ロリ#コンパス   作:乱数調整

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劇場版ポロロッチョ:2丁目の朝日

「そんじゃ、とりあえずコイツ(ポロロッチョ)との会話が成立するようになったし、改めて現状の説明をするぞ。」

 

ポロロッチョを黙らせてからロードがその場を仕切り直す。

意外なことにポロロッチョも波羅渡も黙ってロードの話を聞いていた。

 

「現状、ファイアウォールの3番壁が破損。ポロロッチョがいるなら友好的にと思ったが、こっちに来たから対処を【神に届く白軍(ナイト・オブ・ナイツ)】に任せてある。ただ……」

 

少しだけ言い淀んでロードが続ける。

 

「結構#コンパスが有名になったらしくてな?結構攻撃してくる人数が増えてるんだよ。それに、3番壁が崩れたことの影響で他のセキュリティも脆弱になってる。だから【神に届く白軍(ナイト・オブ・ナイツ)】もかなり押されてるらしい。」

 

そこまで聞いて、率直な疑問をkeyがぶつける。

 

「他のギルドの派遣は?」

 

「【半端者たちの茶会(セカンドオピニオン)】とカードキャラ……【銀河防衛ロボ】とか【ぶれどら】を派遣したが、戦線が拡大してるらしくていい話は聞かない。討ち漏らして侵入してきた奴らは情報を持ち帰られる前にきららとゆららが闇討ちしてるから大事にはなってないがな。みみみの補足能力が優秀で助かるよ。」

 

「まぁ……ギリギリって感じか。」

 

「それで結局、私たちは何をすれば?」

 

現状は分かったが話が見えてこないとカフカが苦言を呈する。

その様子を見たロードは回りくどい説明は止めて要求だけを伝えた。

 

「今から俺たちは2班に別れる。ファイアウォールで戦う組とファイアウォールを修繕する組だ。今のところ、ファイアウォールの修繕はドクがやってるが間に合ってない。楼閣とカロネ、一応カフカも修繕班としてドクの援護をしてくれ。」

 

「それじゃ、詳しい話はドクくんのところで。2人とも早めに行くよ。」

 

「了解……しました……!」

 

「わっかりました!」

 

3人がドクの元へ行ったことを確認してから、ロードは残ったメンバーに告げる。

 

「残りは外部からの攻撃を叩き潰す。三バカは前線の交代。お前らなら3人でも抑えられる。波羅は好きに暴れろ?」

 

「合点。」

「了解。」

「任せて。」

 

「Sir.Yes,sir!絶望の始まりだ!」

 

いくつものギルドを少人数で沈めてきた【明色に染まる空(daydream)】の三バカを信頼して、ロードは前線の交代を躊躇なく頼む。3人は珍しく真面目な顔をして頷いた。

 

そんな3人とは対照的に、波羅渡は欲望まみれの享楽的な笑顔を浮かべる。どうやら環境が変わろうと彼の快楽主義に変化はないらしい。

 

楼閣たちに引き続き三バカと波羅渡が去っていった後、ポロロッチョは特に何も言われなかったことに首を傾げる。

一応、作戦に引き入れるという話だったはずなのに、どうして自分には何も言わないのかとロードを不思議そうな目で見つめていた。

 

ロードもその視線には気づいていたらしく、彼はポロロッチョに告げた。

 

「お前は俺と2人行動だ。」

 

『分かったわ!奥手なのもいいけど……人払いをするにはちょっと強引すぎないかしら?』

 

「…………は?」

 

『いいのよ分かってる。安心して目を閉じて……』

 

ポロロッチョがロードの言葉を明後日の方向に解釈し、混乱するロードに襲いかかった。

耽美な指先がロードの頬を滑り、黄金の視線がロードの瞳に降り注ぐ。優雅さを帯びた熱狂が二人の間を支配する。行き場なく手持ち無沙汰になっているポロロッチョの片腕がロードの臀部に忍び寄っていた。

 

「バッカ……!お前やめろ!離せ離せ離せ!離せば分かる!」

 

『全身全霊で愛してあげる!!!』

 

「いい加減にしろ!!!」

 

ロードが怪異としての全力をもって、ポロロッチョの股間を蹴りあげる。だがポロロッチョも負けてはいない。幾度となく同じことがあったであろうと推測できる洗練された動作でその蹴りを受け止めた。

 

ただ、受け止め方がまずかった。ロードの頬にあてがっていた手を蹴りの対処に使ったため、ロードの両側に自由空間が生まれる。

 

その空間をロードは見逃さない。すぐさま悪魔のモヤで身体を支え、左脚で全力の蹴りを繰り出す。

こちらもポロロッチョにガードされたが、蹴りの勢いを推進力に変化させ、ロードはポロロッチョから距離を取ることに成功していた。

 

「お前はまず人の話聞けよ!さっきも同じことやっただろうが!」

 

『ごめんごめん♡可愛い子は食べちゃいたくなるのよ♡』

 

悪びれず言い放つポロロッチョを見て、ロードは目頭を押さえながら渋い顔をしていた。

 

「TPO。俺の好きな言葉だ覚えとけ。」

 

『Tとてつもなく

 Pパーフェクトな

 Oおっぱい?』

 

「時・場所・場合だ馬鹿野郎!」

 

ロードがポロロッチョに怒鳴るが、ポロロッチョはクネクネと身体をくねらせながら華麗にスルーしている。

 

「ったく……俺たちは破損したファイアウォールの外側、露払いの役割をやる。お前の戦力を見るのと、この不毛なやり取りを終えるための準備だ。」

 

まぁお前は好きに暴れてりゃそれでいい、とだけロードは言い放つと、唐突にポロロッチョの視界がブレた。

 

『あっふん!』

 

驚くほど軽い悲鳴を上げてポロロッチョは尻もちをつく。

送られた先は数え切れないほどの何かがいるよく分からない場所。

 

その何かは声を発することなくポロロッチョが破壊した壁の割れ目に向かって殺到する。

そんな何かを見てポロロッチョは悟った。

 

『あぁ、これがチェリーパイの言っていた、バットなチェリーパイなのね……』

 

悲しげな表情で溢れた涙を拭いさり、ポロロッチョは自分の腰に手を当てる。

 

『だったら、アテクシが世界に愛と美を伝えに行きましょう!ジョバンニ卿!準備はいいかしら?』

 

腰に下げていた伸縮式の携帯ポール──ジョバンニを最大限に伸ばしてバットなチェリーパイたちと対峙する。

 

『美しさに目が潰れないように気をつけなさい!

 ヘイカモーン!チェリーパァァァァァァイ!!!』

 

バットなチェリーパイたちに単身挑むポロロッチョを確認すると、管理者たちは自らのやるべきことを始める。

 

「ふぅ……とりあえずなんとかはなりそうか。キィ、例のは?」

 

《修復パッチは完成済みです。内部の敵の排除が終わり次第適用します。攻撃用ウイルスはまだです。》

 

ロードとキィがファイアウォールの上で緊張感なく雑談をしている。

とはいえ2人とも何もしてないわけではなく、キィは修復のためのプログラムを組み、ロードは敵のウイルスをインフェルノ・シュリーカーを使い支配権を奪い取るなど、きちんと成すべきことを成しながら雑談に興じていた。

 

「……珍しいな、お前なら攻撃用ウイルスの方を先に作ると思ってたんだけどな?」

 

《元々はそうしていたのですが、面白そうなことを思いついてしまったので。》

 

「お前が楽しそうで何よりだよ。」

 

ロードは半ば呆れながらもキィの好きなようにやらせる方針を分かりにくく伝える。

キィにはその意図が正しく伝わったのか、《では。》とだけ残して押し黙った。

 

「さて……そんじゃ、お手並み拝見といきますか。」

 

ロードの意識は再びポロロッチョの方へと戻る。

 

『ワン・トゥ・オラアアアアアアア!!!』

 

視線の先のポロロッチョは、優雅なポーズと耽美な表情で野太い声をあげていた。臀部を突き出す妖艶なポーズと相まって、敵がかなり引いているのがロードの位置からでも面白いように分かる。

 

『いいわよ。いつだってクレバーに抱いてア・ゲ・ル♡』

 

「うわ……」

 

ロードがかなりガチトーンで小さくつぶやく。恐らく表に出す気はなかったドン引きの様子など気にする事はなくポロロッチョは暴れ回った。

 

『カモンカモンカモンカモーン!突いて突いて突いて突いてー!!!』

 

ポロロッチョはジョバンニを地面に突き立てると腕の筋力だけで身体を持ち上げ、周囲の敵に連続蹴りをお見舞いする。

花畑を走るような小粋なステップとは裏腹に、敵を踏み潰すように力強い足技に敵は次々なぎ倒されていく。

 

『踊りの衝動が、抑えきれなーい!!!』

 

《うわ……》

 

頬を赤らめ熱っぽい視線を撒き散らしながらポロロッチョは叫び散らす。

そんなポロロッチョをキィがロードとよく似た冷めた目で見つめていた。

 

『それにしても数が多いわね……』

 

ポロロッチョはそう言うと蕩けた目で辺りを見渡した。

 

『それじゃあアテクシのとっておき、ラブラブハリケーンをくらいなさい!』

 

ジョバンニを地面に突き立て、それに絡みつくように身体をくねらせたポロロッチョはなんの意味もない投げキッスとウィンクをバットなチェリーパイたちに向ける。

その瞬間、ジョバンニを中心として極彩色の円形陣が広がっていく。

 

『ホラホラホラホラ!イッておしまいなさい!!!』

 

極彩色の円形陣に触れたバットなチェリーパイたちは、次々泡を吹いて倒れていく。無言の観客たちに熱烈な演舞を見せたポロロッチョは濡れた瞳で聴衆を見つめていた。

 

けれど、それも長くは続かない。

 

『アラ?ちょっとちょっと!どこ行くのよ!』

 

先程までポロロッチョに悪質なつきまといをしていたバットなチェリーパイ達が一斉に帰っていく。まるで「自分、目的は終えたんで……」と言いたげな背中を見せて回れ右していくのだ。

 

『なんなのよもう……』

 

「おっ、終わりか。キィのやつ、相変わらず仕事がはえぇな。」

 

困惑するポロロッチョの隣りにストンとロードが降り立った。彼もやることが無くなったのか、悪魔の権能を使っている様子はない。

 

『チェリーパァイ!何か知ってるの?』

 

「だから抱きつくな油断も隙もない!俺は知らんけど、まぁその辺は説明してもらおうぜ。」

 

《では、少しだけ説明をしましょうか。》

 

ロードのその言葉を待っていたのか、言い終わるや否やキィが説明を始めた。

 

《今回攻めてきたのは、まぁ電脳世界なので当たり前ですがハッカー達です。情報ファイルに偽装させたウイルスソフトを持たせたため、プログラムの完遂が確認されたのでしょう。》

 

「ほぉん?んで、そのウイルスソフトってのは?お前いろいろやってたらしいじゃん?」

 

ロードの呼びかけを受けたキィだったが、彼女は何も答えない。

その沈黙は《どう言えばいいのか分からない》とも《言ってしまっていいものか分からない》とも受け取れる。

 

「あー……まぁいいや。お前がお茶を濁すってことは後で分かる時が来るんだろ?」

 

《……えぇ、まぁ。》

 

妙に歯切れが悪いキィの言葉に納得したのか、ロードはひとまず追求をやめる。

ポロロッチョもポロロッチョで『2人のふかーい愛を邪魔しちゃ悪いわよね……』と潤んだ瞳でロードを見つめていた。

 

「んじゃま、とりあえず戻ろうぜ?こっからもお前(ポロロッチョ)の立ち位置決めたり対応したりでクッソ忙しいんだろうけど……」

 

《楼閣様に一任されては?いつものように。》

 

「そろそろ過労死するぞ、アイツ。」

 

愛情深い2人と愛の伝道師は#コンパスのシステム内部に舞い戻る。

楼閣の悲鳴が聞こえてくるまであと数分。

 

────────────────────────

 

「っしゃあ!#コンパスの内部情報ゲットォ!」

 

パソコンの前で喜ぶ男が一人。

ごちゃごちゃと配線や飲食物が雑多に並べられたテーブルはお世辞にも清潔とは言えず、彼の顔はもう何日剃っていないのかというくらい髭が伸び放題だ。

 

「プログラムが強固でもう何日も張り付きっぱなしだけど、話題の#コンパスの内部情報を手に入れたとなりゃそれも必要経費ってもんだ。」

 

彼はかなりアングラな活動をしているハッカーだった。

つい先日、#コンパスの【神に届く白軍(ナイト・オブ・ナイツ)】に自分のオークションサイトを潰され、これまで通りの活動が出来なくなったハッカーの一人。

 

#コンパスの内部情報を手に入れて#コンパスシステムを破壊、あるいは#コンパスシステムの一部である【世界システム】の監視網をすり抜ける方法を手に入れることを目的としている、バットなチェリーパイの1人だった。

 

「よしよし。ならこのファイルを開いて、また俺の箱庭を再建するんだ。1から……いいや、ゼロから!」

 

日本アニメ好きな彼は、この後の輝かしい未来を見つめてファイルを開く。

 

それが全ての間違いだった。

 

=====================

オープニング〜チェリーパイの歌〜

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

みんな大っ好きっ♡ チェリーパイ♪(チェリーパァァイ!)

 

テカテカ真っ赤に サクサクこぼれて

ヨダレもジュルジュル さあ一緒にかぶりつこう!

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

 

出来立て焼きたて チェリーパ〜イ♪(チェリーパァァイ!)

 

ガツガツ仕込んで ジュージュー焼きつつ

お腹はグーグー さあ一口で飲み込もう!

 

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

チェリーパイ♪ チェリーパイ♪

 

みんな大っ好きっ♡ チェリーパイ♪(チェリーパァァイ!)

 

これは、悠久の時を巡る少女の物語……

 

『オルケーシス!そっちに逃げたわよ!』

 

【分かったワ!エレンホス!アティシと一緒に追い詰めるわよ!】

 

【援護するわっ!あの人の手がかりが掴めそうだものっ!!】

 

ある1人の伝説の美を求め、少女は旅をする。

 

『逃さないわよぉ!!!』

 

願わくば、少女にあの日の誓いを……

 

オリジナルアニメ

〜あの人の背中を追いかけて〜

毎週火曜25:30〜 桜桃菓子TVにて放送中!

 

『あの人に答えを伝えるまで……死ねないッッッ!!!』

 

 

 

『チェリーパァァァァァァァァァァァァァァァイ!!!

 

『テレビの前のグッドなチェリーパイ♡恋……してるかしら?

 

『あぁん、もう、恥じることはないわ。そういう時だってあるわよ。

 

『で、も♡

 

『できるなら好きな人と距離、縮めたくなぁい?

 

『そういう時はこれ!ヴィーナス印のチェリーパイ!

チェリーパァァァァァァァァァァァァァァイ!!!(効果音)

 

『これを気になる人と一緒に食べれば、近づく2人の距離……頬にクリーム……そして……ウフフフフフ!!!

 

『ヴィーナス印のチェリーパイ、2021年9月1日より発売開始よっ!

 

『あなたたちの恋、応援するわ♡』

 

\チェリーパァァァァァァイ/

 

キスしたいの……?いいわよ目を閉じて!

アナタを愛して離さない麗しのラブトラップ発動!

さぁさぁさぁさぁチェリーパァァァイ!

 

==========================

 

画面いっぱいに金髪碧眼の褐色ニキネキがクネクネしながら何かを喚き散らす映像が爆音で再生される。

 

ループ映像は消すことが出来ず、PC内のファイルは次々と別のものに上書きされていく。

 

「ちょっ、ちょっと待ってください!待って!助けて!待ってください!お願いします!ア"ア"ア"ア"ア"!!」

 

【pororottyo:sexyaventure.exe】や【pororottyo:serviceshot.exe】という謎の動画ファイルに塗り替えられていく自作プログラムたちを見て、バットなチェリーパイは狂ったように叫び散らす。

 

だが、腐っても彼はハッカーだ。

 

「ぢぐじょう!復旧だ!プログラムなんて必要ねぇ!へへへへっ旧式プログラムなんてもう用はねぇ!」

 

彼はすぐさまPCに向き直り、復旧を試みる。

自らのプログラミングの腕と#コンパスの迎撃システムのどちらが上かをはっきりさせてやるんだと彼は意気込んだ。

 

「コマンドボードだって必要ねぇや。へへへへっ、誰がてめぇなんか。てめぇなんか怖かねぇ!」

 

『いい子はこうやって捕まえるのよ。』

 

筋骨隆々な褐色の腕に抱かれるまでは。

 

その腕の持ち主は金髪碧眼で、華美だが瀟洒な衣服を身にまとっていて、

 

今まさにPCに表示されているウイルスソフトの動画に映っている彼女だった。

 

「なっ……あっ……あぁぁ……あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

『何よ、ケダモノのような目をしちゃって……でも大丈夫よ。ワテクシはどんな子でも全身全霊で愛してあげる!!!』

 

その日、彼は「日本に行く。本当の自分が何か分かったの。」とだけ書き置きを残した。

 

それ以来、彼の姿を見たものはいないという。




お久しぶりです。乱数調整です。
……いや、本当にお久しぶりです。約1年半ぶりですね。言い訳のしようもありません……
創作自体はpixivで1話2万字のやつやらエッセイやらガシガシやっていたのですが、これだけ異常に止まっていました。
一応言い訳をするのであれば、全部ポロさんのせいです。彼女のネタ力が強すぎます。1回マジで2万字行きましたからね……ネタだけで。
もう乱数の脳内で
「ポロさん止まって!書いてる私も着いていけてないから!」
『ワテクシのパッションは止められないっわ!!!』
「いいから止まってって!字数ヤバいの!」
『チェリーパァァァァァァイ!!!』
というやり取りが行われていました。
それに加えて今回は普通の試合形態じゃなく vsコンピウイルスで、相手役が何も喋らないので掛け合いがなく書きにくいのなんのって……
というわけで1年放置しました。本当にごめんなさい。
お詫びに楼×カロの小説を置いておきます。息抜きに書いたやつです。
とりあえず、やっとポロさん回が終わってくれた……

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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