『畳み掛けるはワキンヤン、死を運ぶはマタンツォ!!』
戦いの火蓋は切られた。
「ふむ……俺を中心に円か……楼閣はテヤれ、波羅は円から離脱!【バーゲン】!!」
ふむ、後ろにいる幸薄そうな男が【楼閣】、好戦的な表情をしている男が【波羅】というのか。
波羅は私の弓の範囲から逃れ、楼閣は範囲内で危なげなく耐えた。
先頭の男は、傷を負わずに凌ぎ切っていた。
「もう!ロードくんがダラダラ話すから敵さんのHSが溜まっちゃったでしょ!即死系だったらどうするつもりだったの!!」
「そりゃねぇよ。今の条件にHS自動蓄積で即死系HS来てみろ、難易度が鬼なんてもんじゃねぇぞ。あったとしても臣みたくタメに時間がかかるやつだろ。」
何やら喧嘩をしているな。
「それにしてものんびりし過ぎだよっ!ガンナーのHSって即死じゃなくてもたいてい強いんだからねっ!」
「即死じゃなけりゃやりようあるし、即死でもそこそこやりようあるだろ。そんな【次のダッシュ攻撃が貫通即死になる】とか【残り体力で範囲が増える貫通即死】とか【数秒間、通常攻撃が即死になる】とかいうぶっ壊れスキルでもない限り。そのHSでこのバトルきたら余裕で絶えるね。」
ま、んなHS、ゲームの方でも出たら怖ぇけどな、と先頭の男─ロード─は言う。
「んで、アイツのHSは【自分から1番近い相手を中心に円範囲連続攻撃】か。ジャスの体力の減り方的に貫通は乗ってないな。」
一度で全てを見切られただと!?
「うし!そんだけ分かればあとは打ち合わせ通りだ。行くぞ楼閣、波羅!」
ロードが一声吼える。
だが
『そう易々とやらせると思っているのか!マピヤ、呼吸を合わせるぞ!!』
『ピィィィィィ!!』
相棒のマピヤがロードの隣にいる少女に突撃する。
すると、ロードは凄い形相で飛んでくるマピヤを睨み、言った。
「あ?よっぽど
『そのような脅しがマピヤに通じるとでも──』
『ピィィィィィ!!』
『どうしたマピヤ!?なぜ戻ってくる!?』
マピヤが脱兎のごとく逃げ戻ってきた。どうしたというのだマピヤ!?
『ピュイィィィィィイイイイイ!!』
『何?『あれはもはや人ではない』だと?いつもの威勢はどこへ行ったのだ?』
戦士であるマピヤがここまで怯えるなど尋常ではないな。
『一度落ち着け、マピヤ。ほかの者なら狙えるな?』
『ピュイィィィ!』
よし、ならばロードのみを避ければタッグは成立する。
『マピヤ、あれが獲物だ!』
『ピィィィィ!!』
「波羅!あれが
「Sir,Yes Sir !ヒャーハー!!」
なんだあの波羅という少年は!?頭がおかしいぞ!
ともあれ、マピヤはその程度で怯むことなく波羅の連れているピンク髪の少女に襲いかかる。
『よし、そのまま──』
「ヒャーハー!!」
ガシッ
波羅がマピヤを鷲掴みにした。
『ピュイィィィィィイイイイイ!?』
『マ、マピヤ!!』
私は困惑する。マピヤがそう易々と捕まったことにも、そもそも敵を生け捕りにしようというその思惑も。
いったい、この者達は何者なんだ!?
「ボス!やりましたよ!
『ピュイ、ピュイィィィィィイイイイイ!!』
《波羅渡様、それはルールに違反しますので》
何か別の声がした後、マピヤが消えた。
『な!?マピヤ、どこだ!?』
『ピュイ!』
いなくなったと思っていたマピヤがいつの間にか私のそばにいた。
「あ?キィ、お前どういうつもりだよ?」
《当たり前では?ヒーローを食べようとしないでください》
「ロードくん、そこはキィちゃんが全面的に正しいよ。」
「(・д・)チッ、食費が浮くと思ったのによ。」
『ピュイィィィィィイイイイイ!?』
落ち着け、マピヤ。その危機はもう完全に無くなったのだ。というか、マピヤを食物扱いか……
それにしてもあの《キィ》とかいう声、あれは何者だ?あのメンバーを統括するなど、並のことではできまい。
彼女は信頼できそうだな。
《それに……殺したら
「おぉ、盲点だった。」
前言を撤回する。
やはり彼女もあの者達の側だった。
「ボスゥ……オレァもう、殺りたくて殺りたくてたまんねぇよ!!」
「うるせぇな。んじゃ、チャチャっと終わらすか。行くぞセナ。」
『僕らの愛の強さを、見せてやろう!』
ロードと少女─セナというのか?─がこちらへと特攻を仕掛ける。
ちゃっちゃと、とは舐められたものだな!
『そんな直線的な攻撃で、我らを止められるとでも?
この数十戦で私とてだいたいの攻め方を把握している。
まずは【スプリンター】という移動速度の速い者がこちらに来て、一段と強い攻撃を仕掛けてくるのだ。そのタイミングに合わせて、このダメージカットのカードをまずは使う。
「っていうのが、定石だよな?」
『何っ!?』
ロードとセナは何をするでもなく【近距離】カードが当たるかどうか、という位置を素通りして行った。
「これで1枚、無駄遣いしたな♪」
『…………なるほど。』
この者達は私が彼らと同じく、カードを4枚しか使えない、と思っているのだな。
『その固定観念が死を招くぞ!
私は後ろから長射程のカードを使う。
「ま、それに当たらんために移動してるわけなんだがな。」
しかし、それが当たるよりも前に射程外にロード達は逃げていた。
『ちょこざいな……!』
「攻めに行くぞ、セナ。」
『任せろォ。』
『む、させるか!
すかさずダメージカット系と気絶させる長射程のカードを使う。
がしかし、
「ま、そう来るよな。」
『全く、性格が悪いなァ?』
走り出したのは一瞬で、二人は直ぐにバックして射程外へと離脱する。
結果、また2枚、合計4枚のカードを無駄にさせられた。
『これはしてやられたな……』
だが、これで相手も攻戦に移るだろう。なんせ、今までの者達と同じようにこちらが4枚しかないと思っているだろうからな。
そして来たところに【ツォイク】で反撃をしてやろうではないか。
「よっしゃ、セナ行くぞ。先走るなよ?」
『言われなくとも!』
予想通り二人は突っ込んできた。
『戦いではいつも予想外のことが起こると知るがいい!
「お前もな、【バーゲン】!」
『ゆらり〜ん……』
『近寄るなァ!!』
『何っ!?』
私はカウンターをくらい、天高くに投げ出される。
ロードは読んでいた、私が奴らと違いカードを5枚以上使えることを。
体力は向こうの3人の誰もが低いらしく、一撃で4分の1ほど削られた。
私の言動が原因か?
まぁいい。とりあえずダメージカット系と回復系のカードを着地と同時に使おう。
『
「【オルレン】」
『おじゃま虫は排除する!!』
『グゥッ!?』
着地と同時に足元を掬われただと!?
使おうとしていた【ノーガード戦法】と【打ち上げ花火】の2枚がまたも霧散する。
しかしロードから距離は取れた。
起き上がってから回復を──
「おいおいおい!まさかオレを忘れてねぇだろうなぁ!?ヒハハハ!!【クルエルダー】!!」
『触れたきゃお菓子を持ってきな!』
『むぅぅぅ!!』
そうだった、これはロードと私の戦いではない。
まだ波羅と楼閣もいるのだった。
私は起き上がる前に引き寄せられ、またも転倒する。体力は残り半分
「【秘めたる】!殺れ、めぐめぐ!!」
『めぐめぐはラブリンでしょでしょ?腸をぶちまけろぉ!』
『ぐ、ぅぅぅぅぅ!!』
ガリガリと体力が削られていく。しかし起き上がれた。
起き上がれればこちらのものだ!
『
私はすかさず防御特大アップと回復を使う。こういうのは即時回復がいい。
【ドルケストル】を使った時には、私の体力はすでに13だった。60%回復に救われた。
『では、反撃と行くぞマピヤ!』
「させないよぉ〜!【メカ犯】!」
『でりゃああああああああぁぁぁ!!』
『ぐっ!?』
また転倒か!
以前に来た二人組はその場から動かず、火球と氷柱で私になにもさせなかったが、この者達は私の手札を潰しつつ私に行動をさせてこない!
先程のような隙があれば勝てたあの二人組とは違う、この者達はミスさえも笑いながらカバーする狂人共だ!
私の体力は早々と35%まで戻される。
「すまねぇな楼閣さんよぉ!【レオン】!!」
『汚ねぇ手で近寄るな!』
『がは!?』
せっかく防御を特大アップさせたというのに、あいつら全員貫通攻撃か!
私の体力は残り10%
早く起き上がり、【イェーガー】と【アルプ】を……
「使えると思ったか?」
『なっ!?』
気がつけばロードがそこにいた。
スプリンターは足が早い、そんなこと知っていたはずなのに。
【ドルケストル】は残り2秒、
「貫通を持ってなければ、か?残念、【ぶれどら】!」
『近寄るなァ!!』
私の体力が全損する。私の負け、か。
『此度は私が狩られる側、か……』
友を救えなかった。
ウィネバ、イシュティニケ、すまない。
私は先に次の世界へと向かう。
私の意識はそこで途切れる。
なんか最近調子がいいな……更新速度の早い乱数調整の再誕です。
さてさて!イスタカが出た時から決めてたイスタカ登場回です!レイドですよレイド!
【raid】襲撃する、強襲する
明日から使える無駄知識でした。
バトル回、なんとなんと一話でおしまいです。
誰が予想しただろうか、乱数のバトル回が1話で終わるなんて。
でも、長期戦にすると襲撃者側が明らかに不利なので短期決戦にしました。
次回、さらばイスタカ、次の世界まで!(嘘ですごめんなさい)
ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。