だから迎えに来たに決まってるでしょ!」

 

翔「馬鹿じゃねえの?俺を迎えに来たとか言って、実際はどっかの研究所にでも売るつもりなんだろ?俺はISを動かした男だからな、それなりに高くつく。そいつらに俺を売ってその金で遊んで暮らすつもりだろ?違うか?」

 

女「くっ…」

 

翔「ほらな、言った通りだ。お前みたいなクソな女の考えてることなんかわかってんだよ」

 

女「ふざけるんじゃないわよ!!男なんて所詮道具に使ってナンボなのよ!!いいから私にーーーー」

 

翔「ーーーーふっ!」

 

しびれを切らしたのかいきなり襲いかかってきたので、俺はこいつの顔面に一発蹴りを与えた。鼻くらいは折れてるだろう。

 

翔「もっといくか?それとも…

 

 

 

 

 

 

…殺されるか?俺に」

 

俺は殺気付きでこいつを睨んだ。

 

女「ヒィッ…」

 

翔「いいか?2度と俺に近づくな。2度と俺の前に現れるな。2度と俺を家族と言うな。もしどれか一つでも破ったら、ーーーーー本気でお前を殺す」

 

俺はそう言い残し、応接室を出た。

 

翔(ああ、すげえ気分ワリイ。部屋戻るか)

 

この後相棒たちのとこに行く予定だったが、アイツのせいでそんな気はなくなってしまった。

 

その時…

 

想「相棒…」

 

翔「兄貴…」

 

応接室を出てすぐに兄貴と遭遇した。

 

想「話は大体聞いていた。大丈夫か?」

 

翔「ああ…、でも…」

 

想「なにも考えるな、今は休め」

 

翔「うん…」

 

兄貴と数は少ないが話をして俺は部屋に戻ってきた。

 

すぐに俺は制服のままベッドにうつ伏せ状態で寝転んだ。

 

あいつが来たせいで俺は…

 

自分の存在価値をまた疑ってしまった…

 

翔(またか…、また俺は…。どうせ俺なんか…)

 

 

 

 

 

 

 

 

ガチャ

 

 

 

翔「…え?」

 

簪「翔…」

 

ドアを開ける音がしたので音の方に振り返ると、そこには簪がいた。なんで…

 

翔「お前、なんで…」

 

簪「想さんから連絡があったから翔が心配で…。ねぇなにがあったの?一体誰に会ったの?」

 

翔「………」

 

簪「翔…、話して」

 

簪は俺のベッドに腰掛けた。簪は真剣な眼で俺を見ていた。俺も起き上がり簪を見る。

 

翔「……簪は知ってるだろ?俺の本当の名前…」

 

簪「うん、瀬川亮也…、だよね。あの時聞いた。でもそれがどうしたの?」

 

翔「俺を捨てた母親が来たんだ。俺を迎えに来たとか言いだしてさ。んで結局迎えに来たってのは嘘で俺をどこかの研究所に売ってその金で遊んで暮らすっていうのが本当の目的だったらしい」

 

俺は応接室で起こったことを簪に教えた。

 

簪は驚きながらも俺の話を聞いてくれている。

 

翔「結局俺ってなんなんだろうな…。俺…、自分の存在価値がまたわからなくなっちまった…。俺はずっと暗闇の中で光を掴めないんだ…。簪…、俺はーーーーー」

 

俺が言葉を言おうとしたら、簪は俺のことを抱きしめていた。

 

簪「そんなこと…、ない…。一夏も、鈴も、想さんも、クラスのみんな…、先生たちも、みんな翔のこと好きなんだよ?それに私も…、翔のこと大好きなんだよ?」

 

翔「簪…」

 

簪「だから…、だからそんなこと言わないでよ。私はずっと…、翔の側にいる。あの時約束したじゃん」

 

あの時とは、俺と簪が結ばれた日。その時に俺たちはお互いに誓い合った。『これから先なにがあっても2人でずっと歩いていく』…と。

 

翔「簪…。おれ…、うわぁっ」

 

いきなり簪が俺を押し倒してきた。

 

簪「私は…、翔が苦しんでるのは見たくないの…。私も背負うから…。2人一緒なら大丈夫…。翔のためなら私…」

 

翔「簪…、お前…」

 

簪「だから…、ね…。わ、私が…、忘れさせてあげる…」

 

翔「かん、ざし…」

 

俺と簪の唇が重なった。一度だけでは終わらず、その後も何度も何度もお互いを求めあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

兄貴…

俺、掴めたよ…、光を…。

あの時から掴めてたのかもしれないけど、でも今ようやく実感が湧いたよ。

簪がいれば俺は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

to be continued

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

次回予告

「転校生を紹介します!」

「フランスから来ました」

「お、男…?」

「よろしく頼む!」

 

 

次回『疾風と黒雨』

「日本の自己紹介というのはこうやるのではないのか?」




どうもアスティオンです

2年前は番外編ということになってた話ですが10.5話という形で投稿させてもらいました。話の内容も変わっております。


捨てた名前を呼ばれるってのも悲しいものですよね…。それも捨てられた親に呼ばれるとなるとまた…

そして最後はイチャイチャタイム…、なにを伝えたいのでしょうか自分は…wまぁ甘く書けたと思うので勘弁してくださいwww


さて次回は…
金と銀が来る〜

お楽しみに〜
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