「ぶはぁ!!はぁはぁはぁ……」
ヤバい夢を見た……夢の中の俺は勇者を溺愛してやがった……
……夢だよな?なぁ!?
「そうだ、コクリコ!」
『んんん……』
良かった、ちゃんと腕の中に収まってる……!
やっぱりアレは夢だ。ひでぇ悪夢もあったもんだ……
「コクリコ……良かった……本当に良かった……!」
すやすやと一定のテンポで聞こえてくる寝息に安堵し、しばらく俺はコクリコを抱きしめていた。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「そういえばさ、ロードくんはなんで【ぶれどら】を採用してるの?」
【
「ん?そりゃガードありでもなしでも同じく通るし、打ち上げじゃなくてダウンだから追撃が楽だし、相手に建て直しのヒマを与えねぇだろ?」
ロードは少し誇らしげに楼閣に説明する。
しかし楼閣はこともなげに反論する。そしてそれは、コンパス民の大半が思っていることでもあった。
「いやでも、それなら二枚とも貫通じゃなくて、【オルレン】を【サテキャ】とか近距離の【フルーク】とか大ダメージ系統にして、もう一枚を【カノーネ】とか、ダメカに強くした方が良くない?ほら、【ぶれどら】って決定力に欠けるでしょ?」
「てめぇ楼閣!ぶれどら様を侮辱するか!!」
ロードは激怒した。必ずあの邪智暴虐の楼閣を懲らしめんと思い立ち上がったのだ。
「いや、そんなにキレる所かねぇ!?」
「ぶれどらをバカにするのはいくら楼閣でも許さねぇぞ!」
ガチギレだった。
「なに!?何がロードくんをそこまで動かすの!?え、だってそうじゃない!?【ぶれいずどらごん】決定力に欠けない!?」
「お前は……お前はぶれどら様の素晴らしさが分かってないんだ……っ!」
ロードは犬歯をむき出しにして、楼閣に対する怒りと敵意を隠そうともしていなかった。
何が彼をそこまで突き動かすのだろうか……
「ちょっと波羅ちゃん!ロードくんが壊れたんだけど!!」
「さすがはボスです!カード特性とご自身の戦略を照らし合わせて、それに最適なカードを選ばれるとは……!僕には【ぶれどら】という選択肢からありませんでした……っ!そんな僕に、どうか、どうかご教授を!!」
波羅渡もいつも通りおかしかった。安心と信頼の狂信だ。
「もうやだこの子!波羅ちゃんのロードくんへの信頼おかしくない!?ねぇ!ドクくん!!」
「では僕はシステムにアクセスしてみようかと。ボイちゃん、行こっか?」
スルー、圧倒的スルー。この男、面倒事に巻き込まれてなるものかと言わんばかりに全力で目を逸らし、そそくさと自室に篭ろうと席を立った!
「させないよ!ギルマス権限でリビングの鍵をロック!」
「ボイちゃん!」
『デバックヲシュウセイシマス……ゼンギルドニテギルドマスターケンゲンヲサクジョイタシマシタ』
「ボイちゃん!管理者権限使いこなすなんてズルいよ!!」
楼閣もキレた。自身が面倒事を引き寄せる体質なのは諦めているが、自分一人に押し付けられるのは腹に饐えかねるようだ。
『シカシ、コノママノジョウキョウデハ、ジョセイユーザーガフトウナアツカイヲサレルオソレガアリマシタノデ……』
「あぁ……ならしょうがないか……ボイちゃん、【
楼閣がこっそりとvoidollに耳打ちした。
『ガイドラインニテイショクスルコトハフカノウニセッテイシテイマスガ、ネンニハネンヲイレタイノデス。バグノカノウセイガアルモノヲノコシテハオケマセンノデ……モウシワケアリマセン。』
しかし、やはりと言ったところかその目論見は泡と消えた。
「ならどうやって捕らえようかねぇ……」
楼閣の目が妖しく光った。楼閣の目はマジだった。
『マスターナラモウジシツニモドラレテイマスガ……』
しかし、ドクの逃げ足は早かった。楼閣がギルマス権限を使った時にはすでにドアまでたどり着いていたのだ。
「えぇ!?ドクくん早すぎない!?」
「ろぉぉぉぉぉぉぉぉかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「え!?まって、ロードくん待って!!私だけはおかしくない!?ねぇ、おかしくない!?」
楼閣はロードに引き摺られてどこかへと消えていった。
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「はいっ!第一回【ぶれどら】様を崇める会を始めるぞゴルァ!!」
一同が向かった先はトレーニングルームであった。
ロードはどこからか出てきたホワイトボードを背に伊達眼鏡をかけて教鞭を持ち、楼閣や波羅渡達はその前に正座していた。なぜかジャスティスまでいる。
コクリコとめぐめぐは奥の遊具で遊んでいる。
「ちょっと、ロードくん?キャラ変わってない?」
「うるせぇ。ぶれどら様をバカにするからだ。そこに座れ!」
「いや、座ってるけど。」
「漫才を始めてないで、早く僕にご教授をお願いします、ボス!!」
波羅渡は身を乗り出してそう言う。イヌミミのイヌ尻尾が幻視できそうだった。
「落ち着け。今から始めるから」
そう言ってロードはホワイトボードに絵を描き始めた。
1時間後、ロードは絵を描き終える。
その間、楼閣はギルマス権限の確認やギルド情報の編集をしており、ジャスティスは別の遊具製作をしていた。
波羅渡はもちろん正座で待機していた。
「これがぶれどら様だ。」
「ん?ロードくん、絵ぇ描き終わった?」
『ロード、シーソーができたぞ。めぐめぐとコクリコはもう遊び始めてるが、とりあえず報告だ。』
「凛々しいお姿ですね、ボス!!」
楼閣とジャスティスの対応が酷いものだったが、ロードは気にせずに続ける。
「まずぶれどら様はさっきも言ったように貫通攻撃で打ち上げじゃなくてダウンだ。」
【
「まず一つ目の強みとして、打ち上げじゃなくてダウンだから追撃がしやすい。どこにいるかが一目でわかる上に、いつDAを入れてもいい。打ち上げだと空中でカードを切られたり、目測やDAのタイミングがシビアだ。」
「はい、ボス!!」
そこまで聞いて波羅渡が挙手。
「何かね波羅くん!?」
ロードのテンションはどう考えてもおかしかった。
「アタッカーならDAがないのですが、その場合の強みはなんですか?」
「知らん。俺は
ロードは波羅渡の質問をばっさりと切り捨てた。
「Sir,YES,Sir!!」
波羅渡的にはそれでも良かったらしい。
「でもそれって威力が低いから決定打に欠けるよね?結局はアタッカーとかガンナーを一撃で倒せる【フルーク】とかの方が強いんじゃ──」
「はいバカァァァ!!スプリンターかタンクがスプリンター使ってる時は敵に来るんだよ、バカめ!!高耐久のスプタンに対して打ち上げなんて〈どうぞ回復してください〜〉って言ってるようなもんだろうが、バカめ!!」
ロードが嘲笑混じりにそう言う。
「ってかそもそも楼閣、お前も
「それはジャスくんが得意なのが【連】しかなくて、しかもそれも見切られてダメカ張られたりするからだよ。【連】って、【メカ犯】以外は使い手を結構選ぶと思うよ?」
ロードが楼閣にそう言うが、楼閣は界隈で有名なことをこともなげに返す。
「それに、【貫通攻撃】って言っても【メカ犯】は攻撃力の600%ダメージだからね。全部当てれればたいてい溶けるから火力不足も解消されてるしね。」
楼閣がさらに追い討ちをかけた。【貫通攻撃】カードの弱点の一つ、【どんな状況でも変わらないダメージが入る代わりに火力が低くなる】ことを完璧にカバーしていることをロードに教える。
「うるせぇうるせぇ!うちの
「いや、でも【近距離】の威力補正がつく忠臣でも使ってる人ほぼいないけど……」
「はい残念!!臣は弱点つけばタンクを【フルーク】で打ち上げてから【カノーネ】でキルできますぅ〜!!そっちを優先してるんですぅ〜!!」
「いや、その理屈はおかしいよ……」
タンクは耐久が高いのだ。【フルカノ】で確定二発ならよほどデッキレベルに差があるか回復をカノーネでキャンセルされてから攻撃を当てられ続けた時だろう。ロードの理屈は根底から間違っている。
ロードの【ぶれどら】への狂信が強すぎる。
「そもそもな!ソルで【メカ犯】からの【レオン】で即死狙うコンボも
「多くはなかったと思うんだけどねぇ……」
そして記憶の改竄も激しいようだった。
「もういい!!論より証拠ってやつを見せてやるよ!!」
そう言ってロードは【ぶれどら】を取り出す。
「ちょっとロードくん!?それ、向こうで遊んでるコクリコちゃんが近距離発動して危ないから止めて!?急にコクリコちゃんが寝ちゃって危ないから止めてね!?」
「うるせぇうるせぇ!!
ロードがいよいよ本格的に暴走を始める。楼閣が羽交い締めにするが、その程度では止まらない。
「ちょっと!!波羅ちゃんも止めてよ!!」
「
「波羅ちゃぁん!?」
波羅渡はもう手遅れだった。
楼閣の制止も虚しくロードがカードを取り出し、そして使用する。
その瞬間、轟音が鳴り響き、土煙が上がった。
「な、何!?何が起こってるの!?」
『全員下がれ!!俺の後ろが安全地帯だ!!』
「これが、【ぶれどら】様の力……?」
「【ぶれどら】様……!!天井を破壊する程に強大になられてしまったのか……!!」
楼閣は状況が把握出来ずに混乱し、ジャスティスはそんな楼閣を庇って前に出て、波羅渡は状況に呆然として、ロードは狂信者とも言える有様だった。
その中で声が聞こえる。
【我を呼ぶか、小さきものよ!!】
皆さんお久しぶりです、乱数調整です。
前回はエイプリルフール企画でしたねぇ。なんと一日で本文がすり変わってしまうなんて!!
さて、そのエイプリルフール企画ですが、キャラがそれぞれでめいめいの入れ替わりを果たしていましたね。
keyがロリコンの王になり、ロードは溺愛キャラが変わる、レイアがまさかのPRHS化するという感じです。推しが出てこなかった人はすみません。
アレ?もしかしてレイアが一番割くってるんじゃ……(レイア:名前も覚えられてねぇし散々だよ!!)
ちなみに、新規さんが新主人公誕生かと思っていらして焦りました。エイプリルフール企画です、エイプリルフール企画です!!(大声)
また読みたい方や続きが気になる方が多ければ、本編終了後に載せるかも知れませんね。あ、HS回転については夢なのでありえない早さにしてました、ご了承ください。
さてさて、今回から新章突入ですね。章タイトルから分かるように、またも本編が進まない閑話です(おい)
だってドク編疲れたんだもん!!
新しいカギ括弧は誰のセリフなのか、乞うご期待ください!
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。