《それでは御三方、準備はよろしいですか?》
キィがきららとゆらら、そしてみみみの3人に訊ねる。
場所はトレーニングステージ。ギミックも壁も何も無いステージだ。
なぜこのステージかというと
《案内が面倒なので》
との事だった。
そんなキィのきらら達に対する問いかけにゆららが反応を示した。
【ちょっといいか?】
《はい、なんでしょうか?》
【もう一度ルールを確認しておきたい。】
《かしこまりました》
ルールの確認を求めるゆららにキィは嫌な顔ひとつせず応じる。
虚空に今回の特別ルールが浮かび上がった。
──────────────────────
特別戦
3対3のポータルキー制圧バトル
制限時間は3分間
【
輝龍院きらら・ライバル忍者ゆらら・サポート忍者みみみの3人についてはデッキカードルール適応外
上記3名のステータスは現時点での本人の身体機能に依存する。
忍術アプリの使用制限は【火遁:戒天炎龍召喚】【小太刀:柳13斬】【護符:水鏡止水】をHSとして制限するが、その他アプリについては制限は無いものとする。
なお、ステータス上の体力が尽きた場合はスタート地点にテレポートする
──────────────────────
《以上になります》
『つまり、いつも通りってことね!』
開口一番きららがそんな何も考えていない発言をする。
【甘いぞきらら。今回は時間制限がつく上に奥の手は使えるかどうかすら分からん。】
【そだねー。いつもなら水鏡止水で助けられる場面で助けられないことが多くなるから気をつけてね?】
きららとは対照的に、ゆららとみみみは仕様をきちんと理解し、自身の得意技が連発できないことを理解する。
きららの【火遁:戒天炎龍召喚】は本当に奥の手だからいいとしても、ゆららの【小太刀:柳13斬】はかなり使い勝手が良いために普段から連発しており、みみみも無茶な特攻をするきららのために【護符:水鏡止水】を多用している。
ゆららとみみみの2人にとっては手痛いルールだった。
『けど、こっちにはハンデがあるんでしょ?らくしょーよらくしょー!』
【とはいっても向こうもかなりの手練だろう。油断するなよ。】
そう言って忍者3人は気を引き締め直した。
《それでは皆さま準備がよろしいようですので》
キィがフィールド全体を見て声をかける。
その場にいた全員が、キィの声に神妙な顔で頷いていた。
《バトルの始まりです》
それが開戦の合図だった。
『行くわよゆらら!ポータルキー全部取って完封してやるし!』
【言われなくとも、そのつもりだ!】
開始早々、きららとゆららは高台から飛び降り、ポータルキーを目指す。
2人が向かっていたのはCポータル。どちらか一方が行けば良かったものの、まだ立ち回りのセオリーが分かっておらず、お互いに対抗心を燃やしている2人にはその考えはなかったらしい。
一応、バトル開始前にキィに聞いた「基本的にはCポータルの取り合いになる」という言葉のとおりに、先にCポータルを取ろうと躍起になっているらしい。
『忍法、拠点制圧の術!』
【ふん、たわいない。】
2人がCポータルを制圧した時、【
自身らの背後ではみみみがAポータルを制圧しており、特に危険はなさそうだ。
【きらら、今のうちにBポータルを占領しておけ。ここは俺一人で十分だ。】
『い、言われなくても分かってるし!あーしが戻ってくるまで耐えられなかったら許さないんだからっ!』
そうしてきららはBポータルへと走っていった。
その時、場面は動いた。
「じゃ、行ってくるね。【イェーガー】【ドア】」
『守ります、急ぎます!』
【へっ?!】
PRHSとジャンヌが【どこにでもいけるドア】でみみみのいるAポータルを狙った。
咄嗟の事で反応が間に合わなかったみみみは惚けた顔でジャンヌを見つめる。
それが悪手だった。
「新しいのいくよ!【ワキンヤン】!」
『参りますっ!』
【支援が……間に、あわ…………】
PRHSは#コンパスが現実化してからロードが新たに追加したカードである【ワキンヤン】でみみみをスタンさせながら後方に飛ばす。
その隙を、かつて【
「取って!」
『御旗を掲げよ!』
みみみが拠点範囲外に飛ばされたのをいいことに、PRHSとジャンヌはAポータルを強引に奪った。
PRHSが【
当の本人は「体力が多すぎて殴ってる実感がない」ゆえの
もちろん不滅の名の通り、その理由もあるのだがもうひとつ、「いつの間にか裏取りをしている」「裏取りの成功率が異常」という特徴から、PRHSは神出鬼没の幽霊呼ばわりされているのだ。
ではなぜ裏取りが成功するのか。
理由は簡単、PRHSはフィールド全体を見て、どこに注目が集まっており、どこに注意が向けられていないかを意識せずとも知覚しているからである。
その注意の方向理解がみみみへの奇襲を成功させたのだ。
「PRのやつ、楽しんでんな。んじゃ、俺達も。【クルエルダー】」
『遠くても切れるの無駄なの』
【なっ……!?】
PRHSの奇襲が作った動揺に漬け込んで、レイアがゆららを引き寄せる。
ゆららはスタンをくらったみみみの方を向いていたため、レイアの方を見ていなかった。
「落とせ!【メカ犯】!」
『省みる返り血最高……!』
乃保の【とある家庭用メカの反乱】によりゆららの体力がガリガリと削れる。
ゆららの青の体力ゲージがどんどん灰色に染まっていき、
【チッ……ぬかった、か……】
《味方が倒されてしまいました》
そこまでの時間がかからずにゲージは全て灰色に染まった。
『ゆらら!?ちょっ、手練がいるなんて聞いてないわよ!』
ゆららがいともたやすく倒されたことにきららは驚きを隠せなかった。
腐ってもライバル忍者であるゆららの優秀さは、単にきららの真似をしているだとか忍術アプリの性能によるものだとか、そのような性質ではないことをきららは知っている。
それゆえにきららは大きく動揺したのだった。
『みみみ!そっちは!?』
【ごめん取られた〜。私はCポータルに行くから、きららはBポータル取ってて。】
ジャンヌに少し攻撃をしてみるが、ほぼ全くと言っていいほど減らない体力ゲージを見てみみみはすぐさまCポータルに向かう。
『でもCポータルって1番領域小さいポータルよ!?』
【分かってる。でも、Cポータル取られたら地形的に奥に攻め込めなくなる。Aポータルに援軍が来たら私たちの負けだよ。それに、Aポータルに躍起になったらBポータルも取られて状況はサイアク。とりあえず一つ安定させるよ。】
それでも、みみみは優秀なサポート忍者なのだ。
彼女はステージの地形を瞬時に把握し、いま優先すべきことは何かを順位をつけてリストアップしていった。
彼女の戦法は理にかなっている。
確かに【
Cポータルを取られ、Aポータルが安定し、そのうえ裏を広げられたら勝ち筋はなかっただろう。
しかしCポータルを抑えておけば、【
シンプルゆえに裏に回りやすいトレーニングステージならではの戦略だった。
【グズグズしてる暇はないよ〜。】
『分かってるし!さぁ、ここから反撃開始よ!』
みみみはCポータルを守りに行き、きららはみみみの戦略通りにBポータルを制圧した。
そのタイミングでゆららが戦場に舞い戻る。
【ふん、生きてりゃまたチャンスはあるさ。】
『ゆらら!ポータル領域広げるし!』
【言われずとも!】
ゆららがBポータルにやってきた時点できららはゆららにBポータルを託し、Aポータルにちょっかいをかけに行く。
そうしなければD・Eポータルが安定されてしまうからだ。
Aポータルのジャンヌが危うくなれば、乃保か13のどちらかは必ず援護に来る。
そうすれば、裏取りができる可能性も増えてくる。
きららもそれなりには策士なのであった。
『見敵必殺!』
『きゃあ!』
『支援アプリ起動!』
きららは真正面からジャンヌに近づき、直前でジャンプして落下攻撃をあたえる。ジャンヌはそこまでダメージにならないだろうと考えているからか特に避けることも無くその攻撃を余裕を持って受け止める。
そんなジャンヌの余裕を見てか、出し惜しみをしている暇はないと考えたきららは即座に支援アプリを使用する。支援アプリはきららの持っている短刀の重みを軽減し、切れ味を増すことできららのDPSを高める。
きららの短刀がさらに鮮やかに輝いた。
「攻撃バフ、ね。ジャンヌちゃん!」
『参ります!』
『!土遁:障壁アプリ起動!!』
きららのDPSが上がったことをなんとなく察知したPRHSはその一言でジャンヌに【ワキンヤン】の使用を頼む。ジャンヌもその意図を十全に把握し【ワキンヤン】をきららに向けて放つ。
しかしきららも世界を裏で支配する忍者クラブの頭領、ジャンヌが旗を下に下ろした瞬間に何かが来ることを即座に理解して、太ももに仕込んでおいた【土遁:障壁アプリ】の緊急起動スイッチを殴りつけるように押す。
障壁によって【ワキンヤン】のスタンは無効化された。
『きっつー……』
『いざ!』
きららはギリギリのタイミングで障壁が間に合ったことに安堵しながらも、これからもあのレベルの読み合いがあることを理解して愚痴を漏らす。
そもそも目の前のジャンヌすら旗を掲げた自己回復できららの攻撃を受けきれているのだ。
それもこれも──
「アプリは併用できないんだね。」
『…………っ!』
これのせいだ。
支援アプリで上げた攻撃力だったが、ジャンヌの【ワキンヤン】を受けるためにエネルギーを障壁に回したため、支援アプリの効果が切れてしまったのだ。
けれど支援アプリを使い直すにしても、もう緊急用障壁アプリ展開スイッチは使えない。
またあのみみみを行動不能にした攻撃をされては障壁アプリが起動出来ない可能性がある。
『それは避けなきゃね……!』
【ワキンヤン】できららが対処可能なのであれば、わざわざ援護に来なくとも裏を大人しく広げておけばいい、との結論に敵が至れば、きららは放置される可能性が高い。
そうなれば、多少流れは違えどきららの描いた逆転不可のシナリオ通りになってしまう。
しかし、現在の受けきれている状況も放置で良いとなりうる。
だったらきららが取るべき行動は、
『避けるっきゃないわね!支援アプリ起動!!』
「ジャンヌちゃん、【イェガ】。花火は後で。」
『守ります。』
きららは細い勝ち筋を掴むため、リスキーダイスを躊躇いなく振る。ジャンヌを倒す、もしくは窮地に陥らせるまでに一度でも【ワキンヤン】を喰らえば消えてしまうような細い勝ち筋を求めて。
結果、それに合わせられたカードは障壁。
何かの都合で【ワキンヤン】が使えなかったのかブラフかは知らないが、きららは第一のリスキーゲームに勝った。
『いける!スパスパっと──』
『伏せろーー!!!』
そう思った瞬間だった。
きららは誰かにそう言われて攻撃を中断し、声の言う通りに慌てて屈む。
屈んだきららが見たものは、
黒い羽を撒き散らし、仮面で自らの本心を隠した堕天使と
屈んだ自身の目の前に、猛スピードで迫りくる赤い鎌。
『ぎゃんっ!』
『おー、大将!見たか今の?ギャグ漫画みたいに吹っ飛んだな!はっはっは!』
13だ。
きららはアタッカーモードの13のヒーローアクションで体力を半分以上減らし、ステージ端に追いやられた。
「いいから次だ。やれ。」
『せっかちだな。せっかちな男は嫌われるぞ?』
「一回負けてんだ。お礼くらいはしないとな。」
『はーヤダヤダ、なぁんか熱くなっちゃって。』
体勢を立て直したきららが見たものは、楽しそうに笑う赤い鎌の持ち主と、冷静に次の指示を出す、自分たちに啖呵を切った男だった。
『な、な、なんで!?』
『伏せろー!!!』
状況がのみ込めないきららを見て、13は一瞬キョトンとしたものの、言葉の意図に気づいたらしく、性格悪くもニィィと口を歪めてヒーローアクションを放つ。
その瞬間、きららは全てに気がついた。
先程の声は目の前の堕天使のものであり、攻撃をより効果的に当てるためにわざとブラフを張ったのだ、と。
そして、思いのほか焦っていた自分はそれにまんまと引っかかったことも。
『に、に、逃げんなよ!あーしの本気で潰してやる!』
『おーおーやってみな、オジョーチャン。』
ヘラヘラと笑って応える13を見ながら、きららはスタート地点に戻される。
その途中できららは見た。
ライバルの準備が整っていたのを、確かに見た。
『そんなカッカすんなって相棒。今のでファイアウォール抜けられた件はチャラだろ?』
「まぁな。ここでボコしとかねぇと後でアランに何言われるか分かったもんじゃねぇし。」
【奇遇だな、俺もだよ!!!】
咆哮一発、ゆららが地を蹴った。
それまで余裕綽々でくっちゃべっていたkeyと13はその咆哮を聞いて声のした方を見る。そちらからは自分たちがファイアウォールで捕縛し、先程もレイアがボコしたゆららがなんの考えもなしに突っ込んできていたのが見えた。
『なんだアイツ?』
「さぁ?」
keyと13はかなり余裕そうにゆららを眺めていた。
しかし、PRHSはなにかただならぬ気配をゆららの気迫から感じ取った。
「ジャンヌちゃんHS使って!!」
『理由は聞きません……死を斥けます!』
「どうしたPR?」
「なにか来る……!key、HS使って!」
「だってよ。」
『お前はどう思うんだよ?』
「正直、今使うより回復のために温存したい。」
『ま、オレは大将を信じるぜ。』
13がヒーロースキルを使わない選択をした時、ゆららが動いた。
【駆け抜ける!】
ゆららが叫ぶと同時に、その身体は砲弾のように撃ち出される。ヒーロースキルを使い終わり、なせか【花火】を連続で切ったジャンヌと、ダメージカットがなく、回避行動をやっと始めた13を一閃した。
しかし、ダメージはそれほど入らない。
「なんだ?ダメージ入らねぇじゃねぇか。」
『コイツの勘、珍しく外れたな。』
keyと13がそう言った時、ゆららが手に持っていた小太刀を納刀する音が聞こえた。
透き通るように高い金属音を響かせたそれに紛れて、ゆららは密かに呟く。
【小太刀:柳13斬】
その瞬間、13とジャンヌにおびただしい量のダメージが入った。
一撃一撃は軽く、400程度の威力しかないがガードも防御バフも貫通する、神速の13連撃が。
ジャンヌは持ち前の体力と【花火】の持続回復で何とか耐えたが、13は即座に体力を削り切られてポリゴン片と変わる。
『今のは痛かった……ちょっとな……』
『危なかったです……!』
【一人仕留め損ねたか……!まぁいい。すぐに片付ける!】
ジャンヌが倒れておらず、徐々に体力が回復していく様子を見たゆららは、即座にムーンサルトでジャンヌに追撃を入れる。
【すべて断ち切る!】
『この程度……っ!』
ここを乗り切れば勝てる。
そう考えてジャンヌを攻撃していたゆららは、周りが見えていなかった。
自身のすぐ隣にいた堕天使に、
先程倒したはずの堕天使に、
気づくことは無かった。
『さっきのは痛かったぜ。お礼をしなきゃな!』
【なっ!?お前はさっき……!】
「【フルーク】!」
『考えんな、感じるんだ!』
【護符:水鏡止水!】
13の【フルーク】がゆららにヒットする寸前、みみみはこのバトルで制限を受けていた【護符:水鏡止水】を発動させる。
ゆららの前に障壁が現れ、13の【フルーク】を受け止める。ダメージを完全に遮断したそれは、ゆららに幾ばくかの余裕を与えた。
【すまないみみみ。助かった。】
【ま、今は味方だから〜】
「ぶっ込めさっちん!【カノーネ】!」
『よそ見してんなよ?隙だらけだ!』
【ぐぅ……っ!】
みみみに支援の礼を伝えるゆららだったが、keyはその余裕を許さない。
すぐにダメージカット障壁を無惨に散らす【カノーネ】をゆららに打ち込む。【護符:水鏡止水】のガードは2秒と展開されることなく割れた。
【隙を見せたらすぐこれだ……ん?】
体力が2割を切ったゆららは撤退を考えるが、すぐに自身の異変に気づく。
体力が回復していたのだ。
量は少ないものの、ジワジワと少しずつ体力が全快に近づいていく。
「あの回復量……【打ち上げ】かよ。」
『どうするよ、相棒?』
「押し切る!」
『だと思ったぜ。』
ゆららと13の大立ち回りが始まった。
その一方、きららは息を殺して移動していた。
『迷彩アプリ起動……』
相手は手練だ。いつもみたいに魅せる戦いをしては勝てない。
そう考えたきららは迷彩アプリを使って敵陣に切り込む。
狙うべきポータルはEポータル。相手の唯一広がっていないポータルキーだ。
『ごめん、ゆらら、みみみ。でもあーしたちは勝つわよ……!』
きららは小声で呟きながら戦場を誰にも気づかれず駆け抜ける。
敵の堕天使と聖女はAポータルでゆららと立ち回っており、Cポータルではみみみと女子高生が睨みあっている。きららの行動に気づく者はいない。
『いける……っ!』
きららはポータルキーに手をかけ、制圧モーションに入った。
『忍法、拠点制圧のじゅ……』
「そこか。【クルエルダー】!」
『それで逃げたつもり?』
しかし、拠点制圧を始め、迷彩アプリが中断された瞬間にきららは引き寄せられる。
引き寄せられた先には、先程までみみみと睨みあっていた女子高生がいた。
『なっ!?』
「さっきは透明化して抜けられたらしいからな。見えずとも
『顧みる返り血最高……!』
その一言できららは全てを察した。
誘導されていたのだ。おそらくは、最初から全て。
ダウンしたきららに無慈悲な【メカ犯】が突き刺さる。
きららを削りきるにはそれで十分だった。
「借りは返したな。」
『笑って?ほら笑ってよ。』
きららの作戦は失敗し、またスタート地点に戻された。
そして、
そこからは終始一方的な展開でバトルは集結した。
──────────────────────
『きっつー……』
【これは……なかなか……だな。】
【うーん……戦いながら支援って難しいな〜。】
かなり一方的にやられてグロッキーな3人が、Cポータルを背に倒れ込んでいた。
「おー、おつかれ。結構強かったぜ?」
【あんなに……ボコボコにしといて……何を……】
keyが3人に向かって本心からそう言ったが、ゆららはその言葉に猜疑心むき出しで応える。自身はかなり消耗しているのに、keyが息ひとつ切らしていないのも原因の一つかもしれない。
「いや?たしかにお前ら結構よくやってたよ。」
【えー……そうなの?】
どうすっかなぁ……とkeyが頭を抱えていたのを見かねてか、ロードがそうバトル参加者達の会話に混ざった。
みみみはロードのそのセリフを少し胡散臭そうに訊ね返す。
「あぁ。そいつら、100対3を勝ち上がったような奴らだからな。」
その疑問にロードはしれっと答えた。
『……あんたバカァ?』
「何がだよ?」
『そんな人たちといきなり戦わせんなし!いじめんなバカー!!!』
「知るか。そもそもお前らが勝手に戦い始めたんだろうが。」
『うっ……』
きららがロードにそうくってかかるが、ロードは自分たちの責任だろうと冷たく突き放す。
きららはkeyの挑発に乗って自分から戦うと言い始めたことを思い出してぐうの音も出なくなってしまった。
【あ、そうだロードさん。どんな感じになった?】
『……みみみ、【どんな感じ】って何が?』
【さっきのバトル。実は配信してたんだぁ〜。】
『ちょっ!?』
みみみの落とした特大の爆弾に、きららは動揺を隠せない。
きららは忍者クラブの頭領なのだ。
無様を晒せば下からも世間からも「大したことはない」と舐められる。
ただでさえフィジカルが重要な忍者において、女性であることはそれだけで舐められる要因となりうるのだ。
だからきららは柔軟性や小柄な点、体重の軽さなど、女性ゆえの強みを磨いた。
強みさえあればフィジカルで負けていても他の部分で勝てる見込みがある。
けれど、それだけでは強さを強調できない。
だからきららは配信をした。
女性ゆえに「弱い」と舐められるのであれば、「弱い」と思わせないような姿を見せつけてやればいい。
自分の強さを見せつけられれば、忍者クラブの下のものも自分についてくる。
それが輝龍院きららが忍びなのに忍ばず、配信をしていた理由だった。
それなのに、自分が無様に負けた配信をされては今まで築いてきたイメージが総崩れする。
ヤラセ疑惑や格下狩りしかしない卑怯者とのレッテルをはられるかもしれない。
それをきららは恐れていた。
「あぁ、大好評だぜ。見てみろよ。」
そう言ってロードはきららに画面を見せてくる。
きららはそれを恐る恐る覗き込んだ。
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そこにあったのは、きららの善戦を称えるコメントやまたこの戦いを見たいというリクエスト、果ては敵が強すぎたんだとkey達を称えるようなコメントばかりだった。
予想外の出来事に、きららは目を見開いて驚く。
「で、どうする?」
そんなきららにロードが問いかけた。
何を聞かれているのか、きららには分かった。
【私は行くよ〜。忍術アプリの開発が進みそうだし!】
【俺もだ。あのkeyとかいう奴にお礼をしなければな。】
多少困惑気味に残りの二人の方を見ると、二人はきららに【まだ決めていないのか】と言いたげにそう返した。
2人の反応で、きららの腹は決まったらしい。
静かに頷くきららを見て、ロードはきららに言い放つ。
「なら、次回配信予定を視聴者に伝えてやれよ。」
『わっ、分かってるし!』
そう言うときららはぐしぐしと目を擦ってカメラを呼び寄せる。
『ハロハロー!今回は残念な結果だったけど、次は負けないしー!次回までにもっとセオリーを学んで次は勝つわよ!次回は……そうね、タイトルは【戦ってみた】!いっぱいコメントしなさいよ!』
配信はそこで途切れた。
お久しぶりです、乱数調整です。
今回はきらら回の終わりです。なんとか終わらせることが出来ました!かなりぶっ飛ばした感があるものの、SSの範疇は超えたくないという私の好みと、もう1話増やしたくないという私の願望の折衷案です。
ちなみにゆららとみみみの描写が多めなのは、私がほぼきららを使ったことがないからです。しょうがないね、スプはコクリコしか使わないもんね。
さてさて、皆さんツッコミたいとは思いますがあいやしばらく。
今回のロリ#コンパス捏造ヒーロー【ゆらら】と【みみみ】についてです。
設定としては【ゆらら】がアタッカーの【みみみ】がタンク。
ヒーローアクションは【ゆらら】がバックステップで前方と着地点の相手にダメージ、【みみみ】は自分のカードを味方に使える、という効果です。
アビリティは【ゆらら】が「敵陣で攻撃バフ」【みみみ】が「HAの回復量増加」です。
設定を作ったはいいものの、使ったのはゆららHAだけというアレ……
使う予定だったんですよ?予定はあったんですけど長くなりすぎたのでカットしました。
運営さん、そのまま使ってくれてもいいのよ?
そして今回のツッコミどころ【小太刀:柳13斬】と【護符:水鏡止水】です。
これを読んだ方々の中には「おいおい乱数、【柳13断】だろうが」とか「おい待て、【明鏡止水】だろ?」と思った方も多いと思います。
誤字じゃないですよ?
意図としては「まんま使うのは嫌だな」という私の私による私のための好みです。
言わなくてもいいかとは思ったのですが、執筆画面を見た妹に「【水鏡止水】じゃなくて【明鏡止水】だぞ」とつっこまれたので一応。
次回はこのSSを書いている途中に書き上がった、この話を書いたら書こうと思っていた話です。どうしてこうなった?
次回、夢から醒めてもう一度
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。