ロリ#コンパス   作:乱数調整

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新番組─愛と美の伝道師─

アバン

 

世界は暗かった。

誰も彼もが沈んだ顔をして、愛だの恋だの言っていられないような状況だった。

 

不況ゆえだろうか?それとも文明が発達して文明に振り回されるようになった?

 

分からない。

 

けれど、その中でもある特徴を持った人達はさらに迫害されていた。

 

街を歩けば異常者だの気持ち悪いだの罵声を浴びせられ、この世に居場所は少したりともないような気がした。

 

だから、

 

こんなバットな世界(チェリーパイ)にワテクシは愛と美を伝えに行ったの。

 

────────────────────────

 

オープニング〜チェリーパイの歌〜

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

みんな大っ好きっ♡ チェリーパイ♪(チェリーパァァイ!)

 

テカテカ真っ赤に サクサクこぼれて

ヨダレもジュルジュル さあ一緒にかぶりつこう!

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

 

出来立て焼きたて チェリーパ〜イ♪(チェリーパァァイ!)

 

ガツガツ仕込んで ジュージュー焼きつつ

お腹はグーグー さあ一口で飲み込もう!

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

 

みんな大っ好きっ♡ チェリーパイ♪(チェリーパァァイ!)

 

────────────────────────

 

Aパート

 

「ワテクシは美の化身、ヴィーナス・ポロロッチョ!

「バットなチェリーパイ達に愛と美を伝えるために、世界中を旅しているわぁ♡

 

「その甲斐あって、ワテクシは世界中全てを回って愛と美を伝えることに成功したの。

 

「……でもね、そんなワテクシも愛と美を伝えられなかった場所があったことに気づいたの。

 

「インターネット

 

「インターネットにはまだまだ愛と美が浸透していなかったわ……

 

「監禁されるチェリーパイ……望まない一方的な愛を押し付けられるチェリーパイ……暴力を振るわれるチェリーパイ……

 

「たとえそれが2次元の産物だとしても、苦しんでるチェリーパイを見捨てるだなんて……ワテクシには出来ないッッッ!!!

 

「だからワテクシは、その第一歩として、#コンパス(ここ)に来たの」

 

 

───────────────────────

 

『ワテクシのパッションは、止められないッわッッッ!!!』

 

轟音を立てて#コンパスのファイアウォールが破られる。

防壁を壊して叫び声を上げた張本人は防壁の前で身体をくねくねさせて踊っていた。

それはポールダンスに使えそうなほど長い棒を持ち、煌びやかな衣装を身にまとっていた。

 

『待っててね……まだ見ぬ恋人たち……ンフフフフフ!!楽しみだわぁ……!』

 

くねくねした筋骨隆々の長身は、ファイアウォールを通って奥へと突き進んでいった。

 

《マスター、緊急事態です。ファイアウォール三番壁が物理的に破られました。》

 

「……はぁ?」

 

キィからそんな報告を受けたロードはなんともマヌケな声を発した。

#コンパスは電脳世界、ファイアウォールも例外ではなく、普段見えているファイアウォールはイメージを分かりやすく具現化しただけの存在、そもそも物理的に破壊されるわけが無いのだ。

 

「……なぁキィ、今日はもう休みでいいから休憩してこいよ。あなたきっとつかれてるのよ。」

 

《お心遣い感謝しますが、私は大丈夫です。》

 

「大丈夫、お前はまだ自分が辛いことに気づいてないだけなんだ。」

 

《おい》

 

キィは呆れと怒りが半分ずつくらいの声音でそう言う。

感情を自覚してからというもの、キィの感受性と表現力の成長が著しい。

 

「でもさ〜キィちゃん、ファイアウォールってイマジナリーなものじゃない?それをどうやって物理的に壊すのさ?」

 

ロードとキィの漫才を見せられて辟易としていた楼閣がそうフォローを入れる。こういうところが楼閣が貧乏くじを引くゆえんなのだろう。

 

《それが分かればこんな情けない苦労していません。》

 

「ま、そうだよねぇ〜。デネブくん、敵のデータは?」

 

《ほとんど未知数です。今のところはこの世界(#コンパス)へのパスをこじ開けて来たことに加え、「チェリーパイ」「エクスタシー」「パッション」という未知の単語のみ判明しております。》

 

「うーん……余計意味わかんないねぇ……」

 

楼閣はしばらく唸っていたが、考えても仕方がないと言いたげに顔を上げ、ロードに相談することにした。

 

「それで?」

 

「あー……どうすっかな。誰を様子見に行かせたらいいと思う?」

 

「そうだねぇ……わりと機動力あって鎮圧もできるけど、あんまり好戦的じゃない方がいいな。」

 

短いやり取りだけで互いに伝わった管理者両名は、前提条件を元に条件に合うものたちをリストアップしていく。

 

「んじゃ、【明色に染まる空(三バカ)】も【神に届く白軍(ナイト・オブ・ナイツ)】とか【壊滅的ナタデココ(カタストロフィロス)】もやめといた方がいいよね……誰か平和的に解決できそうなのは……」

 

『だったらワテクシの出番ね♡ワテクシにまっかせなさい!!!』

 

「《「《はぁ!?》」》」

 

その場にいた管理者4名の声が見事に揃った。

4人の眼前にいたのはファイアウォールを破壊したあの筋骨隆々だった。

 

『あらヤダ。そんな目で見られたらレディは傷ついちゃうわよ?』

 

「……誰だお前?」

 

その引き締まった肢体をくねくねさせながらそう言う筋骨隆々に、ロードは悪魔の悪意をもって接する。

元は協力者(セナ)の権能であった紫色の悪意を可視化できるほどに全開にしている。それほどにロードは目の前の筋骨隆々を敵視していた。

 

無理もない。非常事態の直後に普通は侵入不可能なコントロールルームに入ってくる、などという非常事態が相次いだのだ。警戒してし過ぎるということはあるまい。

 

『ワテクシは美の化身、ヴィーナス・ポロロッチョ!あなたたちみたいなバットなチェリーパイを、おしおきしに来たわッッッ!!!』

 

「……ファイアウォールを破壊したのも、お前か?」

 

『あらヤダつれないわね。でも、場面全体の事を見れているなんていい男じゃなぁい……ターゲット、あロックオ〜〜ン!!!』

 

ポロロッチョと名乗った筋骨隆々は、ロードの冷静な質問に身体をくねくねさせて喜んでいた。

正直気持ち悪い。

 

「キィ?」

 

《安全錠解錠、座標指定、演算式機動……完了。いつでも行けます。》

 

「やれ!」

 

『あら?』

 

ロードがキィとコソコソと相談し、準備を整える。ポロロッチョはまだ身体をくねくねさせていた。

準備が整った時、キィはロードの指示に従いポロロッチョの真下に空間転移磁場を発生させる。

 

足元の地面が無くなったポロロッチョは断末魔をあげる暇もなくどこかへ消えていった。

 

「よし……とりあえずの危機は去ったな……キィ、【神に届く白軍(ナイト・オブ・ナイツ)】に三番壁の防衛を指示。」

 

《かしこまりました。》

 

「楼閣、注意喚起のために中央広場に掲示出しに行くぞ。デネブはネット媒介の掲示を頼む。」

 

「はいはーい。」

 

《仰せのままに。》

 

問題に対処した管理者たちはアフターケアに動き出す。

 

『可愛い子は逃さないわよぉ……!!!』

 

転移された先でポロロッチョが薄暗い笑みを浮かべていることに気づかずに、動き出す。

 

────────────────────────

CM

これは、悠久の時を巡る少女の物語……

 

『オルケーシス!そっちに逃げたわよ!』

 

【分かったワ!エレンホス!アティシと一緒に追い詰めるわよ!】

 

【援護するわっ!あの人の手がかりが掴めそうだものっ!!】

 

ある1人の伝説の美を求め、少女は旅をする。

 

『逃さないわよぉ!!!』

 

願わくば、少女にあの日の誓いを……

 

オリジナルアニメ

〜あの人の背中を追いかけて〜

毎週火曜25:30〜 桜桃菓子TVにて放送中!

 

『あの人に答えを伝えるまで……死ねないッッッ!!!』

 

 

 

『チェリーパァァァァァァァァァァァァァァァイ!!!

 

『テレビの前のグッドなチェリーパイ♡恋……してるかしら?

 

『あぁん、もう、恥じることはないわ。そういう時だってあるわよ。

 

『で、も♡

 

『できるなら好きな人と距離、縮めたくなぁい?

 

『そういう時はこれ!ヴィーナス印のチェリーパイ!

チェリーパァァァァァァァァァァァァァァイ!!!(効果音)

 

『これを気になる人と一緒に食べれば、近づく2人の距離……頬にクリーム……そして……ウフフフフフ!!!

 

『ヴィーナス印のチェリーパイ、2021年9月1日より発売開始よっ!

 

『あなたたちの恋、応援するわ♡』

 

\チェリーパァァァァァァイ/

 

 

────────────────────────

Bパート

 

ロードたち一行は共有スペースの情報区画、中央広場に来ていた。

掲示板の周りにはすでに人だかりができており、デネブがもう注意喚起をアップロードしているのが分かる。

 

「さすが大三角の一角。キィほどとはいかなくても仕事が早いな。」

 

《…………お褒めいただきありがとうございます。》

 

「なんか不満げだな?」

 

《……いつかは、姉を超えます。》

 

#コンパス─戦闘摂理解析システム─管理AIの1人は、どうやら野心と向上心が強いらしい。

 

そんなやり取りをしていると、ロードと楼閣が事前に呼んでいた6人が集まってきた。

 

「よぉアラン。いきなり呼び出してどうした?」

 

「ボス、遅くなり申し訳ありません。」

 

「ギルマス……が、急に呼ぶ……なんて……珍しいです、ね……?」

 

「楼閣さーん!きっましったよ〜っと!」

 

やってきたのはロードが呼んだ【明色に染まる空(daydream)】のメンバーと、【孤独者達の宴(ロンリネス)】の波羅渡、カロネ、カフカの計6人だった。

 

「緊急事態だ。」

 

「「「緊急事態ぃ?」」」

 

「いったい……何が……?」

 

回りくどい挨拶は抜きにしてロードが6人に話を始める。

明色に染まる空(daydream)】の3人は口を揃えて「おまえは何を言っているんだ?」とばかりにロードの言葉を復唱し、カロネは不安そうにしていた。

 

波羅渡はいつも通りの狂信者スマイルで佇んでおり、カフカはとりあえず詳しい情報が分かるまでは黙っていようと引っ込んでいた。

 

「あぁ、褐色肌の筋骨隆々の男女(おとこおんな)がファイアウォールを物理的に破って侵入してきた。」

 

「待てアラン、ファイアウォールは物理では開かねぇだろ?」

 

keyがロードにそう口を挟むが、ロードは無視して続ける。

 

「とりあえずキィが空間転移でリアルに戻したが、またいつ戻ってくるか分からん。それっぽいやつ見つけたら、なるべく隠密に処理してくれ。」

 

「ロードさん、処理って?」

 

「なんでもいい。三バカは捻り潰すだろうし、カロネは話をして引きつけるとかでも。……お前とアイツは趣味が合うんじゃないか?」

 

「趣味って?」

 

「……黙秘する。」

 

「おい」

 

カフカが詳しい説明を乞うが、ロードはおざなりな対応だけして放っておく。カフカがわりと言うようになっている。

 

「ボス、いくつか質問よろしいでしょうか?」

 

「どうした?」

 

波羅渡がロードをまっすぐ見つめて、爽やかな笑みを浮かべながらロードに訊ねた。

 

「いいぞ。どうした?」

 

「その男性っぽい女性は、綺麗な金髪をしていますか?」

 

「あぁ、そうだ。褐色金髪は日本だと珍しいから、多分ひと目で分かるだろ。」

 

「なるほど。……では、彼女は長い棒みたいな物を持っていますか?」

 

「ん?あぁ、持ってたな。……もしかしてお前、そいつどっかで見たのか?」

 

波羅渡の質問の鋭さに、ロードは波羅渡がすでにポロロッチョと遭遇しているのではないかと訝しむ。

そのセリフからは大事になる前に対処しておきたいという意図が透けて見えていた。

 

ゆえに波羅渡は隠し立てをせず、素直に答える。

 

「えぇ、今ちょうど。ボスの後ろに。」

 

「ふぁっ!?」

 

ロードのすぐ後ろに、ポロロッチョがいた。

たしかに現実世界に転移させたはずだった。だが、実際問題ポロロッチョはここにいる。

 

その事実にロードは驚いていた。

 

「……お前、どうやってここまで来た?」

 

『決まってるじゃない。アナタに会いによ。この【ジョバンニ卿】はね、ワテクシを狙った男の子の元へと連れてってくれるの。』

 

「それで、俺のところまで?」

 

『モチのロンよ!可愛い子は逃がさないわぁ!』

 

ロードは驚きに目を見開いていたが、その目の奥には何かを期待する輝きのような物が存在していた。

 

「だったら、ポロロッチョ。」

 

『ん?何かしら?』

 

ロードは意を決するように頬を少し朱に染めながら、ポロロッチョに言った。

 

「俺と、一緒に来てくれないか?」

 

『……えぇ。えぇえぇえぇ!!!いいわよチェリーパイ!全身全霊で愛してあげる!2人で世界に、愛と美を伝えに行きましょう!!』

 

2人は幸せなキスをして終了。

 

────────────────────────

エンディング〜クレイジービート〜

 

歌詞を書くと色々と問題になりそうなので、代わりにスタッフロールをお送りします。

 

 

 

【題名】ロリ#コンパス

 

主演 ヴィーナス・ポロロッチョ

   ロード(アラン・スミシー)

   楼閣

   キィ(アルタイル)

   デネブ

助演 カフカ

   カロネ

   key

   PRHS(変態)

   レイア

   ジャスティス・ハンコック

   

オープニング曲

チェリーパイの歌

作詞 ポロロッチョ

作曲 ポロロッチョ

歌  ポロロッチョ

演奏 ポロロッチョ

 

オープニング映像

主演  ポロロッチョ

助演  ポロロッチョ

撮影  ポロロッチョ

編集  ポロロッチョ

演出  ポロロッチョ

効果音 ポロロッチョ

 

バックダンサー : ポロロッチョ

友情出演 : ポロロッチョ

夕焼け : ポロロッチョ

チェリーパイ : ポロロッチョ

総監督 : ポロロッチョ

 

 

 

エンディング

クレイジービート

作詞   さつきがてんこもり

作曲   さつきがてんこもり

映像   黒井心

イラスト こんたくん

ダンス  めろちん

     C*Yuki

スペシャルサンクス

#コンパス 【戦闘摂理解析システム】

location撮影協力

nagomix

 

【提供】

桜桃菓子TV

ヴィーナス製菓

ポロロッチョ

 

 

ロリ#コンパス

シナリオ 乱数調整

音響   カロネ

メイク  ヴィーナス・ポロロッチョ

絵コンテ 天の声

作画   ポロロッチョ・ヴィーナス

画角   美の化身

 

 

 

制作 コクリコッ党

   コクリコを愛で隊

 

Give me a break!!!




皆様お久しぶりです、乱数調整です。
今回はアニメ風仕立てです。なぜって公式が一昔前に出したチェリーパイの歌を使いたかっただけなんですけどね。

ちなみに!今回は私がずっと守っていたルールをやっと破った回です!まぁ気づいた人は一人もいないと思いますが。
そのルールというのが、キィ・デネブ・ベガ(いないけど)の3人のセリフです。この3人、管理AIなので人ではないわけですよ。だから人間っぽさを出さないように、句点を今まで打ってなかったわけです。
それを、自分の気持ちを理解した今は人間らしさを出して句点を打ちました!
ついでに機械的じゃない受け答えも追加して、人間人間しているキィさんを演出してみました!
今回の私は大興奮ですよ!

次回、Give me a break

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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