「だからなんで【オルレン】が入ったままなんだよ!!」
「え、だって狩り残し倒すのに──」
「voidollは攻撃が低いからいらねぇの!!」
「で、でもYouTuberさんが──」
「そういう企画!ネタデッキを強いふうに使ってんの!あと上手い人だから出来んの!OK!?」
なんでわかんないかなぁ!コイツは!
「基本はちゃんと教えたろ!?voidollは妨害主体でいくキャラだって!回復とダメカと、スタンで行動不可とかフルカノでプッシュって言ったのに、なんで【オルレン】入れるかなぁ!?」
「だ、だってそれだとキル出来ませんし……」
「ボイドにキルはいらねぇの!アンダスタン!?」
「け、けど、ゲームだった頃、ゼロキルで煽られましたし……」
そういう輩はどこにでもいるんだよォォォオオオオ!!
俺だってヴィオレッタ使っててキルしろって煽られたことあるんだし!
「煽りは負けたらなんでも人のせいにすんの!ゼロデスヴィオレッタが開始からずっと敵二陣を守ってても、あいつらは煽るの!そういう生きもんなの!一個人の意見を基本的な立ち回りより優先してどうする!?」
なんだコイツ?ホントにvoidollが使用率一位か?
まぁ、最近の高校生とかって流されやすいやつが多いらしいしその一人か。
とかいって、俺も高校生なわけだが。
「……まぁ、それで勝てるなら……」
不服そうだがとりあえずは納得したみたいだ。
今は不服そうでも、勝てたら手のひら返すだろ、こういうタイプは。
「あと、【全天】よりも【イェーガー】を私は勧めるね。今のデッキだと、発動速度【無】が【オールレンジ】だけだし、それを変えると発動速度【無】が無くなっちゃうからねぇ。耐久やるなら発動速度【無】のカードはオススメしておくよ。」
「な、なるほど……!」
「それから回復も、あるなら【花火】とかに変えた方がいいかもしれませんね。voidollはアビリティで体力が50%を切ると移動速度が上がるので、ゲーム時代に会ったvoidollは持続回復を採用してる人が多かったです。ダッシュにアビリティがついたらなかなか追いつけないので、ガンナーさえ警戒していればポータルダンスが強いですよ。」
「そうか……アビリティを忘れてました……!」
楼閣と波羅もドクにアドバイスをしてる。
……ってか初心者の波羅にアドバイスもらうってコイツ、マジ大丈夫か?
「なるほど……勉強になります!では早速デッキを組み直して──」
「ちょっと待て。」
俺は部屋に戻ろうとするドクを引き止める。
「は、はい?どうかしましたか?」
「どうかしましたか〜、じゃねぇんだよ。徹夜明けで目の下にクマ抱えたまんまでキョトンとしやがって。そんな顔してるやつを家に置いとけるか。コクリコがめちゃくちゃ怯えてるだろうが。」
さっきからコクリコは俺の脚にしがみついてる。可愛い。
後ろはセナが実体化して囲んでいる。さすが仕事人。
『…………おにいちゃん、このひとだれぇ……?』
「分かるか、ドク?お前、楼閣も波羅も一日で覚えたコクリコに、【誰だ】って言われてるんだぞ?お前は徹夜とか慣れてるから大丈夫かもしんねぇけど、コクリコは今のお前は大丈夫じゃない、ともすればお化けかと思ってるぞ?反省しろ」
コクリコは目に涙を溜めてた。めっちゃうるうるおめめ。あ、いまちょっと零れた。
「し、しかし、勝つためには──」
「そこなんだよ。お前はまず肩肘を張るな。勝つ勝つ勝つってガキじゃないんだから。負ける時は負ける、割り切らねぇとゲームなんて出来ねぇだろ。」
「…………そうですか……」
「そういうもんだ。とりあえずメシ食ってから寝ろ。voidoll、ドクの見張り頼むぞ。殴って昏倒させるのは血が出ないようにやれよ。」
『カシコマリマシタ』
「ん、任せた。じゃ、とりあえずコクリコ、もう大丈夫だから一緒にピザ作ろっか。」
俺のズボンで涙を拭いてるコクリコに話しかける。
泣いちゃダメだと思ってる姿が可愛すぎるだろこの子
『やー!』
「こ、コクリコ……そんなこと言わないで……おいコラドク、お前のせいでコクリコがカンペキに怯えちまったじゃねぇか。どう責任取ってくれる?」
コクリコをなんとかセナと協力しつつなだめすかして、セナがコクリコの恐怖心を喰って、コクリコとピザを作り始める。
うん、セナは
「ねぇ、聞いた?ドクくん。昏倒させるのは血が出なかったらいいんだって。」
「ははは、本当に、ボスは凄いことを言いますね。」
『そういう予想の斜め上をいく存在だからな、あいつは。』
『今の顔、ぜんぜんラブリーじゃないよ!』
《睡眠不足は全体的なパフォーマンスが約55%ほど低下するので推奨しません》
ふとギルメンを見ると、全員がドクにフランクに接している。
いきなり入ってきた認めてないよそ者、って扱いじゃなくて、まぁ一安心か。
コクリコ泣かせた分は後でぶん殴るけど。
「まぁ、何が言いたいかってぇと、無理すんな、できることだけやってろ。できることがねぇならそれを探せってことだな。」
コクリコとピザの具を乗せながら、俺はドクにそう言う。
「そう、ですね。ちょっとだけ、焦っていたかもしれません。少し休ませてもらいます。」
そう言って、ピザを食べたあとドクはすぐに寝た。
起きてからドクは、すぐに別のデッキを持ってきた。
次の日も、その次の日も毎日のようにデッキを持ってくる。
その度に俺と楼閣はそれを修正していた。
凸してないRを入れてくるとか、【アングリフ】と【シャドウ】入れてくるとか、むちゃくちゃしやがるからな、あいつ。
波羅は時々、ドクをカスタムに連れ込んで、立ち回りを教えていた。
「真っ直ぐ突っ込んできてどォすんだ!!接近の前にオレにやられちまってんじゃねぇか!?アァ!?そろそろオレにカードの一枚でも使わせたらどォなんだァ!?」
「持続をそんなギリギリで使ってんじゃねぇよ!発動時間中に狩られるとか何がしたいんだァァァァ!?」
くっそスパルタだったけどな。軍隊か。
「嫌だなぁ、そんなに褒めないで下さいよ。」
褒めてねぇだろ。
「ボスのやり方を参考にしたので!」
え、嘘だろ?
「ボスの
お前、どっちが本音だ?
「え?
…………もういいや。波羅は変なやつってことで一つ。
「酷いですねぇ……褒めてるのに。」
褒められてる気がしないけどな。
ドクはあれからちゃんと夜は寝てるみたいで、コクリコに見せられる顔をいつもしている。
コクリコには『メガネのおにいちゃん』と呼ばれている。
ちなみに楼閣が『おじちゃん』で波羅が『ちっちゃいおにいちゃん』だそうな。
ジャスティスは『おっきいおじちゃん』でめぐめぐが『おねぇちゃん』だ。
「私、まだ二十代なのにおじちゃんだよ……ははは」
と、本人は語っている。
あの日から数週間が経って、やっと敵を倒すことを諦めたドクが、朝一で俺に言ってきた。
「出来ました!これでどうでしょうか!?」
出てきたデッキは、もはや固定となった【イェーガー】に【花火】、それと──
「うん、これならいけるんじゃないかな?」
「えぇ、サポートをしっかりと考えているいいデッキだと思いますよ。ただ、使い所を間違えたり、読み違えたりするのが心配ですが……」
「はい!それは波羅渡さんに教えていただいたので大丈夫です!多分、ですけど。」
「それは上々ですね。」
楼閣と波羅の評価も良い。俺も、とりあえずは悪いところがないかと思う。
じゃあ……
「バトアリで試運転してみるか。波羅と楼閣とドクで行くか?」
その瞬間、ドクが目を輝かせた。何回もデッキを組んではダメ出しされてたから、余計に嬉しいんだろうな。
「いえボス、僕は遠慮しておきます。」
そう思っていると、波羅がそんなセリフ。
バーサーカーの波羅が辞退とか……
「どうした波羅?変なもんでも食ったか?拾い食いはすんなってあんだけ言ったのに……」
「た、食べてませんよ!?……やっぱり、僕が立ち回りを教えたんですし、どのくらいできるようになってるかは客観的にみたいじゃないですか。それに、万一の時、僕じゃカバー出来ませんから。」
波羅がそんな優等生なセリフ。
コイツもコイツでいろいろと考えてるんだよなぁ……
今までが変な方向に行ってただけで、良識は波羅にもあるんだな。
「まぁ、ボスの試合で無様を晒したら、即効で
………………いや、やっぱいつものあまりにもあんまりな波羅だ。
「了解。…………じゃ、そういうことで」
「ん、そうだね。【
「は、はい!よろしくお願いします!!」
ドクの【
今回、量が少ないかな〜って思っていたら、いつも通りくらいの量があって驚いた乱数です。
恐らく、長文が今回多くなっているので縦に短くなっているのが原因かと。
さてさて、ドクのクソデッキがどんなことになっているのか、乞うご期待下さい!
…………先に言っておきますが、時間軸はめぐめぐ実装後(しかしモチーフカードは実装)で止まっているので、今流行りの【ワキンヤン】はありません。
だから、「ワキンヤン以外ありえねぇんだけど、アタマ大丈夫か?」とか言わないでください、本当に……(アンチ湧くほど人気ねぇだろ)
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。