ロリ#コンパス   作:乱数調整

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あ〜?ポロロッチョさんってば、こんなわけの分からないDVD作って……何がしたいのかねぇ?
事実と全然違う内容だし、思い出がすっごい美化されて描かれてるよ……カロネちゃんの曲も勝手に使われてるしさぁ……

……ん?なぁにベガちゃん?
…………ホントに?

ホントにこれが市場に出回ってるの?
え?何人かはもう買ってる!?

えっとえっと……じゃあ買った人からDVD(これ)回収して、ポロロッチョさんを紹介して誤解を解いて、ポロロッチョさんが暴走して何か起こさないようにみんなに注意喚起して……

え?ポロロッチョさんが壊したファイアウォール、そろそろ突破されそうって!?なら援軍を送る準備もいるし……

あぁもう!
Give me a break(勘弁してよ)!!!


副音声─パッションが止まらない─

「ちょうど今、ボスの後ろに。」

 

波羅渡がそう言った瞬間、ロードは後ろを確認もせず振り向きざまに裏拳を叩き込んだ。

 

『愛は、激しブフォア!?!?』

 

その裏拳はワープしてきたポロロッチョの顔面にクリティカルヒット、ポロロッチョは数メートルの距離を飛んで行った。

 

「デネブ!」

 

《安全錠解錠……座標指定、E-3939……指定完了……演算式機動……第三演算完了……演算終了いたしました!》

 

「やれ!」

 

《転移させます!》

 

ブゥン、と音を立てて数メートル向こうからロードに全力疾走で向かっていたポロロッチョが消え失せた。

瞬間、ロードは安堵に包まれる。

 

「えっとぉ……終わったみたいなので、あたし達帰ってもいいですかね?」

 

誰もが静寂を守る中、カフカが1人、皆に同意を求めるように訊ねた。

しかし、それを否定するものが1人。

 

「いいえ。まだ終わっていませんよ、カフカさん。」

 

波羅渡だった。波羅渡はじっとロードの背後を見つめながら臨戦態勢を取る。

 

とはいえめぐめぐは今日は休み、ヴィオレッタとともにコクリコ邸にお茶会に行っている。

 

「え?終わってないってどういう──」

 

『逃さないわよぉ……!』

 

カフカが詳しい事情を波羅渡に問い返した瞬間、ポロロッチョが舞い戻った。

まるで空間的な距離など無意味とばかりに、舞い戻った。

 

その瞬間、ロードはセナのかつての異能で足の裏から紫のモヤを伸ばし、自身の身体を空中に放りあげていた。

 

「キィぃぃぃぃ!!!」

 

《準備します。》

 

『あら、つれないわね。でも、ワテクシは諦めが悪いのよ。抱きしめ準備!』

 

ポロロッチョは手に持っていた棒を斜めに構え、足元からサイケデリックな光を撒き散らしていた。

 

『愛は、美しく!』

 

「吹っ飛べぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

『あっふん!』

 

驚くほど軽い呻き声をあげてポロロッチョは飛んでいった。

放物線を睨みながらロードはキィに指令を出す。

 

「やれ!」

 

「へぁっ!?」

 

その瞬間、keyの足元の床が抜けてkeyがどこかに飛ばされる。

 

「よし……!」

 

《うまくいきましたね……!》

 

2人が声だけでお互いを称え合う。

そんなふたりを楼閣は胡乱気な目で見ていた。

 

「なぁんでkeyくん飛ばしちゃうかなぁ?」

 

「人柱」

 

ロードはこともなげに答えたが、楼閣は「そうじゃないんだよなぁ」と言いたげな表情をしている。

 

ポロロッチョが飛んでいった方向を、楼閣は憐れむような目で見つめていた。

 

 

一方その頃、飛ばされたkeyはというと

 

「へぁっ!?……ぐえ!?」

 

『ビューティー!?』

 

飛ばされていったポロロッチョの上に転移させられていた。

 

「ってて……アルタイルのやつ、ミスってんじゃねぇよ……」

 

『まるで潰れたチェリーパイね……』

 

「……お?おっと!すまねぇな、踏んづけちまって。転移させられた先に人がいるなんて思わなくてさ。」

 

『ワテクシなら大丈夫よ……』

 

呻くような声音でポロロッチョは言う。しかしその表情は明るく、keyを心配させないようにという意図が見え隠れしていた。

 

「そうは言っても、だろ。見たところ、ポールダンサーか?そういう仕事は身体が資本だろうに。……傷とかついてないか?どこか捻ってたりとか。」

 

『あら、優しいじゃない?きゅんきゅんしちゃうわ!』

 

「ま、多少はな。逆に俺はなんでアランがあんなにお前を唾棄してるのかがわかんねぇよ。」

 

keyが人好きのする笑顔をポロロッチョに向ける。ポロロッチョは蕩けた目をしていたが、鈍感なkeyはそのことに気づくことが出来なかった。

 

「にしてもここどこだぁ?戻る方角も分からなきゃ戻れねぇし……なぁアンタ、」

 

『ヴィーナス・ポロロッチョよ。』

 

「おぉそうか。んじゃポロロッチョ、アランたちのところまでさっきみたいに戻れねぇか?」

 

keyが期待と不安がない混ぜになったような声でポロロッチョに訊ねる。しかしポロロッチョはその質問に緩慢に首を振るだけだった。

 

『無理ね。ワテクシの【ジョバンニ卿】はターゲットにしたチェリーパイの背後に送ってくれるの。今は無理よ。』

 

「そうかー……んじゃ、どうやって戻るかなぁ……んー……」

 

最後の希望が消え、keyはどうやって皆の元に戻るかを思案し始める。

その様子を見たポロロッチョは、誰も思いつかないような起死回生の一手を思いつく。

 

『よし……とりあえずキスをしましょう。』

 

「……なんて?」

 

『キスをしま「いや、それは聞こえてるよ。」

 

二人の間に気まずい沈黙が生まれる。

 

『大丈夫よ、心配しないで目を閉じて……』

 

「大丈夫じゃない!……なんか、なんか男として大事なもんを失いそうな気がする!!!」

 

『心配しないで……壁のシミを数えている間に終わるわ。』

 

「大丈夫じゃねぇだろそれぇ!!!」

 

『大丈夫、ワテクシを信じて目を閉じて!』

 

keyの断末魔が、辺り一体に響き渡った。

 

 

──────────────────────

 

keyがどこかに飛ばされてから数時間後、取り残された面々は思い思いに過ごしていた。

 

その辺を詳しく言うと、ロードは楼閣と今後の事を話し合っており、波羅渡はその後ろで微笑み佇んでいた。カロネは新曲の作曲をしており、カフカはグスタフと戯れて血を吐き、レイアはレイアで、PRHS(ヘンタイ)は猫吸いならぬジャンヌ吸いを行っていた。

 

「キィ?」

 

《……確認しました。もう大丈夫そうですね。呼び寄せますか?》

 

何を感じ取ったのかは知らないが、ロードはキィに短くそう訊ねる。しかしキィにはそれだけで十分だったようで、ロードの意図を十全に理解し今後の方針を確認した。

 

「よし、なら呼んでくれ。」

 

《お任せ下さい。》

 

キィがそう言うと、どこからともなく扉が現れた。

その扉はいつもロードがコントロールルームから出入りする時に使っている扉と同じものだった。

 

しばらく待っていると、扉のノブが回され、中から2つの人影が現れる。

 

『はぁ……ごちそうさま///』

 

「吐きそ……ヴォエ……」

 

頬を朱に染めてクネクネしているポロロッチョと、心なしかゲッソリしているkeyだった。

 

「おー、keyお疲れ。」

 

「お疲れ、じゃねぇだろおい……あの抱きつき魔、力強すぎんだよ……」

 

keyがゲッソリしている理由はどうやら、貞操の危機にあったからではなく、物理的に内蔵にダメージを負ったためらしい。

この場合は彼を慰めるべきだろうか、それとも貞操の危機になかった事を言祝ぐべきだろうか?

 

『それは失礼したわ……ごめんなさいね。お詫びに抱きしめてあげる!……あら、どうして逃げるのかしら?』

 

「当たり前だろこの抱きつき魔!」

 

クネクネした動きで近づくポロロッチョからkeyは全力で距離をとる。

 

そして、keyのその反応に過剰に興味を示した者が1人

 

「待って待って!急な公式からの供給!!!そこの褐色ニキネキさん!」

 

『ポロロッチョよ。』

 

「ポロロッチョさん!keyさんといったいナニがあったんですか!もしかしてあんなことやこんなことを……愚腐腐!!!」

 

『あらヤダ。……レディに余計な詮索をしちゃダメよ?』

 

「愚腐ッッッ!(絶命)」

 

『ちょっ、おまっ、カフカァ!!!』

 

カフカが鼻血を噴いて倒れた。グスタフはカフカが自身に近寄っていたわけではなかったので、まさか倒れるとは思っていなかったらしく焦った様子でカフカに駆け寄っていた。

 

「グスくん……私、あの人にならグスくんをお嫁に出せるよ……」

 

『おいしっかりしろ、俺は嫁にはいかん。』

 

『あら?』

 

倒れているカフカを覗き込みながらグスタフがそう言うと、グスタフの後ろからポロロッチョの声がした。

背後から這い寄る混沌にグスタフはビクゥッ!と背筋を震わせてすごい勢いで振り返った。背後を取られることが恐ろしいと感じたからだろうか。

 

『チェリーパイ、いい筋肉してるじゃない……!』

 

つつつ……とポロロッチョがグスタフの腹筋を人差し指でなぞる。グスタフは感じたことの無い形容しがたい気持ち悪さに思わず背筋を震わせた。

 

『誰だお前!』

 

『あらヤダ、さっきワテクシが名乗ったのを聞いてなかったのかしら?人の話を聞かないなんてバットなチェリーパイね。』

 

『聞いている!お前はポロロッチョだ!俺が聞きたいのはなんのつもりでこんなことをしているのかだ!』

 

『あら?可愛い子を見つけたら、捕まえちゃいたくならない?』

 

しれっとポロロッチョは言う。優しい語気とは裏腹に、目だけは爛々と肉食獣のように輝いていた。keyはまたも貞操の危機を感じて怯えた。

 

『ならん!』

 

『ンフフフフ!ツンデレもいいわよォ……!心の奥から湧き上がる……これが……愛ッッッ!!!』

 

『そうか……絶望はここにあったのか。』

 

クネクネするポロロッチョと満足気な表情で鼻血を噴きながらビクンビクン痙攣しているカフカを見て、グスタフが諦めたようにそう言った。ちなみにカフカはカロネに膝枕で介抱されている。

 

「あーもうめちゃくちゃだよ。」

 

「あはは〜…………」

 

《これを捨ててもすぐに戻ってくるってどんな呪いですか……》

 

これには管理者たちも呆れ顔だった。

収集がつかないと判断したのか、キィがポロロッチョの説得を試みる。

 

《ポロロッチョ様、お話がございます。》

 

『あら?誰がワテクシに話しかけたのかしら?』

 

ポロロッチョは声の主を探してキョロキョロと辺りを見渡す。ポロロッチョ以外はその声が実体を持たないキィの声だということを理解しているため、声の主が自分であることを否定する。

 

《私が話しかけました。お話なのですが──》

 

『あらヤダ!世界がワテクシに何か言ってるわ!!!キュンキュンしちゃう!』

 

《すみませんマスター、詰みました。》

 

ポロロッチョは想像以上に話を聞かなかった。今までのポロロッチョの奇行を見ているからか、キィはポロロッチョとの対話を即座に諦めた。

嬉しそうに腰をクネクネするポロロッチョを、管理者たちは半ば諦めの目で見ていた。

 

けれど、対話を諦める訳にはいかない。侵入者を目的も聞かずに野放しにしておくわけにはいかないし、こんなのを野に放てば大混乱を招くのは目に見えている。

 

だからロードは諦めず、ポロロッチョとの対話を試みる。

 

「なぁ、ポロロッチョ、」

 

『キスしたいの?良いわよ目を閉じて……あら?』

 

「おい」

 

話を聞かないポロロッチョに、波羅渡がついにキレた。

めぐめぐに借りたのであろうガトりんをポロロッチョの顎に突きつける。

 

「さっきから黙って聞いてりゃボスの話聞かねぇわ、周りに手当たり次第にちょっかい出すわ、てめぇは黙って話も聞けねぇのか?」

 

『あらあら、ずいぶんと過激なチェリーパイね。ジェントルマンは慌てないものよ?』

 

対するポロロッチョは顔色ひとつ変えず、今までと同じように茶化すような言動で波羅渡に話しかけた。

 

「うるせぇ、このまま話が進まねぇんならここで俺がぶっ殺すぞクソアマ?」

 

『まぁ汚い言葉!外面は内面の一番外側と言うけれど、内面の美しさは言動にも現れるのよ?』

 

「知るか。お前の周りを無視した言動がウツクシサってんなら、んなもん俺がぶっ壊してやる。」

 

『まぁいいわ。ワテクシは世界に愛と美を伝えに来たの。まずはアナタからグッドなチェリーパイにしてあげるわ。』

 

一触即発な雰囲気が形成され、波羅渡の指がトリガーガードから引き金に移った瞬間、

 

「やめろ。」

 

「あてっ!」

 

『あんっ!』

 

ロードがいつの間にか二人の間に入り、両者の頭にゲンコツを落とす。

二人とも殴られることに慣れているのか、かなりいい音が響いたにも関わらず反応は薄かった。

 

「どうしてですか?」

 

波羅渡がロードにそう訊ねた。3年の間に彼も相応に成長したらしく、前までのように怒鳴り返すように理由を聞く事がなくなっている。

 

ポロロッチョも直接聞くことはないものの、なぜ止めたのかと目が語っていた。

 

「当たり前だ。ここはアリーナじゃねぇし、とりあえず話を聞いてみたいからな。」

 

「ですか、彼女は侵入者です。何が目的か分かったもんじゃないですよ?」

 

波羅渡がもっともなことを言う。ポロロッチョはやっと空気を読んで黙ることを覚えたらしい。

 

「それなら、最初に俺たちの前に現れた時、わざわざファイアウォールの警備を任せろ、なんて言わねぇだろ。」

 

「……………………」

 

波羅渡は黙って何かを考え始める。答えを待つだけでなく、自発的に考えようという姿勢が見られることも彼の成長のひとつだった。

 

「それに、害するのが目的なら不意打ち闇討ちなんでもありだ。わざわざ声掛けてくるか?ねぇだろ。だったら、何か目的のために聞きたいこと、もしくはやりたいことがあったってことだろ。」

 

「そう……ですね。少し熱くなりすぎました。ポロロッチョさん、申し訳ありません。」

 

『いいえ、ワテクシも可愛い子がたくさんいてテンションが上がってしまっていたわ。ごめんなさい。』

 

両者共に互いの非を認めて謝罪をする。その様子を見たキィは思わず息を呑んだ。自分が詰ませてしまった盤面を、【孤独者達の宴(ロンリネス)】の立ち上げメンバー(三人)は建て直したのだ。

 

《私は……まだ、あの人たちには敵いませんね。》

 

キィは少しだけ寂しそうにそう呟いた。

そしてそれは、誰にも届くことはなかった。




皆さんお久しぶりです、乱数調整です。
今回もポロロッチョ回なのですが、前回がアニメ風仕立てだったのを利用して、フィクションに対するノンフィクション的な立ち位置のお話に仕上げてみました!

いやもうほんと……ポロさんのネタ力が強すぎてキャラが勝手に動くわ作者にも止められないわ、物語の収集がつかないわで……正直ドっと疲れました。
まさか波羅ちゃんが上手いこと収めてくれるなんて……そんなこと誰が予想出来たでしょうか?少なくとも私は想像すら出来ませんでした。
しょうがないよね、話の大枠だけ決めて脊髄反射で書いてるような小説だもんね。

……ぶっちゃけ、ポロさん回だけ7話構成とかの大長編になりそうな香りが漂って来ています……なにそれこわい。

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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