ロリ#コンパス   作:乱数調整

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ウチの娘(コクリコ)は最高です

「コクリコ!大丈夫か!?」

 

『うぇぇぇぇ!マピヤがイジワルするぅぅ!』

 

『コ、コクリコちゃん……お、おい!こういう時はどうしたらいいんだァ!?』

 

泣きじゃくるコクリコを前に俺たちは戸惑っていた。

今までコクリコは涙を見せなかったし、歳のわりにはしっかりしていた。

そして他者の悪意に触れたことは、一度たりともなかった。

 

今回のマピヤの攻撃には、間違いなく害意があった。

それはコクリコに向けられたものでは無い。むしろコクリコを助けようと思っての行動だっただろう。もし違ったら今度は復活しなくなるまで殺そう。そうしよう。

 

だが、そんなことをコクリコが知るわけない。

 

「コクリコ〜、落ち着いて〜。ほーら、もうマピヤはイジワルしてこないよ〜。」

 

そう言いながらコクリコの背中をさする。

しばらくすると、コクリコは落ち着いたのか唐突に言った。

 

『ひっく……コクリコ、マピヤきらい。』

 

「どうしてだ?」

 

『マピヤがね、コクリコのテディラビをこわしちゃったの。』

 

コクリコはまだ目に涙をたたえながら俺にテディラビを見せてくる。

テディラビにはあちこち穴が空いていて、綿が飛び出たりしていた。

 

「セナ」

 

『もちろんだァ』

 

セナに一声かけると、セナはどうやってるのかは分からんがテディラビを逆再生のように修復していく。

数秒後、そこには元通りになったテディラビがあった。

 

「ほら、コクリコ見てごらん?テディラビが直ったよ」

 

『ひっく、あ……』

 

コクリコがこぼれ落ちるんじゃないかと思うほど目をまん丸にして驚く。

 

『おにいちゃんすごーい!どうやったの?』

 

さっきまでの涙が嘘だったかのようにコクリコはぴょんぴょんと跳ねて喜ぶ。可愛い(確信)

 

「ふふん、お兄ちゃんのお友達にお願いして、魔法で直してもらったんだよ。」

 

『オイ、僕とお前が友達だとォ?』

 

黙ってろ。そもそも俺たちの関係をちゃんと言ったところでコクリコに伝わらんだろうが。簡潔にまとめるのが得策なんだよ。

 

『へぇ〜!』

 

コクリコが目をキラキラさせながらキョロキョロとセナを探す。可愛すぎる。

 

『……おにいちゃんのおともだち、どこ〜?』

 

『!?コクリコちゃんから僕は見えないのかァ?!』

 

おいマジか。こんだけ存在感バリバリの紫色しときながら、子供には見えねぇのかよ。

これじゃセナがただ恥ずかしいだけのやつじゃねぇか。

 

「……恥ずかしいから隠れてるんだってさ。」

 

『僕はそんなこと一言も──』

 

『そうなの……でもねでもね!コクリコ、いつかその子ともおともだちになりたいの!』

 

何このいい子……うん。やっぱりウチの子は最強だ。

 

『ねぇおにいちゃん、ちょっとおみみかして?』

 

「ん?コクリコ、どうかした?」

 

コクリコの可愛さをどう自慢してやろうかと考えているとコクリコが話しかけてきた。しかも真剣な顔付きでいかにも内緒の話がある、といった具合だ。

このくらいの歳の子はやっぱ好きだよなぁ、ナイショの話。

まぁ、大人からしてみればたいてい聞こえちゃってるんだけどな。

 

そんなことを考えながらコクリコに耳を寄せると、コクリコは小声で

 

『そのおともだちのおなまえ、なんていうの?』

 

だって。

可愛い。可愛すぎる。どのくらいかってさっきからそういうシーンが多すぎて語彙力が消し飛ぶくらい、もはや【可愛い】としか言えないくらい可愛い。

 

《意味不明です》

 

黙れ♡

 

だから俺もコクリコに合わせて、コクリコの耳元で囁く。

 

「その子はね、【セナ】っていうんだ。コクリコも誰かに見られてる気がしたら呼んでみたらいいよ。もしかしたら答えてくれるかも。」

 

そう言うとコクリコは、ぱぁーっと目を輝かせた。

そしてキラキラした目のまま口の前に人差し指を立てて言う。

 

『これ、コクリコとおにいちゃんのひみつね!』

 

「あぁ、秘密だな。」

 

『コクリコとおにいちゃんだけのひみつだよ!』

 

うん、もうすでにセナとキィは知ってるけどな。

 

「あぁ。絶対誰にも言わないよ。」

 

『うふふふ!』

 

ま、コクリコが嬉しそうだからいいか。

可愛いは正義だ。

 

しばらくニコニコしているコクリコを見てるとマピヤとイスタカがこっちに歩いてきた。

あいつら何する気だ?

 

「マピヤ?」

 

『ピュイ!?』

 

『謝罪だ。自らが過ちをおかしたならたとえ幼子にでも頭を下げなければ戦士失格だ。』

 

俺が一言呼びかけただけでマピヤは怯え、イスタカは意図を汲んで説明をよこした。

おい待てマピヤ、俺お前にそこまで怯えられるようなことはしてねぇだろ。

 

「そうか。なら行くといい。イスタカはこっちに残ってくれ。」

 

『む?何故だ?』

 

「聞きたいことがある。それに、こういう問題は当事者同士だけで決着を付けるべきだろう?」

 

『そういう事か。ならば私はここに残ろう。マピヤ、行くといい。』

 

『ピュイィィ!!』

 

マピヤが逃げるようにコクリコの方へと向かった。

 

『それで聞きたいことというのはなんだ?』

 

「あぁ、マピヤは何を攻撃した(・・・・・・)んだ?」

 

『……お前も分かってはいたのか。』

 

「まぁな。でもその理屈がコクリコに通じるとも思わん。マピヤはこっちに何か伝えとくべきだったんだよ。」

 

イスタカは、そうか……と言い、一応の同意は見せた。

 

「それで何がマピヤを駆り立てた?」

 

『闇の精霊の気配だ。マピヤ曰く、あのぬいぐるみから巧妙に隠された闇の精霊の気配を感じたそうだ。人には分からない気配でもマピヤは機敏に感じ取る。』

 

…………なぁセナ、お前、コクリコのどこにいるんだ?

 

『……ん?コクリコちゃんが持っているテディラビの中にいるが、どうかしたかァ?』

 

「完ッッッ全にお前のせいじゃねぇか!!」

 

『どうしたロード!?気でも触れたか?!』

 

いや、どう考えてもお前が気配を隠しきれなかったせいじゃねぇか!

呼び出したらすぐ来る配下(インフェルノ・シュリーカー)】連れるくらいの上位悪魔なら気配くらいちゃんと隠せよ!!

 

『ロード!戻ってこい!お前は今誰と話してるんだ!?』

 

「うるせぇな!俺は今コクリコを泣かせた元凶と話をしてるんだよ!!」

 

『言ってる意味が分からんぞ!?』

 

うるせぇな!セナのせいで可愛いコクリコが泣いてんだぞ!?お前、もっぺん絞めるぞ!!

 

「はいはいロードくん落ち着いてねぇ〜」

 

どうどう、と楼閣が俺を宥める。

 

「ア゛?なんでだよ?」

 

「仕方の無い事故じゃない。そりゃマピヤも認識外にいたら気づかなかっただろうし、たまたま見てた場所に気配があったんだからしょうがないよぉ。」

 

「それを隠すのがセナの仕事だろうが。」

 

「普通は気づかないくらいの気配なんでしょ?マピヤの野生の勘が鋭くて、認識の範囲内にいたのがまずかったんだよ。」

 

ま、マピヤが急に攻撃したのが悪くないとは言わないけどねぇ。と楼閣は締める。

 

くっそ、楼閣の野郎、こっちへの妥協ラインまできっちり決めやがった。

こう言ったからにはもう何言っても飄々と躱されるんだよなぁ……

 

「……チッ、しょうがねぇな、むっつりな楼閣に免じてセナは許してやろう。」

 

「そうだね、相棒は大切に……ってなんで私がむっつりになってるのさ!?」

 

楼閣がキレた。解せぬ。

 

「「解せぬ」じゃなくて!どこをどう見ればそんなになるかねぇ!?」

 

「強いて言うなら全てだな。」

 

「それ全然強いてないんだけど!?」

 

『ふっ、ふはは!』

 

イスタカが笑った。訳が分からん。

 

『いやなに、お前たちはそのようにいつも言い合っているのを見てな、戦いの時との落差に驚いただけだ。ふはは!』

 

そう言ってイスタカは笑った。心の底から楽しそうに。

 

「うるせぇな。いいからとっとと買い物に行くぞ。」

 

『ははは!……む?【買い物】とはなんだ?なんのためにする?』

 

「何ってもちろん」

 

イスタカがキョトンとした顔でこちらに訊ねる。

その言葉を受けて楼閣が答えようとしたが、チラリとこっちを見て、その先を譲るように肩を竦めた。

そういう所がむっつりなんだよ、お前は。

 

だから、ギルマスの要望に応えて俺がその先を引き取る。

 

「宴だよ。」

 

 

 

 

──────────────────────

 

あったかもしれない話

 

『おにいちゃんのおともだち、すっごいんだねぇ……!』

 

コクリコが目をキラキラさせながら直ったテディラビを見ていた。

 

『ピュイィィィィ!!』

 

そこに、緩やかに滑空しながらマピヤが近づく。

 

残り2メートルという所でコクリコはマピヤに気づいた。

 

『………………(プイッ)』

 

コクリコはまだ不貞腐れているのかマピヤの方を見ようとせず、小さな頬をぷくっとふくらませながらそっぽを向いている。

 

『ピュイィィ!』

 

『コクリコ、マピヤきらい!』

 

『ピュイィィ……』

 

コクリコの一言にマピヤは撃沈する。よほどショックだったのかホバリングも止め、地べたで項垂れていた。

 

『………………(プイッ)』

 

コクリコもコクリコでよほど怒っているのかそれ以降話そうとはしなかった。

 

『…………ピュイ!』

 

しばらくして、マピヤが何かを思い出したかのように頭をもたげ、自身の羽根を啄く。

 

『………………(チラッ)』

 

コクリコはその様子を頬をまだふくらませながら横目で見た。

 

マピヤはそれを知ってか知らずかまだ羽根を啄く。

だんだんとコクリコの興味もそちらに移っていったようで、そっぽを向くのを忘れてマピヤの羽根に注目している。

 

『ピュイ……ピュイ!!』

 

『わっ!』

 

ある時マピヤが上を向いた。くちばしには自身の大きな羽を咥えている。それを取るためにしつこく羽根を啄いていたようだ。

そしてそれを至近距離で見ていたコクリコが驚いた。コクリコが驚いたことにより、マピヤもその声に驚かされていたが。

 

『びっくりした……あっ!(プイッ)』

 

コクリコが再びそっぽを向く。自分はまだやられたことを忘れてないぞ、とその小さな体で主張している。

 

『ピュイ!ピュイィィ!!』

 

『…………マピヤくれるの?』

 

マピヤが羽をコクリコの前に出て差し出すと、コクリコも好奇心に耐えかねたのかマピヤにそう話しかける。

 

『ピュイ!!』

 

当然だ!と言わんばかりにマピヤは強く首肯した。

そしてその羽をコクリコの膝元に置く。

 

『わぁぁ……!マピヤ、ありがとう!』

 

『ピュイ!』

 

コクリコが瞳からお星さまを飛ばしながらマピヤにお礼を言った。マピヤも羽根をバサバサとさせながら返事を返す。

 

そこでコクリコがしゅんと項垂れてマピヤに言った。

 

『おこってごめんね?』

 

『ピュイィィ……』

 

マピヤも項垂れて反省しているというのを全身で表現する。

ここで彼女らは和解した。言葉が通じずとも、伝え合うことはできるのだ。

かのロリコン(ロード)ならばここで「可愛いは正義だ!万能言語なんだ!!」とでも言っていただろう。

 

そうして一連の騒動は収束した。




しばらくぶりです、乱数調整です。
前回言っていたとおり二話分増えました。反省してます。
でももうやらないとは言ってないよね!(清々しい笑顔)

今回、【あったかもしれない話】を書きたくて増えたというのに、なぜかイスタカがしゃしゃり出てきて楼閣がむっつりになっちゃいました。何故だ……

で、書きたかった話はオマケみたいな扱い……おい、ほんとにこのSSはコクリコが可愛いってSSなのか?

ではでは、今回はこの辺で筆を置かせていただきます。
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