「コクリコにぃ…さぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅなぁあぁああああああぁああああああ!!」
リス地から絶叫が迸った。
その発生源は
なぜ一人と数えないのか、その理由は彼の姿にあった。
まずは目。
瞳孔が収縮しきった眼をしていて、そこから赤いスパークが今にも発生しそうな雰囲気をしている。
さらに目の下にはどこかの国の民族よろしく二条の赤い線が流れていた。
次に口元。
犬歯が異常なほど長く鋭い。
唇を噛みきったかのように血が滲んでおり、固く閉ざされている。
そして、全身。
何やらもやもやとした黒い闇を纏っている。その闇は暗く、昏い。まるで彼自身が影になったようであった。
辺りにセナの姿はない。しかし時折纏っている闇がぶるりと震えることからその闇がセナなのだろうと分かる。
そう、これこそが、この姿こそが彼のヒーロースキル
【
コクリコが攫われた時コクリコを取り戻すまで移動速度3倍、攻撃力2.5倍、防御倍率が3倍、ノックバック完全耐性、持続回復状態(15%/秒)付与、通常攻撃5発でダメカ破壊、HA使用不可になる。
それはどうしようもないほどに【
【
そしてそれは、
戦場に舞い降り、雄叫びを上げる。
「返せ!戻せ!!コクリコはどこだァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
瞬間、動き出す。
その速さはさすがスプリンターと言ったところだろうか━ダッシュは使えないにしても━三倍に引き上げられた速さは脅威であった。
「何…だい、アレは…?」
「アレが…ボス…?」
楼閣と波羅の表情が驚愕に彩られる。
無理もない、彼が今見せている姿は普段楼閣に見せる飄々とした態度でも、波羅とのタイマンカスタムで見せたハート○ン軍曹のような厳しい態度でもなかったのだから。
その双眸に浮かぶのは憎悪でも憤怒でもなく、ただただ純粋な殺意。
そうとしか称せない程のどろりとしていて煮詰められたかのような殺意があった。
「なんだよアレ…なんだってんだよ!?」
その頃敵はと言えば、まさに“阿鼻叫喚”といった様だった。
それも当然。無力化したと思った敵がものすごい形相でこちらへ来るのだ。
「知るかよ!!なんだアレ、HSか!?」
「それこそ知るかってんだ!!」
オートロックと女装家が言い争う。しかしそれは
「サァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァティィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンン!!」
影の叫び声で中断させられた。
直接キャッチしたノホタンよりもサーティーンが先なのはひとえに彼が作戦の立案者だからだろうか。
「おい!ロリコンの王はお前をお呼びだぞ!」
「無理に決まってんだろ!俺HP半分ないんだぞ!?あんなのどうやって相手にしろって言うんだよ!?」
「じゃあスキル使ってから全天張れよ!!時間稼げ!そしたら俺がどうにかしてやるから!」
「クソっ!わぁったよ!!やってやるよ!ジャンヌのスキル、もう使えるか!?」
「ちょっと待って…うん、お願いね精霊ちゃん。死を退けるよ!!」
【祝福の福音】
ジャンヌ・ダルクの契約精霊を呼び出して祝福を受ける。チームメイト一人につき1度だけその場で復活する。
「よし、じゃあジャンヌ、コクリコを頼んだ。この子さえ抑えとけばロリコンの王はカード使えないからゴリ押し出来る。」
『は、はい!かしこまりました。』
『よろしくね。』
ノホタンがジャンヌにコクリコを渡す。するとコクリコは不思議そうに尋ねた。
『お姉ちゃん行っちゃうの?』
その言葉を受けてノホタンが振り返る。そしてコクリコに目線を合わせて言った。
『うん、お姉ちゃんはあの人を止めないといけないから。それに…』
『それに?』
『一度決めたことは最後までやり通さないと、ね?』
そう言ってノホタンはふわりと笑った。これが彼女の素なのか、使い手と少しだけではあるが性格が入れ替わっているせいなのかは分からない。
けれど彼女は確かに笑ったのだった。
『うん!分かった!お姉ちゃんがんばってね!』
それを受けてジャンヌが耐え難いかのような表情をする。
やがて耐えかねたのか尋ねる。
『コクリコットさんは…あの人が…怖く、ないのですか?』
『うん!コクリコがね、あぶなくなったらね、お兄ちゃんがぜったいなんとかしてくれるんだぁ~♪』
朗らかにコクリコは言う。
対してジャンヌの声は暗く、重い。
『ですが…お兄さんは…』
『うん…今はどこかに行っちゃってるの…でもねでもね!コクリコがあぶなくなったらね、お兄ちゃんはいつでもコクリコを助けてくれるの~!』
ジャンヌは【あの人】をロリコンの王として話していたが、コクリコは気づいていないらしい。
『あ、あの…』
「来たぞ!警戒態勢!!二丁拳銃ってリロードどうすんだ?」
ジャンヌがその事を教えようとしたが、どうやら時間切れらしい。ジャンヌはそのまま口を閉じる。ニコニコと疑いなく笑うコクリコを抱えて。
「ぅぅぅぅうァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
スキルが終わった瞬間を見計らい、影がオートロックに殴りかかった。
『まだ頑張れるよな?な?(圧力)』
だがそれはスレスレで発動した【全天首都防壁】に阻まれる。
ギャリギャリと音を立てながら防壁と拳がぶつかり、心做しか火花が散っているようにも思える。
それを見てオートロックは安堵の表情を見せた。
「サーティーン!助かった!これで迎撃を…」
「ァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
しかし、いや、やはりと言うべきなのだろうか、それも一瞬のこと。
影は止まらず攻撃をする。
それを受けてオートロックは間近で憎悪を煮詰めたような顔をした影に放たれた攻撃に一瞬怯んでしまった。
それが窮地を招くとも知らずに。
すぐに気持ちを立て直そうとするが、
「ァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
3発目。ピシリと音を立てて【全天】にヒビが入った。
オートロックに再び氷塊を背中に入れられたかのような怖気が走る。
影は止まらない。
「っるァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
4発目。【全天】に蜘蛛の巣状の亀裂が入る。
「サーティーン!【フルーク】を…!」
オートロックが叫ぶがもう遅い。
「死に晒せェェェェェェェェェェェェェェェェ!!」
5発目。振り上げられた脚が【全天】を破壊しオートロックを宙に舞い上げる。
オートロックの体力ゲージは3分の1程が減っていた。
3分の1程度で済んだのはひとえにその攻撃が【カノーネ】によるものではなく通常攻撃であったことが原因だろう。
それでも通常攻撃一発で3分の1削るのは十分すぎるほどに脅威だが。
『大将!』
「大丈夫だ、問題ない。これで少しは距離取れてりゃ…!?」
オートロックの顔が驚愕に染まる。
なぜかって、視界の端に影が映ったからだ。
それは比喩でもなんでもなく、本当にただの影だった。
なぜその影がここにいるのか。それはなんの捻りもなく、ただ
波羅が自身で証明したことを使い、影は跳んでオートロックを追いかけただけだった。
「くたばれ蛆虫がァ!!」
そして影は空中で一回転し踵落としを決める。
「時間稼ぎご苦労ォ!遊ぼうぜ…」
【テレパス】を使い、女装家が飛んでくる。
が、しかし
「どっか行けコバエが!!」
影はチェーンソーの刃を掴み女装家をたたき落とす。
さらに女装家が落ちた先にいたのは立ち上がったばかりのオートロック。もちろんオートロックは押しつぶされて再び潰れる。
女装家のHPは5分の2程が削られた。
「すまねぇ!」
「気にするな!着地まで時間があるはずだからジャンヌに回復を…」
すぐに声を掛け合った2人だがすぐに絶句する。
その原因は彼らの頭上にあった。
影が空中に
否、それは立っていたのではない。自らの影を足場に飛び出す準備をしていたに過ぎなかった。
そして影は、足場を蹴った。
「ぐげっ!?」「こういうのってありィ?」
着地は寸分違わず倒れていた二人を踏み潰す。
結果としてオートロックは倒れ、女装家は5分の1程の体力を残していた。
「外すとつかれんだけど本気ださねぇとな…ぅぅぅぅァァァァァァァァあぁああああああああ!!」
【ビハインド・ザ・グライス】
危ないお薬でドーピング。動体視力、筋力、テンションが大幅にupし、感覚が鋭敏になる。そのためメガネを外す。ノホタンと違い危ないお薬を使っているので副作用あり。
数秒の無敵時間の間も影は女装家に攻撃を続ける。それによってオートロックが復活する時間が生まれる。
「スキだらけだ!!考えんな、感じるんだ!」
女装家のHSによる無敵時間が終わる頃にオートロックが【フルーク】を放つ。前回切ろうとした時に切れていなかったのがここで効いてきた。
が、それも、
「………アァ?てめぇまた殺されてぇのか?」
影を吹き飛ばさずに、どころか片手で受け止められる。
表示されたダメージは16。カードも何も使っていないのに、だ。
「だったらてめぇから…」
「省みる返り血最高…!」
女装家が【メカ反】を使う。今度はゴリゴリと影の体力が減っていく。
「よし!コケたら【オルレン】を…」
ゴッ!!と凄まじい音が鳴る。
音の発生源はただ一つ、影だ。
影は驚くことに片足を地面に思いきり叩きつけ、そこにめり込ませていた。
すると思われていたノックバックはそれにより防がれる。
「なっ……!?」
驚くところはそこだけではない。
【メカ反】によって減っていたHPがみるみるうちに回復していくのだ。そしてそれは5秒もしないうちに全快する。
影は止まらず猛る。
「死ね。死ね死ね死ね死ね死ね死ねェェェェェェ!!皆みんなミンナ死ねぇ!!」
女装家に影が最後の一撃を放つ。それで女装家のHPは全損する。
すぐにその場で復活するが望みは薄いだろう。
「こっち見ろ!消えちまいなぁ!!」
そこはさすがと言うべきかオートロックが【アバカン】でカバーする。
ただの時間稼ぎにしかならないだろうがないよりはマシだと考えたのだろうか。
だがそれも、影には届かない。
「………………ハッ!!」
ムーンサルトの要領で空中に跳ぶ。
急な出来事で視認が間に合ってないようでオートロックは見当違いのところに【アバカン】を打ち出す。
ムーンサルトの要領で空中に跳んだのだ。当たり前だが着地する。
「…はっ!?うげっ!!」
「退いてろよクソムシがっ!!」
「なっ…!?」
オートロックが踏み潰され、間髪入れずに蹴り上げられる。
「遠くからでも斬れんだよ!!」
「うぉぉおおおあぁ!!」
女装家が背後から【レオン】を放つが影はそれをノックバックのタイミングで打ち払う。
ダメージはしっかり入るがそれもすぐに回復する。
「なっ!?こんなのどうやって…!」
「ウラァ!!飛んでけやァ!!」
影は殴る。それだけで先程と同じように女装家のHPの5分の2程が削られた。からの回し蹴り。女装家は宙を地面と水平に飛んでいく。そしてその先にはオートロック。
「ァァァァァあぁああああああああ!!」
それを追いかけて影が水平に跳ぶ。純粋にただの脚力だけで。
「あの子がいねぇならこんな世界いらねぇんだよ!!俺は、俺はァァァァァあぁああああああああ!!」
そう言うと彼はオートロックと女装家の頭を掴み、地面に叩きつけた。
「はは、こんなのどうやって勝てってんだよ?」
「クッソ痛てぇ…」
オートロックも女装家も、それだけでかろうじて保っていたHPを全損させて粒子となって消える。
「ぅぅぅぅぅぅゥゥゥゥゥぅぅうううァァァァァあぁああああああああ!!」
影が吠えた。
何かを憎むように、祈るように。
その声に、威圧感は微塵もなかった。
(天の声)乱数、何か言うことは?
ごめんなさい…
あの…あのですね?iPhoneのメモに普段書いてるんですよ。データ通信使わないし常時自動保存ですし。
で、ですね?どのくらい書いてるのか分からなくなるじゃないですか?なのでラス前でコピペしてみたんですよね?そしたらなんか8000字超えてました…
そこまで1話を長くしたくはないので今回切りました……5000字位で…ここで話半分と言う恐怖…私怖い…次の話もまた増えないか怖い…
なんか「3000字位にしてもいい?」って聞いた記憶のある身にしてみれば耳が痛い話です…本当にごめんなさい…
ってか私このボリュームの話をよく当初1話に収めようとしてましたね。今から考えれば戦慄です。
では補足をば。
今回【防御倍率が3倍】とありましたが、ロード君の0.25倍の3倍の0.75倍になるのではなく、その倍率が3倍になるというぶっ壊れ仕様です。
あとこの人【スタン】まで無効にしようと考えてやがりました!
い、いや~、舌噛ませてスタン防ごうかと…(笑)
今回あとがきまで長いですね、ごめんなさい。
ではでは、今回はいい加減この辺りで筆を置かせていただきます。