ソード・オラトリアーanother story- 作:ロクでなし白
「遅くなったけどようこそ【ロキ・ファミリア】へ。僕たちは君を歓迎するよ、クリス」
あまりの急展開に思考が完全にフリーズしていたロキたちだったがフィンのこの発言で我に戻った。ロキたちもリヴェリアにまさか子どもがいたなんて長い付き合いの中一度も聞いたことがなかったのでリヴェリアのこの爆弾発言にはまさに寝耳に水状態だった。
「てか、リヴェリアに子どもなんかおったんかい!?しかもめっちゃ美少女やん!!クリスたん、うちの好みどストライクやわ」
ロキはリヴェリアの爆弾発言に驚きながらも違う意味大興奮だった。。今すぐにでもクリスに襲い掛かりそうな勢いである。しかしロキは一つ失念していた。
「俺こんな容姿してるけどれっきとした男ですよ!それと実はクリスは母さんにばれないようにするための偽名なんです。本当はアーシェ・クルスニクって言います」
ロキはアーシェの実は男です発言を聞いて膝から地面に崩れ落ちた。
「嘘やん!?こんなうち好みの子が男やなんて~。でもアーシェたん男やけどめっちゃ可愛いからな~。これはこれでアリやな」
何故か一人で納得するロキであったが、「これって神の間で俗に言う男の娘作れるんじゃね!?」と気づき、「男の娘降臨や~」と叫んで周囲からドン引きされるのであった。これはいつものこと・・・。
ロキのことはさておいてフィンたちは話を再開した。
「君に聞きたいことがあるんだ。アーシェはどうして偽名まで使って入団試験を受けたんだい。わざわざリヴェリアに隠してまで?」
フィンは不本意ではあるが疑問に思っていたことをアーシェにぶつけてみた。フィンもまさかアーシェが闇派閥からのスパイとは思っていない。ましてや長い間会っていなかったとはいえリヴェリアの息子である。そんなことは万が一にもないだろうとフィンも思っている。しかしファミリアを預かる団長としてそこは聞いておかなければならなかった。しかしアーシェの答えはとても簡単なものだった。
「だってもし俺が母さんの息子と分かって入団試験試験受けたらなんかコネで入ったみたいだろ。そんなのカッコ悪いし、俺自身もそんなの嫌だからさ。母さんには悪いと思ったけど偽名を使ったんだ」
フィンはそれを聞いてつい笑ってしまった。
「君を試すような事を聞いて済まない。改めて僕たち【ロキ・ファミリ】は君を歓迎しよう。ようこそ、【ロキ・ファミリア】へ。今日から君はファミリの仲間だ」
そう言ってアーシェに手を差し伸べた。
「こちらことよろしく」
この瞬間、アーシェの【ロキ・ファミリア】入団が正式に決定した。しかしこれがのちに【ロキファミリア】を更なる波乱へと導くとはこの時誰も知らなかった・・・。。
「そうと決まれば今日は『豊穣の女主人』でアーシェたんの歓迎会や!?フィンは他の団員に通達してきてくれへんか」
「わかったよロキ。いつも通りの時間からでいいかい?」
「それでええで。あとアーシェたん、うちの【恩恵】与えるの歓迎会終わってからでもええか?うちこの後少し用事があるんよ」
ロキがすまなさそうにアーシェに言ってきた。
「別に。俺もこの後はこの街をじっくり見てみたいと思ってたところだから気にしなくていい」
「それやったら、リヴェリアこの後暇やろ。アーシェたん案内したり~や。ママなんやろ」
ロキはニヤニヤしながらリヴェリアに問いかけた。リヴェリアもロキの提案にまんざらでもなさそうだ。むしろ久しぶりに会えた息子と二人きりで出かけられることに嬉しそうである。ロキのからかいも今のリヴェリア耳には聞こえていないようだ。
「ロキもこう言っていることだし、私がオラリオを案内するがそれでいいか」
「母さんが案内してしてくれるのか?やったー、俺母さんに話したいことたくさんあるんだ!それじゃあすぐに行こう!?」
アーシェはリヴェリアの手を引いて街に向かおうとした。その姿はロキたちが見ても仲のいい親子にしか見えなかった。
「暗くなる前には【豊穣の女主人】に来るんやで。遅刻したらあかんからな」
「わかっている、ロキ。アーシェは私が責任もって連れていく。すまんがフィン後は頼んだ」
「気にしないで楽しんでくるんだ、リヴェリア。せっかくの家族水入らずなんだから。積もる話もあるだろう」
フィンが申し訳なさそうにするリヴェリアを早く行くよう促した。
「あぁ、では行ってくる」
そう言って二人は【黄昏の館】を出て街へ向かった。
日が沈み初めロキと約束している時間に迫ってきたので二人は【豊穣の女主人】に向かっていた。二人は街を見ながら沢山話をした。互いの近況報告からアーシェのして来た冒険の話、二人が一緒に暮らしていた頃の懐かしい話などを話しながら街を歩いていると時間はあっという間に過ぎてしまった。そうこう言っている内に【豊穣の女主人】と書かれた看板が見えてきた。
「母さん、【豊穣の女主人】ってここだよね?」
「そうだぞ。おそらくもうロキたちは中いるだろうからさっさと入ろう」
リヴェリアが入っていいのか戸惑っているアーシェを促して扉を開けた。
「おぉ!やっと主役の登場やな、みんなはいちゅうも~く!」
ロキの声を聞いて中にいた他の団員たちが今入ってきたアーシェとリヴェリアに視線が集まる。
「今回試験に合格した新しい団員を紹介するでー!アーシェたんこっちきて」
そう言ってロキのもとに来るように促す。近づいたロキからはかなりお酒の匂いがした。しかもかなり臭い。
「今回新しく入団したアーシェたんことアーシェ・クルスニクや。ちなみに女の子みたいな顔してるけどれっきとした男の子やからみんなて~だしたらあかんで!まぁ、て~だしたやつはうちが許さんけどな!!。みんな仲良うしたってな~」
「アーシェ・クルスニクです。このファミリアのことは母さんから聞いていてとても入りたかったファミリアなので入団出来て嬉しいです。これからよろしくお願いします」
ロキの紹介とともにアーシェが挨拶すると周りから「よろしくな~」「あれで男なの。俺好みの子だったのに~」などちらほら怪しい発言も聞こえてくるが概ねみんなアーシェのことを受け入れてくれたようだ。それを見てリヴェリアは密かにほっとしているようだ。息子が受け入れられてうれしいのだろう。笑みが隠せていない。
ここで話を聞いていたティオナが突然
「ねぇねぇ、アーシェのお母さんってこのファミリアにいたの?」と質問してきた。
「実はな~、聞いて驚いたらあかんで!?アーシェたんのお母さんはリヴェリアやねん」
ロキの突然のカミングアウトに周囲は「え~!?」と叫んだあと一斉にリヴェリアの方に向いた。しかし事実を知らない他の団員たちはここでリヴェリアが「誰がママだ」と言ってロキをしばいてそれで終わりだろうと思っていた。そのためこの後のリヴェリアの発言にはみんな仰天させられた。
「ロキの言ったことは本当だ。まぁ見ての通り血はつながっていないがアーシェは確かに私の息子だ。みんな仲良くしてやってくれ」
それを聞いた他の団員たちはあるものは床に崩れ去り、あるものは「俺たちのママが~」と叫んでいた。主にリヴェリアに憧れていた男どもだが・・・。まぁその光景を見たリヴェリアを崇拝している女性たちからは汚物を見るような目でみられてはいたが・・・。それはさておき。
自己紹介が終わり空いている席に座ったアーシェの周りには多くの団員が集まっていた。特に何故か集まっているのは【ロキ・ファミリア】の第一級冒険者ばかりである。その名前は今日オラリオに来たばかりのアーシェですら知っているぐらい世界中で有名な人達だった。
「こんにちは!アーシェ君。さっきは急に質問してごめんね~。私はティオナ・ヒリュテ!よろしく」
「こら急に話しかけたから彼驚いてるじゃないこのバカティオナ!!私はティオネ・ヒリュテよ。よろしくね、アーシェ君」
「一度自己紹介しましたけど、レフィーヤ・ウィリディスです。朝はありがとうございました、アーシェさん」
「アイズ・ヴァレンシュタイン・・・よろしく」
「フィンとの模擬戦は見ておったぞ!フィンにあそこまで本気を出させるとはお主なかなかやりおるわい。儂はガレス・ランドロックという。リヴェリアとはまぁ腐れ縁だの」
「はっ、ベート・ローガだ。なんだ近くで見ても本当に女みてーな奴だな。俺は弱い奴には興味ねー」
「とか何とか言う癖にちゃんと見に来るんだ、ベートって。素直じゃないなー」
「なんだとこの絶壁野郎が!!」
「なんだとこらー」
二人は勝手に喧嘩を始めてしまった。しかしみんないつものことだと止める様子がなかった。
「あれほっといていいんですか?」
その問いに答えたのは丁度アーシェの様子を見に来たフィンだった。
「いつものことだよ、騒がしくてすまないね。アーシェ君」
「俺のことはアーシェって呼んでください。皆さんも!改めてこれからよろしくお願いします団長」
「あぁ、よろしく頼むよ。君には期待しているよ」
それだけ行った後フィンはアーシェの元を去っていった。「何しにきたんだろう」と心の中で思っていると
「フィンはお前がちゃんと周りになじめているか見に来たのだろう。あいつは周りをよく見ているからな。強いだけで団長になった男ではないということだ」
隣に座っているリヴェリアがフィン行動の理由を補足してくれた。
「フィンはすごい人。そんなフィンことをみんな尊敬している」
今まであまり喋っていなかったアイズがはなしかけてきた。
「俺も今日会ってばかりだけど団長は噂と違いないすごい人だと思ったよ」
そう言った後アイズとの会話が終了してしまい、アイズが黙ってしまったので慌てて
「そうそう、アイズのことは母さんからたくさん聞いたよ。ねぇ、アイズのことお姉ちゃんって呼んでいい?」
そう言うと同時に旅の中で商品を値切るために鍛えた笑顔をアイズに向けた。
アイズは「お姉ちゃん」というフレーズが気に入ったらしい。普段表情に変化が少ないアイズだが今はわかりやすいぐらい口元が緩んでいる。
「別にいいよ。これからよろしくね、アーシェ」
「こちらこそよろしく、お姉ちゃん!!」
そんな二人の光景をリヴェリアはそっと見つめているのだった。そしてアーシェの歓迎会は【豊穣の女主人】が閉まる時間まで続いたのだった。