【モウ諦メルノデスカ?楼閣サンラシクモナイ。】
「えっ、」
誰かの声が響いた。
その声の主は、驚いた盟友と楼閣殿、波羅渡殿が其方を見る前に【家庭用メカ】へと強襲する。
【ギュイギギ!!ギュギッ!!】
【サセマセンヨ。テイッ!】
【家庭用メカ】はその声の主が来た途端に盟友も楼閣殿も全てを無視して声の主に攻撃を始める。
しかしその声の主は華麗にそれを掻い潜り、ダメージを蓄積させておった。
【ギィ……ギュギッ!!】
【ハッ。吹キ飛ビナサイ!】
攻撃を掻い潜られた【家庭用メカ】が堪えきれんくなったのかクロスカウンターを狙うが、声の主はその射程の瀬戸際で急停止、無傷でクロスカウンターをやり過ごした後に【家庭用メカ】を吹き飛ばした。
【ゴ無事デスカ、楼閣サン?】
「え、あの……うん。大丈夫だよ。ありがとう。」
その直後、声の主は楼閣殿に話しかけた。がしかし、楼閣殿は困惑しておるばかりであった。
【ゴ無事ナラ良イノデス。貴方ノパートナートシテ、コレ以上誇ラシイ事ハ無イデスカラ。】
そう言ってにっこりと微笑む声の主に、楼閣殿は得心がいったような表情をして確認をとる。
「え、あ……もしかして、【銀河防衛ロボ】……ちゃん?」
【ハイ。貴方ノ【銀河防衛ロボ】、【銀チャン】デスヨ?】
そう言って【銀河防衛ロボ】は何を言ってるのか分からぬとでも言いたげな表情で小首を傾げた。
「銀ちゃんなの!?私、カード使ってないはずなんだけど……」
【私ハ#コンパス統括プログラムノ一員デスノデ。貴方ノ危機トアッテハ出テキマストモ。】
「そうなのか……銀ちゃん、助かったよ!わざわざありがとうね!」
【イエ、先程モ言イマシタ通リ、貴方ノ危機デスカラ。貴方ハ私ノ……】
そう【銀河防衛ロボ】が言いかけた時、そこに割り入る声がした。
『【ギンガボウエイロボ】!ヨウセイニオウジズナニヲシテイタノデスカ!!』
【……voidoll、アナタマダイタノデスカ。】
トックニ諦メタモノカト、と【銀河防衛ロボ】は虚構の管理人殿に言う。
その言葉に反発するかのように虚構の管理人殿は続ける。
『ハカセノヨウセイ、シジニシタガワズ、ワタシタチハシンパイシテイタトイウノニ、コノタイミングデアラワレルナンテ、アナタハナニヲカンガエテイルノデスカ!!』
【アンナ癇癪シカ起コサナイ人ナド、私ノマスターデハアリマセン】
『カピッ!?ハカセヲワルクイワナイデクダサイ!ソレニアイテハバグナノデスヨ?ソレユエニタイキュウリョクガオカシイノデス。トウカツプログラムゼンインデコトニアタラナケレバナラナイノハワカッテイマスヨネ?シュウセイパッチガモウスグデキマス。パッチノテキヨウニハアレヲトメナケレバナラナイノデスヨ!』
【……voidoll、アナタ、マダ気ガツイテイナイノデスカ?】
「……ん?どういうことだい、銀ちゃん?」
楼閣殿がそう言うと、【銀河防衛ロボ】は、アチラヲゴ覧クダサイ、と【家庭用メカ】が飛んでいった方向に腕を向ける。
そこにはもうボロボロの【家庭用メカ】がおった。
「すげぇな……俺らがあんだけ手こずった奴を一撃か……」
「銀ちゃん、本当に助かったよ……!」
【イエ、ヨク見テクダサイ。】
盟友と楼閣殿が【銀河防衛ロボ】を賞賛したが、当の本人はその先を見るように促す。
【ギ……ギィ…………ギュイ、ギギ……】
【家庭用メカ】は苦しそうに呻く。もう立ち上がれないかのように思われた。
が、我らが思っていたよりも遥かに【家庭用メカ】は
【ギュギッ!】
【家庭用メカ】が一発空に吼えると、宙から様々な部品が降ってきおったのだ。
そして奴は自らの悪くなった部分を取り外し、それを神業ともいえる早さで降ってきおった部品と取り替えおったのだ。
身体のほとんど全てのパーツを替えたというに、時間にして一秒も経たぬ早業であった。
【……アアヤッテ常ニ傷ヲ治シテイタノデス。アレデハドウヤッテモ終ワリガナイノガ見エテイマス。】
voidoll、アナタハ何ヲ見テイタノデス?と【銀河防衛ロボ】は虚構の管理人殿に言い放つ。
「じゃあさ銀ちゃん、倒すにはどうしたらいいの?」
すると、そんな【銀河防衛ロボ】の言葉に楼閣殿がそう尋ねた。
一秒時間があれば回復するのなら、最早、倒すのは不可能ではあるまいか?
【倒スニハ、一撃デ全テヲ破壊スルカ、別ノ空間ニ放リ込ムシカナイデショウ。ソノタメニ──】
「なら俺がヤッて殺るよ!行くぞめぐめぐ!!」
『了解、ハービィ!!』
【待チナサイ!!】
【銀河防衛ロボ】の制止も聞かず、波羅渡殿が【家庭用メカ】に向かい進撃を始める。
無論、【家庭用メカ】がそれに気づかぬわけもなし。
【ギュイギギ!!】
「殺れ、めぐめぐ!」
『腸をぶちまけろぉ!』
先ほど連射を弾かれたというのに波羅渡殿はまたも正面から愚直にも連射を始めおった。
無論、【家庭用メカ】は先ほどと同じ要領でそれらを弾き、波羅渡殿に近づく。
「クッ……!めぐめぐ!上下に揺らせ!」
『おっけー!』
近づいて来たことに焦りを感じたのか波羅渡殿はそうめぐめぐ殿に指示を出すが、【家庭用メカ】は上体を屈めたり反らしたりしてその凶弾を弾いてゆく。
「クソがっ!!」
【よぉ、波羅っち。オレはお前のそういう愛すべきバカな所好きだけどよ、今回ばっかりは分が悪い……ぜ!】
また、新たな声が響く。若く力に溢れた声だ。
その声の主は口上を述べながら【家庭用メカ】の頭を踏みつけて回転を止めた。その後、足払い(どこが足が分からぬがな!)を仕掛け、連打を食らわせておった。
連打を繰り広げる新たなる声の主に波羅渡殿は驚いたように尋ねる。
「なっ……!?【秘めたる】?!」
【おーおー、お前の第二の相棒【秘めたる力の覚醒】だ。【銀河防衛ロボ】に呼ばれて、ただいま参上!なんつって!!】
ほらよ、【銀河防衛ロボ】!と言って【秘めたる力の覚醒】は【家庭用メカ】を【銀河防衛ロボ】に蹴り飛ばす。
再び深く傷ついた【家庭用メカ】は【銀河防衛ロボ】から少し離れた位置に着地をする。
【ギュイ……ギィ…………ギュギッ!!】
【私ハ、全体ノDPSヲ上ゲルタメニ【秘メタル
再び部品の組み換えを始めた【家庭用メカ】をただ見つめながら【銀河防衛ロボ】は我らに言う。
ただ見つめておるのには何か意味があるのだろう、なぜって盟友がおとなしくしておるのだもの。
【統計データハ七ツ……十分デス!解析完了シマシタ!!右腕→左腕→両手ヲ支エニ反転→胴体パーツ→駆動部、コノ順番デ組ミ上ガッテイマス!左右ドチラカノ腕ガナケレバ組ミ上ガリマセン!!マタ、頭部ハ恐ラク、完全二破壊サレナイ限リ交換不可デス!】
「うし!それさえ分かりゃそれでいい、よくやった【銀河防衛】!!【秘めたる】!お前は降ってきた右腕ぶんどってそれで攻撃!【レオン】は左腕を撃ち抜け!両腕どっちも残すな!」
【任せろ!】
【了解!】
なんと!この一瞬で【銀河防衛ロボ】がしようとしておることを見破り、それを以て作戦を立案しよるか!
我が盟友は恐ろしく頭が回りよる!
「ぶれどら!まずは危機感与えるぞ!!遠慮なくぶっぱなせ!」
【承知したぞ、盟友!】
対策させる隙なぞ、与えてやるものか。
信念を持たぬ貴様に、躱す隙間も対応する
【キュオオオオオオオオオオオオ!!】
ダメージ量は制限されておるゆえに一撃では倒しきれんでも、幅と距離は限界まで延ばした。
我の制限をかけたブレスしか見ておらぬ【家庭用メカ】に避けることが出来る道理はないわ!
【ギュ……ギィィィィィィィィ!!】
全力で後退をしておった【家庭用メカ】は躱しきれんと悟ったのか、両腕で自らを庇うようにして我のブレスをやり過ごそうとした。
結果、胴体パーツは守られたものの、両腕に深刻な損害を与えることができた。
【ギ……ギ…………ギュギッ!!】
【家庭用メカ】が空に一発吼える。
盟友の描いた道筋通りだ!
「行け!」
【【了解!】】
打ち合わせ通りに【秘めたる力の覚醒】と【レオン】が【家庭用メカ】の両腕を奪う。
【秘めたる力の覚醒】は右腕を武器として
【レオン】は左腕を自らの得物で撃ち抜いて
それでも【家庭用メカ】は諦めずに自らの部品を宙から降らす。
【ギュギッ!!】
「チッ!まだ降ってきやがる!!」
【おいおいギルマス!オレ達をちったぁ信用してくれ!】
【想定外なんて、よくある事だ!】
【秘めたる力の覚醒】と【レオン】はそれでも動揺せんかった。
【秘めたる力の覚醒】は奪った右腕を使い、降ってきた新たな右腕を破壊する。
【レオン】の方は焦ることなく一つずつを冷静に撃ち抜き、使い物にならなくさせている。
【家庭用メカ】は完全にその場に縫い止められた。
【足止メガ上手クイッテイマス!今ノウチニ完全ニ破壊シテクダサイ!】
「って言ってもどうやって!?」
楼閣殿がそう訪ねた時、【銀河防衛ロボ】の表情が曇る。
先ほど奴は〈完全破壊のために【秘めたる力の覚醒】を連れてきた〉と言っておった。
盟友がそれを別の目的に使ってしもうたゆえに、打開策が無くなっておるのだろう。
そんな時、それを知ってか知らずか盟友が怒鳴るように【銀河防衛ロボ】に尋ねる。
「【銀河防衛】!カード発動モーションは出来るのか!?」
【カード発動モーションハ可能ナハズデス!】
「よし、なら俺に任せろ!行くぞセナ!」
そう言って盟友は悪魔殿と共に戦場を迂回して行った。
『オイ、何をする気だァ?』
「ポルターガイスト、だ。悪魔のお前の得意技だろ?連撃モーションだから禁止もされてない。」
言い合いをしながら走っておるうちに、盟友と悪魔殿は【家庭用メカ】が壊した建造物の残骸の前に着いた。
『だとしても、投げるものがないだろォ?』
「何言ってんだ?」
言い返す悪魔殿に、盟友は満面の笑みで言い放つ。
「お前は物理法則無視の悪魔で、
『……まさか』
「その通りだ!岩で押しつぶして粉々にする!通信装置さえ潰しゃ、あいつはもう回復できねぇだろ!我ながらこの悪魔的な計画が怖いよ!」
『……ちィ!!どっちが悪魔か分かったものじゃないなァ!!だが……やってやろうじゃないかァ!コクリコちゃんのためだからなァ!!』
「まずはかなり上の方狙え!【秘めたる】と【レオン】避難させてる間に腕くっついたら不味いからな!」
『この悪魔めェ!!』
「それは褒めてんのか?自虐か?やれ!!」
『僕以外には触れさせぬゥ!!』
そう言って悪魔殿は遠くから【家庭用メカ】めがけて瓦礫を遠投し始めた。
【両名、避けよ!】
【わぁってるよ!】【おうよ!】
盟友に変わり我が両名にそう言うと、【秘めたる力の覚醒】は【家庭用メカ】の頭を踏みつけて左腕もを奪って離脱し、【レオン】は【秘めたる力の覚醒】の奪った左腕を狙う代わりに、しっかりと光線の射出口を潰した。
【ギ……?ギュギッ!!】
それを好機と捉えたか【家庭用メカ】は少々急いで部品を宙より取り出す。
バキッ!
【ギュイギギ!?ギュギッ?!】
しかしながらそれは悪魔殿の投げた瓦礫に潰される。
【家庭用メカ】がそちらに動揺をしておる間に、悪魔殿が投げた瓦礫が彼奴に殺到する。
それはガリゴリと耳障りな音をたてながら【家庭用メカ】の身体を轢き、欠片として行く。
【ギギ……ギ……ブゥン…………】
家庭用の機能が停止する音がした。
「終わった……のかな……?」
【イエ、モウ一度、一カラ組ミ立テ直ス可能性ガアリマス!voidoll、パッチノ状況ハドウナッテイマスカ?】
『モウスコシデス!』
虚構の管理人殿がそう言った時、宙に穴が空いた。
そこからは、バラバラと【家庭用メカ】の部品が降ってきたのが見える。
「クソっ!セナ、アレめがけて投げろ!」
『もう全て投げたぞォ!?』
「ジャスくん!どうにかHS撃てない!?」
『禁止されてるようだ!撃てるなら俺だって撃っている!』
再び訪れた災厄に、皆が焦りを見せる。
苦労して撃破した【家庭用メカ】が、先程の戦いの知識を持って再来するなぞ、勝てる見込みが立たぬわ!
ただでさえ【銀河防衛ロボ】と【秘めたる力の覚醒】の手を借りねば倒せんかったというに!
【銀河防衛ロボ】に何か策は────うん?そういえば、奴はなんと言っておった?
【倒スニハ、一撃デ全テヲ破壊スルカ────
違う、そこではない!
思い出すのだ、数千生きた我の脳細胞よ!
────別ノ空間ニ放リ込ムシカナイデショウ。】
そこだ!
【クハハハハハ!皆の者案ずるでない、全て我が食ろうてやろうぞ!!】
我は低く滑空し、【家庭用メカ】に向かって
そのまま我は【家庭用メカ】を顎に収める。
ゴリゴリと不快な音を立てながら【家庭用メカ】は我が牙で粉々になる。
【ギィ……ギュギッ!】
【クハハハハハ!ムダムダァ!】
【家庭用メカ】が一発吼えるが何も起こらない。
当たり前よ!我の顎の中なら外界とも接しておらぬであろうと考えた我の発想の勝利よ!
【さぁ貴様ら!やってしまえい!】
《GMからの通達です……パッチが完成したようです!!》
『セキュリティパッチヲテキオウシマス!』
虚構の管理人殿の台詞と共に、空間がキュルキュルと音を立て、辺りは狂ったような緑色の明滅を繰り返していく。
そして、パリン、と風鈴の割れるような音を立てて【家庭用メカ】は消滅をした。
はいどうも、今回早めに出せるとか言いながら一週間以上余裕でかかった乱数調整です
いや……ね?色々と要らないネタが思いついて、忘れてたネタもどんどこどんと思い出して、調子に乗ってどんどんと入れ込んでいった結果、いつもの倍近い量になりました!
ただ、量が増えるのは私の十八番ですね。一章の一話の六倍位の量になってるし、しょうがないね!
次回、後日談
さぁ、閑章が終わるぞ!(清々しい笑顔)
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。