【我を呼ぶか、小さきものよ!!】
三人の頭上から、声が響いた。
別アニメのカード発動のようなエフェクトが煌めいていてよく見えないが、巨大な塊が3人の目の前に鎮座していた。
「まさか……その声は!!」
「え、え、何!?っていうか誰!?え、またバグ!?」
エフェクトが切れ、そこに鎮座していたのは、灰色の巨大な竜。荒れ狂う天空竜ぶれいずどらごんその人だった。
「【ぶれどら】様だ!!【ぶれどら】様がお出ましになった!!」
「今度はカードバグかい……GMも色々とやらかすのはソシャゲ時代から何も変わってないねぇ……」
ロードのテンションはいつにも増しておかしく、楼閣はもう突っ込むことを諦めたのか、別のことに思いを馳せている。
『ソウデモアリマセンヨ』
そこに、唐突にvoidollが乱入した。
「ん?ボイちゃん?どうしたの?」
『ハジメニバグガハッセイシタノガコノヘヤデシタノデ、ヨウスヲミニコヨウカト』
「へぇ〜、ボイちゃん気づくの早いねぇ。……で、そうでも無いって?」
『バグトイウモノハ、ヒトツヲツブシタトコロデ、ソレニカンレンスルバグガレンサシタリ、シュウセイシタコトニヨッテハッセイスルバグモアリマスノデ、イチガイニハカセガポンコツトハカギリマセンヨ』
「へぇ〜……大変なんだねぇ。」
楼閣がvoidollから説明を聞くが、その間、二人はロードの方を見ようともしていない。
「【ぶれどら】様だぁー!!ひぃやっほう!!」
【む、ロード殿、落ち着かれよ。】
「はらほいやぁっはぁ!!(ひたすらに怪しげな踊り)」
【ロード殿、落ち着かれよ!!楼閣殿!我が盟友を何とかしてはくれぬか!?】
ロードはひたすらに怪しげな踊りをしていたが、そのセリフを聞いて平静に戻る。
「ん?【盟友】?どういうことです?」
【おぉ、我が盟友よ、元に戻ってくれて我は嬉しいぞ!……何とは一体どういうことであろうか?】
「いや、俺、【ぶれどら】様と会うのは初めてですよね?」
そう言うと、ロードの影がビクリと震えた。
「……セナ?」
悪魔には思い当たる節があったらしい。
『い、いやァ、な?お前が僕の力をアレだけ無駄遣いしたんだァ。並の悪意じゃァ回復できないだろォ?』
「……で?」
ロードの顔は笑っていたが、目が微妙に笑っていなかった。
『だから、ちょっとこの竜に悪意を──』
「【
「ちょっ、ロードくん!?」
【待て!よすのだ盟友!!】
『ヤットシュウセイガカンリョウシタノデス!!ヤメテクダサイ!!』
楼閣、ぶれどら、voidollの三人が全力で止めた。voidollのあれほどまでに焦った顔は、何気に始めてみるかもしれない。
ちなみにジャスティスは、ちびっ子組に何か起きていないかを確認しに行っている。それを確認しているからこそ、ロードはぶれどらと会話を続けているのだ。
「止めるな楼閣!俺はセナを地獄に送り返してやる!!」
「コクリコちゃんと戦えなくなるけどいいの!?」
楼閣が一撃必殺に等しい質問をするが、
「悪魔に憑かれなくなるんだ!あの子にとっても幸せだ!」
効果はなかったようだ。
「そうじゃなくて!バトルしないと配布BMが減るから、コクリコちゃんを養えなくなるけどそれでもいいの!?」
「そ、それは……」
楼閣の返す言葉にロードは声を詰まらせる。夢の二人暮らし(語弊あり)をするには、悪魔を生かさず殺さずに飼わなければならないのだと、ロードは思った。
「だけど……だけどさ!」
『おにいちゃん、どうしたの?』
そこにコクリコが来た。
「ん?コクリコ、どうしたの?」
秒でロードが平静を取り戻す。相も変わらずいつも通りだった。
『コクリコね、さかあがりできるようになったよ!!ほめてほめて〜!』
「よし、【
ロードが瞬時に手のひらを返した。
返すのが早すぎて、手首を複雑骨折しそうな勢いだった。
『あー!どらごんさんだ!』
【む、盟友、この娘子は盟友の大切な人だったのではあるまいか?】
コクリコとぶれどらが会った。
「ん?ぶれどらさん、コクリコちゃんのこと知ってるのかい?」
【うむ、我は今までの主らをカード越しに見ておったのでな。その位はだいたい想像がつくぞ。】
楼閣が訊ねたが、ぶれどらはなんでもない事のように返す。
カードの秘密がまたひとつ解明された。
「違いますよぶれどら様、コクリコは確かに俺の大事な娘ですが、大切な人ではありません。」
【む?するとこの娘子は盟友にとってのなんなのだ?】
「天使です。」
ロードが遺憾無く親バカを発揮させていた。いつも通りだが。
【む、そうか、それは失礼をした。】
『おにいちゃん、このどらごんさんだぁれ?』
「この人はね、俺の神様だよ。」
『かみさまなの?』
コクリコが期待に満ちた目でぶれどらを見る。
コクリコが間違った方向に行きそうになっていたがロードはもちろん誰も止めようとしない。
【盟友よ、その【神様】呼ばわりは辞めてくれぬか?我は盟友の悪魔に怒りを食われたがゆえに、今平静を取り戻しておるのだ。いわば我と盟友は対等。盟友は我を使い、我は盟友のおかげで冷静になったのだ。】
「んー……ぶれどら様がそれでいいなら……」
【その様付けも辞めてくれぬか?何だかむず痒くてかなわぬ。それと、できれば口調も対等にして欲しい。我らは【盟友】だと言っておろう?それに、管理者殿にも無礼な振る舞いなのに対し、我のみ特別扱いなのは気が引ける。】
「【盟友】……ね。じゃ、遠慮なくタメ口きかせてもらう。」
【あぁ、遠慮なぞいらぬ。】
『ねぇねぇ、どらごんさんはかみさまなの?』
おい誰かコクリコを止めろ。
【天使殿よ、我は神などではない。貴殿が兄上の盟友であり、貴殿の兄上と同じようなものだ。】
『???』
ぶれどらが説明するが、コクリコは今ひとつ分かっていないらしい。可愛らしく首をかしげていた。
【そうだな……貴殿の兄上の【友達】と言えばわかりやすいかな?】
『おにいちゃんのおともだち?』
【うむ、そうだ。】
『おにいちゃんとおともだちなら、コクリコともおともだちになってくれる?』
【そうだな。我も盟友の天使殿を守ろうぞ。我らは友だ、天使殿よ。】
『わーい!』
ホッコリした空気が漂った。
ぶれどらの方は少し【友達】というものを誤解している節があったが、それを誰も気づかないほどホッコリした空気がコクリコから出ていた。
『コクリコちゃーん!お話できたー?』
そんな中、めぐめぐがジャスティスに連れられてやってきた。
『すまないロード。コクリコットがお前にどうしても伝えたいことがあると言って走って行ってしまってな、止める暇がなかったんだ。』
「ってかお前、ちゃんとちびっ子組の心配もしてたんだな、あの状況で。」
『当たり前だろう?国で人を守ろうと思えば、まずは女子供を優先するべきだ。』
ジャスティスはいつも通りだった。彼が慕われるのはこういった場面での行動からも来るのかもしれない。
『コクリコね!このどらごんさんとね、おともだちになったの!』
【うむ、神と間違われるところであったわ。】
『あははー!カミサマなんていないのにね!』
【全くだ。もしいると言うのなら、この世の全てを憂いておるに違いないというに。】
ぶれどらもちびっ子組に懐かれたらしい。見た目に反して子供をあやすのは割合得意なようだ。
「あ、そういえばぶれどらって、【荒れ狂う天空竜ぶれいずどらごん】だったと思うんだけど、今はなんでそんなに冷静なんだい?」
【おぉ、そういえばそうであった。すっかり説明するのを忘れてしまっていたな。】
ぶれどらは今思い出したかのように言う。
【我は元々別の世界で暮らしておったのだがな?急にこの世界に呼ばれたのだ。その事で少し荒れておったので【荒れ狂う】という言葉が頭に来たのだな。】
ぶれどらは説明を続ける。
【そして、先程盟友に憑いている悪魔が言ったように、我はその怒りをそこの悪魔に食われたのだ。だから我は平静を取り戻したと言うわけよ。まぁ、攻撃力はかなり制限されておるから、平静を取り戻したところでダメージは増えぬがな!!】
グハハハハ!!とぶれどらは大きな声で笑う。
それをジャスティスはかつての同士を見るような羨望の眼差しで、同類を見るかの如き聖母然とした表情で楼閣が見ていた。
『それで【盟友】か……救われたのはどちら、ではなく、相互に影響を与えあっている関係なんだな。』
「へぇ……大変なんだねぇ、ぶれどらさんも。」
【しかし、平静を取り戻して良いこともあったがな!】
「ん?ぶれどら、どんなことだ?」
【
「マジかよすげぇな。」
ロードが思わず真顔になった。
ぶれどらはいつの間にかコクリコとめぐめぐを背中に乗せていた。
見かけによらず子供好きなのだろうか。
「セナ、そういうことなら【
その言葉に悪魔が胸を撫で下ろす。
「その代わり……分かるな?」
『………………!?(コクコク)』
悪魔がいつの間にかしりに敷かれていた。
その後、しばらくはぶれどらの背中が新種の遊具のようになっていたが、誰も、当の本人すらも気にする様子はなかった。
途中で背中からコクリコが落ちかけた時があったが、その時は悪魔が死に物狂いでキャッチしていた。
一体、ロードに何を言われたと言うのだろうか……
しばらく経ってvoidollがいなくなった後、
「開けてくれ!!ここを開けろ!!頼むから!開けてくれ!!」
玄関先から助けを呼ぶ声がした。
皆さんお久しぶりです、乱数調整です。
四月は色々と新生活でして……全然時間が取れないんです、すみません……
あと、乱数がポケモンに急にハマりだしたのも理由かと思われますはい。
さてさて!叩き台を作った時(一章終了時点)から決めていた、第二の閑章 神と天使の邂逅 ですが、メインキャラのぶれいずどらごんが出てきました!
乱数は貫通攻撃大好き人間ですので、もちろんぶれどらも好きですよ!まぁ一凸なんですけど……
最後に扉を叩いたのは誰なのか、イヤァワカリマセンネー(棒)
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。