Fate / Assassin cried   作:JALBAS

8 / 9

序盤は、アーチャー対士郎の自分同士の戦いです。
決着が付いた後、再びギルガメッシュが姿を見せます。

その一方で、衛宮家の前ではアサシンとランサーの戦いの決着が……
そして士郎達は、ついにアサシンの正体を知る事になります。




《 第八話 》

 

固有結界の中で、アーチャーと士郎の戦いが続く。

セイバーと凛は、黙ってその戦いを見詰めていた。例えどのような結果になろうとも、他者の介入による結末では、この2人は絶対に納得しないと知っているから……

 

最初は一方的にアーチャーが優勢だったが、戦う度に士郎は成長していき、互角に迫って来ていた。何度倒され、傷付いても、士郎は立ち上がり、その傷は回復していく。

“ちっ……奴の体の中に聖剣の鞘が有る限り、決定的なダメージを与えなければ直ぐに回復してしまう……やはり、先に奴の心を折らなければ……”

アーチャーに、焦りが見え始める。

アーチャーは、斬り掛かって来る士郎の腕を受け止め、士郎に問い掛ける。

「聞くが、お前は、本当に正義の味方になりたいと思っているのか?」

「何を今更……俺はなりたいんじゃ無くて、絶対になるんだよ!」

アーチャーの腕を払い、斬り掛かる士郎。アーチャーをそれを交わし、お互いの腕を絡ませて、士郎と背中合わせになる。

「そう……絶対にならなければならない。何故ならそれは、衛宮士郎にとって唯一の感情だからだ。例えそれが、自身の内から現れたもので無いとしても……」

「くっ……」

「ほう?その様子では、薄々感づいてはいたようだな?俺にはもう、かつての記憶は無い。だが、それでもあの光景だけは覚えている。一面の炎と、充満した死の臭い。絶望の中で助けを乞い、叶えられた時の感情。衛宮切嗣という男の、俺を助け出した時に見せた安堵の顔を……それが、お前の源泉だ。助けられた事への感謝など、後から生じたものにすぎない。お前はただ、衛宮切嗣に憧れた。あの男の、お前を助けた時の顔が、あまりにも幸せそうだったから。自分もそうなりたいと思っただけ……」

その言葉は、士郎の心に大きく響く。

“そう……あの時、救われたのは俺の方じゃ無い。誰一人生存者が居ない大火災。助かる筈も無い子供と、居る筈の無い生存者を見つけた男……どちらが奇跡だったかと言えば、それは……”

「子が親に憧れるのは当然だ。だが、最後に奴はお前に呪いを残した。お前はあの時、正義の味方にならなくてはいけなくなった。お前の理想は、ただの借物だ。衛宮切嗣という男が取り零した理想、衛宮切嗣が正しいと信じたものを、真似ているに過ぎない。」

「そ……それは……」

「正義の味方だと?笑わせるな!誰かのためになれと、そう繰り返し続けたお前の思いは、決して自ら生み出したものでは無い!そんな男が他人の助けになるなどと、思い上がりも甚だしい!」

アーチャーは士郎の剣を砕き、士郎の足に剣を突き刺した。

「がはあああああっ!」

苦しんで、跪く士郎。

「そうだ!誰かを助けたいという願いが、綺麗だったから憧れた!」

士郎に斬り付けるアーチャー。士郎は、何とか後方に飛び退き、再び剣を投影する。

「故に、自身から零れ落ちた気持ちなど無い!」

更に、襲い掛かるアーチャー。

「これを偽善と言わず、何と言う!」

猛攻を続けるアーチャー。士郎は、防戦一方になってしまう。

「その理想は破綻している……自身より他人が大切だという考え、誰もが幸福であって欲しい願いなど、空想の御伽噺だ。そんな夢でしか生きられないのであれば、抱いたまま溺死しろ!」

「ぐはああああっ!」

決定的に近い傷を受け、倒される士郎。

『士郎!』

セイバーと凛が叫ぶ。流石に、これで勝負がついたと思われた。

士郎は、肉体だけで無く、心も打ちのめされていた。アーチャーと剣を交える度に、アーチャーの守護者としての記憶も、士郎の中に流れ込んで来ていた。それは、無限に続く地獄のようなものだった。

士郎は、仰向けに倒れ、朦朧とした意識の中で考える。

“あいつの言う事が正しい……俺は、切嗣のあの表情に憧れた。正義の味方に……全ては、借り物の理想だった……だけど……何か、納得ができないことが……”

10年前の、大火災の様子が士郎の脳裏で蘇る。まるで、臨死体験のように、士郎は外からそれを見ていた。唯一生き残った少年を、見つけ出し助け出す切嗣の姿を……地獄のような光景の中、その一角だけが、光り輝いて見えている……

“……そうだ、確かにきっかけはそうだが、俺は感じたんだ”美しい“と……全てが偽りの俺でも、この気持ちは偽りの無い俺の感情だ。俺の行動が間違いだらけであっても、”誰かのためになりたい“という思いが、間違いの筈は無いのだから……”

士郎の傷が、再び回復していく。

「何?!」

そして、士郎はまた立ち上がろうとする。

「何故立つ?」

アーチャーは、両手の剣を士郎目掛けて投げ付ける。

「お前には……負けられない!」

士郎は、新たな剣を投影してアーチャーの剣を弾く。その剣は、今迄の物より遥かに精度が上がっていて、アーチャーの剣と比べても遜色が無かった。

「誰かに負けるのはいい……でも、自分にだけは負けられない!」

「ようやく入口に至ったか……だが、それでどうなる?実力差は歴然だと、骨の髄まで理解できた筈だが?」

「手も足もまだ動く……負けていたのは俺の心だ。お前を正しいと受け入れていた、俺の心が弱かった。」

「何?」

「確かに、お前は正しいのかもしれない……でも、それが絶対じゃ無い!自分が納得できないのに、はいそうですかと受入られるか!それこそ、俺の正義じゃ無い!……お前が俺を否定するように、俺も死力を尽くして、お前という自分を打ち負かす!この思いは、間違い無く俺の意志だ!」

再度、アーチャーに挑む士郎。ここに来て、士郎の投影はほぼアーチャーと互角になった。アーチャーの剣とぶつかり合っても、簡単には砕けない。そればかりか、剣聖までもアーチャーのそれに匹敵していた。

“ええい、何を馬鹿正直に応じているんだ俺は……こいつにできるのはここまでだ。戦法を変えれば、まだ俺には付いて来られない。こいつを殺すなら、冷静に隙をついて……”

アーチャーは、士郎を蹴り飛ばして間合いを取る。そして戦法を変えようとするが、その時……

“お前が士郎を殺すのは、お前のためか?”

アサシンの言葉が、アーチャーの脳裏に浮かぶ。

“そうか……俺は、自分がこうなった恨みを、こいつにぶつけていいる訳では無い……世界のために、エミヤという英霊を抹殺したい訳でも無い……こいつのためだったんだ!俺と同じ思いを、こいつにさせないために……”

「うおおおおおおっ!」

士郎はまた立ち上がり、アーチャーに向かって突進して来る。

“だが、俺は知っている……そんな事、こいつには大きなお世話の筈だ。例え地獄のような未来しか待っていなくとも、こいつは決して退かない。こんな力押しで抑え込んでも、絶対に自分を曲げたりはしない……”

最後に残った剣で、アーチャーの胸目掛けて突いて来る士郎。それに対し、アーチャーは右手の剣を大きく振り上げる。

良くて相撃ち、大方はアーチャーの剣が先に士郎を捕えるタイミングだった。

しかし、アーチャーは途中で手を止めてしまう。士郎の剣が、アーチャーの胸に突き刺さった……

固有結界が消え、周りは元の教会の地下に戻る。

2人は交錯したまま、動きを止めている。

「俺の……勝ちだ……」

士郎が呟く。

「ああ……そして、私の敗北だ……」

アーチャーが、それに答える。

「ふっ……結局……私は、また同じ間違いを繰り返していただけだった……」

「はあ?……」

「こっちの話だ……だが、これだけは覚えておけ……善意を押し付ける事は、時として悪意になり兼ねないという事を……」

アーチャーの胸に刺さった剣が消滅し、士郎はよろけて数歩後退し、その場に尻餅を付いてしまう。アーチャーの持っている剣も、同時に消滅する。

「し…士郎……アーチャー……」

凛が、心配そうに2人を見詰める。

「ふふ……もう、私がここに居る意味も無くなった……早々に退散……」

「アーチャー!」

アーチャーの言葉の途中で、セイバーが叫ぶ。その直後、アーチャーの背中を、複数の剣が貫く。

「うぐっ!」

「楽しませてもらったぞ。偽者同士、実にくだらない戦いだった。」

階段の上に、金髪のサーヴァント、ギルガメッシュが立っていた。それに真っ先に反応したのは、セイバーだった。

「まさか……貴様?!」

「10年振りだな、セイバー……さて、理解したか?それが、本物の重みというものだ。如何に形を似せ力を似せようが、所詮は作り物、偽者が作り上げた贋作など見るもの汚らわしい……クズめ、他人の真似事だけで出来上がった偽者は、疾くゴミになるが良い。」

ギルガメッシュの周りに、幾つもの時空の歪が現れ、そこから無数の武器が放たれる。

それらは、士郎とアーチャー目掛けて飛んで来る。

アーチャーは、士郎を突き飛ばして庇いながら言う。

「イリヤを護れ……あの男と……」

「何?」

ギルガメッシュの攻撃が、アーチャーに集中する。無数の剣の雨に晒され、アーチャーの体は消滅していった。

「アーチャーっ!」

叫ぶ凛。

「他人を救う余裕があったとはな……」

ギルガメッシュは、冷たく言い放つ。それに激昂した凛は、ギルガメッシュに向けてガンドを放つ。

「このお……誰に断って、私のアーチャーに手を出してんのよっ!」

しかし、凛の攻撃はギルガメッシュを逸れてしまい、脇の壁に当たる。

「……死に底ないを先にするつもりだったのだが、順序が変わったな、小娘……」

ギルガメッシュの周りに、再び時空の歪が現れる。

「凛、下がって!」

セイバーがすかさず庇って、剣を構えて凛の前に立つ。

「何故、あなたがここに居る?アーチャー?」

『アーチャー?!』

士郎と凛が、セイバーの言葉に驚く。

「決まっていよう。前回の戦いが終わった後、我は消えずにこの世に留まった。」

「そんな馬鹿な?」

「我は、聖杯を浴びた唯ひとりのサーヴァントだ。この時代における受肉など、10年前に済ませている。そう、お前の功績だセイバー。お前が聖剣で聖杯を破壊したため、真下にに居た我が、聖杯の中身を浴びる事になった……」

「セイバーが聖杯を?」

「い……いやそれより、セイバーは、10年前の聖杯戦争でも召還されていたのか?」

凛と士郎が、次々に驚きの声を上げる。

「あれが何であるか、我は誰よりも熟知している。何しろその腸をぶちまけられ、中にある物を見たのだからな。だが……まあ良い。我が使うつもりであったが、今回は言峰の我儘に付き合ってやる事にしたのでな。」

「言峰?……あんた、綺礼とグルだったの?」

「グルも何も、この10年間の我の根城は、この教会だったからな。」

ギルガメッシュは、背後の時空の歪を消し、士郎達に背を向ける。

「本命は仕留めた、此度はここまでとしよう。こんな穴倉では、余興も色褪せる。」

そう言って、ギルガメッシュは教会を出て行った。

しばし呆然としていた士郎達だが、はっとしたように凛が切り出す。

「セイバー、10年前の事を教えて!あなたが聖杯を破壊したって、どういう事?何で、あの金ピカの事をアーチャーって……」

一方士郎は、ずっと考え込んでいた。

“何故、あいつはイリヤを護れと?それに、あの男って?……まさか、アサシン?”

士郎は叫ぶ。

「そうか!あのアサシンは……」

 

 

衛宮家の門の前では、ランサーとアサシンの攻防が続いていた。

ランサーの槍の攻撃を、アサシンは二刀のナイフで受け流す。時に姿を消し、死角から銃撃も試みるが、ランサーもこれをことごとく弾き返す。

「槍を引けランサー、今は、お前に構っている場合じゃ無い。」

「そうはいかねえ。何せ、令呪で命じられちまってるからな。それに、てめえもう時間がねえだろ?ここで決着付けねえと、そのままとんずらされ兼ねねえからな。」

ランサーは、アサシンの現界期限が迫っている事に気付いていた。

どちらも有効打が出ず、膠着状態が続く。今回は、焦っているのは、時間の無いアサシンの方だった。それでも、先に痺れを切らしたのは、やはりランサーだった。

「このままじゃ埒が明かねえ、俺の全魔力をつぎ込んで、一気に決めさせてもらうぜ!」

ランサーは、槍を両手で持って必殺技の構えを取る。今迄に無い程の、凄まじいオーラがランサーの体から発せられていく。

「今度は外さねえ……てめえの心臓貰い受ける!ゲイ・ボルク!!」

超高速で、ランサーはアサシンに向かって突進して行く。

「は……速い?!」

通常の反応では対応しきれないと、アサシンは固有時制御を発動する。

「time alter triple accel!!」

3倍速で動き、体を交わしながら槍を弾く。

しかし、時間はそこから巻き戻る。槍は弾く直前に戻り、3倍速でも交わせないタイミングで襲い掛かって来る。

「time alter square accel!!」

アサシンは、更に加速する。だが、それでも避け切る事はできなかった。

槍に胸を貫かれ、アサシンは、そのまま壁に串刺しにされた。

「ぐわっ!」

「ふっ……」

不敵に笑うランサー……しかし、直ぐにその表情が歪み、口から血を流し始める。

「……反則だぜ……その速さはよ……」

槍から手を離して、よろけて後ずさりするランサー。その心臓の位置に、アサシンのナイフが深く刺さっていた。

「へっ……あばよ……」

最後にそう言って、ランサーは消滅していった。同時に、アサシンを串刺しにしている槍も消滅する。アサシンの胸にはその傷跡が残っているが、心臓からは外れていた。

「くっ……」

心臓は逸れていたが、かなりのダメージを受け、アサシンは壁に背を付けたまま腰を落としてしまう。

「アサシン?!」

そこに、士郎達が戻って来た。家の門の前で傷付いているアサシンを見て、士郎達は駆け寄って来る。

その時、突如強風が吹いて、アサシンのフードが飛ばされて素顔が晒される。

「?!」

アサシンの素顔を見て、足を止める士郎達。そして、士郎とセイバーが叫ぶ。

「やっぱり……親父?!」

「あ……あなたは……切嗣?!」

一番驚いたのは、それを聞いた凛だった。

「ええっ?!……アサシンが、士郎のお父さんだったの?!」

 

士郎と切嗣の治癒のため、4人は一旦家の中に入る。

居間で、切嗣は自分のそれまでの経緯を、士郎達に語った。

「だ……だけど、どうして親父がサーヴァントに?」

「それは分からない。僕は、世界と契約もしていないし、英雄として語られる成果も残していない……何かの、イレギュラーとしか思われない。」

「あの……切嗣さん?」

凛が、少し遠慮がちに聞いて来る。

「何だい?」

「何で、綺礼はイリヤを連れ去ったんですか?あの金ピカも、最初イリヤを狙っていたけど……」

少し躊躇いながら、切嗣は答える。

「……イリヤは……あの娘は、聖杯の器なんだ。」

『ええっ?!』

士郎と凛が、驚きの声を上げる。セイバーは、特に驚きもせず、黙って聞いている。

「キャスターが探していた小聖杯、それがあの娘だ……僕の妻、イリヤの母親のアイリもそうだった。聖杯戦争のために、アインツベルンが造り上げたホムンクルスなんだ。」

「イリヤの母親が、あなたの妻って……じゃあ、イリヤは?」

「ああ……イリヤは、僕の実の娘だ……人間と、ホムンクルスのハーフだ。」

この言葉に、士郎と凛がまた驚く。

「そ…それで、綺礼の目的は?」

「聖杯を、完成させる事だろう。奴は、10年前もそれを望んでいた。」

「ちょっと待ってくれ親父。」

そこに、士郎が口を挟む。

「聖杯が完成したら、イリヤはどうなるんだ?」

「倒されたサーヴァントの魂は、一時的に器であるイリヤの中に蓄えられる。だが、それはイリヤの人間としての魂を蝕んで行く。全てのサーヴァントの魂を吸収した時には、もう完全な器と化し、人間としてのイリヤは死んでしまう。」

「ば……馬鹿な!そんな事が、許されていいのか?」

「その通りだ、絶対に、そんな事はさせない!」

「切嗣、」

今迄無言だった、セイバーが口を挟む。

「あなたは、10年前、私に聖杯の破壊を命じました。」

「……ああ……」

「あなたも、聖杯に触れていたのですか?あなたは、聖杯について、何か知っているのですか?」

しばしの沈黙の後、切嗣は答える。

「あの聖杯は、既に呪われている。」

「呪われている?」

「理由は知らないが、“人を殺す”という呪いに憑りつかれている。そのため、全ての願いを“人を殺す”という手段でしか叶える事ができないんだ。」

「何だって?」

「そんな物を、綺礼は完成させようとしているの?」

「そうだ……だから、聖杯は、絶対に完成させてはならない。イリヤを、助けるためにも。」

士郎も凛も、その意見に同意する。セイバーも、ゆっくりと頷いた。

「あの、切嗣さん。もうひとつ、教えて欲しいんですけど……」

凛が、再度切嗣に問い掛ける。

「あのギルガメッシュって……10年前、誰のサーヴァントだったんですか?」

「え?言峰じゃ無いのか?」

士郎が口を挟む。

「……10年前、アーチャーのサーヴァントを召喚したのは……“遠坂時臣”君の父親だ。」

「えっ?」

士郎が驚く。しかし凛は、そう予想していたのか、特に驚きは見せない。

「じゃあ……今、あいつが綺礼と組んでるって事は……」

そう言いながら、凛は俯いてしまう。そんな凛に、切嗣は静かに語る。

「僕も、詳しい事は知らないが……おそらく、君の考えている通りだろう……」

その後、凛は部屋を出て行ってしまう。士郎達は、掛ける言葉が見つから無いため、誰も追おうとはしなかった。

しばしの沈黙の後、切嗣が切り出す。

「士郎、セイバー、奴らと戦う前に、お前達に言っておく事がある。」

「え?」

「な……何ですか?切嗣?」

「セイバー、僕が10年前、君を召喚する時に何の触媒を使ったか知っているか?」

「い……いいえ、聞いていませんが?」

「それは、先の聖杯戦争の間、アイリの体の中に隠していた。最後の決戦の前に、僕の中に移し替えたが……」

「そ……それは……まさか?」

「そう……聖剣の鞘だ。」

「そ……それは、今何処に?」

セイバーは、体を乗り出して切嗣に問い詰める。

「士郎の体の中だ。」

『えええっ?!』

士郎とセイバーが、同時に驚く。

「10年前、焼け跡で士郎を見つけた時、酷く衰弱して危ない状態だった。あの鞘には、無限の治癒能力がある。僕は、士郎を助けたい一心で、士郎の中にそれを入れたんだ……」

士郎もセイバーも、驚きでしばらく言葉が出なかった。

その後、士郎がばつが悪そうに、セイバーを見て言う。

「す……すまない、セイバー……そんな大事な物を、ずっと俺が隠してたなんて……」

「いいえ……」

セイバーは怒るどころか、救われたような、安堵の表情を浮かべて答える。

「私は、先の聖杯戦争で、何ひとつ護れなかった事を悔いていました……でも、そうじゃ無かった。私は、あなただけでも救えていたんですね……良かった……本当に、良かった。」

セイバーは感動し、士郎は少し照れている。非常に話し掛け難い雰囲気になったが、切嗣は構わず続ける。

「ギルガメッシュとの戦いは、非常に厳しいものになる。おそらく、その鞘の力が必要になるだろう。」

「で……でも親父、それ、どうやって取り出すんだ?」

「投影と同じだ。」

「え?」

「自分の中で、“最強”をイメージするんだ。」

 

 

日付が変わった頃、切嗣、士郎、セイバーの3人が衛宮家の門から出て来る。聖杯の完成を阻止し、イリヤを助けに行くために。

少し遅れて、凛もそこに加わる。

「大丈夫なのか?遠坂?」

士郎が尋ねる。

「当然でしょ!私のアーチャーばかりか、父さんまで奪ったあいつらを、絶対に許さないんだから!」

 






アーチャーの思惑を、原作とは変えています。士郎を殺そうとする本当の理由は、士郎に自分と同じ思いをさせないためです。結局は、自分よりも他人(過去の自分ではありますが)のために行動していた事になります。それに気付き、アーチャーは剣を引いたという事です。いろいろ異論もあるかもしれませんが、まあ、私の勝手な妄想ですので、ご容赦願います。


ちょっと疑問に思ったのですが、第四次聖杯戦争で、セイバーは小聖杯しか破壊していないのでしょうか?そのため、聖杯の泥が流れ出して、未曽有の大火災が起こってしまったんでしょうか?
だとすると、それは何故なんでしょうか?
切嗣が“小聖杯を破壊しろ”なんて言う訳は無いので、そうなると、切嗣もセイバーも小聖杯だけを聖杯と勘違いしたのか?それともセイバーの耐魔力が強すぎて、必死に抵抗したから小聖杯しか破壊できなかったのか?
聖杯の器の提供元のアインツベルンのマスター切嗣が、聖杯の仕組みを知らないというのも変なので、やはりセイバーの耐魔力が原因ですかね?
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。